富士フイルム 新型コロナ肺炎のAI診断技術開発を開始

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2020年6月2日

 富士フイルムはこのほど、人工知能(AI)技術を用いた新型コロナウイルス肺炎の診断支援技術の開発を開始した。同社と京都大学(大学院医学系研究科呼吸器内科学 平井豊博教授)が共同開発した間質性肺炎の病変を定量化する技術を応用し、新型コロナ肺炎患者の経過評価や治療効果判定などをサポートする診断支援技術の開発を目指す。

 今回の開発は、新型コロナ肺炎患者を受け入れている国内の医療機関と共同で推進。まず神奈川県立循環器呼吸器病センター(横浜市)とスタートし、その後複数の国内医療機関に拡大していく予定だ。

 新型コロナ感染症については、医師が行った様々な治療の有効性の判断基準は未だに明確ではない。新型コロナ肺炎は、間質性肺炎と同様の画像所見を示し、病変パターンが多岐にわたるとされる。肺炎の進行や治療効果の確認には、徐々に変化する病変の性状の目視確認が必要であるが、1患者あたり数百枚にも及ぶ胸部CT画像の読影は専門医でも非常な負担になる。

 同社の「間質性肺炎定量化技術」は、AI技術で設計したソフトウエアで、CT画像から肺野(はいや)内の気管支、血管、正常肺および網状影やすりガラス影、蜂巣肺(ほうそうはい)など肺の7種類の病変性状を識別し、自動で分類・測定を行い、間質性肺炎の病変を定量化する。

 さらに、病変の分布と進行状態を詳細に確認できるよう、肺野を12領域に分割し、領域ごとに病変の容積と割合を表示する。同技術は、京都大学との共同研究によるもので、同社開発の間質性肺炎の病変分類・定量化AI技術を、京都大学保有の症例データで学習させて高精度な識別性能を実現した。

 今回この「間質性肺炎定量化技術」を活用し、新型コロナウイルス肺炎患者の経過評価と、治療効果判定を支援する技術開発を開始。治療薬の効果判定にも利用できる技術を確立することで、新型コロナ肺炎の治療薬の開発・評価の加速も期待できる。

 同社は、医療画像診断支援、医療現場のワークフロー支援、そして医療機器の保守サービスに活用できるAI技術の開発を進め、「REiLI(レイリ)」というブランドで展開。今後も、医師の画像診断支援やワークフローの効率を目指したソリューション開発をスピーディに進めていく考えだ。

カネカ 「アビガン」の原薬供給で合意、7月供給開始

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2020年4月21日

 カネカはこのほど、富士フイルムと新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)向け抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」(一般名:ファビピラビル)の原薬を供給することを合意したと発表した。

 日本政府は、COVID‐19が拡大する中、効果が期待される「アビガン錠」の備蓄量を200万人分まで拡大することを決定し、富士フイルムは生産体制を拡充させ増産を開始した。カネカは、長年培った医薬品のプロセス開発力と製造技術、品質について高い評価を受けており、今回、メジャーサプライヤーとして原薬の供給を要請された。同社は迅速に供給をスタートすることが社会的使命と考え、設備投資、人員配置転換、生産計画調整により製造体制を整え、7月より供給を開始する。

 なお、同社グループ会社Kaneka Eurogentec(ベルギー)では、COVID‐19検査に使用されるPCR検査試薬の供給をすでにスタート。さらに高品質のmRNAやプラスミドDNA(核外細胞質中のDNA)などの技術を用いたCOVID‐19ワクチン向け受託製造も強化し、旺盛な引き合いに対応している。

 同社はCOVID‐19に対する課題解決を通じ、人類の健康維持に貢献する考えだ。

富士フイルム 「アビガン」の生産を2.5倍超に拡大

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2020年4月17日

 富士フイルムはこのほど、富士フイルム富山化学にて、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)向けに抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)の増産を開始したと発表した。同社グループ会社の設備増強に加え、国内外の企業との連携により実現したもの。

 「アビガン」は、富士フイルム富山化学が開発し、2014年に抗インフルエンザウイルス薬として国内での製造販売承認を取得した薬剤。ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐというメカニズムを持つことから、インフルエンザウイルスと同種のRNAウイルスである新型コロナウイルスに対しても効果が期待される。すでに臨床研究や観察研究の枠組みの中で、COVID-19患者に対する「アビガン」投与が開始されている。

 日本政府は、COVID-19がますます拡大する中、緊急経済対策の1つとして「アビガン」の備蓄量を200万人分まで拡大することを決定。今回、富士フイルム和光純薬にて医薬品中間体の生産設備を増強するとともに、原料メーカーや各生産工程での協力会社など国内外の企業との連携により「アビガン」の増産を推進する。

