DIC 特殊形状フィラーを開発、高強度化や放熱性を実現

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2020年12月24日

 DICはこのほど、電子機器などの放熱用途で用いられるアルミナフィラー(充填材)の板状アルミナ「CeramNex(セラネクス)AP10」を開発したと発表した。同製品は、来年1月より長瀬産業を総代理店として販売開始する。今後は品番ラインアップを拡充し、日本、中国、韓国、台湾、欧米地域の自動車部品および電子部品関連メーカーへの販売を視野に入れ、2025年までに売上高8億円を目指す。

板状アルミナフィラー「CeramNex AP10」
板状アルミナフィラー「CeramNex AP10」

 自動車やエレクトロニクスの分野においては、CASEや次世代通信規格5Gの普及に対応するため部品の小型化や高性能化が進むが、これに伴って機器の内部で発生する熱の除去が重要となっている。アルミナフィラーは熱的安定性が高く、自動車や電子機器の部材の放熱用途などに充填剤として用いられている。樹脂部材に熱伝導性を付与するため、大量に用いる配合設計が行われることがあるが、大量のフィラーは成型性を低下させ、成形物の機械強度を低下させる要因にもなる。

 こうした中、同社が独自の合成方法で開発したアルミナフィラーは、粒状や不定形な形状をした一般的なアルミナフィラーとは異なり、〝高い結晶性〟を持ち、アスペクト比が高い〝板状〟であることが最大の特長。そのため、他の形状のアルミナフィラーと比べ、少量の添加で高強度化が望めるため、軽量化に貢献する。加えて、添加物表面の平滑性が向上するため、幅広い用途でも利用することが可能だ。

 同社は有機材料を基盤技術とした事業展開をしているが、今回の製品開発を足掛かりに無機材料も基盤技術に加え、既存の基盤技術では展開が困難であった新たな領域に事業を拡大していく考えだ。

 

AGC 透明で電磁波を遮蔽・吸収するガラスを開発

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2020年12月24日

 AGCはこのほど、従来なかった透明で電磁波を遮蔽・吸収するガラス「WAVETRAP(ウェーブトラップ)」を開発したと発表した。来年中の販売開始を目指す。

 IoTの本格普及に伴い通信量が増大し多様な電磁波が飛び交うことで、ネットワークの混線や通信の誤認識、機器の誤作動や故障などのリスクがある。電磁波遮蔽性のパネルやフィルムを使い電磁波の影響をコントロールすることで、リスク低減は可能だが、発泡樹脂のような従来製品では高い透視性の確保は難しい。この課題を解決するため、同社独自のガラス複合化技術と電磁波制御技術を使い、特殊接着層に金属メッシュを挟みこみ、高い透視性を生かしつつ電磁波を遮蔽・吸収できる合わせガラス「ウェーブトラップ」を開発した。

電磁波遮蔽タイプ WAVETRAP-S
電磁波遮蔽タイプ WAVETRAP-S

 電磁波遮蔽タイプ「S」は開口率最大78%、電磁遮蔽性能60㏈(1GHz)。電磁波から人体、通信機器、センサーなどを保護する家電、通信機器、電子機器、医療機器、輸送機器や、生産設備、各種検査室、電波暗室などの開口部・間仕切りが対象。電磁波吸収遮蔽タイプ「AS」は電磁波吸収性能20㏈、電磁波遮蔽性能60㏈(915MHz)で、使用環境やニーズに応じて吸収帯域は設計可能。「S」タイプの用途例に加え、通信障害・誤作動対策を求められるETC・RFID(近距離無線通信)センサーゲートの開口部・間仕切りなどに使用できる。

 本格的なIoT時代の到来を迎え、あらゆる人や物がネットワークに繋がることが求められる中、AGCグループは経営方針「AGC plus」の下、戦略事業領域としてエレクトロニクスを掲げ、新たな製品づくりを目指している。

