日本化学会 新会長候補に東大教授の菅裕明氏を内定

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2021年5月17日

 日本化学会はこのほど、2022~2023年度の会長候補として東京大学教授の菅裕明氏を内定したと発表した。来年の定時社員総会で理事に選任され、その後の理事会で会長に選任される予定。 

次期会長に内定した菅教授
次期会長に内定した菅教授

 菅氏は米国マサチューセッツ工科大学化学科を卒業後、同大学の博士研究員をはじめバッファロー大学のアソシエイト・プロフェッサーなどを歴任。現在は東京大学大学院理学系研究科化学専攻・教授を務めている。またアントレプレナー(起業家)としても、ペプチドリーム社やミラバイオロジクス社の創業にも携わっている。専門分野は有機化学、生物有機化学、ケミカルバイオロジー。

 会長としての抱負について菅氏は「日本化学会は、これまでの活動をさらに強化し、アカデミア研究の国際的競争力の向上に尽力することはもちろんのこと、公益社団法人として産業変革を先導できる人材輩出と産学連携・イノベーションを起こす『きっかけの場』を担う組織にして、世界に誇れる化学会にしたい」と述べている。

ENEOS MIの合弁会社を設立へ、新物質開発など支援

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2021年5月17日

 ENEOSはこのほど、新物質開発・材料探索を加速する高速の汎用原子レベルシミュレータを提供する合弁会社の設立について、Preferred Networks(PFN)と合意したと発表した。出資比率はPFN:51%、ENEOS:49%。

汎用原子レベルシミュレータで計算された触媒表面の例
汎用原子レベルシミュレータで計算された触媒表面の例

 両社は2019年度に戦略的な協業体制の構築に合意しており、AI技術を活用したマテリアルズインフォマティクス(MI)分野での革新的事業創出を検討してきた。新会社では、今夏をめどに、両社の知見をもとに開発した高速の汎用原子レベルシミュレータをクラウドサービスとして提供していく予定だ。

 両社は今回、材料探索技術の高速化と汎用性向上を実現するため、従来の物理シミュレータに深層学習モデルを組み込み、原子レベルで材料を再現することで大規模な材料探索を行える汎用原子レベルシミュレータを開発。深層学習モデルの訓練には、スーパーコンピュータを使って物理シミュレーションした膨大な量の原子構造データを使用している。これにより、計算スピードは従来の数万倍に高速化するとともに、領域を限定しない様々な物質に適用可能な汎用性を実現した。

 同協業では、MIのコア技術となる汎用原子レベルシミュレータを提供することにより、様々な材料開発分野での革新的な素材開発を加速させ、イノベーション創出・実現に貢献していく考えだ。

エレファンテック レーザー併用しFPC微細加工を開発

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2021年5月17日

 プリンテッド・エレクトロニクス製造技術の開発やサービス提供を行うエレファンテックはこのほど、レーザー加工とインクジェット技術を併用した片面フレキシブル基板(FPC)の配線パターンの微細加工技術を開発し、同技術により生産する「P-Flex PI」の受注を開始した。この技術は、NEDO助成事業の成果の一部を活用したもの。

今回受注を開始する100/100μmの「P-Flex PI」

 同製品の大きな特長は3つ。①同社主力製品の片面FPC「P-Flex」と同様にインクジェット技術をベースにした製法のため、環境負荷が低く、柔軟な試作・量産への対応が可能で、高いコスト競争力を維持できる。また、②レーザー技術の活用によって、最小線幅/線間(L/S)が従来の200/200㎛から、100/100㎛まで対応可能になり、さらに今後は、50/50㎛にも対応していく予定だ。加えて、③「インクジェットによるパターンの大枠形成」と「レーザー加工による最終仕上げ」と2つの技術を組み合わせることにより、従来のレーザーの弱点であったスピードを克服し、量産性と微細化の両方を実現した。

『P-Flex PI』のインクジェットとレーザーの併用のイメージ
「P-Flex PI」のインクジェットとレーザーの併用のイメージ

 具体的な工法としては、インクジェットにより銀ナノ粒子を印刷したあと、レーザー加工で一部の銀ナノ粒子を削り飛ばし、銀ナノ粒子をシード層として無電解銅めっきによって配線を形成するというもの。これまでもレーザー加工で配線パターンを形成する方法は考案されていたが、加工時間が問題となり量産には不向きな製法であると考えられていた。今回、同社のもつ高精度なインクジェット印刷技術とレーザー加工組み合わせ、インクジェット印刷技術で精度が足りない部分のみレーザーで追加工する方式によって、量産性を損なうことなく、また、版や型を使わない利点も維持したまま、より高精細なパターン形成が可能になった。

 IoTやAIのニーズが高まる中、より一層微細化に対応したフレキシブル基板が求められている。こうしたニーズに応えるため、同社ではインクジェット技術を軸に「P-Flex」の改良を重ね、その微細化対応を加速させるためにレーザー技術を活用した製品を新たにラインアップに加えた。

