NEDOと福島県 低炭素水素の利活用拡大の協定を締結

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2020年7月7日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と福島県はこのほど、「低炭素水素の利活用拡大に関する連携・協力に関する基本協定」を締結した。

 福島県浪江町で再生可能エネルギー(再エネ)を使った水素製造実証に取り組むNEDOと、「再生可能エネルギー先駆けの地」の実現に向けて再エネの導入拡大と関連産業の育成・集積を進めている福島県が包括的な協定を締結することで、①再エネ由来水素の活用およびそれを通じた再エネ導入の推進と研究開発に向けた相互協力、②再エネ由来水素および福島県内の再エネの広報・啓発活動、を連携・協力して進めていく。

 なお、期間は6月19日から2022年3月末まで。すでに、福島県が設置した、あづま総合運動公園(福島市)とJヴィレッジ(楢葉町)にある純水素型燃料電池に、今年3月に開所した世界最大級の再エネ水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」から水素を供給し、施設内の一部電力供給を開始している。

DIC コバルトフリー乾燥促進剤で塗料乾燥時間を半減

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2020年7月7日

 DICはこのほど、塗料や印刷インキなどに用いる速乾性能に優れた酸化重合型樹脂の乾燥促進剤(ドライヤー)を開発し、「DICNATE(ディックネート)」シリーズとして上市、サンプルワークを開始した。

乾燥促進剤(イメージ) 
乾燥促進剤(イメージ)

 塗料や印刷インキの硬化や乾燥促進には、ドライヤーと呼ばれる金属石鹸が用いられる。金属石鹸は金属塩と脂肪酸が結合したもので、通常は有機溶剤に溶解するが水には不溶。硬化・乾燥促進には一般的にコバルト(Co)石鹸を用いるが、Coは環境負荷やコストなどの課題がある。

 今回上市した非Co系のドライヤーを使用すると、アルキド塗料の完全硬化に要した時間は、従来のCoドライヤーの約半分であった。同時にコスト削減や環境負荷低減も期待できる。さらに、溶剤系だけではなく水系にも使用できることから、様々なニーズに対応可能である。

 今後アジアや中東、欧米地域などの塗料・印刷インキ業界を視野に、2025年までに売上高10億円を目指す考えだ。

凸版印刷 レトルト対応のデジタルプリント接着剤を開発

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2020年7月7日

 凸版印刷は6日、軟包装のデジタルプリントを汎用のラミネーション機械で加工でき、レトルト殺菌対応製品に使用可能な接着剤を開発したと発表した。今回開発した接着剤を使用することにより、デジタル印刷パッケージの活用範囲が広がり、消費者の多様化するニーズに対応した高付加価値商品の提供が可能となる。

 軟包材を用いた商品パッケージの製造は、コスト面などから専用の機械を用いた大量生産が一般的。しかし近年、消費者のライフスタイルの多様化などにより、商品に対する市場のニーズが多角化し、店頭で他社の類似商品と差別化するためにも、パッケージに求められる役割が増加している。

 同社は軟包装分野で小ロット・多品種生産に最適なパッケージを提供する「トッパンFP(フレキシブル・パッケージ)デジタルソリューション」を展開。また昨今「巣ごもり」需要の影響で、長期保存可能なレトルト食品の消費は増加しており、レトルト食品用パッケージはさらなる需要増が見込まれる。ただ、デジタルプリントでレトルト殺菌用製品を生産する場合、専用の設備が必要で、汎用のラミネーション機械では加工が行えない課題があった。

 こうした中、同社は、レトルト殺菌が可能で汎用のラミネーション機で加工できる接着剤を開発。これにより汎用ラミネーション設備でレトルト殺菌対応製品が製造可能となり、レトルト対応製品にデジタルプリントの特長である小ロット(最低ロット1000枚から)のオリジナルデザイン印刷が可能となった。

 同製品の特長として、①小ロットでレトルト食品パッケージにオリジナル印刷展開が可能、②最低ロット1千枚から対応が可能で、パッケージおよびラベルの余剰品を削減でき、環境負荷が最小となる包装設計が行える、③製版不要のため、複数デザインのパッケージ製造が可能、④情報加工技術を応用し、グラビア印刷と同等の印刷品質を実現、⑤テストマーケティングや数量限定パッケージなど幅広い用途に活用、などが挙げられる。

