経産省 石化製品生産能力を調査、ポリプロピレンが増加

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2020年4月27日

 経済産業省はこのほど、2019年12月末時点での主要石化製品および芳香族製品の生産能力調査結果を発表した。

 エチレンの生産能力(定修年)は、前年並みの年産616万2000tとなった。国内のエチレンの需給バランスはウェルバランスを継続しており、2019年の稼働率は平均95.4%とフル稼働となっている。しかし、今年に入り1月は91.0%に低下。2月は95.0%とフル稼働に戻したものの、3月は一転して88.7%と好不調の節目となる90%稼働を大きく割り込んだ。定修要因に加え事業環境の悪化が影響しており、4月以降の稼働率が注目される。

 汎用石化品については、設備の老朽化対策による新設備の稼働や、生産停止の動きが見られた。ポリプロピレン(PP)では、日本ポリプロが建設を進めていた五井の設備(15万t)が稼働を開始したことで、PPの生産能力は290万9千tに増加した。また、芳香族ではJXTG室蘭製油所の石油・石化製品の生産停止によりベンゼン・トルエン・キシレンが減少している。

 2020年については、先行き不透明感が強まっている。新型コロナウイルスの感染拡大により国内景気の下振れリスクが高まり、また輸出先であるアジア市場も原油・ナフサ安に連動し市況低迷が続く。需要の減少から誘導品の在庫が高水準となっており、国内石化メーカー各社の今後の対応に注目が集まっている。

経産省 令和元年実績経産省 ポリエチレン各社別生産能力経産省 令和元年実績 ②経産省BTX パラキシレン経産省

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石化協 3月の稼働率は大幅低下の88.7%に

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2020年4月24日

エチレン生産も2桁減、汎用樹脂は消費が弱含み

 石油化学工業協会が23日に発表した主要石化製品18品目生産実績によると、3月のエチレンをはじめ各誘導品の生産は、大幅に落ち込む結果となった。春の定修期に入り2プラントが停止したことに加え、事業環境の悪化から稼働率を落としたことが響いている。

 エチレン生産は前年同月比19.3%減の45万3600tと2カ月ぶりにマイナスとなり、稼働プラントの平均稼働率は88.7%となった。稼働率が好不調の節目となる90%を下回ったのは、

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富士通 高熱伝導CNT接着シートを開発、放熱材実用化へ

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2020年4月24日

 富士通はこのほど、同社グループの研究開発の子会社「富士通研究所」が、最高で100w/mk(ワット/メートル・ケルビン)と極めて高い熱伝導性を持つカーボンナノチューブ(CNT)から構成された接着シートを世界で初めて開発したと発表した。

カーボンナノチューブ接着シート 
カーボンナノチューブ接着シート

 グローバルで実用化が進むEVは、ガソリン車よりも高コストかつ走行距離が十分でないことが普及のネックとなっている。

 EVに装備されているパワーモジュールには、長い航続距離のニーズから消費電力の低減が求められており、近年は、EV向けモジュールの小型化・軽量化・低消費電力化や、低コスト化が実現可能なシリコンカーバイド(SiC)やガリウムナイトライド(GaN)をシリコンの代替素材として適用した半導体素子の開発が進む。しかし、モジュール小型化に伴い、放熱材料や接合材料などの部品にもこれまで以上の高温耐性や高熱伝導性が求められている状況だ。

 一方、CNTは、高い熱伝導性を持つため、半導体素子などの熱源から熱を逃がすための放熱材料として活用が期待されているが、形状が崩れやすく扱いが困難なため、実用化には使いやすさの点で課題があった。

 そうした中、同社は、垂直方向に並んだCNTを本来の特徴である高い熱伝導性と柔軟性を損なうことなく、配列を保持したままラミネート加工する技術と、十分な接着性を保持したまま接合する技術により高熱伝導CNT接着シートを開発。インジウムを原料とする放熱材料(インジウムシート)と界面抵抗も含めた実測値により比較した結果、最大で3倍の熱伝導率を確認した。

カーボンナノチューブ接着シート
カーボンナノチューブ接着シート

 また、同シートは、接着層および保護層と一体でラミネート化されているため、容易に裁断加工やハンドリングが可能となるとともに、接着を必要とする用途への展開が可能となる。これらの技術により、EV向けの車載パワーモジュールをはじめとする、CNTの放熱材料としての実用化が可能となる。

 同社は、CNT接着シートの使用を材料メーカーなどへライセンスしていくことで実用化を目指す方針だ。

宇部興産 「アビガン」中間体の緊急製造・供給開始へ

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2020年4月24日

 宇部興産はこのほど、宇部ケミカル工場(山口県宇部市)内の医薬品工場で、富士フイルム富山化学が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)の原薬主骨格を成す重要な中間体の製造と供給を開始すると発表した。

アビガンの中間体等を製造する宇部興産医薬品工場
アビガンの中間体等を製造する宇部興産医薬品工場

 「アビガン」は現在世界で蔓延する新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)に対する効果が期待されており、日本国政府も同剤の治験および承認手続きの早期推進と、日本国内での生産体制の構築を進めている。

 宇部興産はグローバルに医薬品の原体・中間体製造を展開しており、抗インフルエンザウイルス薬としての「アビガン」中間体の製造と供給に実績を持つ。今回、サプライチェーン各社と協力することで、COVID‐19の罹患者へより早期の「アビガン」提供に貢献できるよう、現在、緊急製造開始に向けて準備を進めている。

