中外製薬 難病NMOSDを啓発、ショートフィルムを制作

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2021年7月16日

 中外製薬はこのほど、指定難病のNMOSD(視神経脊髄炎スペクトラム障害)の啓発を目的としたショートフィルム「あの子を連れて旅に出たら、わからないことをわかりたくなった話」の制作記者発表会を開催した。

NMOSDを啓発するショートフィルムを制作
NMOSDを啓発するショートフィルムを制作

 NMOSDは目が見えなくなり手足のしびれが出る病気で、患者の9割が女性であり、平成25年の報告では日本における患者数は約4300人とされる指定難病。これまでNMOSDに対して承認された治療薬はなかったが、疾患に対する研究が進み、近年、NMOSDに対する治療薬が開発された。これにより、医療現場で疾患への認知が進み、患者の早期発見・早期治療に繋がることが期待されている。

 こうした中、同社は、医療の進歩に加え、より多くの方々に病気についての理解を得ることが、患者のより良い社会生活につながることから、この病気の特徴や患者の状況を知ってもうらため、ショートフィルムの制作を決定。共同制作に、〝共感を生むストーリーと拡散性〟に強みをもつスマートコンテンツスタジオのワンメディアを迎え、家族の愛を通してNMOSDについて知ることができるような作品を目指して制作を進めており、7月中旬にYouTube上で公開を予定している。

 なお、今回の企画は、同社が実施する希少疾患領域における患者中心・社会課題解決支援活動プロジェクト「SPOTLIGHT」の一部として実施。同プロジェクトは、「患者中心の高度かつ持続可能な医療の実現」に向けたさまざまな取り組みをステークホルダーと広く共有し、希少疾患を取り巻く社会課題の解決の一助となることを目指している。

DICなど 速硬化炭素繊維強化プリプレグシートを開発

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2021年7月16日

 DIC、セーレン、福井県工業技術センターは15日、世界最速硬化・常温保管を実現した「速硬化炭素繊維強化プリプレグシート」を開発したと発表した。今回、量産プロセスを構築し、セーレンにおいて稼働させた実証機を用いたシートサンプルの提供を7月から開始する。なお、今回のプロジェクトは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の採択テーマ「自動車搭載炭素繊維複合材料用高速硬化プリプレグの実用化開発」(2018年7月~2021年6月)において実施された。

新型炭素繊維強化プリプレグシート
新型炭素繊維強化プリプレグシート

 炭素繊維強化プリプレグシートは、炭素繊維の束を広げて樹脂を含浸させたシート状の中間材料。軽量で強度が高く、低燃費・軽量化のニーズが高まる航空機や宇宙船、自動車向けに用途が広がっており、今後さらに拡大すると見込まれている。一方、一般的にプリプレグシートを含めた炭素繊維複合材料(CFRP)の成形加工は時間を要するため、CFRPのさらなる普及には、成形時間を短縮する技術が求められている。

新型炭素繊維強化プリプレグシート加⼯実証機

 今回の開発では、DICが強みをもつ高分子設計テクノロジーを生かした「高速硬化樹脂(最短30秒以下で硬化するラジカル硬化樹脂)」の設計技術と、福井県工業技術センターが保有する繊維束を高速に薄く広げる「空気開繊技術」、セーレンが保有する樹脂成膜・塗工技術を生かした「高精度含浸技術」を組み合わせることで、最短30秒という世界最速レベルの硬化時間のプリプレグシートを実現。また、一般的なエポキシ系のプリプレグシートは、保管時に冷凍・冷蔵倉庫などが必要となるが、同開発品は常温保管が可能で、シート保管の設備と管理の負担も軽減することができる。

 DICとセーレンは、開発した新型プリプレグシートで、自動車分野をはじめ、幅広い産業への展開を検討している。今後、さらなるCFRPの生産性向上により、その普及を促進し、軽量化による低燃費化、省エネルギー化に貢献していく。

 

