【合成ゴム特集2】東ソー デボトルで能力増強、新系列の増設も視野に

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2019年12月6日

 クロロプレンゴム(CR)事業を展開する東ソーは、南陽事業所(山口県周南市)の生産能力を、デボトルにより3万4000t/年から3万7000t/年へと増強する。能増に合わせて老朽化対策を行うため、投資額は約50億円となる。すでに機材を発注しており、再来年10月に完工の予定だ。

 CRは医療用手袋や水系(非溶剤系)接着剤の用途が拡大している。一方で、材料代替など長期的な需要動向の不透明感、建設に巨額の資金が必要なことから、新規プラントの建設などの大規模増強が近年行われてこなかったため、この3年ほどは世界的に需給がひっ迫していた。

 足元では米中貿易摩擦による世界的な経済の減速や、インドの需要減などにより「CRの需要は

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【合成ゴム特集3】JSR 高強度のSBR開発、EV含め新たなニーズに対応

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2019年12月6日

 JSRの高機能タイヤ用溶液重合SBR(S-SBR)事業は、依然として好調を維持している。低燃費タイヤ市場が年率4~5%で成長する中で、同社の昨年度のS-SBRの販売は前年度比10%程度、今年度上半期は前年同期比10%以上の伸びとなっている。

 その背景として、タイヤの需要面では、例えば中国で

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【合成ゴム特集4】旭化成 シンガポールを増強、S-SBRが27万t体制に

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2019年12月6日

 溶液重合スチレン・ブタジエンゴム(S-SBR)で、世界トップレベルの生産能力を持つ旭化成は「その体制を盤石なものとすることが経営課題の1つ」(同社)であり、その一環として、シンガポールの製造プラントの能力増強を実施した。2013年に製造を開始した同プラントでは、2017年に約3万tの増強工事を開始し、今年2月に完工した。現在は顧客認証の手続き中で、本格稼働を待っている段階である。

 能力増強によって同プラントの生産能力は13万tとなり、川崎(10万5000t)、大分(3万5000t)と合わせ、同社のS-SBRの生産能力は合計27万tとなる。同社によると、S-SBRは「グローバルで見ると、

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【合成ゴム特集5】デンカ 唯一の2拠点体制ベースに顧客へBCPを提案

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2019年12月6日

 クロロプレンゴム(CR)で世界トップシェアのデンカは、青海工場(新潟県糸魚川市)の10月の定修に合わせ、デボトルによる数千tの能力増強工事を実施した。

 「こうした状況であるからこそ、新規顧客に対応できるようになり、既存顧客

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【バイオプラ特集】化学産業 プラスチック代替への動きに対応が急務

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2019年11月8日

産官挙げてバイオプラ普及に注力、環境問題に貢献

 日本の化学産業が技術開発を進めてきたプラスチックは、機能性を高めたことでフードロス軽減や自動車の軽量化など社会に新しい価値を提供し、社会問題解決に貢献してきた。

 しかし、アジア地域の新興国では使い捨てたプラスチックが河川から海洋に流出し、海洋プラごみや、マイクロプラ問題といった環境汚染が深刻化している。また、先進国が輸出してきた廃プラも、中国やASEAN各国が受け入れを拒否する動きが強まっている。こうした中、廃プラ問題の1つの解として、バイオプラスチックが注目を集めている。

 バイオプラには、植物原料の「バイオマスプラスチック」と、ある一定の条件の下で分解し、最終的には二酸化炭素と水にまで変化する「生分解性プラスチック」がある。すでに大手食品メーカーや外食チェーンなどでは採用が進んでおり、今後ますますニーズが高まると予想される。

