三菱ケミカル 速硬化型炭素繊維プリプレグを販売、1分で硬化

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2021年5月11日

 三菱ケミカルは10日、従来品より硬化時間を大幅に短縮した、 最短1分で硬化可能な速硬化型の炭素繊維プリプレグの販売を4月から開始したと発表した。

 航空機や自動車などのモビリティ用途では、環境規制などを背景に機体車体の軽量化要求が高まっており、軽さと強度を兼ね備える炭素繊維複合材料(CFRP)の利用が進む見込み。また、今後普及すると見られるウェアラブル端末向けにも、CFRPが有望視されている。

 一方、一般的にCFRPの成形加工は時間がかかるため、CFRPのさらなる普及には、生産性を向上させる技術が求められている。同プリプレグは、同社が独自に開発したマトリックス樹脂を適用することにより、これまで実現が難しかった、最短1分での速硬化性と、従来品と同レベルの保存安定性を両立。自動車部材に要求される耐熱性も兼ね備えており、高い機械的強度ももつ。既にサンプルワークを進め、一部製品での採用も決まっている。

 同社は、多様化・高度化する顧客の要望に応える複数の新製品の開発を進めており、今後も引き続き、最適なソリューションをタイムリーに提供することで、積極的に事業を展開していく。

速硬化CFRPプリプレグ 硬化時間
速硬化CFRPプリプレグ 硬化時間

BASF 全農と協業で栽培管理最適化AIサービス開始

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2021年5月10日

 BASFはこのほど、子会社のBASFデジタルファーミング社(ドイツ)が、AIベースの栽培管理最適化デジタルプラットフォーム「ザルビオ フィールドマネージャー」の水稲と大豆を対象にしたサービスを日本で開始すると発表した。すでに16カ国、500万㏊以上の農地で利用され、アジア太平洋地域では最初の上市となる。

 播種から収穫まで、各圃場・ゾーンで作物ごとに包括管理するデジタル・ソリューションで、過去の栽培データや作物の種類、生育モデル、気象データ、緩衝地帯と環境負荷、農薬登録情報、病害リスクや衛星データなど多様なデータをAIで分析し、圃場ごとのリアルタイム情報と推奨作業を提供する。これにより栽培管理計画が立てやすくなり、作業を最適化できる。

 日本の「ザルビオ フィールドマネージャー」には、水管理、種子処理と育苗箱処理、水稲に特化した「バイオマスマップ」、0.5㏊未満の農地でも利用可能な「NAVIマップ」、雑草防除支援機能など、国内のニーズに合わせた機能が含まれる。BASFはJA全農と協力し、国内圃場で水稲と大豆の実証実験を行い、生育ステージ予測と病害発生予測で高い的中率を示すデータを得た。

 すでに一般公開している病害・雑草の画像診断システム「ザルビオ スカウティング」と連携し、病害と雑草を撮影しアップロードすると圃場の病害・雑草をより正確に特定し、適切な対策をとることが可能だ。対象を的確に捉えたタイムリーな農薬散布で、コストと環境影響を低減できる。スマート農業対応の散布ドローン、GPSナビゲーション付きトラクターや圃場センサーなどとの連携も拡大する予定で、精密で効率的、持続可能な作物栽培を実現する。

 JA全農が開発・運用している営農管理システム「Z-GIS」と連携し、両システムのデータを同期し管理できる。両者はこの協業を継続し、圃場の規模や分散にかかわらず幅広い生産者が活用できるよう普及活動を行い、対象作物の拡大も予定している。

 「ザルビオ フィールドマネージャー」には無料プランと、より高度な機能を提供する有料プランがあるが、より多くの生産者に体験してもらうため、7月末まではすべてのサービスを無料で提供する。

カネカ 生分解性ポリマー使用ストローがファミマに採用

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2021年5月10日

 カネカはこのほど、「カネカ生分解性ポリマーGreen Planet」を使用したストローがファミリーマートに採用されたと発表した。先月末からファミリーマートの「ファミマカフェ」と紙パック飲料向けストローとして、全国の一部店舗で順次導入されている。

店舗で使用されるストロー
店舗で使用されるストロー

 ファミリーマートは環境に関する中長期目標「ファミマecoビジョン2050」の中で、環境配慮型素材の使用割合を高めることにより環境対応の推進を目指している。

 同ポリマーはカネカが開発した100%植物由来の生分解性ポリマー「PHBH」。海水中で生分解する認証「OK Biodegradable MARINE」(30℃の海水中で生分解度が6カ月以内に90%以上になる)を取得しており、幅広い環境下で優れた生分解性を示す。今回、環境負荷低減に貢献する点が評価されて採用された。

 今後も「カネカは世界を健康にする。」という考えの下、ソリューションプロバイダーとしてグローバルに価値を提供し、「Green Planet」の展開を通じて環境汚染問題の解決に貢献していく考えだ。

