新事業開発センターが始動、新体制で事業創出を加速
━事業環境の悪化で、業績に影響が出始めています。
2019年度は、営業利益ベースでは、2年連続で1000億円を割り込む716億円という残念な結果に終わった。新型コロナウイルスの影響はまだそれほど大きくなく、米中貿易摩擦によるマーケット自体の潮目が変わったことが主な要因だ。
2020年度に入ってからはコロナ禍に加え、原油・ナフサ価格下落の影響も出始めている。石化・基礎化学品を中心とする基盤素材事業では
2020年8月10日
2020年8月10日
2020年8月10日
顧客体験を最大化、統合で〝先端材料パートナー〟を目指す
━世界情勢の動向をどう見ていますか。
2019年の世界経済は、米国は堅調な成長が継続したものの、米中貿易摩擦の長期化で中国での景気減速感が鮮明となり、GDP成長率予想が下方修正されるなど厳しい事業環境となった。
2020年は、当初は景気回復が期待されていたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、全世界的に経済成長がマイナスに転じた。中国は1Q(1-3月期)を底に緩やかな回復を見せているものの、本格的に回復するのは来年以降と想定されている。
また、米国は経済活動の再開に伴い回復の兆しが見えている反面、感染者も多く出ており、今後については依然として不透明だ。日本経済も同様であり、
2020年4月17日
確固たる事業基盤を持つ差別化POの主導的企業を追求
2005年に三井化学と出光興産のポリオレフィン(PO)事業を統合し誕生したプライムポリマーは、創立15周年を迎える。同社が創業以来掲げる〝プライムソリューションパートナー〟には、卓越した=プライム=製品・技術・サービスを安定的・持続的に顧客に提供し、信頼されるパートナーとなる、目指すべき姿に思いを込めた。

節目となる今年、新たな企業理念と長期ビジョンを定め、2030年の目標へと一歩を踏み出した。貿易問題にプラスチックごみ問題、コロナショックと事業環境が激変する中でどう舵取りをするのか、創業期から同社に携わり、就任2年目の藤本社長に、人材・開発を焦点に経営戦略を聞いた。
━ このたび、2030年に向けた長期ビジョンを策定されました。
藤本 当社は4月に創立15周年を迎えることもあり、昨年から約1年を掛け、経営層を中心に議論を交わしてきた。2015年の10周年の際は、若手・中堅社員に10年後のありたい姿を考えてもらったが、それに経営サイドが呼応する形で今回、15周年を機に、企業理念と長期ビジョンを改めて見直した。
━ 長期ビジョンでは何を目指されますか。
藤本 長期ビジョンでは、10年後のありたい姿として会社軸と社員軸を設け、それぞれの目標を掲げた。会社軸では「確固たる事業基盤を持つ差別化POのリーディングカンパニー」を追求し、社員軸では「働きがいのある魅力的な会社」を目指していく。
目標達成に向けた具体策のために、
2020年4月3日
2020年4月3日
MI・デジタル化に迅速に対応し、果敢なチャレンジに期待
━ 不透明感が増す近年の世界経済の動向は、我が国の化学産業にどのような影響を与えるのか。また、どう対応していけばいいのか。
村山 米中貿易紛争やブレグジット、サウジアラビアの石油施設への攻撃に伴う中東リスクの高まりなど、まさしく「VUCA(ブーカ)」と言われるように、社会経済の環境が極めて予測困難な状況に直面したのが2019年だった。
年が明けて2020年、夏には東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、日本経済の持ち直しも期待されていたが、中国の春節が始まる1月下旬頃から、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が出始め、その深刻さが増している。我が国の石油化学産業にとっても大きな逆風となっており早期の終息が望まれる。加えて、サウジアラビアとロシアが原油の増産に踏み切ったことで原油価格が下落し、リスクマネーの供給懸念などから世界的に株価の急落を招いている。
原油価格の急落はコストの面からみれば良い面もあるが、目下の状況では
2020年4月3日
努力の積み重ねが重要、困難を乗り越えた先に大きな成果
━ 足元では想定外のリスクにより経済への影響が懸念されています。今後の世界情勢と事業環境の見通しは。
金川 年明け以降、新型コロナウイルスの感染が世界で拡大しています。その影響により不透明な状況が続いています。このように厳しい外部環境の中でこそ、本当に強い会社がわかります。