出光興産 石炭とバイオの混焼率、最適化するシステムを開発

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2021年7月16日

 出光興産は15日、同社と日本郵船グループが出資する郵船出光グリーンソリューションズが、石炭ボイラーにおけるバイオマス燃料の最適な混焼率を算出するシステム「BAIOMIX(バイオミックス)」を開発し、8月に販売開始すると発表した。なお、郵船出光グリーンソリューソンズが販売するボイラー制御最適化システム「ULTY-V plus」へ同システムを搭載することで、石炭ボイラーでのバイオマス混焼を最適に自動制御することが可能となる。

 昨今、低炭素社会の実現を目指し、バイオマス燃料を石炭の代替とする動きが加速している。しかし、バイオマス燃料は石炭に比べ粉砕性や発熱量が劣るため、大型の微粉炭ボイラーでは使用量が制限されているのが実情。出光興産は、石炭火力発電所でのバイオマス混焼を拡大するため、粉砕性や発熱量などに優れ、石炭とほぼ同様に取り扱うことが可能な半炭化した木質ペレット「ブラックペレット」の開発を行っており、既存の石炭火力発電設備を利用したCO2の低減に取り組んでいる。

 こうした中、今回開発した同システムは、「ブラックペレット」をはじめとしたバイオマス混焼による、機器や発電効率への影響・経済的負担を算定し、過去の混焼率データからAIが最適な混焼率を算出する。なお、石炭とバイオマス燃料を既存設備で混合してから燃焼する方式に加え、バイオマス燃料を専用ラインから投入し石炭と炉内混焼する方式など、さまざまな燃焼方式にも利用できる。

 出光興産はエネルギーの安定供給とともに、地球環境をはじめとする社会課題の解決に貢献するため、2030年ビジョンとして「責任ある変革者」を掲げる。両社は、これからも顧客の声に耳を傾け、低炭素社会の実現に向けた製品づくりに努めていく。

三菱ケミカル 高い成形加工性をもつCMC材料を開発

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2021年7月16日

 三菱ケミカルは15日、軽量性や剛性と成形加工性を兼ね備えた セラミックマトリックスコンポジット(CMC)材料を開発したと発表した。

CMC 材料を使用した部材の例
CMC 材料を使用した部材の例

 環境負荷低減のための軽量化が求められるモビリティ用途や、軽量化に加えて工程効率化への対応を求められる産業機械用途などでは、軽さと強度を兼ね備える炭素繊維関連部材の採用が進んでいる。一方、耐熱性が必要となる部材では、加工性やコスト面での課題から十分に普及しているとはいえず、主に比較的高価なセラミック材が使用されている状況にある。

 炭素繊維と金属材料を組み合わせた同社のCMC材料は、高剛性、高耐熱性、高熱伝導性、軽量性、耐摩耗性、低発塵性といった特長をもち、モビリティのブレーキ材料や産業機械部品として使用されてきた。今回の開発品は、これらCMC材料の特長を保持したまま、高い成形加工性と、それに伴う低コスト化を実現。すでに複数の顧客へのサンプルワークを進めており、今後は従来の用途に加え、産業機械などのブレーキ材料、耐熱部材といった新たな用途の開拓を目指す。

 同社は、多様化・高度化する顧客の要望に応える複数の炭素繊維関連の 新製品開発を進めており、今後も引き続き、最適なソリューションをタイムリーに提供することで、積極的に事業を展開していく。

CMC 物性比較
CMC 物性比較

NEDO 産業用物質のバイオ生産システム、実証に着手

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2021年7月15日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、産業・社会に有用な物質のバイオ生産システム(産業用物質生産システム)の有効性を実証する14件の研究開発を採択した。

 植物や微生物などの生物を用いて物質を生産する技術(バイオものづくり)は、従来の化学プロセスに比べ、省エネルギーであるとともに、バイオマスからの物質生産も可能であるため、炭素循環型社会実現・持続的経済成長に導くものづくりへの変革が期待できる。しかし、現状の技術ではコストに見合わないため、民間企業での研究開発や投資が促進されにくい状況にある。