 同社は創業の精神である「共存同栄」の観点に立ち、この要請に応え、社会に対する企業使命を果たしていく考えだ。

石化協 MMAモノマー、3月の国内出荷は7%増

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2020年4月24日

 石油化学工業協会が23日に発表した3月のMMA(メタクリル酸メチル)の需給実績によると、モノマーの国内出荷は前年同月比76%増の1万1131t。ポリマーの国内出荷は、押出板・注型板向けが同24%減の2008t、成形材料向けは同5%減の4780tだった。輸出はモノマーが同51%減の5715t、ポリマーの押出板・注型板向けが同50%減の65t、成形材料向けは同7%減の3289tとなっている。

石化協MMA3月、1-3月

 

 

塩ビ樹脂 2019年度の国内出荷は下期陰り2%減

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2020年4月23日

需要期待値は前年並みも、コロナが下振れ要因に

 塩ビ工業・環境協会(VEC)がこのほど発表した需給実績によると、2019年度(19年4月~20年3月)の塩ビ樹脂(PVC)の国内出荷は、前年を2万5000t下回り、前年度比2%減の101万9000tとなった。上期(4-9月期)は好調だった前年度の勢いを維持し、高水準の出荷が続いたものの、下期(10-3月期)に入り陰りが見え始め、10月以降は前年を割り込む月が続いた。

 横田浩会長(トクヤマ社長)は20日に、19年度の出荷実績を総括するコメントを発表。昨年の度重なる自然災害などの影響に触れ、

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三井化学 仏社サステナビリティ評価でゴールド格付け

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2020年4月23日

 三井化学はこのほど、仏エコバディス社(EcoVadis)のサステナビリティ評価で「ゴールド」に格付けされたと発表した。「ゴールド」に格付けされるのは、全評価対象の上位5%の企業。「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な資材調達」の4つのテーマで包括的に評価が行われ、同社は今回、「環境」と「労働と人権」の両分野で特に高い評価を受けた。3年連続の認定。

 三井化学は、SDGsをはじめとする社会課題の解決に向けて企業への要請が高まる中、化学産業が社会の基盤と革新を担う存在であり続けるためには、持続可能な社会に向けて大きな責任あると捉えている。

 同社グループは「環境と調和した共生社会」「健康安心な長寿社会」を実現するため、独自の評価指標で環境・社会への貢献度の見える化を推進。具体的には、環境貢献価値「Blue Value」とQOL向上価値「Rose Value」を定義し、それらに沿った製品やサービスの提供をはじめとする社会価値創造の取り組みを深化させている。

 今後も、グローバルに存在感のあるサステナブルな企業グループを目指していく考えだ。なお、エコバディス社は、国際的なサステナビリティ規格に基づいた独自基準により団体・企業を評価する、信頼性の高い共同プラットフォームを提供している。これまでに世界160カ国、200業種、6万5000社以上の評価を行っており、約300のグローバル企業がサプライチェーン管理のためにこのプラットフォームを使用している。

 

DNP AIを活用した業務プラットフォームの提供を開始

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2020年4月23日

 大日本印刷はこのほど、「自然言語処理AI」と「知識グラフ」を用いて、専門性の求められる審査・受付業務や広告の校正・校閲、社内ナレッジの横断的な検索・分析などを可能にする「DNP業務知識活用プラットフォーム」を5月に提供開始すると発表した。なお、価格は年間定額制で950万円(税抜)。

 同プラットフォームを用いることで業務経験の浅い担当者でも専門的な業務知識を容易に導き出せ、業務効率の向上と社員のビジネススキルの平準化を実現することができる。労働人口の減少や働き方改革が推進される中で、従業員1人あたりの労働生産性の向上や社内の専門家や熟練者に依存しないビジネススキルの平準化などが求められる。企業が保有する情報や熟練者の暗黙知を活用した、業務の効率化というニーズは高い。

 同社は、BPO(業務社外委託)サービスを通じて培った業務プロセスの分析ノウハウと、様々な情報を文字画像処理・自然言語処理によって業務知識として活用する技術を基に、同プラットフォームを開発した。特長として、①様々な業務に活用可能な「知識グラフ」を構築②高度な自然言語処理技術を用いたAIによる解析③業界・業種の特徴に適した知識グラフの構築やプラットフォームの活用を促進―などが挙げられる。

 同社は今後、保険会社や金融機関などの加入申し込みの審査業務、コンタクトセンターなどの顧客対応などの業務、社内外の情報検索・分析の支援などへ同プラットフォームを提供していき、2023年度までに関連サービスも含めて30億円の売上を目指す。

 

DNP 業務知識活用プラットフォーム
DNP業務知識活用プラットフォームの概要

三井化学 スマホ多眼化需要に対応、COCを1.5倍に増強

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2020年4月23日

 三井化学は22日、スマートフォンのカメラレンズなどを主用途とする、環状オレフィンコポリマー(COC)「アペル」について、大阪工場内に新プラントを建設すると発表した。スマホカメラレンズの多眼化などにより急拡大する需要に対応するため。

環状オレフィンコポリマー「アペル」
環状オレフィンコポリマー「アペル」

 同製品は屈折率が高く複屈折が小さいという特徴から、スマホのカメラレンズを中心に情報電子関連分野の光学材料として採用が多い。既存設備は、岩国大竹工場と大阪工場にそれぞれ1系列の合計2系列。今回の新設により3系列の供給体制を構築することで、生産能力を約1.5倍に増強する。新プラントは今月に着工し、2022年3月の完工を予定。

主用途 スマートフォンカメラ 
主用途 スマートフォンカメラ

同社は、「アペル」を含むICT(情報通信技術)向け機能性ポリマー事業を成長分野と位置づけている。今回の能力増強で当面の需要拡大への対応が可能となる見通しだが、さらなる需要拡大に適切に対応するため、次期能力増強の検討にも着手する方針だ。今後は車載用カメラやヘッドマウントディスプレイ、医療用途などの新規需要獲得により事業拡大を図っていく。