東ソー 新規卵巣がんマーカーTFPI2の測定試薬開発

, , ,

2021年4月7日

 東ソーは6日、卵巣がんの診断の補助に使用される新規マーカー「組織因子経路インヒビター2(TFPI2)」の測定試薬である「Eテスト「TOSOH」Ⅱ(TFPI2)」 を開発したと発表した。 同製品は、昨年6月に体外診断用医薬品として製造販売承認を取得。今年4月1日付で保険適用を受けており、7月下旬から販売を開始する予定だ。

 同製品は、文部科学省イノベーションシステム整備事業「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成」の中で、横浜市立大学と共同で卵巣がん新規診断マーカー探索研究を実施し、得られた成果をもとに開発された。

 特長として、①健常人や子宮内膜症を含む良性腫瘍ではほとんど上昇せず、卵巣腫瘍の良性・悪性の判別に有効、②卵巣がんの中で、他の組織型と比較して卵巣明細胞がんで特に高値を示し、組織型(明細胞がん)の推定に有効、③同社専用装置(全自動エンザイムイムノアッセイ装置「AIA-2000」)により、短時間(約20分)での測定が可能、などが挙げられる。

 東ソーは、ライフサイエンス分野の製品やサービスの提供を通じて、人々の健康と福祉に関する社会課題の解決に貢献できるよう、今後も積極的に取り組んでいく考えだ。

三菱ケミカル 伊・CPC社で炭素繊維設備の投資を決定

, , , ,

2021年4月7日

 三菱ケミカルは6日、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)自動車部品製造販売会社である、関係会社CPC社(イタリア)での、世界最大級となる5000t容量大型プレス成形機の増設を含む設備投資を決定したと発表した。グループ会社の三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ(スイス)がCPC社に投資を行い、2023年中の設備稼働を目指す。

CPC 社 CFRP 成形用プレス機
CPC 社 CFRP 成形用プレス機

 航空機や自動車などのモビリティ用途では、CASE対応・環境規制などを背景に、従来にも増して機体/車体の軽量化への要求が高まっており、軽さと強度を兼ね備えるCFRPの利用が加速すると見込まれている。また、自動運転車や空飛ぶ車などの次世代モビリティ分野では、従来の思想にとらわれない新しいコンセプトによる車体設計が進められており、軽量かつ成形性に優れたCFRPへの注目がより一層高まっている。

 CFRPの成形・加工・塗装・組み立てにわたる一貫生産能力をもつCPC社は、設計・シミュレーション技術を活用した部品・車両の軽量化ノウハウを合わせもち、主に高級自動車向けのCFRP成形品メーカーとして事業を拡大してきた。

 同社グループは、ドイツのプリプレグメーカーc‐m‐p社や炭素繊維リサイクル企業CarboNXT社の買収、CPC社隣接地へのCF-SMC製造設備の建設など、自動車技術の最先端を行く欧州で、サステナビリティにも配慮した材料のサプライチェーン確立を進めている。

 今回の投資では、大型プレス成形機を増強し、複雑形状のシャーシーなど成形の難しい大型構造体の成形能力を約3倍に引き上げるほか、最新鋭のCFRP加工機、自動塗装ラインをもつ塗装工場や組み立てラインの増強を行う。これにより欧州でのサプライチェーンを強化し、EVや次世代モビリティ用途でさらに高まるCFRP製品に対する需要に対応していく。

 同社グループは今後も、日・米・欧の炭素繊維・中間材の材料開発・生産拠点と、高い設計提案力と成形加工能力をもつCPC社など、グループの総合力を発揮して技術革新の著しいモビリティ分野に対して最適なソリューションをタイムリーに提供するため、積極的に事業を展開していく考えだ。

 

ランクセス、アントワープに亜酸化窒素還元プラント開設

, , ,

2021年4月6日

 ランクセスはこのほど、ベルギー・アントワープにある製造拠点で亜酸化窒素(N2O)還元プラントを稼働開始しクライメイト・ニュートラル(気候中立)実現のための新たな一歩を踏み出したと発表した。年間約500tのN2Oを分解し、その気候影響は15万tのCO2に相当する。投資額は約1000万ユ―ロ。2023年操業開始予定の第2プラントで、さらにCO2 30万t相当の削減を見込む。