 今回の異業種特集ではバイオプラについて、省庁や業界団体の取り組み、バイオ素材に注力する化学メーカーの研究開発や市場開拓、また今後の戦略や課題などについて聞いた。

【バイオプラ特集・インタビュー】経済産業省

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2019年11月8日

製造産業局素材産業課長 吉村一元氏

環境貢献分野で日本の技術をビジネス化

━プラスチックごみ問題への現状認識について。

 吉村 現在はプラスチックを使っていること自体が悪いように見られている。ただ、スーパーに並んだ商品を見れば分かるように、プラスチックがなければ食品を買うこともできない。わが国の根幹に位置づけられる重要な材料であることは間違いない。プラスチックは様々な分野で貢献してきたが、これからも成長する分野において大事な素材であり続けるだろう。

吉村課長
吉村製造産業局素材産業課長

 一方で、プラスチックごみの問題については国としても取り組んでいかなければならない課題だと認識している。世界でも推計で年間900万tものプラスチックごみが海洋へ流出し汚染につながっている。そこにはしっかりと対応していきたい。産業の発展とプラスチックごみ問題対策、この両輪で進めていく必要があるだろう。

 各国でもプラスチックへの対応は相当進んでいる。欧州では2018年にEUのプラスチック戦略を発表し、ホテルなどで使用される一部のワンウェイ(使い捨て)製品を2021年から禁止する規制案が提出され合意に至った。中国は2018年末に工業由来の廃プラ輸入を禁止し、タイやマレーシアといった東南アジア諸国でも輸入規制強化の動きが出ている。各国とも廃プラスチックの動きを注視しているのが実態だ。

 また、バーゼル条約では、国境を越えた有害廃棄物の輸出入に関する規制を定めている。2019年に開催された関係国の会議では、汚れたプラスチックごみを条約の規制対象とすることが決定され、2021年から施行される予定だ。汚れたプラスチックは完全に規制対象になる。世界的にも廃プラスチックの管理をしていこうという動きが進んでいると感じている。

━プラスチックごみ問題の解決に向けて、日本はどう動いたか。

 吉村 2019年2月に内閣官房の下に海洋プラスチックごみ対策の推進に関する「関係府省会議」が発足し、5月にその会議で「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」が策定された。この中では、対策分野の一番目に、「廃棄物処理制度等による回収・適正処理の徹底」が記されており、ポイ捨てや陸域での散乱ごみ、海洋プラスチックごみの回収などの課題が挙げられている。

 同じく5月には「プラスチック資源循環戦略」も策定された。3R(リデュース、リユース、リサイクル)とRenewableを徹底する基本原則となっている。ポイントは

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【バイオプラ特集・インタビュー】日本プラスチック工業連盟

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2019年11月8日

専務理事  岸村小太郎氏

バイオプラ・再生材、用途開発で消費者へ利用促進

━現在のプラスチックを取り巻く状況をどう捉えていますか

 岸村 海洋プラスチックごみ問題を発端に、脱プラスチックを巡る動きなども活発化している。確かにプラスチック業界に逆風が吹いているが、逆にいいチャンスではないか。例えば、来年7月から義務化されるレジ袋の有料化だ。プラスチックは安い、レジ袋はタダ、安いから大量に使って大量に捨てるといった消費者の意識が、少し変わっていくのではと期待している。

岸村専務理事
岸村専務理事

 国のプラスチック資源循環戦略の中でも、有料化により「価値づけ」することで消費者のライフスタイル変革を促す、とあるように、レジ袋の価値づけを契機に、ほかのプラスチック製品にもいい影響が及ぶのではないだろうか。

 欧米などでは一定の消費者が、少々高くても環境にいいものを選ぶという感覚がある。われわれ業界が率先して、再生材を使用したもの、リサイクルしやすい製品といった環境にいいものを提供していけば、この製品は割高にはなるが環境にやさしいものを購入しようと、消費者マインドが変わってくるかもしれない。

 それがバイオマスプラなのか、生分解性プラなのかは別として、樹脂生産量の減少は考えられるものの、現行品より高い価格で買ってもらえればビジネスとしてうまく回るし、石油資源の使用量も減らせる。そういうきっかけになるのではないかと思っている。