東亞合成 次亜塩素酸水を発売、コロナ対策などに貢献

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2021年5月10日

 東亞合成はこのほど、次亜塩素酸水溶液「アロンジアクリーン200」を開発し、今月1日から販売を開始した。

 次亜塩素酸水溶液は、次亜塩素酸ソーダを希塩酸でpH調整したもの。除菌能力が高く、行政機関により新型コロナウイルス対策として消毒・除菌効果が確認されている。

 「アロンジアクリーン200」についても、ヒトコロナウイルスの除菌効果をはじめ、赤カビや黒カビなどへの有効性、消臭効果や安全性(急性経口毒性、皮膚刺激性、目刺激性)を外部機関などで確認。また、経時変化に伴い有効塩素濃度が低下するものの、未開封で冷暗所に保管した場合、製造日から12カ月間は、厚生労働省・経済産業省・消費者庁が推奨する使用濃度(80㏙以上)を下回らないことも確認している。

 東亞合成は、健康を守るための抗菌・抗ウイルス加工剤「ノバロン」や、上下水道の除菌に使われ、安全な水を提供するための「次亜塩素酸ソーダ」を含め、今後もSDGsの取り組みを積極的に進めていく考えだ。

 

出光興産 千葉で混合プラのリサイクル、実証検討を開始

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2021年5月10日

 出光興産は7日、同社千葉事業所(千葉県市原市)での廃プラスチックリサイクル事業について、環境エネルギー社(広島県福山市)との実証検討に合意したと発表した。同実証は、環境エネルギー社の廃プラ分解技術と千葉事業所の石油精製・石油化学装置を活用し、従来の技術では再生困難だった混合プラのリサイクルを目指すもので、年間1.5万tの廃プラの再資源化を目標に、国内初の廃プラのリサイクルチェーン構築を推進する。

実証で目指す廃プラスチックのリサイクルチェーン
実証で目指す廃プラスチックのリサイクルチェーン

 出光興産グループと環境エネルギー社は、環境省の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」事業として、廃プラの油化リサイクル技術開発に2019年度から共同で取り組む。今回の実証は、千葉事業所内に建設する環境エネルギー社のプラスチック油化装置(HiCOP技術)を使い、油化された廃プラを同所内の精製・石油化学設備で精製・分解・再合成し、新たにプラスチックとしてリサイクル(再資源化)するもので、国内初の取り組みとなる。今後、グループ製油所での展開も検討していく。

 近年、海洋プラごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化などへの対応が推進されていることに加え、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が閣議決定されるなど、プラスチックの資源循環を一層促進する重要性や社会的ニーズが高まっている。一方、国内では、年間約900万tの廃プラのうち、再生品への利用は3割弱に留まっており、5割以上の廃プラは再生利用が困難であることからサーマルリサイクルとして燃料化されているのが現状だ。こうした中、リサイクルプラの拡大ニーズに応えるために、従来にはない革新的なリサイクル技術が求められている。

 出光興産は、原油精製からプラスチック製造までを一貫して行っている強みを生かし、国内外で先進的な廃プラ油化によるリサイクルを実現することで、低炭素社会への貢献に積極的に取り組んでいく。

 

旭化成など 料理教室の参加者を野菜アンバサダーに認定

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2021年5月7日

 旭化成ホームプロダクツ、ABCクッキングスタジオ、カゴメは6日、全国のABCクッキングスタジオにて、〝おうちで作れるプロの味! 基本のトマトソースで夏野菜たっぷりごちそうパスタ〟をテーマとしたタイアップレッスンを6月に開催し、参加者約1500人を〝野菜アンバサダー〟に認定すると発表した。

野菜アンバサダー
野菜アンバサダー

 同企画は、カゴメが昨年1月から始めた野菜摂取推進活動「野菜をとろうキャンペーン」の重要施策「企業・団体との野菜摂取推進プロジェクト」の一環。キャンペーンの趣旨に賛同した19の企業・団体とカゴメが、野菜のおいしさや調理することの楽しさ、野菜を摂取することの大切さを、各企業の強みや特徴を生かしながら共同で発信していく。

 今回は、事業分野の異なる3社がタイアップし、野菜摂取の重要性や、野菜をおいしく楽しく調理する方法を学ぶことができる料理教室を開催する。メニューにはカゴメの「基本のトマトソース」や旭化成ホームプロダクツの「ジップロック コンテナー」を活用し、時間がない人でも実践しやすいような〝時短〟や〝作り置き〟に役立つ内容。また、参加者を〝野菜アンバサダー〟に認定し、料理教室で学んだ野菜に関する知識を、家族や友人などへ伝えてもらう。期間は、6月1日から約1ヵ月間で、参加費用は1人当たり2500円(税込み)。予約は今月10日から専用サイト(https://odl.abc-cooking.co.jp/one/)で受け付ける。

日本製紙 浜松市で使用済み紙容器のリサイクルを実施

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2021年5月6日

 日本製紙はこのほど、浜松グリーンウェーブ(静岡県浜松市)とエコライフはままつ(静岡県浜松市)とともに浜松市西部清掃工場のリサイクルステーション「えこはま」に設置する回収ボックスで使用済み食品用紙容器を回収し、製紙原料として再生使用する新たな資源化事業に取り組むと発表した。