太陽石油 BCP訓練を実施、南海トラフ地震を想定

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2020年12月23日

 太陽石油は、巨大地震発生時における事業継続計画(BCP)対応訓練を本社および四国事業所(愛媛県今治市菊間町)で11月17日に実施した。

BCP訓練の様子
BCP訓練の様子

 同社では、巨大地震などの災害発生時においても石油製品の安定供給という責務を果たすために、南海トラフ巨大地震や首都直下地震を想定したBCPを策定。訓練や教育等を通じ、BCPに基づく対応能力の継続的な向上、課題改善に取り組んでいる。

 今回の訓練では、参加者に対しシナリオを非開示のうえで、南海トラフ巨大地震発生による様々な事象、要求を設定し、被災事業所と連携しつつ、危機対策本部及び各対策班によるBCPの実行的運用の確認と対応力の習熟を図った。また、危機対策本部副本部長をはじめ、一部の参加者はリモート環境下での訓練とし、感染症流行下における危機対応能力の維持、強化を図るとともに、新たな課題の抽出を行った。

 今回、明確になった課題を踏まえ、より実効性、有効性を高めるための対応を進めるとともに、今後も訓練や教育等を計画的に実施することで、有事の際における石油製品の安定供給に向け取り組んでいく。

 

ユニチカトレーディング 自社素材快適布マスク、秋冬用モデルを発売

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2020年12月23日

 ユニチカトレーディングはこのほど、国内生産の自社素材を使用した快適布マスク「ドライミィ」に新たに秋冬用モデル「DRIMY-W」をラインアップし自社通販サイトで販売を開始した。価格は1パック2枚組で1760円(税込み)。

:「DRIMY-W」秋冬用マスク
「DRIMY-W」秋冬用マスク

 新型コロナウイルス感染対策でマスク着用が一般的になる中、繰り返し洗濯して使用できる布製マスクは家庭ごみの削減につながるサステナブルなアイテムとして消費者にも認知されている。今夏から販売を開始した同社の快適布マスクは、着用感の良さや日本製という安心感などから好評を得ている。

 特徴として、①こだわりの裏面使用、②呼吸がしやすい立体的なパターン、③機能性の高いオリジナル生地を使用、などが挙げられる。ウィズコロナの生活では不可欠となったマスクだが、今後はライフスタイルや嗜好に合わせ、ますますファッションにも取り入れられることが想定される。

 同社は、シーンやスタイルに応じて着用できるような商品を開発し提供していく考えだ。

BASF 改質PBTの干渉電波吸収でレーダー精度向上

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2020年12月23日

 BASFはこのほど、車両のレーダーセンサーの精度を高める改質ポリブチレンテレフタレート(PBT)「Ultradur(ウルトラデュアー) RX」の販売を開始したと発表した。自動運転の発展にともないセンサーの使用も増加するが、電波干渉の問題が増している。センサーを適切に機能させるためには、こうしたノイズを吸収し最小限に抑えることが重要だ。

 新開発の「Ultradur RX」シリーズは76~81GHzの干渉電波を吸収するよう設計され、ハウジング内の電子機器を保護し、受信信号をより良い形で処理することで安全性が向上する。誘電特性を最適化し、センサー部品の要求基準を満たしており、レーダーセンサーのハウジングカバーやプリント基板背面材などの用途に適する。また、水跳ねや油、塩類などに対する耐性が高く、センサーハウジングの保護に優れ、金属ハウジングを代替することで車両の軽量化と効率化に貢献するとしている。

宇部興産 有機系土木・建築材料開発、宇部興産建材が発売

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2020年12月23日

 宇部興産は22日、化学事業の知見を生かし、ウレタン樹脂の分子構造設計技術を土木・建築分野に展開したコンクリート構造物用の有機系表面被覆材「U-レジストクリアコート」と有機系はく落防止材「U-レジストクリアガード」を開発したと発表した。これらの製品は、土木・建築用材料を販売する宇部興産建材が11月から発売を開始している。