━これまで環境対応などに、どう取り組んできましたか。

 岸村 当連盟は以前から、樹脂ペレット漏出防止対策や、リデュース・リサイクル検討委員会を設け、容器包装リサイクル法への対応を中心にした活動を行ってきた。その中で、ここ数年の環境・プラスチック問題を受け、もう少し幅広く、本当にあるべき環境対策やリサイクルについて検討をする場を作りたいとの思いから、今回のプラスチック資源循環戦略の策定となった。

━プラ工連版「プラスチック資源循環戦略」について。

 岸村 当連盟としては、行政や国内外の

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【バイオプラ特集・インタビュー】日本バイオプラスチック協会

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2019年11月8日

事務局長 横尾真介氏

バイオマスと生分解性、特長を訴求し普及を図る

━バイオプラ協会の沿革についてお聞かせください。

 横尾 当協会は1989年に生分解性プラスチック研究会(BPS)として発足した。当時は脂肪族ポリエステル系を中心とした生分解性プラの研究開発が進んでおり、実用化に関心を持つ企業が集まったのが始まりだ。

横尾事務局長02
横尾事務局長

 2000年にはグリーンプラ識別表示制度(GPマーク)を開始した。そうした中、2005年に「愛・地球博」が開催され、テーマである循環型社会の気運が高まったことに加え、原油価格が100ドル近くに高騰したため、バイオマス原料とナフサとの価格差が縮小し、石油資源の削減に寄与する植物由来の再生可能プラへ一気に注目が集まった。

 当協会は、バイオマスプラを取り込み、2006年にバイオマスプラ識別表示制度(BPマーク)を開始したこともあり、2007年に名称を「日本バイオプラスチック協会」に改称した。しかし、その後、原油価格が急落したことや、技術的なハードルがあったことからバイオマスプラへの関心が徐々に薄れ、当協会の会員数も2006、7年をピークに2017年まで減り続けた。

 しかしここにきて、地球温暖化問題や海洋プラごみ問題への関心が高まったことで、昨年には会員減少に歯止めがかかり、今年になって退会した企業が戻ってくるなど増加傾向となっている。

━バイオプラの普及に向け、どのような活動をしていますか。

 横尾 当協会の活動では、主に2つの柱でバイオプラの普及拡大を推進している。1つは先ほどもお話しした認証事業だ。BP(バイオマスプラ)マークやGP(グリーンプラ)マークが付いている製品が、地球環境に貢献していると、消費者が見ただけで判別できる識別表示制度に注力している。

 認証制度を始めた頃は、エコブームの追い風もあり企業の登録数が増加した。しかし、販売につながらなければ3年後の更新を行わないケースも多くあり、認証制度の浸透は難しい状況にある。そういった意味において、この制度のメリットを、消費者だけでなく企業も享受できる環境にしていかなければならないだろう。

 もう1つの活動は

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【バイオプラ特集・インタビュー】三菱ケミカル

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2019年11月8日

サステイナブルポリマーズ事業部長 三浦健治氏 / 企画管理グループ マネジャー 小林哲也氏

デュラビオ、PBSとも需要増加、設備投資を検討

━海洋ゴミ問題からプラスチックに逆風が吹いています。

 三浦 プラスチックという言葉自体がかなり悪者のように、報道などでは扱われている。ただ、そこは冷静になって、何が環境に負荷が大きいかを検証する必要があるだろう。プラスチックごみによる海洋をはじめとした環境汚染の問題と、温暖化ガス排出問題はしっかり分けて考えていくべきだ。

三浦部長02
三浦サステイナブルポリマーズ事業部長

 当事業部ではバイオエンプラ「DURABIO(デュラビオ)」と生分解性樹脂「BioPBS(バイオPBS)」の2製品を扱っているが、両製品ともバイオマス由来であり温室効果ガスの問題に対応できる。また、「BioPBS」に関しては、生分解性があることからごみ流出問題による環境汚染にも対応していける製品だ。

