出光など カーボンリサイクルのビジネスモデル検討開始

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2020年12月3日

 出光興産など6社は2日、東芝研究開発センターが開発したCO2を一酸化炭素(CO)に電気分解する技術を活用するP2Cプロセスにより、排ガスなどからのCO2を「持続可能なジェット燃料(SAF)」に再利用する、カーボンリサイクルのビジネスモデル検討を開始することに合意したと発表した。

 今回、検討に参加したのは、出光興産、東芝エネルギーシステムズ、東芝、東洋エンジニアリング、全日本空輸、日本CCS調査の6社。今後、各社がもつ知見・技術、プラント設備などを生かし、SAFを供給するサプライチェーンの課題抽出や将来のビジネスモデルの検討を共同で実施する。

 具体的には、産業設備の排出ガスなどから分離回収したCO2を原料として、再生可能エネルギーと水素を利用しSAFを製造、フライトまでの供給サプライチェーンの上流から下流まで、一気通貫した検討を行う。

 日本ではパリ協定に対するNDC(国が決定する貢献)で示したCO2排出削減目標の達成に向け、CO2の分離貯留や資源化、再生可能エネルギーの主力電力化や水素利用の拡大、燃料の脱炭素化などの環境イノベーションが期待されている。

 また、航空業界ではICAO(国際民間航空機関)がCORSIA(国際航空のためのカーボンオフセットおよび削減スキーム)の中でCO2排出削減目標を定めており、効果的な削減手法の1つであるSAFを使用する運航に向け、その安定的製造・供給が強く求められている。高いCO2排出削減能力をもつP2Cプロセスは、CO2を原材料としてSAFを製造する次世代技術として期待が高い。

 各社は、持続可能な社会の実現を目指し、SAFサプライチェーンの将来ビジネスモデルについて共同で検討を進めていく。

 

帝人 ポルトガル拠点にCF-RTM成形設備を新設

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2020年12月3日

 帝人は2日、グループで軽量複合材料部品の生産・販売を手がけるイナパル・プラスティコ社(ポルトガル)が、生産性、外観性、寸法・品質安定性に優れるCF‐RTMの成形設備を同国パルメラに新設したと発表した。設備投資額は約6.8億円。

CF-RTM成形設備を新設したイナパル・プラスティコ社パルメラ工場

 CF-RTM(カーボン・ファイバー・レジン・トランスファー・モールディング)は、金型の中に炭素繊維シートを配置した後に樹脂を注入し、加熱により硬化させる成形方法。帝人グループでは、環境負荷低減に向けた自動車メーカーからの要求特性に対応するため、軽量・高強度で生産性に優れるCF-RTMによる成形技術の開発に取り組んできたが、これまで蓄積してきた炭素繊維に関する知見や、2017年に買収した北米最大の自動車向け複合材料部品メーカーCSP社の技術などを融合することでCF-RTM成形設備の新設に至った。

 今回のCF-RTM成形設備は、帝人グループがもつ炭素繊維、CAE解析、流体解析、プリフォーム、金型設計などに関する技術を駆使することにより、製造工程の完全自動化を実現。この設備により、部品の要求性能に応じて厚みを調整することができ、かつ炭素繊維を50%以上含有する高強度な成形品の製造が可能となる。また、射出時間が20秒と短いため生産効率も向上し、さらに、このプロセスによる成形品は、従来のアルミ製部品を約30%軽量化できることから環境負荷低減にも貢献する。

 そして、こうした特長により、自動車業界で「クラスA」と称される美麗な外観をもつ外板部品や、優れた剛性が求められるホワイトボディなど、主要構造部材の成形が可能であることが評価され、すでに欧米の自動車メーカーでの採用が確定している。今後はリサイクルされた炭素繊維材料を使用し、3分間で量産に向けた成形を実現するために開発を強化していく。

 帝人グループは、マルチマテリアルでのティア1サプライヤーとして、使用材料の拡充から部品設計にまで踏み込んでのソリューション提案力の強化や、グローバルでの安定供給体制の確立を進めていく。そして、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業の売上を20億ドル規模へと拡大していく考えだ。

