帝人 低速EVのプロトタイプ、豪AEV社と共同開発

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2021年3月31日

 帝人は30日、LS-EV(低速EV)の軽量化に向けた開発パートナーである豪州・AEV社と、LS-EVのプロトタイプを共同開発したと発表した。

共同開発したLS-EVプロトタイプ
共同開発したLS-EVプロトタイプ

 両社は、将来のEVに求められる技術基盤を獲得・整備するため、2019年からLS-EVの共同開発を推進。最近の成果として、多目的LS-EV向けプラットフォームや、太陽電池搭載のLS‐EV向けルーフを開発している。

 今回開発した4人乗りのLS-EVのプロトタイプは、両社が共同で取り組んできた「Well to Wheelゼロエミッション」というテーマを具現化。帝人の軽量・高強度素材、加工に関する最先端技術、成形ノウハウと、AEV社がもつLS-EVの基本設計や、低エネルギーでの駆動・制御などに関する技術を最適条件で組み合わせて設計している。車体プラットフォームには、低エネルギーでの走行が可能な「Blanc Robot」を使用しており、最適なエネルギー効率を発揮し、無人走行システムにも対応できる。

 一方、車体の窓やドアには、軽量で耐衝撃性に優れる帝人のポリカーボネート樹脂「パンライト」製のグレージングを使用。洗練されたスタイリッシュな外観を実現し、優れた赤外線遮断性で室内の温度上昇の抑制を可能にした。また「パンライト」製のグレージングを曲面形状に一体成形したルーフには、ソーラーパネルと軽量な給電モジュールを搭載。豪州の日照条件下での試験では、一般的なソーラーパネルと同等の約330Wを記録した。

 さらに車内には、帝人フロンティアが展開するポリエステル製タテ型不織布を、断熱・吸音材に使用。外気による車内温度への影響やロードノイズを低減させることで、車両のエネルギー効率や快適性の向上に貢献している。これらによりエネルギー効率は、両社が目標としてきた歩行者レベルの消費エネルギーとほぼ同等で、自動走行車としては過去最高レベルのものとなった。

 帝人は今後、近未来のモビリティへのニーズを先取りし、自社の高機能素材や設計、デザイン、複合化技術による技術提案力を強化することで、「Well to Wheelゼロエミッション」の実現に向けた取り組みを一層強化していく。

 

宇部興産など 世界初 深海でセメントの力学特性を計測

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2021年3月30日

水深約3500m の海域にセメント硬化体と計測機器を設置

 宇部興産、港湾空港技術研究所、海洋研究開発機構、東京工業大学および東京海洋大学の研究グループはこのほど、深海インフラ構築に向けたセメント硬化体の力学特性の評価手法を確立し、実海域でのデータ計測を世界で初めて開始したと発表した。

 深海でセメント硬化体の内部に生じる圧力やひずみを実際の深海底で連続計測することで、将来的に深海で使用するインフラ材料の開発や構造物の設計手法の構築に役立つことが期待される。なお同研究は、科学雑誌「ジャーナル・オブ・アドバンスド・コンクリート・テクノロジー」に掲載された。

セメント硬化体の力学特性の評価手法

 同研究は、短期間および長期間の高水圧によって、セメント硬化体がどう変形するかを明らかにすることが目的。従来は、深海から回収した後の硬化体の変化を測定していたが、回収時の圧力変化により硬化体に変化が生じる可能性もあり、深海で起こった現象を正確に把握できなかった。また、深海と同等の高水圧の水槽を利用した実験でも、実際の構造物のスケールで起こりうる現象や潮流・生物付着などの影響が再現できない。

 こうした中、研究チームは硬化体内部に生じる圧力やひずみを深海底で連続計測する方法を確立。これにより、深海で起こっている現象だけを抽出してデータを分析、考察することが可能となった。研究グループは、昨年7月に駿河湾沖70Kmに位置する南海トラフ北縁部、水深約3500mの海域に硬化体と計測装置を設置。今年度中に回収し、計測結果を解析する予定だ。

