三菱ケミカル 生分解性樹脂と紙製バリア素材の包装材を開発

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2020年6月10日

 三菱ケミカルと日本製紙は9日、生分解性樹脂「BioPBS」と紙製バリア素材「シールドプラス」という、共に再生可能な原料から製造される生分解素材を用いた循環型包装材を共同開発したと発表した。

フラットボトム袋、角底袋 (製造協力)共同紙工
フラットボトム袋、角底袋 (製造協力)共同紙工

 「BioPBS」は、三菱ケミカルが開発し基本特許を持つ植物由来の生分解性樹脂で、タイのPTT MCC Biochem(PTT GC社と折半出資)で製造されている。自然界の微生物によって水とCO2に分解されるため、自然環境への負荷が少なく、他の生分解性樹脂に比べ、低温ヒートシール性・耐熱性・柔軟性などで優れた性能を発揮する。

 一方、「シールドプラス」は、日本製紙が長年培ってきた紙の製造技術と塗工技術を応用した再生可能な循環型素材。生分解性を持つ「紙」に酸素・香りのバリア性を付与しており環境に優しい。バリア機能により、主に食品など内容物の品質を維持し、外からのにおい移りを抑えることができる。また、「紙製」なので、フィルムとは異なる紙独特の風合いがあるのも特徴だ。

 近年、プラスチックごみ問題への対策が求められていることを背景に、菓子のパッケージやストローなどで従来のプラスチック製から生分解性のある樹脂や紙製への代替需要が高まっている。

 今回開発した包装材は、再生可能な原料を用いた生分解性のある循環型の製品でありながら、「BioPBS」のヒートシール性と「シールドプラス」のバリア性により内容物の品質劣化を防止する高い機能性を付与。今後は菓子やコーヒー豆などの食品をはじめとしたパッケージ用途に展開していく。

 三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」の実現に向け、今後も「BioPBS」をはじめとする生分解性樹脂や植物由来樹脂の研究開発・用途展開を加速させ、サーキュラーエコノミー(循環型社会)の構築やSDGsの達成に貢献していく考えだ。

三菱ケミカル 知財に関するコロナ感染症対策支援宣言に参画

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2020年6月4日

 三菱ケミカルはこのほど、新型コロナウイルス感染症対策の支援のため、「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」の趣旨に賛同し参画した。

 同宣言は、新型コロナウイルス感染症のまん延終結を目的とした開発・製造・販売などの行為に関しては、権利者が保有する特許権・実用新案権・意匠権・著作権の権利行使を行わないことを表明するもの。これにより、宣言の対象となる知的財産権に対する侵害調査やライセンスを受けるための交渉などを行う必要がなくなり、迅速かつ最善の開発および製造が可能となる。

 同社はこの活動に賛同し、一定期間、新型コロナウイルス感染症のまん延終結を唯一の目的とした行為に対しては対価や補償を求めることなく、保有する特許権・実用新案権・意匠権・著作権の権利行使を行なわないことを宣言することとした。宣言の具体的な内容は、ウェブサイト(https://www.gckyoto.com/covid19)で確認できる。

 同社は今後も、政府の策定する行動計画に基づき必要な対策を実行するとともに、政府や業界団体をはじめとする関係者と連携を図りながら、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めていく考えだ。

 

三菱ケミカル 役員人事(6月22日)

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2020年5月29日

[三菱ケミカル・役員人事](6月22日)▽監査役小野貴弘▽同、三菱ケミカルホールディングス取締役地球快適化インスティテュート監査役小林茂▽退任(監査役)、顧問田中良治▽同(同)、三菱ケミカルホールディングス取締役浦田尚男。

三菱ケミカル コロナ対策用の水溶性ランドリーバッグを販売

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2020年5月28日

 三菱ケミカルは27日、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、水溶性フィルム「ハイセロン」製のランドリーバッグを、子会社の大成化薬を通じて製造販売を開始すると発表した。

本ランドリーバッグの使用イメージ
本ランドリーバッグの使用イメージ

 使用済みのシーツや衣類に触れることなく洗濯することが可能となるため、主に病院などでのウイルス感染防止に貢献する。ランドリーバッグの原料となる「ハイセロン」は、ポリビニルアルコールを原料とした水溶性フィルムで、強度や伸度に優れるほか、冷水溶解タイプと温水溶解タイプがある。

 国内の病院などでの評価も高く、今回、月間20~25万枚を供給する体制を整えており、6月初旬より順次、医療機関などに向けて提供する予定だ。また同社グループでは、軟質PVCフィルム「アルトロン」も提供。加工性に優れ、サイズ調整や設置も容易であるため、商業施設の受付やレジなどの対面販売、対面業務時に飛沫感染防止シーとして活用できる。これらの製品を必要とするユーザーに迅速かつ確実に提供できるよう、十分な供給体制を整えていく。