 今後、段階的に生産能力を向上させて、今年7月には月産約10万人分(生産を開始した3月上旬と比べて約2・5倍)、9月には約30万人分(同約7倍)の生産を実現する方針。さらに、「アビガン」の原薬製造設備も増強し生産能力のさらなる拡大を図り、日本政府の備蓄増や海外からの提供要請に対応するとしている。

富士フイルム コロナ患者対象に米国で「アビガン」の臨床を開始、

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2020年4月13日

 富士フイルムはこのほど、米国で新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の患者を対象とした抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」の臨床第Ⅱ相試験を開始すると発表した。

 「アビガン」は、国内では抗インフルエンザウイルス薬として製造販売承認を取得している薬剤で、ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐというメカニズムを持つ。

 このようなメカニズムの特徴から、インフルエンザウイルスと同種のRNAウイルスである新型コロナウイルスに対しても効果が期待され、臨床応用への検討が進んでいる。すでに3月末には、子会社である富士フイルム富山化学にてCOVID‐19患者を対象とした臨床試験を国内で開始した。

 今回、同社は、COVID‐19の世界的な感染拡大が続き、ますます高まる治療法の開発ニーズに対応するために、米国でも臨床試験を実施する。同試験は、数十例のCOVID‐19患者を対象とした臨床第Ⅱ相試験で、「アビガン」投与時の治療効果と安全性を確認することを目的としている。

 なお、試験は、ブリガム・アンド・ウイメンズ病院やマサチューセッツ総合病院、マサチューセッツ州立大学メディカルスクールの3施設での実施を予定している。

 富士フイルムは、患者の救済を使命に、早期の治療法確立を図るとともに、国内外のパートナーとの連携による「アビガン」増産体制の整備を進めることで、1日も早い、COVID‐19の感染拡大の抑止や流行の終息に貢献していく。

富士フイルム 検査時間を短縮したPCR検査キットを発売

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2020年4月10日

 富士フイルムはこのほど、子会社である富士フイルム和光純薬が、PCR法を用いた検査時間を大幅に短縮した新型コロナウィルス感染症用遺伝子検出キット「SARS‐CoV‐2RT‐qPCR Detection kit」を4月15日から発売すると発表した。

 新型コロナウィルス感染症は1月に日本で指定感染症と定められ、3月にはWHOがパンデミック(世界的大流行)と認定。国内では国立感染症研究所(感染研)、各地域の衛生研究所、民間の検査機関などで検査が行われている。

 現在行われているPCR法の検査は、「検体の前処理」「RNA抽出」「RNAをDNAに転換する逆転写反応」「ターゲットとなるDNAの増幅をリアルタイムでモニタリングするリアルタイムPCR」の4段階からなり、結果判定には長時間を要する。

 同社は、「逆転写反応」と「リアルタイムPCR」の効率化を図り、合計約90分の時間短縮ができる検査キットの開発に成功した。

 反応試薬に加え、感染研が公示しているプライマー(DNA複製の起点となる短鎖DNA)とプローブ(特有の塩基配列に特異的に結合するDNA)をセットにし、必要な試薬類を1つにまとめた検出キットとして供給する。さらに、同製品と他社開発の新たなRNA抽出キットを組み合わせると、従来4~6時間かかっていた検査時間を約2時間短縮することができる。

 同社は、新型コロナウィルス感染症の検出キットを一括供給することで、検査の迅速化に貢献していく考えだ。

富士フイルム リポソーム製剤の開発・製造受託を開始

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2020年4月8日

 富士フイルムはこのほど、薬剤を患部に届けるドラッグ・デリバリー・システム(DDS)技術を応用したリポソーム製剤の開発・製造受託サービスを開始すると発表した。

 また、同サービスの対象を、低分子医薬品のみならず、次世代医薬品として期待されている核酸医薬品にも広げるため、核酸を内包するリポソーム製造装置の開発・製造・販売のリーディングカンパニーであるカナダのPNI社とパートナーシップ契約を締結。今後、低分子医薬品や核酸医薬品をターゲットに、リポソーム製剤の生産プロセス開発や製造の受託を行っていく。

 リポソーム製剤は、細胞膜や生体膜の構成成分である有機物のリン脂質などをカプセル状にした微粒子(リポソーム)の中に薬剤を内包した製剤。生体内の血中での薬剤の安定性を向上させ、さらにリポソームの素材を工夫することで細胞膜を透過させ細胞内まで薬剤を効率的に届けることが期待できるため、低分子医薬品のみならず核酸医薬品への応用研究が活発化している。

 同社は、幅広い製品開発で培い進化させてきた、高度なナノ分散技術や解析技術、プロセス技術を生かして、既存抗がん剤を均一な大きさのリポソームに安定的に内包する製法を確立。現在、その製法を応用したリポソーム製剤の臨床第Ⅰ相試験を米国で進めている。