 海洋国家の日本にとって、積極的な海洋利用は重要な課題の1つ。深海での海洋インフラの建設には、設計の自由度や汎用性が高いセメントの利用が検討されている。またセメントは、日本でほぼ100%自給できる石灰岩から製造され、安定的に供給できるというメリットもある。

 これまで、深海の極限環境がセメント構造物にどのような影響を及ぼすか評価されていないが、最新の研究では、深海で著しく劣化したことが報告され、既存の知見や設計手法だけでは深海インフラを構築できないことが明らかになってきた。深海インフラの構築に向けて、まずは基礎データの収集が重要となっている。

三井化学 高屈折メガネレンズ材料、米コストコが標準採用

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2021年3月30日

 三井化学はこのほど、高屈折率メガネレンズモノマー「MR」を使用したメガネレンズが、会員制大手量販店の米コストコに標準採用され本格的な販売が始まったと発表した。

米コストコは3月から、三井化学の「MR」を使用したメガネレンズに全面的に切り替えていく
米コストコは3月から、三井化学の「MR」を使用したメガネレンズに全面的に切り替えていく

 コストコはこれまで、米国市場で標準材料となっている中屈折率のポリカーボネート(PC)系メガネレンズを主に取り扱っていたが、昨年10月から三井化学の「MR」を使用した高屈折率のウレタン系レンズへの切り替えを順次開始しており、3月から全面的に切り替えていく。

 「MR」は独自の重合技術により高屈折率・高アッベ数・軽量かつ高耐衝撃性を実現したチオウレタン系樹脂(硫黄を含むウレタン)メガネレンズ材料。粘りのあるチオウレタン系樹脂により、薄くても割れにくく、アッベ数が高いことからレンズ度数が高くなっても色にじみが少なくクリアな視界が得られるといった特長をもつ。コストコはこのような「MR」の光学性能を高く評価。同時に同社の「高性能な優良ブランド商品をお客様に提供する」というコンセプトが、「MR」の「より軽く、より薄く、より洗練された性能」と合致したことから採用に至った。

 三井化学グループは、今回のコストコの標準採用を契機に、米国市場での人々の視界品質(QOV)の向上に向けて、PC系からウレタン系「MR」を使用したレンズへの切り替え訴求を進め、さらなる販売拡大を図っていく考えだ。

日本触媒 第Ⅰ相臨床試験向けに核酸医薬の原薬を製造

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2021年3月30日

 日本触媒は29日、TAK-Circulator(TAK)とプロジェクトを進める、ステロイド抵抗性難治重症喘息を対象とした核酸医薬品「TAKC-02(開発コード)」について、中分子原薬製造施設で第Ⅰ相臨床試験向け原薬のGMP製造を完了し出荷したと発表した。

中分子原薬合成施設
中分子原薬合成施設

 両社はTAKが東京大学との共同研究成果を基盤に開発した「TAKC-02」の共同商業化契約を締結しプロジェクトを推進。「TAKC-02」はサイトカイン類の産生に関与するMex3B遺伝子を標的とするアンチセンス核酸医薬。吸入投与によりMex3B遺伝子の発現が抑制されると、炎症性サイトカイン類の産生が抑制され、難治性重症喘息の改善が期待される。既存医薬品が有効性を示さないステロイド抵抗性難治重症喘息に関し「TAKC-02」が承認されれば医療ニーズに応える治療薬となる。日本触媒は原薬の供給者として、また、パートナーとして「TAKC‐02」開発に寄与していく。

 一方、日本触媒にとっては、2019年に竣工したGMP準拠の中分子原薬製造施設による初の製造・出荷となる。同製造施設は、核酸医薬をはじめとする中分子原薬製造のための複数の製造ラインをもち、様々な顧客からのニーズに対応した核酸原薬製造を受託できる体制を整えている。今回の製造実績をもとに、4月から本格的に中分子原薬の受託製造事業を展開する。同社は、様々な核酸医薬品の供給を推進し、人々の生命・健康を支え、社会の継続的発展に貢献していく考えだ。