  N2Oは笑気ガスとして知られ、カプロラクタム製造時に副生する。人体に害はないが、環境影響はCO2の約300倍だ。新プラントでは、約1000℃でN2Oを無害な窒素と酸素に分解・中和し、次工程でアンモニアを還元剤として使い、窒素酸化物(NOx)を250~450℃で窒素と水に分解する。これらプロセスを組み合わせて、プラントの熱効率は上がった。特別に開発したセラミックス熱交換器によりN2OとNOxの分解時に発生する熱を熱酸化に使うため、ごく少ない外部エネルギーの供給でプロセスは稼働し続ける。地球規模の温暖化を2度未満に抑えるというパリ協定の目標に全力で取り組む同社にとって、アントワープの新しいN2O還元プラントは「2040年までに気候中立を達成」するための重要なプロジェクトの1つだ。

 ほかにもインドの複数の拠点ではバイオマスと太陽光エネルギーの供給を大幅に増加させ、将来的には石炭やガスの使用を廃止する。ドイツの主要生産拠点での石炭使用エネルギーも段階的に廃止する予定で、一昨年、同社は2025年までに気候保護プロジェクトに最大1億ユーロを投資すると発表した。現行の製造プロセスの多くを見直しており、工業規模での開発を行うために製造プロセスと技術革新に焦点を当てた研究を進めている。これらEU域内排出量取引制度の証明書の削減や、革新的技術によるエネルギー使用量の抑制などの気候保護への取り組みは、同時にコストの削減にも繋がるとしている。

三菱ケミカル 高温多湿地域の植物工場システム開発を報告

, ,

2021年4月5日

 三菱ケミカルはこのほど、同社が代表機関を務める「アジアモンスーンPFS(植物工場システム)コンソーシアム」が取り組んできた「植物工場システム開発プロジェクト」について、当初の目標を達成し、今年3月末をもって終了するのに際し、これまでの成果や今後の取り組みについて報告した。

 PFSコンソーシアムは、3つの国立研究開発法人(農業・食品産業技術総合研究機構、国際農林水産業研究センター、産業技術総合研究所)、4つの大学(名古屋大学、大阪大学、東京大学、北海道大学)、6つの民間企業(三菱ケミカル、パナソニック、富士フイルム、シチズン電子、タキイ種苗、堀場製作所)によって構成され、2016年から、生物系特定産業技術研究支援センターに採択されたプロジェクト「農林水産・食品産業の情報化と生産システムの革新を推進するアジアモンスーンモデル植物工場システムの開発」に取り組んできた。

 同プロジェクトは、日本の農業と工業のコア技術を融合することで、高温多湿地域でも、日本国内の温帯地域と同様に、安全・安心で美味しい日本品種野菜を安定的かつ低価格で生産する技術の開発を目指した。高温多湿地域向け太陽光型植物工場の代表的な成果として、①植物工場および温湿度制御技術の開発と実証、②ランニングコスト低減のための素材開発と実証、③栽培技術の開発と評価、④ジャパンプレミアム野菜のブランド化を支える認証指標、育苗装置の開発、⑤ICTを活用した植物工場管理システムと農業経営の育成システムの開発、などが挙げられる。 

 同システムは、日本国内のほか、東南アジアをはじめとした国外の高温多湿地域に社会実装されることで、農業生産者の収益力向上やSDGsへの貢献が期待される。

 今後は、国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点の研究設備を継続使用する新しいコンソーシアムを形成し、熱帯・亜熱帯地域での栽培を前提に、トマトの環境制御最適化(裂果等品質安定化)、イチゴ栽培技術最適化(LED補光による収量アップ)に取り組み、同システムのさらなる発展を目指す。

 また、新しいコンソーシアムでは同システムの国内外の普及を推進するため、農林水産省や各国大使館と連携をとりながら、海外を含む遠隔栽培指導サービスを視野に入れた社会実装を推進し、国内外の生産者の収益力向上とSDGsへの貢献に取り組んでいく。

 

日鉄ケミカル&マテリアル 新規多孔質炭素材、FCV採用で表彰

, , ,

2021年4月5日

 日鉄ケミカル&マテリアルは2日、トヨタ自動車の新型燃料電池車(FCV)「MIRAI」に採用された多孔質炭素材料「エスカーボン/MCND」について、FCスタック(水素と酸素の化学反応を利用した発電装置)の小型化・高性能化に大きく寄与したことが評価され、「新型MIRAIプロジェクト表彰・技術の部」を受賞したと発表した。

