帝人は20日、シップヘルスケアグループの小西医療器が開設した新たな医療材料物流拠点「大阪ソリューションセンター(大阪SC)」に、RFID(電波による個体識別技術)を活用した管理システムである「レコピック」と「レコファインダー」が採用されたと発表した。これにより、医療材料物流のコスト削減や時間短縮といった課題へのソリューションとして、非接触通信技術を応用した棚卸作業レスの在庫管理システムや検品の自動化システムの構築が実現した。
「レコピック」を採用 棚卸作業レスを実現したピッキングエリア
帝人の「レコピック」は、ICタグが貼付された管理対象物の入出庫やロケーションを、シート状のアンテナで正確に検知する常時監視システム。今回、大阪SC4階のピッキングエリアの全ての在庫棚(約200棚)に導入された。
通常、棚卸にRFIDを活用する場合は、製品に貼付されたICタグを電波で読み取り在庫内容と在庫数を把握していた。それに対し「レコピック」は、シート状のアンテナ表面の近傍にのみ強い電波を留めることで、ICタグをタイムラグなく正確に読み取り、常に在庫情報を把握できる。これにより大阪SCでは、棚卸作業を行わずに数万点という膨大な製品を取り扱うことが可能となった。RFIDを使用した棚卸作業レスの在庫管理システムを医療材料物流センターに構築したのは国内初となる。
「レコファインダー」を採用したトンネル型の読み取り装置
一方、「レコファインダー」は、帝人独自の電波制御技術を生かし、管理対象物に貼付されたICタグの通過を正確に検知する通過検知システム。通常、医療材料の出荷時には、個々の製品に貼付されたバーコードを1つずつ読み取り、数量や期限を検品する。それに対し大阪SCでは、出荷コンテナが「レコファインダー」のトンネル型読み取り装置を通過する際に、複数ある製品のICタグを自動的に一括で読み取ることで、煩雑な検品作業を効率化し大幅な工数削減を実現した。一般的にRFIDの課題はICタグを誤読してしまうことだが、帝人の電波制御技術でゲート周囲での誤読の低減を実現した。
同社は今後、シップヘルスケアグループおよび小西医療器と協力し、関西圏を皮切りに医療機関に対する医療材料管理システムの導入を推進し、日本全国に向けて省人化、業務効率化、感染対策へのソリューションを提供していく。