 同社は今後も、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、政府の策定する行動計画に基づき必要な対策を実行するとともに、政府や業界団体をはじめとする関係者と連携を図りながら、早期終息を目指していく考えだ。

三菱ケミカル モスアイ型反射防止フィルムを絵画額装用途に拡販

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2020年5月27日

 三菱ケミカルはこのほど、モスアイ型反射防止フィルム「モスマイト」を絵画額装用途に拡販すると発表した。同社のアクリル樹脂板「アクリライト」およびモスマイトを取り扱う藤光樹脂が、アクリル樹脂板の両面にモスマイトを貼合した低反射アクリル板を額装向けに販売を開始する。

モスマイトの拡大写真
モスマイトの拡大写真

 三菱ケミカルが開発したモスマイトは、蛾の眼(モスアイ)が持つ微細な突起構造を模倣した反射防止フィルム。表面には高さ200ナノメートルの突起が100ナノメートルの間隔で並んでおり、この突起の幅が可視光線の波長よりも狭いことで、光の屈折率の変化が緩やかになり、光の反射を抑制することができる。

 一般的なガラスやプラスチックの表面は光の反射率が通常4~5%程度あるが、それらの表面にモスマイトを貼付することにより反射率を0.1~0.3%にまで抑え、絵画の鑑賞を妨げる表面の反射を防ぐことが可能。

 同社はこれまで、佐藤美術館(東京都新宿区)が開催する展覧会に協賛し、2017年「吾輩の猫展」、2019年「絵本にみる日本画展」、今年1月の「ビクトリーブーケ展」に、モスマイトを両面に貼ったアクリル樹脂板を提供。これらの活動などにより、画家や画商、学芸員から好評を得たことから、今回、藤光樹脂と共同でこの分野への事業展開を強化することとした。

 三菱ケミカルは引き続き、モスマイトの新たな用途開発・市場開拓を目指し、国内のみならず、グローバルに事業を展開させ、さらなる拡販に努めていく考えだ。

左・モスマイトなし 右・モスマイトあり  出典:秋野亥左牟・画 『プンクマインチャ』(福音館書店) ©1968 Kazuko Akino(秋野和子)
左・モスマイトなし(光が反射している) 右・モスマイトなし 出典:秋野亥左牟・画 『プンクマインチャ』(福音館書店) ©1968 Kazuko Akino(秋野和子)

 

三菱ケミカルの3月期 コア営業利益が前年比38%減

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2020年5月14日

コロナで78億円減、今年度も800億円見込む

 三菱ケミカルホールディングスは13日、2020年3月期の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年比7%減の3兆5805億円、コア営業利益38%減の1948億円、親会社所有者帰属の当期利益68%減の541億円。

 決算会見において伊達英文執行役常務最高財務責任者は、「米中貿易摩擦の長期化などの影響により半導体や自動車用途を中心に需要が低迷した。さらに第4四半期以降はコロナ感染拡大の影響を受けた。

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三菱ケミカル コロナ対策のガウンとフェイスシールドを供給

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2020年5月13日

 三菱ケミカルは12日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う医療現場での深刻な物資不足に対する支援を目的に、同社グループ保有の生産技術やノウハウを応用することでプラスチックガウンおよびフェイスシールドを開発し、子会社のジェイフィルムにて供給する体制を整えたと発表した。

本ガウンの装着イメージ
本ガウンの装着イメージ

 ガウンは、厚生労働省の指導の下、ポリエチレン製の雨合羽を改良して開発したもので、袖口に親指を通す穴をあけ袖めくれを防止する機能を付与したほか、使用後にガウンを脱ぐ際の接触感染リスクを低減するため、背面にミシン目加工を施し容易に脱ぐことができる仕様としている。加えて、1枚当たり100グラム以下と使用後の廃棄物削減にも配慮した。

 また、フェイスシールドは、食品包装トレーに用いるポリエステルシート製造技術と、化粧品ケース加工で培った折り曲げ罫線付与技術を応用したもので、透明性が高く、曇り防止機能を付与した製品。使用者自身で容易に切り抜き・組み立てでき、輪ゴムにより簡単にサイズ調整が可能だ。

本フェイスシールドの装着イメージ
本フェイスシールドの装着イメージ

 なお、月間生産能力はプラスチックガウンが2万枚、フェイスシールドが40万枚。5月初旬より一部の医療機関への寄付を行い、中旬からは厚労省をはじめ、一般の医療機関へも供給する。