 こうした中、NEDOは、バイオ資源の活用を促進する各種技術や従来法にとらわれない次世代生産プロセスの開発に取り組み、バイオものづくり産業の基盤を創出するとともに、産業用物質生産システムの実証を通じてバイオ由来製品の創出を加速させることを目的に「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」を昨年度から推進。

 今年度は「産業用物質生産システムを実証」の研究開発を支援するための公募を行い、今回14件のテーマを採択・着手した。例えば、植物由来微量成分を発酵生産に転換する技術として、野生植物カンゾウ由来の微量成分グリチルレチン酸を微生物発酵によって生産する技術を開発し、安価な新規生産方法開発を実施するテーマ(住友化学、大阪大学)に取り組む。

 また、化石資源由来製品をバイオ由来に転換する技術開発として、ポリアミドを100%植物原料に置き換えることを目指し、ポリアミドの原料となる化合物の獲得を微生物発酵による生産に転換し、工業化に向けて単離精製技術やスケールアップ検討などを実施するテーマ(東レ)、ポリプロピレン原料のバイオ化を目指し、バイオイソプロパノールを高効率に生産する微生物の取得と発酵生産プロセスのスケールアップ検討などによりCO2削減を実現するプロセス開発を実施するテーマ(グリーン・アース・インスティテュート)などに取り組む。

 目的物質の生産性向上を狙うとともに量産化を見据えた生産プロセスの最適化などの研究開発を行い、バイオで実現できる高付加価値機能の創出や、化石資源を含む天然資源への依存低減などにつながるバイオ由来製品の実用化を加速させる。これらの取り組みにより、バイオ由来製品の社会実装加速や新たな製品・サービスの創出を後押しすることでバイオ産業の裾野拡大や炭素循環型社会の実現を目指す。

 

SABIC プラ活用のEVバッテリーコンセプトを発表

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2021年7月15日

 SABICはこのほど、熱可塑性プラスチックを活用したEVバッテリー・パックのコンセプトをシステム工学アプローチにより開発した。

 柔軟な設計、性能や安全性の向上、コスト削減など自動車業界で求められる重要ニーズに対する軽量プラスチックの可能性を示すもの。ガラス繊維30%充填の難燃性(FR)ポリプロピレン(PP)コンパウンド「STAMAX」FRロング・グラス・ファイバーPP素材と金属とのハイブリッド構造に特徴があり、金属素材を使用した通常のバッテリー・パックと比べ、30~50%の部品軽量化、エネルギー密度の向上、部品点数の削減と組み立てプロセスの簡素化によるコスト削減、設計の自由度、熱制御、安全性、耐衝撃性などが向上する。

 薄肉ハウジング内のパウチ・セルに個々のバッテリーを統合、熱可塑性プラスチックによる二重壁構造とリブ型パターンによる軽量化と構造要件への適合、そしてプラスチック素材の熱伝導率の異方性により熱管理性能を最適化する。また、筐体やカバーに「STAMAX」を使用することで難燃性UL94 V-0を達成し、電磁・高周波干渉遮蔽用カバーに金属を被覆できる。「STAMAX」と金属とのハイブリッッド構造へ統合することで熱伝導の最適化、落下テストへの適合、サイド・フレーム部材での大衝撃エネルギーの吸収が可能になる。

 同社はチーフ・エンジニア、特別研究員、シニア・サイエンティストからなる技術チームを結成。OEMから工作機械メーカー、試験機関にいたるバリューチェーン全体にわたり継続的に協力し、早ければ2024年には、熱可塑性プラスチックで成形された複数の大型バッテリー筐体が量産型EVに採用されると予測している。EVの要件を満たす新素材の開発に加え、大型部品の製造・接合・組み立て、耐衝撃性、バッテリーの熱管理、難燃性、電気特性、性能試験などに向けたテクノロジーの実現に取り組んでいく。