 昨年、ウミガメの鼻にストローが刺さった動画が公開されたことで、海洋プラスチックごみに対する世界の関心が一気に高まった。こうした背景の下、環境問題を意識していかないと企業としての存続が危うくなるといった考えを顧客が持ち始めており、当社製品への引き合いが強くなっている状況だ。

━三菱ケミカルではサステナビリティを重視しています。

 三浦 2011年に当時の小林喜光前社長(現会長)が、地球環境を維持していくためにはサステナビリティは避けて通れない課題という認識から、「KAITEKI」経営を打ち出した。経営指標の1つの軸としてMOS(マネジメントオブサステナビリティ)を掲げ、その中において、バイオマス由来や生分解性などのバイオプラスチックを大きな柱の1つに位置づけている。

 こうした中、三菱化学の時代の2010年にサステイナブルリソース事業推進室を立ち上げ、2013年にサステイナブルリソース事業部(現サステイナブルポリマーズ事業部)に組織変更した。当社はCSRの一環としてだけではなく、事業部としてバイオプラスチックを推進するという強い意思を持ってきている。

━バイオエンプラ「デュラビオ」の開発経緯についてお聞かせください。

 三浦 環境に優しいバイオマス原料を使って、従来にはない新しい機能性のある商品開発を目指したのが最初のコンセプトだ。その中の1つとして、ガラス代替をテーマとし樹脂開発をスタートした。

 ただ開発する上で、1つの大きな課題だったのは、

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【バイオプラ特集・インタビュー】三井化学

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2019年11月8日

理事・ESG推進室長  右田健氏 / 研究開発本部 研究開発企画管理部長 伊藤潔氏

経営にESG要素を組み込むプラスチック戦略

━環境意識が高まる中、いち早くESG推進室を設置されました。

 右田 ESGやSDGsといった様々な動きがある中で、まずは企業としてサステナブルな成長や発展を目指していく必要がある。社会課題から事業を考え、企業の方向性を決めていくことがESG推進室新設の本来の目的だ。

右田室長
右田理事・ESG推進室長

 われわれ素材メーカーは、プロダクトアウトになりがちだが、そうではなく、長期的に何が課題で、そのためにどんな技術や事業が必要になるかをきちっと考えていかなければならない。今のままのポートフォリオが、20年、30年経てば通用しなくなる可能性もある。ESGを利益も追求できる形で捉え、経営そのものとして進めていく考えだ。

 ただ、その後、海洋プラスチックごみなどの廃プラ問題が俄かにクローズアップされ、ESG推進室の役割が大きくなってきたというのが現状だ。

━その中で、プラごみ問題をどう捉えていますか。

 右田 グローバルな課題として重要な気候変動問題とプラスチックごみ問題については、表裏一体のものと捉えている。これらの課題への対応を通じて循環経済の実現に貢献していく考えだ。

 例えば、リサイクルは気候変動問題とプラごみ問題双方にとって重要な対策である。化学メーカーとして追求していくため、当社はリサイクル戦略とバイオマス戦略の両面からのアプローチを、プラスチック戦略の基本方針と位置づけた。CO2削減につながるバイオマスプラを拡充することで気候変動に対応し、資源循環へも貢献していく。

 一方では、回収しやすい材料研究、モノマテリアル化の提案、リサイクル技術開発といった戦略で循環経済への貢献を図る。つまり、今までは原料・素材生産から消費までの、一方通行の動脈系でしかやってこなかったが、それに加え、静脈系である回収・分別・リサイクルというところにも、新たなビジネス機会を見つけていくということだ。バリューチェーン全体を視野に入れた循環経済モデルの構築を推進していく。

━製品ポートフォリオも変わってくる。

 右田 足元の製品構成は主に

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