デンカ xEV向け新放熱基板を開発、異種金属接合が可能

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2020年12月3日

 デンカは2日、電動車xEV向けの新たな放熱材料として異種金属接合が可能な窒化ホウ素(BN)樹脂複合基板を開発したと発表した。

BN 樹脂複合基板
BN 樹脂複合基板

 主にxEVなどに搭載されるモーター駆動インバーター制御用パワーモジュール(電力の制御・供給を行う電源回路集積部品)などに対応できる基板で、高機能セラミックスBNの優れた熱伝導性や電気絶縁性などの特長を生かしながら、接着性樹脂を複合させることで、従来の放熱基板では困難だった厚銅を含む異種金属の基板表裏への接合を実現した。様々な材料で構成されるパワーモジュールの小型・軽量化や熱伝導性の向上が期待される。要求特性に応じて、樹脂とBNの比率を変えて熱伝導率を調整できるため、多様な設計が可能になる。4日まで幕張メッセ(千葉市)で開催中の「高機能素材Week」で紹介する。

 同社は5GやxEVを中心に環境・エネルギー分野に注力し新素材の開発を進めており、新機能セラミックスやLCPフィルム、低誘電絶縁材料のほか、高耐熱フィルム、高耐熱仮固定接着剤、高熱伝導性フィラー(球状アルミナ、球状マグネシア、BN、窒化珪素)、誘電特性制御フィラー、アルミナ繊維、光透過性良触感起毛シートなども展示する。

東ソー 新型コロナウイルス抗体検出試薬の販売を開始

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2020年12月3日

 東ソーは2日、同社の全自動化学発光酵素免疫測定装置「AIA-CL2400」および同等機種向けの専用試薬として、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のヌクレオカプシドタンパク質に対する抗体を検出できる研究用試薬「NP-Total抗体試薬」「NP-IgG抗体試薬」2種の販売を始めたと発表した。

抗体検出試薬「NP-IgG」
抗体検出試薬「NP-IgG」

 両試薬とも試薬調製が不要なため、15分という短時間で結果報告が可能であることから、同社では「新型コロナウイルス感染症の基礎的、臨床的研究に貢献できる」との期待感を寄せている。

 同研究用試薬の開発は、日本医療研究開発機構(AMED)の令和2年度ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改良研究支援)の補助を受け、横浜市立大学、関東化学と共同で実施した。東ソーは現在、横浜市大をはじめ外部機関の協力を得て、「AIA-CL」装置向けの新型コロナウイルス抗原検査試薬の開発にも取り組んでおり、今後も研究現場と医療現場への貢献を目指していく。

昭和電工など 川崎市で「プラスチック資源循環」実証事業を開始

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2020年12月3日

マックの廃プラをCR・発電し、EVバイクで活用

 昭和電工と日本マクドナルド、川崎市の3者は、今月1日から、川崎市内のマクドナルド店舗から排出される使用済みプラスチックを昭和電工がクリーン水素へ再生し、マクドナルドのデリバリー用EVバイクに利用する「プラスチック資源循環」実証事業を開始した。実証期間は約1カ月間。

実証実験で水素化を担うKPRをバックに、(写真右から)昭和電工の栗山室長、川崎市の間島担当課長、日本マクドナルドの岩井マネジャー。中央はマックのEVバイク

 先月30日、昭和電工川崎事業所で開催された記者説明会で、同市臨海部国際戦略本部の間島哲也担当課長は

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BASF 新ペプチドが皮膚と毛髪を隠れ炎症から保護

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2020年12月2日

 BASFはこのほど、隠れ炎症(慢性的な微小炎症)による毛髪・皮膚のダメージに対し、安全で有効な天然由来成分「PeptAIde4.0」を上市すると発表した。炎症性メディエーターの放出を防ぐペプチドを人工知能により選別し、酵素による加水分解プロセスで有機米タンパク質から取り出して製品化した。