 一方、同社グループでは、新型コロナウイルス感染拡大防止に貢献する製品として、透明度が高く受付や窓口・レジなどで飛沫拡散防止に活用できるアクリル樹脂板「アクリライト」や、液体バリア性を保ちつつ水蒸気を透過するため高機能化学防護服の外装に使用される透湿性フィルム「KTF」などの製品も保有。これらの製品を必要とするユーザーに迅速かつ確実に提供できるよう、十分な供給体制を整えていく。

 同社は今後も、政府の策定する行動計画に基づき必要な対策を実行するとともに、政府や業界団体をはじめとする関係者と連携を図りながら、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めていく考えだ。

三菱ケミカル 有機と無機のハイブリッド技術基盤を拡充

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2020年5月12日

 三菱ケミカルはこのほど、ケイ素化合物・金属化合物メーカーGelest(米国・ペンシルバニア州)を買収すると発表した。今秋をめどに、米国子会社のMitsubishi Chemical America(MCA)を通じて、Gelestの支配権を持つGelest Intermediate Holdingsの全株式をNew Mountain Capitalより取得する予定。

 Gelestは、コンタクトレンズ原料や抗菌剤などの有機ケイ素材料、特殊アクリレート、半導体プリカーサーなどに用いられる金属化合物、樹脂添加剤用途の有機化合物およびそれらを組み合わせた複合化合物の領域について、高度な分子設計と合成技術を持つ。ヘルスケア、エレクトロニクスといった幅広い市場向けに事業展開しており、顧客の要望に対して他社と差異化された的確なソリューションを提供することを得意としている。

 MCAのYurich社長は「Gelestの高度な研究開発力、卓越した製品化力と顧客から厚い信頼に、三菱ケミカルグループの経営資源や顧客ネットワークを活用することで、Gelestの技術力の市場展開を加速し、顧客に新たなソリューションや価値を提供できる」と述べている。

 三菱ケミカルが蓄積してきた主として炭素化学分野の高度な技術と、Gelestの広範囲なケイ素化学・金属化合物などの研究開発力、製品化力を組み合わせることで、両社の素材の設計力、提供可能なソリューションの幅を拡充する。加えて、Gelestが培った技術力と三菱ケミカルの経営資源や顧客ネットワークを組み合わせることにより、デジタル社会基盤の発展や医療進化など将来の社会課題を起点とする市場ニーズに対して、これまで以上に貢献していく。

 三菱ケミカルは、今後もテクノロジープラットフォームの強化を図り、成長市場での積極的な研究開発と事業展開をすることにより、一層の成長を目指す考えだ。

三菱ケミカル 国際イニシアチブに加盟、障がい者の活躍を推進

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2020年4月28日

 三菱ケミカルは27日、障がい者の活躍推進に取り組む国際イニシアチブ「The Valuable 500」の考えと取り組みに賛同し加盟文書に署名したと発表した。

 「The Valuable 500」は昨年1月、世界経済フォーラム年次総会で発足し、「障がい者インクルーシブなビジネスはインクルーシブな社会を創る」という考えの下に立ち上げられた。障がい者がビジネス、社会、経済にもたらす潜在的な価値を発揮できるように、ビジネスリーダーが自社のビジネスをインクルーシブにする改革を起こすことを目的としている。

 同社はこの考えと取り組みに賛同。障がいのあるなしにかかわらず1人ひとりの個性が尊重され全従業員が活躍できる企業を目指し、①障がい者雇用の社内の理解をはかり、働く仲間としての一体感を醸成します、②障がい者の職域拡大、職場環境整備をはかり、雇用促進を全社的に進めます、というコミットメントを定めた。

 同社は「KAITEKI 健康経営」を掲げ、健康支援と働き方改革を両輪として、多様な人材がいきいきと活力高く働ける職場づくりに取り組んできた。その中で、障がい者雇用促進を含めた30の施策を「三菱ケミカルは決めました」と宣言し、積極的に推進。

 また、全ての人がスポーツの価値を享受し、1人ひとりの個性が尊重され、心身ともに健康的な社会づくりに貢献したいとの想いから、ボランティア活動などを通じて障がい者スポーツの一層の普及・発展に尽力するとともに活力ある共生社会の実現に貢献するよう取り組んでいる。

 今回の加盟を踏まえ、三菱ケミカルでは障がい者雇用の取り組みをさらに強化させ、多様化が一層進む社会の期待と要請に応えられる企業づくりを推進していく。

三菱ケミカル マーク