 日鉄ケミカル&マテリアルは、自然科学研究機構分子科学研究所の西信之名誉教授との共同研究により「エスカーボン/MCND」を開発。2013年よりサンプルワークを進める中、量産プロセスの確立に成功し、昨年12月に発売された「MIRAI」のカソード電極用の触媒担体として採用された。世界的な脱炭素・水素利用拡大の流れもあり、自動車用途をはじめとする燃料電池市場は今後も成長が見込まれている。

 同社は、FCVの普及、水素社会の実現に貢献するとともに、より幅広い分野への応用展開も含め、さらなる事業の拡大に取り組む。そして今後とも、日本製鉄グループの一員として、日本のカーボンニュートラル実現に貢献していく考えだ。

帝人フロンティア 超軽量天井材の新用途確認、重ね貼りで吸音効果

, , ,

2021年4月1日

 帝人フロンティアはこのほど、超軽量天井材「かるてん」を既存の天井に重ね貼りすることで、反響を抑え、保育施設内の騒がしさを低減させる効果を確認したと発表した。「かるてん」は、同社が地震発生時の天井落下による被災を軽減する目的で展開している天井材。横浜国立大学との共同研究により、同製品に吸音効果があることが新たに分かった。

保育施設天井に施行された『かるてん』
保育施設天井に施行された「かるてん」

 保育施設では、掃除のしやすさや壁面を収納や絵画などの掲示スペースに利用することなどから、床や壁面に吸音性能の高い材料を使用することが難しく、一般的に、天井に吸音性能の高い内装材を施工するのが有効とされている。しかし、既存の保育施設の場合、十分な吸音性能がない天井材を使用していることも多く、子どもや保育者の声などの発生音が響き、喧騒な状態が生じることが問題となっている。

 対策としては、既設の天井材の張り替えや、吸音ボードを重ね貼りするなどの方法があるものの、使用できる材料は限られていた。そこで、軽量で薄型ながら、十分な吸音性能と不燃性をもつ「かるてん」を保育施設の天井材として使用し、その効果の検証を行った。

 実際の保育施設で既設の天井に「かるてん」を重ね貼りし、施工前後での残響時間を計測。その結果、施工前は子どもの声の主な領域である周波数1kHz以上で0.7から0.8秒程度と反響しやすい状態だったが、施工後は0.4秒程度に抑えられた。これにより、薄くて軽い「かるてん」を既設の天井に重ね貼りすることで、空間を狭めることなく反響を抑え、保育施設内の騒がしさを低減させる効果があることを確認した。

 同社は「吸音性能のある『かるてん』を天井材として使用し、保育施設内の子どもの声や物音の反響を抑えることできれば、子どもの発達や言葉の習得に望ましく、保育者の負担軽減にもつながる」としている。今後は、大規模空間の安全対策という従来の用途に加え、音環境の改善にも貢献できるよう、保育施設をはじめとする様々な空間に向けて「かるてん」を展開していく考えだ。

中越パルプ 粉末状CNFがスニーカーの摩耗を4割低減

, , , ,

2021年3月31日

 中越パルプ工業はこのほど、セルロースナノファイバー(CNF)「nanoforest」がスピングルカンパニー製スニーカーのラバーソール用添加剤として採用されたと発表した。

 スピングルカンパニー(広島県府中市)はスニーカーの企画・製造・販売を行うシューズメーカーで、日本人の足型研究でたどり着いた特徴的な履き心地に加え、パリコレクション、ミラノコレクションにも取り上げられる洗練されたデザイン性で人気を博している。

 同社は「nanoforest」のラバーソールへの配合検討を進め、バルカナイズ製法のスニーカー「スピングルムーヴ」の2つの新作モデルに採用した。アウトソールは植物由来の材料をゴムに練り込んだ「RUBEAR CNFソール」の採用で、従来のソールと比べ摩耗性を約40%低減し、耐久性と環境への配慮を兼ね備えた地球に優しい一足となった。

 今後、中越パルプは同社CNFのゴム成形加工分野での応用・実用化を目指し、丸紅と共に研究開発と営業展開の強化を図っていく。

 