 炎症反応は重要な防御システムの1つだが、不健康な生活習慣で乱される。急性炎症は体の治癒を助け感染症を撃退するが、隠れ炎症は健康な細胞と戦い、病気を引き起こし体調悪化の原因となる。若い人では自覚はないものの、徐々に髪や皮膚に深いダメージを与えていく。

 「PeptAIde4.0」は4つの多機能植物由来のペプチドで、12~17個のアミノ酸で構成される。in silico予測と機械学習プラットフォームで何兆ものデータエントリを評価し、隠れ炎症に最も高い潜在的効果をもつ植物由来ペプチドを同定した。

 「PeptAIde4.0」の有効性は臨床試験で確認した。乾燥・かゆみ・不快症状のある足の皮膚あるいは腹部に28日間毎日2回ローションを塗布した試験では、各々1、2週間で肌の水分量やハリが増加、4週間で9、8割の被験者が肌のしっとり感や滑らかさ、肌の快適さの向上を実感した。

 敏感・かゆみのある頭皮を週3回3週間シャンプーした試験では、頭皮の赤みは9%減少し、頭皮のpHも有意に低下した。「PeptAIde4.0」は乾燥肌や不快感、ハリ不足を防ぎ、フケが出やすい敏感な頭皮の炎症を抑えることが実証された。

ダイセル こんにゃくセラミドの脳への移行性を確認

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2020年12月2日

 ダイセルはこのほど、北海道大学との共同研究により、同社の機能性食品素材である「こんにゃくセラミド」がマウスの試験を通じ、血液脳関門(BBB)を透過できるという成果を得たと発表した。

 両者は、2016年に同学内の「次世代物質生命科学研究センター」内に共同で設置した産業創出講座を中心に、「こんにゃくセラミド」がもつアルツハイマー病予防効果を研究してきた。こうした中、「こんにゃくセラミド」の主要成分である植物性セラミドをマウスに血中投与した際、BBBを透過して脳内へ蓄積することを実証した。

 アルツハイマー病の発症は、「アミロイドβペプチド」が脳内に過度に蓄積することが原因の1つとさる。「エクソソーム」という物質は、アミロイドβペプチドと結合し、これらを分解・除去することが明らかとなっている。「こんにゃくセラミド」は神経細胞のエクソソーム産生を促進し、アミロイドβペプチドの分解・除去する機能を増強。それによって脳内のアミロイドβペプチド濃度が低下することで、短期記憶の改善効果があることが示されている。

 今回は、これまで未解明だった、「こんにゃくセラミド」が体内吸収された後の植物性セラミドがBBBを透過して脳へ移行できるかどうかを明らかにするために、植物性セラミドのBBB透過性について培養細胞およびマウスを用いた研究を行った。

 今回の成果から、「こんにゃくセラミド」には、アルツハイマー病発症を防止できる可能性があり、今回の知見は新たな機能性食品や新薬開発に繋がることが考えられる。今後さらにヒト介入試験により「こんにゃくセラミド」の認知機能改善効果について検証していく予定だ。なお、この研究の成果は、今年11月公開の「PLOS ONE」誌に掲載されている。

 ダイセルは今後も、人々の「美と健康」に貢献する健康食品素材の開発を進めていく考えだ。

こんにゃくセラミド経口投与による認知症予防効果
こんにゃくセラミド経口投与による認知症予防効果

東亞合成 新規酸化セルロースを開発、CNF低コスト化へ

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2020年12月2日

 東亞合成はこのほど、東京大学大学院農学生命科学研究科の磯貝明特別教授のグループらとの共同研究により、低コストかつ分散や乳化などの工程でシングルナノセルロースにまで容易に解繊する(解きほぐす)ことが可能な新しい酸化セルロースを開発したと発表した。

穏やかな攪拌でナノセルロース化し、透明な水分散液になる
穏やかな攪拌でナノセルロース化し、透明な水分散液になる

 パルプなどを原料とし、高濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液による酸化反応で、非常に緩やかな撹拌混合エネルギーによってシングルナノセルロースにまで解繊される酸化セルロースを開発。顔料の分散や化粧品の乳化に使用される汎用的なホモミキサーで数分間攪拌するだけで、ナノ解繊が進み透明な水分散液となる。これにより、製造時や使用時に必要なエネルギーを大幅に抑えることができ、コストの削減とCO2削減を同時に達成した。