Uーレジストシリーズの製品群
Uーレジストシリーズの製品群

 2つの新製品は、宇部興産化学カンパニー研究開発本部の基盤技術研究所・建築インフラ研究グループが開発した新規ウレタン樹脂を使用。強靭性と高耐久性を兼ね備え、補強メッシュなしで良好なはく落防止性能を持つ。また、コンクリートの劣化因子である炭酸ガスや塩化物イオンなどがコンクリート内部に侵入することを防止するため、構造物の長寿命化を可能にする。さらに、透明塗膜であることから視認性に優れ、施工後の構造物の目視点検ができるため、コンクリートの状態の変化を早期に検知できる。

Uーレジスト 押抜き試験
Uーレジスト 押抜き試験

 宇部興産建材では、コンクリート構造物の保全・長寿命化のニーズに応えるため、これらの製品を拡販していく。

NEDO カーボンニュートラルへの先導研究の公募開始

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2020年12月22日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、「革新的環境イノベーション戦略(今年1月)」を受け、新たに「エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」の技術開発の公募を開始した。

 省エネルギー・新エネルギー・CO2削減に向けた「デジタル技術を用いた強靱な電力ネットワークの構築」「最先端のGHG削減技術の活用」「最先端のバイオ技術などを活用した資源利用及び農地・森林・海洋へのCO2吸収・固定」「農林水産業での再生可能エネルギーの活用&スマート農林水産業」の4分野が対象。2030年以降の実用化を見据えた、飛躍的なエネルギー効率の向上と脱炭素社会の実現につながる革新的な技術・システム開発を目指す。期間は最大2年、1件あたり年間1億円以内。

 さらに今月下旬以降も、エネルギー・環境新技術先導研究プログラムでは「再生可能エネルギーを主力電源に」「多様なアプローチによるグリーンモビリティの確立」「化石資源依存からの脱却(再生可能エネルギー由来の電力や水素の活用)」「最先端のGHG削減技術の活用」の分野、新産業創出新技術先導研究プログラムでは「持続可能な産業発展や新需要創出につながる革新的研究開発」などについても、順次公募を行う予定だ。具体的な課題は、公募開始時点に掲載される。

 これらプログラムの実施を通じて、革新的な技術の原石を発掘し、将来の国家プロジェクト化への道筋をつけ、2050年カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現やウィズコロナ/アフターコロナなど社会システムの変革につながる技術の開発を強力に推進する考えだ。

エア・ウォーター 小規模農家用乾式メタン発酵システム

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2020年12月22日

 エア・ウォーターはこのほど、グループのエア・ウォーター北海道(北海道札幌市)が北土開発(北海道芽室町)、帯広畜産大学と共同で国内初の小規模酪農家向け乾式メタン発酵プラント(バイオガスプラント)を開発したと発表した。乳牛飼養百頭前後の小規模酪農家に適したバイオガスプラントの実用化に取り組む新エネルギー・産業技術総合開発機構の助成事業「小規模酪農家向けエネルギー自給型乾式メタン発酵システムの開発」の一環。

 小規模酪農家は一般的に乳牛を「つなぎ飼い」し、麦わらなどの長繊維が混合した半固形状ふん尿が排出され、メタン発酵には適さない。現在北海道で稼働する約100基のバイオガスプラントの多くは液状ふん尿を原料とする湿式メタン発酵プラントであり、半固体状ふん尿の処理には高額な大型設備を必要とする。そのためバイオガスプラントの導入は資金力のある大・中規模農家に限られ、約75%を占める小規模農家での導入はハードルが高い。また近年、濃厚飼料の給餌量増加や堆肥化用の水分調整資材の高騰で、家畜のふん尿による完熟堆肥化が困難になり、メタン発酵処理に切り替える動きも背景にある。

 今回開発した「乾式メタン発酵システム」は原料自動投入装置、原料前処理槽、高温乾式メタン発酵槽、固液分離装置、ガス発電機(25kW)、燃料電池から成り、1日の処理能力は6.2t。高温発酵(約50℃)によりメタン発酵効率が30%向上した。現在バイオガス(メタン約58%)の多くをガス発電機に供給し、ほぼ24時間、電気と温水を牛舎に安定供給している。

