三菱ケミカルインフラテック アルミ樹脂複合板、抗ウイルス加工マーク取得

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2021年7月6日

 三菱ケミカルは5日、グループ会社の三菱ケミカルインフラテックが、アルミ樹脂複合板「アルポリック」シリーズの1つである抗ウイルスグレードで抗菌製品技術協議会が制定するSIAAマークを6月に取得したと発表した。

「アルポリック」抗ウイルスグレードとSIAAマーク

 同シリーズは表面にアルミニウム、芯材に樹脂を使用した三層構造のアルミ樹脂複合板で、様々な意匠・加工性・耐候性をもった銘柄を揃え、幅広い用途で使用されている。1970年代の生産・販売開始から現在に至るまで国内トップシェアであり、海外では世界130カ国以上への販売実績を誇る。

 同製品の抗ウイルスグレードは、軽量・高剛性・高平滑性はそのままに、表面塗装に抗ウイルス加工を施した安心・安全で清潔感のある内装仕上げ材。予め抗ウイルス加工剤を含有させた塗料を焼付塗装しているため、取り付け後は抗ウイルス剤の塗布などが不要となり、工数削減に貢献する。さらに、一般的なエタノールや次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒剤により拭き掃除しても、外観や抗ウイルス性能を保持している。

 今後は、顧客からの要望に幅広く応じるために、不燃内装仕上げ材「アルポリック/fr インナーライト」にも同グレードを展開し、ラインアップを拡充する予定だ。

「アルポリック」抗ウイルス性試験

NEDO 船舶によるCO2大量輸送技術の実証事業開始

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2021年7月5日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、工場や火力発電所から排出されたCO2を活用地・貯留地まで低コストで大量・安全に輸送するための研究開発と実証事業に着手すると発表した。2030年頃のCO2回収・有効利用・貯留(CCUS)技術の社会実装を視野に入れ、年間100万t規模のCO2排出地から貯留・活用地への長距離・大量輸送と低コスト化技術の確立を目指す。

 CCUSやカーボンリサイクルは、脱炭素社会を実現する技術とし注目を集めているが、CO2排出地と貯留・活用地が離れていることが多く、CO2の安全で低コストの輸送技術の確立が普及に向けた課題となっている。

 今回、最適な温度・圧力条件で液化したCO2の出荷・輸送・受け入れまでの一貫輸送システムの確立に向けた研究開発と実証を行う。研究開発項目は「液化CO2の船舶輸送技術を確立するための研究開発」「年間1万t規模のCO2船舶輸送実証試験」「CCUSを目的とした船舶輸送の事業化調査」で、委託予定先は日本CCS調査、エンジニアリング協会、伊藤忠商事と日本製鉄。事業期間は今年度からの6年間、予算は160億円の予定だ。

 同事業では、まず長距離・大量輸送に適したCO2の液化・貯蔵システムと、輸送船舶の研究開発や設備機器の設計に必要な検討を行った上、2023年度末頃からは、京都府舞鶴市の石炭火力発電所で排出されたCO2を出荷基地で液化し、船舶での輸送を経て、北海道苫小牧市の基地で受け入れる一貫輸送システムの運用と操業に必要な技術を検証する。

 また、安全規格や設計基準の検討に必要な基礎要件を実証試験データから収集・分析し、液化CO2の長距離・大量輸送に求められる国際的なルール形成にも取り組む。さらに、CO2輸送に関する実効性あるビジネスモデルの検討も進める。

 NEDOは安全で低コストの船舶によるCO2大量輸送技術を確立し、CCUSの社会実装と2050年カーボンニュートラルの実現に貢献していく考えだ。

J-TEC 自家培養口腔粘膜上皮が製販承認を取得

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2021年7月5日

 帝人の子会社であるジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC:愛知県蒲郡市)はこのほど、自家培養口腔粘膜上皮「オキュラル」の製造販売承認を取得したと発表した。

自家培養口腔粘膜上皮「オキュラル」
自家培養口腔粘膜上皮「オキュラル」

 「オキュラル」は、角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした製品で、同疾患に対する口腔粘膜上皮細胞を使った再生医療等製品としては世界初。同製品は、大阪大学大学院医学系研究科の西田幸二教授が開発した技術を導入し実用化した。眼科領域では、昨年3月に製造販売承認を取得した自家培養角膜上皮「ネピック」につづき、国内第2号の再生医療等製品となる。

