ヘンケル 高速塗布・高熱伝導液状ギャップフィラーを発売

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2020年6月26日

 ドイツ・ヘンケルはこのほど、サーマルインターフェース材料(TIM)の新製品「BERGQUIST GAP FILLER TGF 7000」を上市した。

 この液状TIMは、7.0W/mKの高熱伝導率と最大吐出量18g/秒の高塗布速度を両立。優れたスループット性は、最近の小型・高出力設計に対応して大量生産、信頼性、高熱伝導率が必要とされる自動車ADAS(先進運転支援)システム、電力変換(パワーコンバージョン)システム、電動ポンプ、ECU(エンジン制御)などの用途に最適だ。

 一般に熱伝導率の高い液状材料は、塗布装置の詰まり、ケーキング、沈殿、分離が起きやすく、塗布速度と高熱伝導率のバランスがポイントとなる。新製品は、2液混合型シリコーン樹脂系の熱伝導性ギャップ充填材料で、これら問題が発生しにくい配合設計。塗布後に室温で硬化するが、硬化後も柔らかく部品への負荷は抑えられ、応力の発生を低減する。低分子シロキサンの揮発量は300㏙で、様々な基板や光学部品にも対応可能。さらに貯蔵安定性や扱いやすさも、リスクの低いロジスティクスに有利だ。

 様々な環境・負荷状況下での放熱性能は、試験会社で評価しており、解析結果は、製品設計コンセプト、試験方法、熱特性や機械特性などの詳細情報とともに、6月30日にオンライン・ウェビナー(英語のみ)で公開する予定となっている。

 フォルムと機能が本質的にリンクする次世代自動車設計では、大電流・大電力部品による車体の軽量化、スマート化、洗練化が進む。ヘンケルは、新しいギャップフィラーによる効果的な熱制御ソリューションを通じて、こうした進化の実現に貢献していく考えだ。

ダウ GHG削減とプラごみ問題根絶、新たな目標を発表

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2020年6月26日

 ダウはこのほど、世界で最もイノベーティブで顧客本位であり、インクルーシブかつ持続可能な素材科学企業になることを目指し、気候変動とプラスチックごみの問題に対処するための新たな目標を発表した。

 2025年サステナビリティゴールに基づく、新たな持続可能性目標として、①気候の保護:2030年までに年間炭素排出量を正味500万t、2020年比15%削減。パリ協定に沿って、2050年までにカーボンニュートラルを達成する、②廃棄物の根絶:2030年までに、100万tのプラスチック回収・再使用・リサイクルを実現する、③循環経済:2035年までに、包装用途の全製品を、再利用可能またはリサイクル可能にする―を設定している。

 同社の取り組みとして、プラごみ問題では、環境への廃棄物の流出を根絶し、循環型経済に向けて材料科学業界をリードするという明確な目標に基づいた投資とコラボレーション活動に注力。これには、廃棄プラスチックをなくすための国際アライアンス「AEPW」への参画や、サーキュレート・キャピタルへの投資が含まれる。

 一方、気候変動の問題では、最終的に世界の温室効果ガス(GHG)排出を削減できる、低炭素製品や技術の開発・商品化を促進。企業がGHG削減の説明責任を果たせるように、主要な大学やNGO、監査専門家、技術パートナー、業界関係者と協力しており、今年後半にはこの協力に関する詳細な情報を提供する予定だ。

 なお、同社は、17年連続となる2019年度「サステナビリティリポート」を発行し、2025年サステナビリティゴールに向けた進捗と結果を報告している。

 

日本ゼオン 電子線レジストが「半導体オブザイヤー」優秀賞

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2020年6月26日

 日本ゼオンは25日、同社が開発した次世代電子部品向けポジ型電子線レジストが、「半導体・オブ・ザ・イヤー2020」(電子デバイス産業新聞主催)の半導体電子材料部門で優秀賞を受賞したと発表した。1994年から毎年開催されている「半導体・オブ・ザ・イヤー」は、IT産業を支える最先端の製品・技術を表彰し、半導体業界のさらなる発展に寄与することを目的としている。

走査型電子顕微鏡による上面観察写真(hp 17nm L/S)
走査型電子顕微鏡による上面観察写真(hp 17nm L/S)

 今回、受賞対象となった日本ゼオンの電子線レジスト「ZEP530A」は、従来品より優れた解像度に加え、ドライエッチング耐性や広いプロセスマージンを有しており、薄膜化により、ハーフピッチ(hp)17㎚のレジストパターンの解像が確認されている。同社は、主鎖切断型のポジ型電子線レジストの「ZEP」シリーズを国内外に展開。次世代電子部品向けに開発し、昨年上市した「ZEP530A」は、5G時代の本格的な到来を前に、すでに量産が開始されており、顧客から高い評価を得ている。