三井化学 市原工場で「ルーカント」新設備が営業運転

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2021年5月13日

 三井化学は12日、市原工場(千葉県市原市)内に炭化水素系合成油「ルーカント」の新プラント(年産2万t)を建設し、4月から営業運転を開始したと発表した。これにより、岩国大竹工場(山口県和木町)と市原工場の2拠点供給体制となり、世界の旺盛な需要に対応するとともに不測の事態の事業継続性を強化する。

市原工場で営業運転を開始した「ルーカント」 新プラント

 「ルーカント」は、同社が世界で初めて商品化した高性能炭化水素系合成油。粘度の温度依存性が小さく、剪断安定性・熱化学的安定性に優れているなどの特長をもつ。それらの特長から、極めて高品質が求められる自動車ドライブラインのギア油、工業用潤滑油やグリースなどの粘度調整剤として採用。主要な自動車メーカーや潤滑油メーカーに認証されており、低環境負荷ニーズの高まりの中、省燃費や長寿命に貢献するものとして世界的に需要の増大が見込まれている。

 三井化学は、潤滑油添加剤パッケージ最大手のルーブリゾールとの戦略提携を行っており、両社で潤滑油市場での「ルーカント」事業のさらなる拡大と成長を図る。また、三井化学独自の取り組みとして、エラストマー、エンプラ改質用途など、機能性液状ポリマーとしての積極的な市場・用途開発に取り組んでいく考えだ。

石化協 2月エチレン換算輸出入は10万8900tの出超

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2021年5月12日

 石油化学工業協会が発表したエチレン換算輸出入実績によると、2月は10万8900tの出超となった。エチレン換算輸出は前年同月比3.6%減の16万9700tとなり、7カ月ぶりにマイナスとなった。

 主要品目では、

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住友化学 為替リスクヘッジの業務効率化、デジタル技術活用

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2021年5月11日

 住友化学は10日、為替リスクヘッジに関わる業務の効率化を目的に、為替先物予約の電子取引プラットフォーム「リフィニティブ FXall」、および金融機関ごとに行われていた資金決済を一行にまとめる「CLS決済」を導入したと発表した。

 リフィニティブ社が提供する「FXall」は、為替先物予約の締結において、複数金融機関が提示する条件の比較から、予約締結および書面確認までの一連の作業を全てオンライン上で実行できる電子取引プラットフォーム。同システムの導入により、予約条件の改善や業務効率の向上、ペーパーレスを実現する。

 一方、CLS銀行が提供するCLS決済は、主に銀行間の為替取引における決済リスク削減や資金効率改善を目的に利用されている決済方法。今回、為替先物予約の資金決済において、三井住友銀行の「CLSサードパーティサービス」を通じてCLS決済を利用。資金決済の窓口を一行にまとめることで、決済件数の削減をはじめとする業務プロセスの簡略化を図る。

 住友化学は、これらのシステム導入に伴い、これまで事業部ごとに行っていた為替リスク管理業務を財務部に集約。為替リスクヘッジ比率の向上を図るとともに、業務の抜本的な効率化を進める。

為替先物予約における資金決済の流れ
為替先物予約における資金決済の流れ

 

三菱ケミカル 速硬化型炭素繊維プリプレグを販売、1分で硬化

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2021年5月11日

 三菱ケミカルは10日、従来品より硬化時間を大幅に短縮した、 最短1分で硬化可能な速硬化型の炭素繊維プリプレグの販売を4月から開始したと発表した。

 航空機や自動車などのモビリティ用途では、環境規制などを背景に機体車体の軽量化要求が高まっており、軽さと強度を兼ね備える炭素繊維複合材料(CFRP)の利用が進む見込み。また、今後普及すると見られるウェアラブル端末向けにも、CFRPが有望視されている。

 一方、一般的にCFRPの成形加工は時間がかかるため、CFRPのさらなる普及には、生産性を向上させる技術が求められている。同プリプレグは、同社が独自に開発したマトリックス樹脂を適用することにより、これまで実現が難しかった、最短1分での速硬化性と、従来品と同レベルの保存安定性を両立。自動車部材に要求される耐熱性も兼ね備えており、高い機械的強度ももつ。既にサンプルワークを進め、一部製品での採用も決まっている。

 同社は、多様化・高度化する顧客の要望に応える複数の新製品の開発を進めており、今後も引き続き、最適なソリューションをタイムリーに提供することで、積極的に事業を展開していく。

速硬化CFRPプリプレグ 硬化時間
速硬化CFRPプリプレグ 硬化時間

アジア石化市況 エチレンはスプレッド500ドル台

2021年5月11日

ベンゼン再び上昇基調、スチレンモノマーは反落

 アジア地域の4月第2週の石化市況では、エチレンは前週比15ドル高の1070ドル/tでの取引となった。アジア地域で各クラッカーが定修に入ることもあり、先高観から2週連続の上昇となっている。スプレッドについても、

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