 同社は、7月から食品やトイレタリー、化粧品業界などの国内市場向けに同製品の提供を開始し、2021年に約3億円の売上を目指す考えだ。

新開発した接着剤によりレトルト対応が可能になった製品サンプル
新開発した接着剤によりレトルト対応が可能になった製品サンプル

 

 

三井化学 マスク用ノーズクランプを増強、コロナ禍対応で

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2020年7月7日

 三井化学は6日、新型コロナウイルス感染拡大防止のためマスク需要が増加していることから、同社100%子会社のサンレックス工業(三重県四日市市)にて、マスク用ノーズクランプ「テクノロート」の生産設備増設を決定したと発表した。

ノーズクランプ
ノーズクランプ

 1ライン増設することにより、三井化学グループのマスク用ノーズクランプの生産能力は2.5倍(年産マスク30億枚相当)になる。新設備の建設には先月からすでに着工しており、今年10月の完工を予定。今後もマスク需要動向により、さらなる増設を検討していく考えだ。

 同製品は、針金と同様に自由に折り曲げたりひねったりすることができる、形状保持特性を持つプラスチック線材。マスクの鼻の部分に使用することで、マスクを顔に密着させる効果を付与する。耐薬品性に優れ、重量は針金の約6分の1と軽量。また樹脂製のため、それ自体が金属探知機に反応せず、食品・医療用製品での金属混入の確認が容易といった利点も備える、三井化学の樹脂材料技術と延伸加工技術により実現した素材。

サンレックス工業外観
サンレックス工業外観

 同社は、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けて、今回の「テクノロート」のみならず、マスク用不織布「シンテックスMB」、アイソレーションガウン用不織布「PS‐105‐GW」の供給体制を引き続き強化していく。

 

 

アジア石化市況 エチレン8週続騰820ドル/t

2020年7月7日

芳香族は3製品とも上昇、スチレンモノマー反転

 アジア地域の6月第3週の石化市況では、エチレンは、下値20ドル高、上値5ドル高の820~850ドル/tでの取引となった。これで8週連続での続騰となり、4月の底値(320ドル/t)から500ドル/tも上昇したことになる。中国でエチレン需要が強まる中、定修により供給が絞られていることに加え、ナフサ価格が上昇基調となったこともあり市況が押し上げられている。

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ブラスケム 米で新PPプラント稼働、年産45万t

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2020年7月6日

 ブラジル石油化学大手のブラスケムはこのほど、北米テキサス州ラ・ポルテにあるポリプロピレン(PP)生産設備「デルタ」の建設が完了し試運転を開始したと発表した。 米国市場への供給と世界各国への輸出を拡大し、グローバルビジネス戦略を強化するのが狙い。

米国テキサス州ラ・ポルテの新ポリプロピレン生産設備
米国テキサス州ラ・ポルテの新ポリプロピレン生産設備

 新生産ラインは、同地区にある既存PP生産工場に隣接する。設計に当たっては持続可能性の観点から、CO2排出量や廃棄物の削減、水・エネルギーの効率化、リサイクルなど環境に配慮。最新設備を備え、ホモポリマー、インパクトコポリマー、ランダムコポリマーなど、様々なPP製品のポートフォリオ全体を生産する。推定生産能力は年産45万t。同社が米国に持つ五つの既存PP生産拠点(テキサス州×3、ペンシルベニア州×1、ウェストバージニア州×1)と合わせ、北米全体では年産約200万tとなる。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、特に4月と5月に北米のPP産業は大きな影響を受けた。不織布や包装用途での好調な販売は見られたものの、主に自動車などの耐久財分野が振るわず需要は大幅に落ち込んだ。同社は今後について、6月に入り顧客の事業拡大や消費の回復傾向が見られたことから、第3四半期(7-9月期)のPP業績の好転を見通す。新設備では今月から量産テストを始め、需要回復に照準を合わせる形で3Q中の商業運転を目指す。