当社は94年の歴史の中で2度のオイルショック、バブル経済の崩壊、リーマンショック、東日本大震災など度重なる危機に直面してきました。しかしながら常に置かれた状況を冷静に把握し、目前の困難を克服するだけでなく将来に向けた施策を講ずることで成長を重ねてまいりました。厳しい時こそ私たちの強さを示す好機と考えて取り組んでまいります。
━ 外部環境が悪化する中、各セグメントが着実に収益を上げています。その要因をお聞かせください。
金川 2019年度第3四半期は、米国で塩ビ事業を手掛けるシンテックが市況の影響を受けましたが、高水準の出荷を継続し連結決算に大きく貢献しました。半導体シリコン事業は市場に調整局面が見られたものの増収増益とし、シリコーン事業も全世界での拡販により利益を伸ばしました。電子機能材料は、自動車向けの希土類磁石、フォトレジスト製品などの出荷が堅調でした。この結果、第3四半期として過去最高益を達成することができました。
メーカーとしてやるべきこと、
2020年4月3日
技術プラットフォームの厚みが重要、成長分野にフォーカス
━ 米中貿易摩擦やコロナショックをどう見ますか。
越智 米中貿易摩擦は昨年4月頃に改善の兆しを見せていたが、交渉が難航し10月以降に再び落ち込んでいた。そうした中、新型コロナウイルス問題が発生してしまったため、状況はより悪化している。この先をどう見るかだが、コロナショックがどういった形で終息するかによるだろう。
震源地である中国はやや収まりつつあるが、それでも発生から4カ月程度の期間を要している。その点から見ても、感染が拡大している欧州や米国が落ち着いてくるのは、早くても9~10月頃になるのではないか。各国から景気対策が打ち出されても消費行動が取れないので、年内の回復は難しいと言わざるを得ない。
一方、米中問題などによる各国の保護主義政策については、コロナ問題でかき消されているが、長期化の様相を呈している。世界経済が低成長を続ける中、どういった解が見つけられるか。ただ、コロナ問題で人やものの動きが制限され、保護主義の問題をより深刻化させる可能性がある。
━ 原油・ナフサ価格も大きく変動しています。
越智 原油価格に連動し、足元ではナフサ価格が急落している。石油化学はあらゆる製品のベース原料となっており、重要な産業であることは間違いなく、バランスが崩れてしまうと産業全体にとっても影響が大きい。
ただ、石化市況の
2020年4月3日
働き甲斐が企業の成長エンジン、育成と確保が人財形成の要
━ 昨年の景況感と、今後の世界経済の見通しについて。
小堀 2018年までのグローバル化の流れに対し、2019年は大きな節目の年であったと感じている。特に先端技術を巡る米中のデカップリングが単なる貿易の不均衡に留まらず、安全保障を含めた先端技術の覇権争いの様相を呈してきた。その長期化に伴い、世界経済は世界的な金融緩和による緩やかな拡大基調から、かなり減速するだろうとの予測はあった。
しかし、今回の新型コロナウイルスに関連する一連の影響により、これが単なる減速で終わるのか、それとも景気後退の引き金となるのかは不透明なところだ。欧州や米国の状況が深刻化してくれば、大きなインパクトになり得る懸念はある。
━ 中国での新型コロナウイルス感染拡大によるサプライチェーンへの影響は。
小堀 1月後半から2月中旬にかけて工場の多くが操業を停止したが、中国政府も2月の中旬以降は、人の移動なども少しずつ認め始めたこともあり、
2020年4月3日
他社にない価値を創出、グローバルで存在感を高める
━ 米国を起点とする地政学的リスクが経営戦略に与える影響についてどう見ていますか。
森川 今年11月の大統領選挙までは、特に米中摩擦に関して休戦の様相で、地政学での動きや影響は少ないだろう。この間に需要が回復し、2019年に多くの産業で起こった在庫調整が一巡することを期待している。仮にトランプ大統領が再選された場合でも、2期目は米国内経済に悪影響を及ぼすような通商政策は控えるのではないかと思う。
足元(インタビューは3月上旬)は、新型コロナウイルス感染が拡大し、世界経済に及ぼす影響が当初より深刻化しつつある。ただ、これはあくまで一過性だ。1日も早く混乱が収束し、通常の社会活動・経済活動が行えるようになることを願う。
━ 米中問題など世界的にデカップリングが進む中、サプライチェーンをどう構築・維持していきますか。
森川 デカップリングが起きても、需要の成長がある限り、供給が迂回するだけで