 「オキュラル」は、患者自身の口腔粘膜組織を採取し、分離した細胞を培養して作製するヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート。患者の眼表面に移植することにより、患者自身の口腔粘膜上皮細胞が生着・上皮化し、欠損した角膜上皮の修復を目的としている。角膜上皮幹細胞疲弊症によって両眼の角膜が広範囲に障害を受け、視力が著しく低下した患者に対する新たな治療法として期待される。なお、2020年に角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした希少疾病用再生医療等製品に指定されている。

 同社は「ネピック」に加えて「オキュラル」を実用化することで、根治療法の存在しなかった角膜上皮疾患に対する治療法の提供を実現していく。そして既存製品のさらなる販売強化、新規再生医療等製品の開発加速などを通じて、再生医療の産業化を推進するとともに、患者のQOL向上に貢献していく。

自家培養口腔粘膜上皮「オキュラル」の移植
自家培養口腔粘膜上皮「オキュラル」の移植

ENEOS 川崎に水素ステーション、国内46カ所目

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2021年7月5日

 ENEOSはこのほど、「川崎高津水素ステーション」(神奈川県川崎市高津区)を開所した。次世代自動車振興センター「燃料電池自動車用水素供給設備設置補助事業」の支援を受け、整備を進めていた。水素供給には、都市ガス改質型オンサイト方式を採用し、水素製造能力は300N㎥/h。同社46カ所目、首都圏では31カ所目の商用水素ステーションとなる。 

川崎高津水素ステーションの外観
川崎高津水素ステーションの外観

 2040年に自社排出分のカーボンニュートラルを目指すENEOSは、同水素ステーションが位置する川崎市が2020年に策定した脱炭素戦略「かわさきカーボンゼロチャレンジ2050」に賛同。同市の中でも高津区は脱炭素モデル地区に指定されていることから、今回の新たな水素ステーションの整備を通じ、同市の取り組みにも貢献していく考えだ。

出光興産 超小型EVとモビリティサービスのサイトを開設

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2021年7月5日

 出光興産は2日、出光タジマEVを通じて2022年中の発売を目標に開発を進める超小型EV「IDETA(イデタ)」と、出光興産が展開するモビリティサービスの情報を段階的に公開するティザーサイト(https://www.idemitsu.com/jp/business/idemitsutajimaev/index.html)を公開したと発表した。

超小型EVとモビリティサービスのティザーサイト
超小型EVとモビリティサービスのティザーサイト

 現在開発中の超小型EVは、低速で小回りが利く近距離移動に特化した次世代モビリティ。子どもの送迎や通院、買い物など、子育て層や免許返納に悩む高齢者が安心して利用することができる。インターネットとつながる車載器の装備でコネクテッド化を図り、新たなテクノロジーを掛け合わせた様々な新サービスの開発・提供を目指す。

 出光タジマEVは、次世代モビリティとモビリティサービスの開発を目的に、出光興産とタジマモーターコーポレーションが共同で今年4月に設立。超小型EVを核とする新しいカテゴリーとなるモビリティの提供を通じて、移動に関わる地域課題の解決を目指す。今回オープンするティザーサイトには、順次最新情報をアップデートしていく。なお、提供するモビリティサービスの詳細については、年内に正式発表する計画。

 

 

ダウ テキサス州にMDI蒸留・プレポリマー設備を建設

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2021年7月2日

 ダウはこのほど、米国テキサス州フリーポートにある世界規模の製造拠点に、MDI蒸留・プレポリマー統合生産設備を建設すると発表した。

 今回の投資により、川下のポリウレタンシステム製品の需要拡大をサポートするとともに、GDPを上回る成長を遂げている建設、コンシューマー、各産業の市場をターゲットに、魅力的な用途でのダウの主導的ポジションを推進する。フリーポートの新しいMDI設備は、テキサス州ラ・ポルテにある現在の北米での生産能力を代替するものであり、供給能力は30%強化される。なお、2023年に見込まれる新MDI施設の操業に合わせて、ラ・ポルテ拠点のポリウレタン設備は閉鎖される予定だ。

 一方、フリーポートの新設備は、環境面でも優れている。原材料の輸送がいらず、また既存の熱エネルギーの利用により火力発電が不要となり、CO2排出量を削減。水の利用量についても、生産効率の向上により取水量と廃水排出量を削減する。

 ダウの広範なポリウレタンシステムの製品群は、硬質、半硬質、軟質フォームや塗料、接着剤、シーラント、エラストマー、コンポジット製品を生産するために、主要なポリウレタン・コンポーネントの供給を強化する。その用途は、工業およびインフラ向けのソリューションから床材、家具、寝具、フットウェア分野で消費者に快適さを届けるソリューション、自動車の内装やエネルギー効率の高い絶縁材料などのソリューションにまで及んでいる。