出光興産 ノルウェー領北海PL090I鉱区で試掘に成功

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2021年3月26日

 出光興産は25日、ノルウェー領北海PL090I鉱区で「ブラスト」構造を試掘した結果、上部ジュラ系ソグネフィヨルド層で油の集積を確認したと発表した。

 出光興産は2018年にPL090I鉱区の権益を取得。子会社である出光スノーレ石油開発がノルウェー現地法人出光ペトロリアムノルゲを通じ15%の権益をもっている。

 今回、試掘に成功したブラスト構造はノルウェー領北海にあり、2003年から生産しているフラム油田(出光興産権益15%)から南西約3㎞の場所に位置する。同社は今後、開発に向けた詳細な評価と検討を行う予定だ。

ノルウェー領北海 PL090I鉱区
ノルウェー領北海 PL090I鉱区

デンカ ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット発売

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2021年3月26日

 デンカはこのほど、体外診断用医薬品「クイックナビ」シリーズの新製品として、ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット「クイックナビ-H.ピロリ」を4月14日から全国の医療機関向けに発売すると発表した。

ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット「クイックナビ‐H.ピロリ」
ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット「クイックナビ‐H.ピロリ」

 ヘリコバクター・ピロリは胃の粘膜に生息しているらせん形をした細菌で、一般に「ピロリ菌」とも呼ばれる。ピロリ菌による胃の粘膜の炎症で、胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍が起きると言われており、さらに喫煙や食生活の乱れ、ストレスなどの外的要因が加わると胃がんの発生リスクが高まるとされている。

 同診断キットは、糞便中のヘリコバクター・ピロリ抗原の有無をイムノクロマト法により判定。テストデバイスへ試料滴加後、8分で抗原の有無を迅速に判定することができる。同製品は販売提携先の大塚製薬とデンカの二社が販売する。「クイックナビ」シリーズは、すでにインフルエンザウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、A群β溶血性連鎖球菌、マイコプラズマをはじめ、昨年8月には新型コロナウイルス迅速診断キットを販売している。

 同社は、感染症対策を社会的責務と捉え、各種ウイルス抗原迅速診断キットだけでなくインフルエンザワクチンも製造・販売する国内唯一のメーカーとして、予防と診断の両面から感染拡大防止に取り組んでいる。今後も医療現場のニーズに応え、予防・検査体制の拡充を通じて人々のQOL向上に貢献していく考えだ。

ENEOS サウジと協業しCO2フリー水素SC構築へ

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2021年3月26日

 ENEOSは25日、サウジアラビアの国営石油会社・サウジアラムコとの間でこのほど、CO2フリー水素・アンモニアのサプライチェーン構築に向けた協業検討の覚書を締結し、フィージビリティスタディ(FS)を開始すると発表した。

 今回の検討では、サウジアラムコが生産・供給する天然ガス・LPGなどの化石資源に由来する水素製造事業、製造時に発生するCO2を回収・貯留する事業、日本をはじめとするサウジアラビア国外の需要地への海上輸送の3点を対象にFSを実施する。

 海上輸送については、アンモニアや常温常圧で水素ガスの500分の1の容積となる液体・メチルシクロヘキサン(MCH)を含む様々な水素の輸送形態を検討する。日本は年間原油消費量の3分の1以上をサウジアラビアから輸入しており、サウジアラムコがCO2フリー水素・アンモニアの長期的な安定供給ポテンシャルをもつことから覚書を締締。

 ENEOSは、このFSの成果に基づき、日本への製品輸入を含め、製油所を起点に発電所などの近隣企業への水素供給事業の展開を目指す。CO2フリー水素・アンモニアサプライチェーンを早期に拡大することで、将来の水素社会実装と低炭素社会構築に貢献していく。