JFEエンジニアリング ドイツで廃棄物発電プラントを受注

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2021年7月15日

 JFEエンジニアリングのドイツ子会社スタンダードケッセル・バウムガルテ社(SBG社)はこのほど、ワックス製造大手Romontaグループの特別目的会社Romonta EBS社よりドイツ・アムスドルフ(ザクセン アンハルト州)で廃棄物発電プラントを受注したと発表した。

 ドイツは温室効果ガス削減のため、2038年までに石炭の採掘や石炭火力発電を全面的に廃止する方針を掲げている。Romontaグループは、自社敷地内に大規模褐炭鉱を保有し、褐炭焚ボイラにより自社工場へ熱・電力を供給しているが、燃料転換を進めるために新たに廃棄物発電プラントの建設を決定した。焼却能力は366t/日で、発生した蒸気は自社工場内の発電やワックス製造工程で利用される。

 SBG社は、欧州を中心とした約120件の廃棄物発電プラントの建設に実績がある。2004年と2009年に同社へ納入した焼却炉の高い評価と、これまでに培ってきた信頼関係が今回の受注に寄与した。プラントの主要設備である炉、ボイラ、排ガス処理設備などの設計・調達・据付工事を行い、2024年に竣工予定。JFEエンジニアリンググループはグループの総合力を結集し、今後も世界各国で廃棄物発電プラントのエンジニアリングを通じて循環型社会の形成に貢献していく考えだ。

 

ダイセル こんにゃくセラミド、認知機能低下の抑制確認

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2021年7月15日

 ダイセルはこのほど、北海道大学と北海道情報大学との共同研究により、同社が開発した健康食品素材「こんにゃく由来グルコシルセラミド」の摂取がヒト脳内アミロイドβ蓄積を予防し、アルツハイマー病などによる認知機能の低下を抑制・維持できる可能性があることを確認したと発表した。なお、今回の研究成果は、7月に開催された「第75回日本栄養・食糧学会大会」で発表している。

こんにゃく由来セラミド

 アルツハイマー病などの認知機能低下を引き起こす進行性の疾患は、アミロイドβと呼ばれるタンパク質が脳細胞外に蓄積することが原因と言われる。これまでの研究では、同グルコシルセラミドをアルツハイマー病モデルマウスに経口投与することで、アミロイドβクリアランス効果を保持する神経由来エクソソームが増加し、脳内アミロイドβの蓄積が抑制されることが判明していた。

 そして今回、ヒトが経口摂取した場合での効果を検証するため、両大学との共同研究でプラセボ対照ランダム化二重盲検試験を実施。なお、研究に用いた同グルコシルセラミドは、皮膚の保湿・バリア機能を高める機能性食品素材として販売しており、板こんにゃくの製造時に廃棄される「飛び粉」から抽出製造するサステナブルな原料だ。

こんにゃく由来セラミド 血中アミロイドβバイオマーカー値の測定
こんにゃく由来セラミド 血中アミロイドβバイオマーカー値の測定

 グルコシルセラミドは、多くの植物に含まれているが、小麦胚芽や米ぬかなどに比べ、こんにゃく芋の飛び粉抽出物はセラミド含有量が高いことがわかっている。研究では、60~80歳未満の被験者20名(平均70.1歳)をプラセボ食品群10名と被験食品群10名に構成し、プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を24週間にわたり実施。それぞれの群がプラセボ食品また同グルコシルセラミド5.4mgを含む被験食品を摂取し、0週、12週、24週に血中アミロイドβバイオマーカー値の測定を実施したところ、被験食品群において、0週目との比較で12週目に有意な低値を示した。さらに層別解析を行ったところ、アミロイドβバイオマーカー値が相対的に低めの集団では、摂取12週後、24週後に被験食品群の変化量がプラセボ食品群より有意に低値を示した。