 日本ゼオングループは今後も、独自で培った技術をさらに発展させながら、新たな時代のニーズに応えられるよう努めていく考えだ。なお、授賞式・表彰式は例年、JPCA Show(電子機器トータルソリューション展)会場内で開催されているが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され中止となっている。

クラレ 米カルゴン社が活性炭設備を増設、年産2万5000t

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2020年6月26日

 クラレは25日、米国子会社のカルゴン・カーボン社が、同社ミシシッピ州パールリバー工場に、瀝青炭ベース活性炭の生産設備を増設すると発表した。活性炭の世界的な需要拡大に対応するため。生産能力は年産2万5000t。2022年末の稼働を予定する。投資金額は約1億8500万ドル(=約198億円)。

 活性炭は、瀝青炭やヤシ殻などを原材料として加工した、表面に微細孔を持つ炭素材料で、微細孔の大きさや形状によって様々な用途に使用されている。カルゴン社はクラレが2018年に買収した瀝青炭ベース活性炭のグローバルトップメーカーであり、使用済み活性炭の再生事業でも、世界有数の地位を占めている。

 活性炭は近年、水・大気の浄化など環境関連用途で広く使用されており、特に米国では水質汚染物質の除去など飲料水分野で需要が拡大。今回決定した生産設備の増設により、グローバルに安定した活性炭の供給体制を拡充するとともに、環境問題へのソリューションを提供していく考えだ。

 クラレグループは、創立100周年を迎える2026年のありたい姿「独自の技術に新たな要素を取り込み、持続的に成長するスペシャリティ化学企業」を長期ビジョンに掲げ、その実現に向けた中期経営計画「PROUD 2020」(2018~20年度)を推進する。

 炭素材料事業では、クラレの炭素材料事業部とカルゴン社の統合プロセスを推進し、両社それぞれが持つ技術や用途開発力の融合によるイノベーションの創出など、さらなるビジネスの拡大を目指す方針。今後も将来の安定した事業ポートフォリオ構築を図り、成長事業への投資を継続して実施していく。

カルゴン・カーボン社の米国ミシシッピ州 パールリバー工場
カルゴン・カーボン社の米国ミシシッピ州 パールリバー工場

産総研など コロナ対策関連のAI情報をウェブで公開

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2020年6月25日

 産業技術総合研究所(産総研)、理化学研究所(理研)、情報通信研究機構(NICT)はこのほど、昨年12月に設立した「人工知能研究開発ネットワーク(AI Japan)」の会員数が100を超えたこともあり、ウェブサイトを開設・公開した。

 同ネットワークは、人工知能(AI)の研究開発に関する統合的・統一的な情報発信やAI研究者間の意見交換の推進などを目的とし、AIに係る研究開発などに積極的に取り組む大学・公的研究機関を対象に会員募集を進めていた。同ウェブサイトでは、日本のAI研究開発に関する情報の集約化を図り、各会員のAI研究開発に係るプレスリリースやイベントなどの最新トピック紹介など、一元的な情報発信を行う。

 第1弾として、会員大学・公的研究機関およびその研究者による「新型コロナウイルス感染症対策関連に係るAIを活用した取り組み」を公開した。AIは治療薬開発、感染シミュレーション、遠隔環境整備など、新型コロナ感染症対策に広範に貢献できる技術。会員に対してAIを活用した取り組みを調査し、登録された23大学・公的研究機関から69件の活動が登録された。

 今後も、ウェブサイトを通してAIの研究開発に係る統合的・統一的な情報発信に取り組んでいく。詳細はウェブサイト(https://www.ai-japan.go.jp/)に掲載。

 

コベストロ サーキュラーエコノミーへの移行を加速

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2020年6月25日

 独コベストロは、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を持続可能な世界のモデルにするため、総力を挙げて取り組んでいる。

 素材メーカーとして製造・製品レベルだけでなく、サプライチェーン全体にサーキュラリティ(循環性)というコンセプトを取り入れ、様々な計画やプロジェクトによって段階的に実現していく方針だ。特に化学・プラスチック産業でのサーキュラーエコノミーへの移行を加速させ、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするような経済の実現を目指す。