旭化成 住宅領域でアクセラレータープログラムを募集

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2021年3月26日

 旭化成と旭化成ホームズは25日、ゼロワンブースターと共同でアクセラレータープログラム「LIFE CO-LAB.(ライフコラボ)」を開始すると発表した。同プログラムに参加するスタートアップや事業家の募集を同日から開始している。募集領域は、住まい・まち・ライフスタイルといった旭化成グループの住宅事業に関連する領域が中心だが、既存ビジネスにとらわれない新しい発想や技術も歓迎する。

アクセラレータープログラム ロゴ
アクセラレータープログラム ロゴ

 「ライフコラボ」とは旭化成グループが実施するアクセラレータープログラム(協業・出資を目的とした募集)。2019年度に開催した「旭化成ホームプロダクツアクセラレーター」に続き、2回目となる。なお「ライフコラボ」は、旭化成グループとスタートアップによるオープンイノベーションの形を表現した造語だ。「ライフコラボ」では、同社グループの社員が、社内のリソースを活用しながらスタートアップの事業を約4カ月間支援し、新たな事業を共創する。

 一方、旭化成グループも、イノベーティブな環境の醸成に加え、旭化成グループだけでは実現できないイノベーションの創出を目指す。同プログラムを通じて、両者の知見を学び合いながら、既存の領域にとどまらない分野での新しい価値創出を加速させる。なお、4月8日(17~18時半)にオンライン説明会の開催を予定している。参加費は無料、事前申込は専用サイト(https://lifecolab2021-briefing.peatix.com)から。

住宅領域でアクセラレータープログラム
住宅領域でアクセラレータープログラム

日本ゼオン 合成香料リーフアルコールの生産能力を増強へ

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2021年3月26日

 日本ゼオンは25日、合成香料の主力製品であるリーフアルコールについて、生産能力を増強することを決定したと発表した。同社はリーフアルコールで世界№1のシェアをもつが、今回の増設により年間生産能力は1600t(現在1200t)に拡大する見込み。今年の夏に起工し、2022年秋の竣工を予定している。

合成香料リーフアルコールを増強
合成香料リーフアルコールを増強

 リーフアルコール(cis-3-Hexenol)は「青葉アルコール」とも呼ばれ、新緑の若葉のような香りをもつ合成香料。フレッシュ感を演出するグリーン系香料として、香水やシャンプー、石鹸などのフレグランス、また、清涼飲料や菓子などのフレーバーに幅広く使用されている。汎用的に使用される香料として、今後も安定的な成長が見込まれていることから、同社は能力増強を決定した。ゼオングループはこれからも香料の〝化学〟を通じて、香り豊かなくらしの演出に貢献していく。

 

住友ゴム工業 タイヤ内発電でセンサーをバッテリーレス化

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2021年3月25日

 住友ゴム工業はこのほど、関西大学と共同でタイヤ内発電技術を開発しタイヤ周辺に搭載するセンサーへの電源供給が可能となったと発表した。この発電デバイス(エナジーハーベスト、環境発電)は、タイヤの内側に取り付け、タイヤの回転による静電気を利用して電力を発生させる技術だ。

タイヤ内に取付けた発電デバイス
タイヤ内に取付けた発電デバイス

 今回、摩擦帯電に関係する構造と材料の最適化で発電電力を上げるとともに、電源制御回路へ充電し外部センサーへ給電・動作させるシステムを開発した。検証テストでは、タイヤ速度50km/hでの発電量は800μW以上で、外部センサーを起動しBLE(Bluetooth Low Energy)の連続通信を確認した。これにより、タイヤセンシングの一番の課題であるセンサーデバイスの電池寿命を解決し、タイヤセンシングの実用化に大きく前進した。

 同社は、CASE/MaaSなどの自動車業界の変革に対応するためのタイヤ技術開発と周辺サービスのコンセプト「スマートタイヤコンセプト」を掲げ、様々な技術開発を行っており、中でもタイヤをセンサーとしたソリューションサービスの提供を推進している。今後も「タイヤがクルマとつながる、人とつながる、社会とつながる」をキーワードに、安全・安心なモビリティ社会実現に向けて同社独自の価値を提供し続ける考えだ。