 余剰のバイオガスは高純度メタンガス(98%以上)に精製し、さらに水素に改質し、燃料電池から牛舎や住宅に電気を供給する。蓄電池を利用したエネルギーの最適化や再配分、長期連続運転による設備の安定性や製造コストの低減などを検証する予定だ。なお、メタン発酵の副産物である消化液や固形残渣は、酪農家の代替肥料や再生敷料として活用する。

 今後、このシステムを小規模酪農家を中心に提案し、系統電力に頼らない自給自足型のエネルギー分散型基地として普及させ、酪農家の営農コストの低減と地産地消型エネルギーの推進、CO2排出量の削減に寄与することを目指す。

NEDOなど 微生物発酵技術で香料原料の高生産性を達成

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2020年12月21日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と地球環境産業技術研究機構(RITE)はこのほど、香料などの原料となるカテコールを微生物によって発酵生産する技術を開発したと発表した。新たに開発した複数のスマートセル基盤技術を活用して、初期生産株の約500倍となる世界最高レベルの生産濃度を達成した。

カテコール生産技術の比較
カテコール生産技術の比較

 香料の原料や半導体の加工材料として需要が高いカテコールなどの芳香族化合物は、主に石油を原料とする。バイオマスなどの再生可能資源を原料とするには糖の微生物発酵法があるが、カテコールなどの芳香族化合物は微生物毒性があり、生産代謝経路が長く複雑なため、実用生産は困難である。

 両者は2016年度から「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発(スマートセルプロジェクト)」に取り組み、「スマートセルインダストリー」の創生を視野に入れ、スマートセルの基盤技術の確立を目指している。

 研究開発成果
研究開発成果

 RITEは微生物の物質生産性向上のために、情報解析による基盤技術の高精度化と有効性の検証を行ってきた。これら基盤技術を使い、カテコールの効率的生産のために設計した代謝経路をコリネ型細菌の細胞内に再現することで、カテコールの高生産株を開発した。手法の異なる複数の基盤技術を活用することで生産性は段階的に向上し、カテコール生産濃度は初期生産株の約500倍に達した。これは発酵生産による世界最高レベルの濃度だ。これにより、これまで石油原料に依存していたカテコール製造を再生可能資源由来に転換でき、環境に配慮した持続可能な生産への効果が期待できる。

 今後NEDOはこれを先行事例として、生物機能を活用して高機能化学品や医薬品などを生産する次世代産業「スマートセルインダストリー」の実現を目指す。またRITEはこの技術をベースに、さらに生産株へ改良を加えるとともに、大量生産法の開発などを進めて早期の実用化を目指す。

ENEOS SSで初期費用ゼロ円ソーラーサービス開始

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2020年12月21日

 ENEOSはこのほど、ENEOSサービスステーション(SS)を対象に、自家消費支援事業「ENEOS初期費用ゼロ円ソーラーサービス」の展開を開始した。「ENEOSでんき」に加入したSSは、初期費用「ゼロ円」でSS事務所棟屋根に太陽光発電設備を設置でき、SSで使用する電力の一部を自家消費に充当できるもの。

トライアルの様子=条南SS(大阪府:ENEOSジェネレーションズ)
トライアルの様子=条南SS(大阪府:ENEOSジェネレーションズ)

 同社は、分散電源の活用を中心とした次世代型エネルギー供給・地域サービス事業を成長事業の1つと位置づけており、自社リソースを活用したエネルギーサービスの創出を目指して、「自家消費支援事業の推進」を掲げている。今回、自家消費支援事業としては初めて、自社リソースを活用したSS向けサービスを展開。同事業の推進による分散電源の普及拡大は、現在実証に取り組んでいるVPP(バーチャルパワープラント)事業への将来的な活用が期待される取り組みとなる。

 今年6月からトライアルを進め、今回の本サービスの開始にあたり、ENEOSフロンティア、ENEOSジェネレーションズと契約を締結。今後は関東・中部・関西エリアで、両社の運営する100カ所のSSを対象にサービス展開を進めていく。さらに、来年度からは全国のSSへと順次拡大を図る考えだ。