 同社は、2019年から全社を挙げた戦略プログラムを進め、「代替原料」「革新的なリサイクル」「共通のソリューション」「再生可能エネルギー」の4分野に注力。全世界の生産設備で代替原料や再生可能エネルギーの利用を計画し、20以上のプロジェクトでリサイクル向上の方法を研究している。さらに、価値を創出するすべてのサイクルについて、パートナーと協力し新たなビジネス関係の構築を図っている。

 代替原料では、バイオベース原料の自動車・家具用塗料への応用、CO2由来素材のマットレス、スポーツグラウンド、繊維への使用がある。リサイクルでは、特にケミカルリサイクルに大きなポテンシャルがあるとし、プラスチックの分子レベルでの変換・再利用の研究を推進。社会共通のソリューションでは、業界を超えたコラボレーション、ブロックチェーン技術によるサプライチェーンの透明化や、廃棄プラ削減の国際アライアンス「AEPW」の一員としての使用済みプラの処分方法の啓蒙、などを行っている。再生可能エネルギーについても、ドイツ国内プラントの消費電力の大部分を、2025年よりデンマーク・オーステッド社の風力発電所から調達する予定だ。

 マーカス・スタイレマンCEOは、「プラスチックを地球環境に流出させてはならない。プラスチックは捨ててしまうにはもったいなく、高い価値がある。再生可能資源として利用可能であると理解した上で使用する必要がある」と強調した。

ランクセス コロナ特別措置の段階的解除と新勤務様式へ

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2020年6月25日

 ランクセスの日本法人は、国内の新型コロナウイルス感染の減少傾向を受け、6月1日より感染防止対策を継続した上での段階的な緩和措置を開始した。

 同社は、2月25日より国内3事業所で在宅勤務を含む特別対応措置を実施していた。今回の緩和措置は、新たな就業規定と感染防止の行動指針により構成。第1段階は、在宅勤務を継続しながら感染状況を注視し、第2段階以降は、出社人数を制限しながら適宜オフィス勤務を可能にする。最終段階として、今後数週間~数カ月間の感染状況を見ながら、柔軟性のある働き方の仕組み作りを進め、持続可能な新しい勤務様式へと移行していく考えだ。張谷廷河社長は「従業員、パートナー企業の安全確保を最優先事項とし、新型コロナウイルス感染症の防止に努め、持続可能な社会を目指す新たな共通課題に取り組む」と述べた。

 一方、同社は、コロナ禍による対外的な支援にも注力。このほど、コロナ禍の影響を受ける国内の子どもたちを支援した。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの新型コロナウイルス緊急支援プログラムに賛同し、4~5月にかけて従業員募金と寄付マッチングプログラムを実施。このプログラムには、全国の放課後児童クラブ(学童保育)を対象とした活動金支援や、健康・衛生指導員へのオンライン相談、東京都23区内のひとり親家庭への応援ボックス提供などが含まれている。

 また、ドイツ・ランクセスは、世界各国で新型コロナ感染防止に取り組み、4月には世界13カ国(欧州6、アジア4ほか)の病院、関係当局、公共機関への消毒剤「Rely+On Virkon」の寄付を発表。2月には、中国・武漢市と周辺地域の病院に合計1tの殺菌剤を寄付した。同社は今後も、社会、取引先、従業員への責任を果たすため、コロナ対策に真摯に取り組む考えだ。

 

日本ゼオン 非対称SIS研究成果、日本接着学会の技術賞に

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2020年6月25日

 日本ゼオンはこのほど、同社が開発を進める非対称SIS(スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体)の研究成果が、「2020年度日本接着学会技術賞」を受賞したと発表した。独自に開発した技術により、ラベル用ホットメルト粘着剤の機能向上を実現し、その工業的価値の向上に貢献したことが評価された。

 なお研究題目は「新規なブロック構造により高速ダイカット性を実現したSIS系ホットメルト粘着剤」。非対称SISとは、スチレンとイソプレンの熱可塑性ブロック共重合体であるSISの両末端スチレンブロックに意図的に非対称な構造を持たせ、そこに対称な低スチレン比率の対称スチレンブロックを混在させることで、高スチレン含有量ながらスフィア構造という特異な相構造を持たせた同社独自開発のポリマー。近年、主に紙おむつ用の伸縮材料(エラスティックフィルム)の素材として需要が拡大しているが、「スチレン含有量が高くて柔らかい」というユニークな性能に着目し、これまでSISが使われてきた諸用途について技術課題解決の可能性を追求してきた。