JSR 半導体向け機能性洗浄剤、米・新工場から初出荷

, ,

2021年3月31日

 JSRはこのほど、最先端半導体向け機能性洗浄剤について、米国連結子会社JSRマイクロが新設した工場(オレゴン州)から顧客へ初出荷されたと発表した。同工場は品質保証、エンジニアリング、最適プロセス制御機能を含む高度な設備を保有しており、JSRグループの最先端機能性洗浄剤の製造を担う、グローバル拠点としての役割を果たしていく。

 同社グループは、今後も革新的かつ高品質な価値ある製品やサービス、技術を提供し、デジタルソリューション事業の拡大を進めいく考えだ。

積水化成品工業 発泡倍率100倍のビーズ法PS発泡体を上市

, , ,

2021年3月31日

 積水化成品工業はこのほど、省資源化に貢献する発泡倍率100倍のビーズ法ポリスチレン発泡体「エスレンビーズHCMH」を上市した。 

発泡倍率100倍のビーズ法PS発泡体
発泡倍率100倍のビーズ法PS発泡体

 ビーズ法ポリスチレン発泡体は、優れた断熱性・軽量性・緩衝性、加工の容易性などから、魚箱や農産箱・建築資材・土木資材として広く使われている。しかし、従来品の発泡倍率は90倍程度が限界であり、100倍を超える発泡体の実現は、発泡助剤の添加量を増やす、発泡工程を複数回行う、といった環境への負荷が増大するという課題があった。

 こうした中、同社は、独自のポリマー重合技術と発泡技術を深化させ、通常の製造工程での生産を可能とした「エスレンビーズHCMH」を開発。同製品は総体積の99%が空気、1%がポリスチレン樹脂で構成される省資源素材であり、プラスチック使用量を削減するとともに、環境への負荷も低減する。また、構造材や緩衝材として使用される従来品と比較して10%の軽量化を実現した。

 同製品は浮力と剛性に優れた大型の発泡ブロックを生産できることから、現在、水上ソーラーの浮力材として採用されている。原材料の省資源化によって環境負荷低減を実現しているほか、水上ソーラーの訴求を通じて、再生可能エネルギーである太陽光発電の推進に寄与している。

 同社は今後、食品用途をはじめとする幅広い分野での展開を目指し、サスティナブル・スタープロダクト(環境貢献製品)の普及を通じて、持続可能社会への貢献に努めていく。

三菱ケミカル ラベルリサイクル、共同実証プロジェクト開始

, , ,

2021年3月31日

 三菱ケミカルはこのほど、サーキュラ―エコノミー(循環型経済)推進に向けた取り組みの一環として、フジシールグループと共同で、ペットボトルの使用済みシュリンクラベルの再利用に向けた実証プロジェクトを開始すると発表した。

 シュリンクラベルは、ペットボトル容器自体に顔料などを付着させることなく、必要な表示や遮光機能などを保持させることができるため、ペットボトルのリサイクル率向上に貢献している。一方で、ラベル自体についてはリサイクルの仕組みが確立されておらず、資源循環の観点から対応が求められている。

 三菱ケミカルは今回、この社会課題を解決するため、長年の顧客であり高いシュリンクラベル設計技術をもつフジシールと共に、使用後のシュリンクラベルを新たなシュリンクラベルに再利用する仕組みの共同実証プロジェクトを開始する。今春には実証プラントを設置して検証を進め、2022年の社会実装を目指す。

 同プロジェクトでは、ラベルが装着されたままのペットボトルから回収されるラベルを対象とする。フジシールのシュリンクラベル設計技術や三菱ケミカルのフィルム設計・製膜技術などを融合することで、使用後のシュリンクラベルから印刷インキを取り除き、新たなシュリンクラベルに再利用するとともに、脱離されたインキの有効活用についても実証検証を行う。

 同社は三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる中長期経営基本戦略の下、サーキュラーエコノミーの推進をKAITEKI実現のキーエレメントと位置づけており、使用済み製品などのリサイクルはその重要な取り組みの一つと考えている。同社は今後も、取引先などとの連携を積極的に進めながら、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。

シュリンクラベルのリサイクル 共同実証プロジェクト
シュリンクラベルのリサイクル 共同実証プロジェクト