東洋紡 コロナ対策でエアバッグ基布製防護服を犬山市へ

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2020年7月6日

 東洋紡の犬山工場(愛知県犬山市)はこのほど、同市への感謝の意を込め、エアバッグの基布を活用した防護服50着を寄贈した。6月23日に犬山市役所で開催された贈呈式では、山田拓郎犬山市長をはじめとする関係者が出席し、同社の神田弘治犬山工場長より防護服が手渡された。

エアバッグ用基布を活用した防護服
エアバッグ用基布を活用した防護服

 寄贈した防護服は、新型コロナウイルスにより深刻化する医療資材の不足の解決に向け、豊田合成(愛知県清須市)などと共同で開発した。生地には、東洋紡が生産するエアバッグ用基布を使用。シリコーンコーティングを施し空気を通さないため防護服機能を備え、洗濯して繰り返し使うことも可能なもの。

山田拓郎犬山市長(左)と、東洋紡の神田弘治犬山工場長。贈呈式にて
山田拓郎犬山市長(左)と、東洋紡の神田弘治犬山工場長。贈呈式にて

 東洋紡は今後も、新型コロナウイルスの感染拡大防止に日夜尽力する医療従事者を支援していく考えだ。なお、犬山工場はフィルム事業の基幹工場で、主にポリプロピレンやポリエステル、ナイロンを原料にフィルム生産を担う。液晶パネルなどの光学部材から、衛生性が重要な食品包装資材まで、多岐にわたる用途に対応するカスタマイズ能力があり、工場全体の生産品目は数百種にも及ぶ。また、研究・開発・生産という一連の機能すべてを工場内に備える。

石化協 新体制スタート、3つの重点項目に注力

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2020年7月6日

コロナ禍での安定供給、新常態への対応も課題に

 石油化学工業協会は、定時総会において選任された和賀昌之新会長(三菱ケミカル社長)を中心とする新体制がスタート。コロナ禍で先行き不透明感が強まる中、3つの重点項目である①保安・安全の確保、②事業環境の基盤整備、③グローバル化対応の強化に引き続き取り組み、石化産業と社会の持続的成長を目指していく方針だ。なお、副会長には、住友化学の岩田圭一社長、出光興産の松下敬副社長、東ソーの山本寿宣社長の3名が選任されている。

和賀昌之会長
和賀昌之会長

 2日に開催されたオンラインによる就任会見の中で和賀新会長は、「足元の世界経済は、新型コロナの感染拡大により深刻な影響を受け急速に悪化している。各国で段階的に経済活動の再開が進められているが、

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三井化学 炭鉱電車プロジェクト、「音の資産」を公開

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2020年7月3日

 三井化学は、福岡県大牟田市の大牟田工場で原材料の搬入などに使用してきた、三井化学専用線(旧三池炭鉱専用鉄道)を今年5月7日をもって廃止とし、運用を取りやめた。 

炭鉱電車にまつわる様々な音をASMR音源で収録
炭鉱電車にまつわる様々な音をASMR音源で収録

 三池炭鉱の時代から100年以上の長きにわたり活躍した炭鉱電車の歴史に幕が下ろされた。同社では、炭鉱電車への感謝と未来に向けたレガシーとしての活用を検討する「ありがとう炭鉱電車プロジェクト」を進めており、このほど同プロジェクトの1つである「音の資産」の記録化が完成し、ウェブサイトを通じ公開を始めた。

 記録化にあたっては、ブランデッドオーディオレーベル「SOUNDS GOOD」とコラボし、炭鉱電車にまつわる様々な音を、ヒトの感覚が刺激され心地よさを感じるというASMR音源として収録。「車掌室3.6」「大解剖、炭鉱電車100年の音」「珍しい踏切と手動の線路切替レバー」「宮浦駅のレトロなものたち」の4つの音源を公開した(https://soundsgoodlabel.com/mitsuichemicals/asmr/vb59/)。

 「車掌室3.6」には、炭鉱電車に録音機材を持ち込み、車掌室内で聞こえる、操作音や汽笛の音、トランシーバーでのやり取り、ブレーキ音、踏切の警報器音などを収録。宮浦駅から仮屋川操車場まで片道1.8㎞の運転区間を、一往復する沿線3.6㎞の音とともに収めた。貨車の連結音や鉄橋の通過音、耳を澄ませば乗務員の息遣いまで聞こえてくるほどに臨場感があふれる。他の音源では、炭鉱電車の点検音、作業員の声、どこか懐かしさのあるレトロな警報器音、ポイント切替レバーの操作音、100年を超す木造駅舎の階段の軋み音などがある。