 浜松市の後援で、1年間の実証試験事業として、4月より開始。浜松市内の家庭で消費後の紙製アイスクリームカップや紙製ヨーグルトカップ、紙コップを対象に、「洗って」「乾かして」回収ボックスに投入されたものを収集し、同社関東工場(埼玉県草加市)で段ボール原紙に再生する。

 従来、食品容器として使用された紙の多くは、汚れや臭いの問題から一般ごみとして焼却処分されているが、同事業では一般消費者のリサイクル意識の向上と、同社の古紙リサイクル技術により、紙本来のリサイクル性を生かした資源として再利用する。これにより、焼却ごみの量を減らすとともに、木質資源としての炭素固定に貢献する。

 日本製紙グループは、資源循環利用をうたい、持続可能な循環型社会の形成に貢献することを目指している。「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」として、再生可能な資源である「木」を最大限利用する技術と再利用するリサイクル技術を合わせて展開することで、木質資源を基盤とする資源循環を推進していく考えだ。

三菱マテリアル 工場排出のCO2回収・利用実証試験を開始

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2021年5月6日

 三菱マテリアルはこのほど、工場から排出されるCO2のCCU(二酸化炭素回収・利用)技術の実証試験を同社九州工場黒崎地区(北九州市八幡西区)で開始すると発表した。

 セメント焼成用キルンなどの高温加熱炉を使う製造プロセスから排出されるCO2を分離・回収し、水素と化学反応させてメタンなどを合成する技術の開発を進めており、7月より実証試験を開始する。今後は得られたメタンなどをセメント製造の熱エネルギーとして再利用するための技術開発にも取り組み、将来的にはメタン以外の有価物への変換を含めた幅広い用途展開に向けた技術開発を進めていく。

 同社は「脱炭素社会の構築に貢献」を掲げ、グループ全体の温室効果ガス(GHG)排出量を2030年度までに17%削減(2013年度比)、2050年までにカーボンニュートラルを目指す中長期目標を設定。それに向け、従来の省エネ対策や電化では削減が難しい、セメント焼成用キルンなどから排出されるCO2を回収・利用することで、カーボンニュートラルな熱エネルギーにより石炭などの使用量削減を図り、セメント工場からのCO2排出量の抑制を目指す。

 今回の技術開発を通じて得られた成果を同社グループに展開し、CO2排出量の削減を進めることで、脱炭素社会の構築に貢献していく考えだ。

ダイセル こんにゃくセラミド構造、高い体内吸収性確認

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2021年5月6日

 ダイセルはこのほど、同社の機能性食品素材である「こんにゃくセラミド」の植物性スフィンゴイド塩基が体内への高い吸収性を示す研究成果を得たと発表した。同社と北海道大学は、2016年4月に同学内の「次世代物質生命科学研究センター」内に共同で設置した産業創出講座を中心に、「こんにゃくセラミド」がもつアルツハイマー病予防効果に関する研究に取り組んできた。

 そして、今回、北海道大学、国立感染症研究所、岩手大学と共同で実施した機能性食品として利用可能な非哺乳類型スフィンゴイド塩基の種類による代謝吸収率の違いに関する研究において、ラットに経胃投与した際、小腸からリンパ液への吸収性は「こんにゃくセラミド」の主要構造である植物性スフィンゴイド塩基が最も高いことを確認した。この成果から「こんにゃくセラミド」を摂取した場合も同様に高い吸収率が期待できる。なお、この研究成果は、3月公開の「Lipids in Health and Disease」誌に掲載された。

 ダイセルは2002年から「こんにゃくセラミド(こんにゃく芋粉抽出物)」を、食品素材として健康食品メーカーや化粧品メーカーなどに販売している。今後も、人々の「美と健康」に貢献する健康食品素材の開発を進めていく考えだ。

 

 

DIC イスラエルのバイオベンチャー企業に出資

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2021年5月6日

 DICは28日、健康食品などの藻類由来製品の事業拡大を目的としてバイオベンチャー企業であるイスラエルのバクサ・テクノロジーズ社に出資したと発表した。

 バクサ社は、LEDを用いた独自のフォトバイオリアクター(PBR)設備と藻類培養技術をもち、他社に無いクリーンで付加価値の高い藻類製品を開発、商用化している。また、そのプロセスは再生可能エネルギーを利用し、従来法と比べて非常に少ない土地や水の利用で高生産性を実現。かつ産業副生物であるCO2を有効に変換するカーボンネガティブで極めてサステナブルなものとなっている。

 DICは、藻類などの微生物を活用したバイオ技術の深耕と事業拡大を目的として、バイオベンチャー企業への出資や協業を行っている。今回の出資により、DICがもつ長年の藻類ビジネスの知見とバクサ社の培養技術を組み合わせることで、サステナブルでより健康な社会を実現する製品を開発、上市していく。