 今回、受賞対象となった研究は、非対称SISの粘着ラベルへの応用に関するもの。有機溶剤を使わない粘着ラベルには「ホットメルト型」と「アクリルエマルジョン型」の2タイプがある。

 日本では「アクリルエマルジョン型」が主流だが、世界市場では、塗工ラインスピードの速さ、被着体選択性の広さ、低温タックの出しやすさに優れる「ホットメルト型」も大きく成長。ホットメルトのベースポリマーには主にSISが使われるが、従来のSISは粘着物性に優れる一方、粘着ラベル用途では高速での打ち抜き加工性(ダイカット性)と、配合される軟化剤の染み出しが長年の課題だった。

 こうした中、同社は、非対称SISの技術を深化させ課題の解決に取り組んだ結果、良好な粘着物性を保持しつつ、高速ダイカット性および軟化剤の耐染み出し性(オイル保持性)をも両立させることに成功。また、ダイカット工程の粘着剤研究では、これまでは実際の工程試験での確認が一般的だったが、代用評価方法を確立したことが早期開発に寄与し、今後のラベル用粘着剤のさらなる付加価値向上も期待されている。

 同社グループは今後も、独創的技術をより一層磨き上げながら、新たな時代のニーズに応えるよう努めていく方針だ。

 

JEPSA リサイクル率89.5%、埋立処理が増加

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2020年6月25日

 発泡スチロール協会(JEPSA)は24日、2020年記者発表会を開催した。

青井新会長 中面
青井新会長

 今年度から就任した青井郁夫会長(カネカ常務執行役員)が挨拶に立ち、「政府から『プラスチック資源循環戦略』と『海洋プラスチックごみ対策アクションプラン』などが公表され、社会からもプラスチックの資源循環が大きく注目されている。また、コロナ禍でオリンピック・パラリンピックが延期になるなど、世界経済に及ぼす影響はリーマンショック以上といわれている。こうした中、発泡スチロール(EPS)の用途の創出・拡大は例年以上に重要な課題だ」との認識を示した。

 続いて2019年のEPS業界の概略を説明。昨年の出荷実績は前年比2%減の12万8000tとなった。青井会長は「合計では減少したが、 “JEPSA リサイクル率89.5%、埋立処理が増加” の続きを読む

産総研 衛星データを活用、全球地表面のカラーレーダー画像を公開

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2020年6月24日

 産業技術総合研究所(産総研)人工知能研究センターと産総研・東工大実社会ビッグデータ活用オープンイノベーションラボラトリは、地球観測衛星が取得したビッグデータを、産総研が保有する人工知能処理向け計算機ABCIを利用し画像処理することで、全世界を対象に地表面の状態を色分けしたカラーレーダー画像を作成した。その画像を専用サイト(https://gsrt.airc.aist.go.jp/landbrowser/index.html)で公開している。

 従来の衛星運用システムでは、計算能力の不足から衛星データは部分的に画像処理されるだけで、タイムリーな利用がなされていなかった。今回、ABCIを用いて、2011年までの衛星マイクロ波センサーPALSAR運用期間中の全データ(約200万シーン、700TB)の画像処理を行い、処理時間や画像品質上の実用性を評価。さらに、地表面状態の詳細な解析のために4偏波モードで取得したデータに散乱電力分解を施し、地表面を状態に応じて色分けした。     

ABCI上でのレーダー画像のカラー化
ABCI上でのレーダー画像のカラー化

 例えば、体積散乱が多い森林部分は緑色、表面散乱が見られる伐採地は青色、伐採後に草木が成長すると2回反射散乱を示す赤色といった具合に、広範囲な地表面の時系列変化が容易にわかるように処理した。

 今後、増え続ける衛星データに対し、ABIC上での衛星ビッグデータ処理を各衛星データへ拡大し、他の衛星データプラットフォームと連携させて、衛星能力をフル活用できる仕組みを構築する。さらに、種々の衛星データ(光学センサー、マイクロ波センサー、ハイパースペクトルセンサーなど)を統合的に分析し全球の変化を効率的に捉えるためのフレームワーク構築を目指す考えだ。

 なお、専用サイトの処理画像は、誰もが無償で加工・編集・再配布などが可能なオープン&フリーポリシーで公開。産総研では、衛星データ利活用への参入障壁を低減することで、産業界での新たな衛星データ利用の促進やグローバル観測という衛星観測の利点を生かした、違法森林伐採や食糧生産管理といった地球規模の社会課題解決への貢献を期待している。

南米での森林伐採の様子を色の推移で示す
南米での森林伐採の様子を色の推移で示す