 録音に携わったアーティストでプロデューサーのSeiho(セイホー)氏は、「電車はダイナミック音だけでなく、意外に繊細な音が周りにあって新しい発見だった」と、音源の中の解説で感想を語る。今回、同氏が炭鉱電車のASMR音源を散りばめた楽曲「Sampling―〝MITSUI CHEMICALS on SOUNDS GOOD〟」の公開も行う。誰もが身近な電車の音は、聞く人の脳裏に思い思いのイメージを描き出すことから、同氏が制作するインストゥルメンタルで情景を想像させる音楽と相性がいいという。記者は昼下がり、文庫本を手に木の床のチンチン電車に揺られ、過去から未来へと時空を旅しているような心地よさを感じた。同氏の楽曲は、専用サイト(https://www.youtube.com/playlist?list=PLu8hS8yDJGDoOrkfNSyB5x7sghJJX7gWg)などで公開している。

 なお、映画監督の瀬木直貴氏とのコラボによる、炭鉱電車の「風景の資産」記録化プロジェクトも進行中だ。大牟田市民などから募った炭鉱電車の古い映像や写真、思い出・エピソードをベースに、メモリアル映像の制作が行われている。また、新型コロナウイルス感染拡大により延期されている、炭鉱電車のラストランイベントについても、今秋をめどに準備を進めているとのこと。日程や詳細などは決定次第、三井化学の特設サイト(https://jp.mitsuichemicals.com/jp/coalmine_train/)で発表される予定。

東ソーなど 東大に次世代ジルコニア関連の講座を開設

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2020年7月3日

 東ソー、東京大学大学院工学系研究科、ファインセラミックスセンター(JFCC)、ワールドラボの4者はこのほど、東京大学に「次世代ジルコニア創出社会連携講座」を設置したと発表した。なお、設置期間は5年間(2020年7月1日~2025年6月末)で、費用は7億1800万円を見込んでいる。

 最先端ナノ構造解析と新規焼結体開発を担う東京大学と、粉末開発製造を行う東ソーに加え、卓越したセラミックス計算材料科学技術を持つJFCC、高度なセラミックス組織制御技術を有するワールドラボとの協業により、従来のセラミックス素材の概念を覆す、ジルコニアセラミックスの飛躍的な特性向上実現と、その技術分野を支える人材育成を目指す。

 ジルコニアは様々な分野で実用化されているが、その機能発現のメカニズムには未解明点が多く残されており、材料特性を決める因子を解明し、原子レベルから組織を制御することで飛躍的に機能が向上する可能性がある。この社会連携講座では、最先端の電子顕微鏡・計算材料科学・焼結技術を駆使してジルコニアの本質を理解し、その知識を応用して機能を極限にまで高める研究を行う。

 具体的にはジルコニアの持つ強くてしなやかな力学特性、柔軟な加工性、固体でありながら酸素イオンを通すイオン伝導性、高い屈折率から生まれる高透光性の4つの特性を追求。これにより金属並みの力学特性と加工性、新たなクリーンエネルギーのための超高速イオン伝導性、新たな光学材料開発のための高透光性を実現させ、加えてそれらの機能を融合させることでジルコニアの新展開を狙う。同時に、高度な材料開発研究が推進できる有能な人材の育成・輩出により、社会の諸課題の解決に向けた技術開発を加速し、持続可能型未来社会の実現に貢献していく考えだ。

 東ソーは、世界で初めて高純度ジルコニア粉末を工業化し、各種構造部材、審美性に優れる歯科材料など様々な用途への利用を進めることで、ジルコニア市場形成進展に寄与してきた。また、東京大学と東ソーは、過去20年にも及ぶ共同研究を実施し、ジルコニアの本質である結晶相変態機構の解明、画期的な超高耐久性ジルコニア焼結体の開発など世界に先駆けて多くの成果を挙げている。

東ソー 次世代ジルコニア