 脱炭素化社会の実現に貢献する素材として注目される非可食性バイオマス由来のセルロースナノファイバー(CNF)は、軽量性や強靭性、透明性をもつ素材として、自動車部材などの高機能材料への応用も加速している。一方で、木材などから得られるセルロース繊維を、毛髪の1万分の1の細さに相当するシングルナノセルロースまで解繊するには多大なエネルギーが必要であり、CO2負荷が大きくなるとともに製造コストがかさむことから、CNFの優れた特性を生かした実用例が少ないのが現状だ。

 こうした背景の中で、東亞合成では解繊に必要なエネルギーの低減と低コスト化を目指してきた。今後は、既存のCNFと比べて5分の1程度の販売価格を目標にコストダウンと量産化の検討を進め、早期事業化を図る考えだ。次亜塩素酸ナトリウムを製造・販売する同社のリソースを最大限生かし、輸送方法も含めたCNFの新しい利用方法を提案していくとともに、さらに用途開発を進め、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する製品として、バイオ資源の有効活用とCO2削減を目的とした環境に優しい新しい材料を世の中へ提供していく。

旭化成ファーマ 骨粗しょう症の疾患啓発活動を始動

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2020年12月2日

 旭化成ファーマは1日、骨粗しょう症の疾患啓発活動として「骨検(ほねけん)―骨にも検診プロジェクト―」を開始すると発表した。

 同プロジェクトは、骨粗しょう症が患者自身や家族に及ぼす影響を1人でも多くの人々に正しく理解してもらい、少しでも骨粗しょう症が疑われる場合には、骨粗しょう症の検査(DXA検査)が受診できる医療機関に足を運んでもらうきっかけになることを主な目的とした、骨粗しょう症の疾患啓発に特化した活動になる。同プロジェクトの取り組みの一環として、同日に一般に向けて骨粗しょう症に関する基本的な情報をわかりやすく解説した専用ウェブサイト(https://honeken.jp/)を開設した。

 日本の骨粗しょう症患者はおよそ1280万人いると言われているが、同疾患は痛みなどの自覚症状がないことも多く、骨折するまで気づかないというケースが少なくない。

 旭化成ファーマは、そのような現状の改善を目的に疾患啓発活動を行い、骨粗しょう症に関する正しい情報を提供することで、疾患に対するリスクや理解を促していく考えだ。

三菱ケミカル シリコーンゴムフィルムの高耐熱グレードを開発

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2020年12月2日

 三菱ケミカルは1日、シリコーンゴムフィルム「珪樹」について、従来グレードよりも耐熱性を高めた新グレードを開発したと発表した。幕張メッセで開催される「高機能フィルム展」(2~4日)で正式に紹介する予定。

シリコーンゴムフィルム
シリコーンゴムフィルム

 「珪樹」は、独自の加工技術により生まれたフィルム状のシリコーンゴムで、薄膜かつ膜厚精度が高いという特徴をもつ。加えて、ポリエステルフィルムをはじめ異種材料との積層や表面加工が可能であり、産業機器向け部材や工程部材として長年にわたり顧客から評価を得ている。

 今回開発した高耐熱グレードは、近年の各種電子機器の小型集積化や熱マネジメントの要求に伴い、高温プロセスを検討している顧客のニーズに対応した新グレード。耐熱性を高めたシリコーンゴムと耐熱基材の2層構造であり、総厚50~500㎛の極薄ながら300℃環境下で繰り返し使用することができる。シリコーンゴムの特徴である緩衝性、離型性は生かしつつ、耐熱基材をもつことでハンドリング性の向上や応力下の横ずれ防止効果が期待でき、従来グレードと同様に顧客の要望に応じて厚さやゴム硬度の調整も対応可能だ。

 同社は今後も、ますます多様化・高度化する顧客ニーズに応じるために、シリコーンゴムフィルムの研究開発を一層推進し、ラインアップの拡充に努めていく考えだ。