 ダウの工業中間体とインフラストラクチャー事業部門プレジデントであるジェーン・パルミエリ氏は、「今回のMDIへの投資は、既存のインフラを最適化し、ポリウレタン分野での当社の世界的リーダーとしての地位を強固なものとし、川下のシステムのお客様に対し成長をさらにサポートすることが可能になる。また、フリーポート拠点での統合によって、川上の主要なポリウレタン原料をコスト競争力のある形で供給し、川下における高価値ポリウレタン市場での当社の成長をサポートする信頼性の高い供給ポジションを確保するとともに、よりサステナブルな生産工程を実現する」と述べている。

NEDOなど 持続可能な代替航空燃料を定期便に供給

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2021年7月1日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などはこのほど、木くずや微細藻類から製造したバイオジェット燃料を、持続可能な代替航空燃料(SAF)として定期便に供給したと発表した。

SAF実証事業 バイオ燃料一貫製造プロセス
SAF実証事業 バイオ燃料一貫製造プロセス

 国際民間航空機関(ICAO)や国際航空運送協会(IATA)は、温室効果ガスの排出量削減による地球温暖化抑止対策を共通のテーマとして掲げており、持続可能なSAFの導入は有効な手段の1つとして位置づけられている。

 こうした中、NEDOはSAFの商用化を視野に、原料となる木くずの調達および微細藻類の培養から純バイオジェット燃料まで一貫製造する体制の実証と、航空機への給油までを含めたサプライチェーンを具体化させることを目指し、2017年度から「バイオジェット燃料生産技術開発事業」を推進。

 固体の木質セルロースをガス化した後に液体燃料を合成するガス化FT合成技術では、JERAの施設内に建設したパイロットプラントで原料に木くずを使用し、SAFを一貫製造する実証試験を実施。JERAが原料調達とオペレーション、三菱パワーが原料のガス化、東洋エンジニアリングが生成ガスの液体炭化水素燃料化(FT合成)・蒸留と混合以後のサプライチェーン構築を担当し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)がSAFの性能特性試験を実施した。

 一方、微細藻類由来の油を精製する水素化精製技術では、IHIが鹿児島の既存施設とタイに新設したパイロット屋外培養施設を使い、大規模培養からSAF製造までの一貫製造技術の確立と以後のサプライチェーン構築に取り組んだ。いずれも、SAFの国際規格「ASTM D7566」への適合を確認している。これらの成果を踏まえ、両技術で完成したSAFを羽田空港出発の定期便に供給した。

 NEDOは引き続きSAFの大規模安定技術や製造コスト低減に向けた効率的な製造プロセスの確立を目指して、SAF生産研究開発事業を実施していく。これにより2050年カーボンニュートラルへの道筋を示し、航空分野の温室効果ガスの排出量削減に貢献する。

三井化学SKCポリウレタン 徳山で再エネ電力購入開始、CN強化

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2021年7月1日

 三井化学SKCポリウレタンは30日、徳山工場(山口県周南市)で使用する電力として、再生可能エネルギー電源(水力・太陽光・バイオマス発電)によるCO2排出量ゼロ電力の購入を6月から開始したと発表した。中国電力から購入する電力の一部を再エネ電力に切り替えることで、GHG(温室効果ガス)排出削減の実現に貢献していく考えだ。

 同社はカーボンニュートラル(CN)を目指し、①自社でのGHG排出削減とカーボンネガティブなどによるCNの実現、②製品提供による社会や顧客への貢献、の2本の柱を推進している。今後も、高機能ポリウレタンカンパニーを目指すと同時に、CNへの取り組みをより強化していく。

NEDOなど バッチ連続生産の医薬品製造設備を検証

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2021年6月30日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などはこのほど、バッチ連続生産方式を採用した再構成可能なモジュール型の医薬品製造設備「iFactory」(アイファクトリー)について、従来の主要な方式に比べエネルギー削減では約8割、廃棄物では従来比3~4割の削減が見込めることを確認したと発表した。

実用化に向けて開発が進められている「iFactory」のモジュール(左)と自動分析装置(右)
実用化に向けて開発が進められている「iFactory」のモジュール(左)と自動分析装置(右)

 医薬品の国内市場規模は2030年までに25.7兆円の市場に成長すると予測される。国内外を問わず、医薬品に使用される高機能化学品の多くは、バッチ式製造法により製造されるが、発生する廃棄物量やCO2量の削減と「オンデマンド生産」への適応が課題となっている。