 また、富士フイルム富山化学では、国内で初めて商業生産に対応したリポソーム製剤工場「701工場」を建設し、今年2月に稼働させた。今回、富士フイルムは独自リポソーム製法や「701工場」を生かして、低分子医薬品を対象としたリポソーム製剤の生産プロセス開発や製造の受託を開始する。

 また、「701工場」にPNI社のリポソーム製造装置「NanoAssemblr Platform」を導入。同装置とリポソーム製剤の基盤技術を組み合わせた受託基盤と、同装置のラボ機が世界中で導入されている、PNI社の顧客基盤などを活用して、核酸医薬品を対象としたリポソーム製剤の生産プロセス開発や製造を受託していく。

 今後、富士フイルムは、低分子医薬品や核酸医薬品の分野で、顧客が求めるリポソーム製剤の最適な生産プロセスから治験薬製造・商業生産までの受託に対応し、ビジネス拡大を図っていく。

富士フイルム バイオ医薬品能力を増強、英国を拠点に投資

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2020年3月31日

 富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品の生産能力を拡大するため、バイオ医薬品CDMO(医薬品開発製造受託)の中核会社FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(FDB)の英国拠点に約90億円を投じて製造設備を増強すると発表した。同設備は、微生物培養によってバイオ医薬品の原薬を製造するためのもので、2022年以降の稼働を予定している。

 バイオ医薬品は、副作用が非常に少なく高い効能が期待できることから、医薬品市場に占める割合が高まっている。現在、バイオ医薬品には、ホルモン製剤や抗体医薬品、遺伝子治療薬などがあり、それぞれの製造には、微生物培養や動物細胞培養、ヒト細胞培養などが用いられる。ただ、非常に高度な生産技術と設備が必要とされるため、製薬企業やバイオベンチャーは優れた技術と設備を持つCDMOにプロセス開発や製造を委託するケースが急増している。

 富士フイルムは、バイオ医薬品のプロセス開発や製造の受託拡大に向け、高効率・高生産性の技術開発に加えて積極的な設備投資を推進。現在、FDBの米国拠点に動物細胞培養タンクやヒト細胞培養設備など大規模投資を行い、抗体医薬品や遺伝子治療薬の受託能力を増強している。また、微生物培養によるバイオ医薬品市場についても、30年以上にわたる受託実績と、業界トップクラスのたんぱく質産生効率などを実現する高生産性技術「pAVEway(ペーブウェイ)」を強みに受注を拡大させている。

 今回、同社は、新規顧客からの生産要請に加え、既存顧客からの増産要請にも対応するため、FDBの英国拠点に設備投資を行い、微生物培養によるバイオ医薬品の原薬の製造設備を増強する。具体的には、2000リットル微生物培養タンク(2基)や精製設備などを備えた製造ラインを新設。さらに、既存製造ラインのユーティリティ設備や精製プロセス設備なども増強することで、生産量を大幅に向上させる。

 なお、今回の設備投資により、英国拠点では、微生物培養による原薬の生産能力が、現状比約3倍となる。同社は、ホルモン製剤や抗体医薬品、遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の生産プロセスを開発し、少量生産から大量生産、原薬製造から製剤化まで受託できる強みを生かして事業成長を図り、2021年度にバイオCDMO事業で売上高1000億円を目指す。

富士フイルム 米国で治療用iPS細胞新生産施設を稼働

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2020年3月18日

 富士フイルムの発表によると、米国子会社で、iPS細胞の開発・製造・販売のリーディングカンパニーであるフジフイルム・セルラー・ダイナミクス(FCDI社)は、cGMPに対応した治療用iPS細胞の新生産施設「i‐FACT」を、今月4日から稼働させた。

新生産施設の外観
新生産施設の外観

 今後、「i‐FACT」で生産したiPS細胞を用いて自社再生医療製品の開発を加速させるとともに、同施設を活用した、iPS細胞およびiPS細胞由来分化細胞の開発・製造受託も展開していく。

 再生医療は、アンメットメディカルニーズへの新たな解決策として注目されている。その中でも分化万能性と無限増殖性を持つiPS細胞を活用することで、多様な細胞を大量に作製できることから、iPS細胞による治療の実用化に対する期待が高まっている。

 現在、FCDI社は、加齢黄斑変性や網膜色素変性、パーキンソン病、心疾患の領域で自社再生医療製品の研究開発を推進。またがん領域では、米国有力ベンチャーキャピタルのVersant社と設立した新会社Century社にて、他家iPS細胞由来のCAR‐T細胞を用いた次世代がん免疫治療薬の開発を行っている。