 同社は今後、さらなるヒト介入試験を進め、認知機能分野における機能性素材の開発に取り組み、人々の健康長寿に役立つ製品を提供していく。

三菱ガス化学 ガスバリア性接着剤でモノマテリアル包材

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2021年7月15日

 三菱ガス化学はこのほど、ガスバリア性接着剤「マクシーブ」によりモノマテリアル包材の酸素バリア性と耐屈曲性が向上したと発表した。パッケージにおいても、プラスチック使用量削減、賞味期限延長、リサイクルの容易さといった持続可能なソリューションが求められ、従来の異種材料構成に代わりポリプロピレン(PP)系のアルミ蒸着フィルムから成るモノマテリアル包材が着目されている。

 しかし、これらPPモノマテリアル構成ではバリア性は不十分で、屈曲による酸素バリア性の低下も課題である。「マクシーブ」はエポキシ樹脂とアミン系硬化剤からなる二液系エポキシ硬化型のガスバリア性接着剤で、基材フィルムとシーラントフィルムとの接着に使用すると、ラミネートフィルムにガスバリア性を付与できるため、食品向け包材や工業用途などで広く使用されている。

 今回、アルミ蒸着PPフィルムのドライラミネート工程に「マクシーブ」を適用することで、酸素バリア性は従来型接着剤の使用時と比べ100倍以上、かつ屈曲による酸素バリア性低下が著しく抑えられたモノマテリアル包材の実現が可能となった。

 プラスチック使用量削減による環境負荷低減、賞味期限延長による食品ロス削減、リサイクルが容易なモノマテリアル包材への適用といった、持続可能なパッケージ向けソリューションとしての「マクシーブ」の積極的な拡販を通じて市場開発を加速するとともに、経済的価値と社会的価値の両立を目指していく。なお詳細は、日本包装学会第30回年次大会で紹介した。

 

旭化成メディカル ウイルス除去フィルター、紡糸能力を倍増

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2021年7月15日

 旭化成メディカルは14日、ウイルス除去フィルター「プラノバ BioEX」の需要急増に対応し、供給体制を強化するため、プラノバ大分工場(大分県大分市)で同製品に使用する中空糸の生産能力を倍増すると発表した。2022年度第3四半期から商業生産の開始を予定している。

ウイルス除去フィルター「プラノバ」製品群
ウイルス除去フィルター「プラノバ」製品群

 同社は、バイオ医薬品や血漿分画製剤といった生物学的製剤の製薬プロセスにおけるウイルス除去フィルター「プラノバ」や、装置の製造・販売、バイオセーフティ試験受託サービスを中心としたバイオプロセス事業を成長エンジンの1つと位置づけている。

 1989年に、世界で初めて生物学的製剤からウイルスを除去するために開発されたセルロース製中空糸型フィルター「プラノバ」は、ウイルスろ過業界のリーダーとしての確固たるポジションを保有。2009年にはより高いタンパク質濃度領域においても高効率なろ過性能をもつ親水化ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製中空糸型ウイルス除去フィルター「プラノバ BioEX」を上市し、生物学的製剤の安全性向上に貢献してきた。

 新型コロナウイルスのパンデミック下において、製薬会社における抗コロナ製剤の開発および商業生産化へのニーズが急速に高まり、生物学的製剤の生産に必要なウイルス除去フィルターの需要も急増している。こうした状況を踏まえ、同社は「プラノバ BioEX」の紡糸工場を増強することを決定した。また、「プラノバ」の生産についても、2019年に宮崎県延岡市で竣工したプラノバ紡糸工場の垂直立ち上げをはじめとした、増員増産体制の強化施策が順調に進んでいる。

 同社は、今後も積極的に研究開発、設備投資を行い、革新的かつ信頼性に優れたバイオプロセス製品、装置および学術コンサルテーションを安定的に提供し、患者が安心して使用できる医薬品を、生物学的製剤メーカーが安全で効率的に製造することに貢献する。