 こうした中、NEDOが取り組む技術開発テーマの1つとして、「再構成可能なモジュール型単位操作の相互接続に基づいた医薬品製造用『iFactory』の開発」を、2018年度から開始。高砂ケミカル、田辺三菱製薬、コニカミノルタケミカル、横河ソリューションサービス、テックプロジェクトサービス、大成建設、島津製作所、三菱化工機および産業技術総合研究所(産総研)が、連続合成法とバッチ式製造法を組み合わせたバッチ連続生産方式を採用したモジュール型の医薬品製造設備「iFactory」の開発を行っている。

 これまでの検証から、バッチ連続型プロセスで実際に製造した医薬・ファインケミカルズ関連の3品目で洗浄・濃縮・晶析・ろ過が、1時間当たり10kgの生産速度で、8時間連続稼働できることを確認。また、生産工程の1つである「ろ過」を連続方式にすることで、一般的なバッチ方式の装置に比べ8時間稼働で78%、連続反応器による反応工程に導入した連続方式の設備で84%に相当するエネルギー削減効果を実現した。さらに、連続化による洗浄溶剤の使用量や切り替え洗浄の回数の大幅軽減で、従来のバッチ方式で製造した医薬・ファインケミカルズ関連の3品目で30~40%の廃棄物削減効果が見込める結果となった。

 今後はプロトタイプの製作と実証を進め、日本の医薬品製造での省エネルギー化・生産と資源の効率化に貢献する生産設備の構築と実用化を目指す。

 

ダイセル ポスト5Gシステムを開発、NEDO事業に採択

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2021年6月30日

 ダイセルはこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」について、2つの研究開発が採択されたと発表した。同社はこれを機に、エレクトロニクス実装材料の研究開発や事業化を加速し、経済産業省とNEDOが進める日本のポスト5G情報通信システムの開発・製造基盤強化に貢献する。

NEDOに採択された、「ミリ波・テラヘルツ帯向け高機能材料・測定の研究開発」概要
NEDOに採択された、「ミリ波・テラヘルツ帯向け高機能材料・測定の研究開発」概要

 「先導研究(委託)/基地局関連技術」では「ミリ波・テラヘルツ帯向け高機能材料・測定の研究開発」が採択。ポスト5Gの後半以降、ミリ波からテラヘルツ帯の高周波を利用することで通信帯域を確保し、さらなる高速大容量、超低遅延、および多数同時接続の実現が期待される。

 しかし、ミリ波(30~300G㎐)やテラヘルツ帯(300G㎐~3T㎐)では、伝送ロスによる信号品質の劣化や材料の測定技術が確立されていない。これらの課題解決に向け、同社は①次世代超ローロス低誘電材料、②平滑導体と低誘電材料の高信頼性接合、③テラヘルツ帯通信用材料の測定技術を開発する。この先導研究により、ポスト5Gの基地局向けリジッドプリント配線板の低誘電材料や接合の事業化、測定技術の標準化を目指す。

 一方、「先導研究(助成)/先端半導体製造技術(後工程技術)」では「ポスト5G半導体のための高速通信対応高密度3D実装技術の研究開発」が採択。ポスト5Gは、通信インフラからエッジデバイスまで、膨大な情報を低遅延で高速に伝達する半導体高度化技術への要求が急速に高まる。その実現には前工程の微細化加工だけではなく、複数の半導体を3次元で集積する先端後工程の重要度が増している。

NEDOに採択された、「ポスト5G半導体のための高速通信対応高密度3D実装技術の研究開発」概要
NEDOに採択された、「ポスト5G半導体のための高速通信対応高密度3D実装技術の研究開発」概要

 ポスト5G半導体に必要な高速通信対応高密度3次元実装を実現するために、①高周波対応高密度パッケージCu焼結接合技術、②高信頼・高性能ビルトアップ半導体サブストレイト技術、③高周波パッケージ導波路コネクタ技術を開発する。この先導研究により、先端後工程向けのCu焼結接合材料やバンプ形成絶縁接着材料の事業化、装置、周辺材料、プロセスなどのノウハウ組合せによるソリューションの提供、およびサブストレイト技術や導波路コネクタ技術の標準化、デファクト化を目指す。

 同社は、今後も長年培ってきた高機能材料や加工技術の強みを生かした様々な最先端の技術開発に取り組み、便利・快適な社会の実現に貢献していく考えだ。