 今回稼働させる「i‐FACT」は、開発ラボを兼ね備えた、治療用iPS細胞の生産施設だ。「i‐FACT」は、大量培養設備のみならず、少量多品種培養設備を導入。さらに、FCDI社がこれまで培ってきた世界トップレベルのiPS細胞の初期化・分化誘導技術や、富士フイルムが持つ高度なエンジニアリング技術・画像解析技術なども生産施設に投入することで、iPS細胞の高品質・高効率生産を実現する。

 「i‐FACT」は、他社との協業にも対応できる、複数の開発ラボ(四室)や製造クリーンルーム(3室)を設置。各開発品に適した、製造のスケールアップ・スケールアウトの技術開発を行い、製造ラインにスムーズに移管することで、効率的な多品種生産を実現する。また、製造ラインに備えた品質評価室ではiPS細胞の品質を高精度に評価し、高品質なiPS細胞を安定的に生産することができる。

 なお、「i‐FACT」は、富士フイルムグループの中で、治療に用いる再生医療製品の生産拠点としては、日本で初めて再生医療製品を開発・販売したジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J‐TEC)の本社工場に続き、2拠点目となる。FCDIは、自社再生医療製品の開発を進めるとともに、製薬企業やアカデミア向けの創薬支援用iPS細胞由来分化細胞の事業展開も加速させている。

 今後も、富士フイルムをはじめ、細胞培養に必要な培地の開発・製造・販売を担うFUJIFILM Irvine Scientificや富士フイルム和光純薬、J‐TECなど、富士フイルムのグループ各社の技術とノウハウを活用することで、再生医療の産業化に貢献していく。

富士フイルム 米バイオ研設立、日米両拠点で開発を推進

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2019年12月10日

 富士フイルムはこのほど、米国に「バイオサイエンス&エンジニアリング研究所(アメリカ)」(米バイオ研)を設立し、今月から研究活動を本格的に開始した。

 再生医療や遺伝子治療などバイオ医療分野の研究基盤をさらに強化するため。「米バイオ研」は、バイオ医療の基礎研究から生産プロセス開発までを一貫して行うとともに、細胞を用いた新たな創薬支援の基盤研究を担う研究所。細胞と培地との一体的な研究を推進する中で、同社が長年培った画像解析技術や最先端のAIやICT技術などを活用していく。

 具体的には、細胞代謝や遺伝子発現の解析などのバイオインフォマティクス(生命情報科学)、遺伝子編集技術などのセルエンジニアリング、製造の自動化技術、細胞を用いた新たな創薬支援技術などの研究に取り組む。

 昨年3月には、富士フイルム先進研究所(神奈川県足柄上郡)内に、細胞研究者や生産プロセス開発者を集約して「バイオサイエンス&エンジニアリング研究所」(バイオ研)を設立。バイオ医薬品やiPS細胞、再生医療製品、培地などグループ会社がもつ最先端技術とノウハウを結集・融合させて、バイオ医療の先進的な研究開発を行っている。

 今後は、日本と米国のバイオ研が連携を図ることで、2拠点体制でバイオ医療の研究を強力に推進し、グループの研究開発力をさらに高めていく考えだ。

 

富士フイルム ペプチドの開発・製造受託サービスを開始

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2019年10月1日

 富士フイルムはこのほど、ペプチドの開発・製造受託サービスを、10月1日から開始すると発表した。同サービスは、同社が独自に確立した製造手法を使い、ペプチドの生産プロセス開発から製造までを受託するサービスで、今後需要が高まるペプチドの高機能化や高純度化に対応する。

 ペプチドはアミノ酸が2~50個程度結合したタンパク質の断片で、医薬品や機能性食品、化粧品などに使用されている。一般的に生体内に存在する20種類のアミノ酸(天然アミノ酸)を組み合わせて合成されるが、複雑な構造を持ったペプチドの合成は困難であり、またペプチドの純度を高めるための合成後の精製工程に大きな作業負荷が発生するという課題がある。

 さらに最近では、生体との相互作用を活用したバイオマテリアル(生体材料)などの先端研究で、非天然アミノ酸を結合させ新たな機能を付与したペプチドを応用する取り組みが増えており、ペプチド合成の難易度がますます高まっている。

 同社は、少量多品種生産に最適な固相合成法による製造手法を確立し、グループ会社の試薬製品に応用してきた。

 さらに、大量生産に適した液相合成法に精緻な反応制御のための独自材料を組み合わせた新たな製造手法を開発。高純度のペプチドを得られる合成工程を実現し、精製工程の大幅な短縮を可能にした。

 新手法を使い、合成が難しい高機能ペプチドや高純度ペプチドを生産できることを確認。直鎖ペプチドでは98%以上、合成過程で用いる酸に対して分解しやすい特殊環状ペプチドでも90%以上の高純度の生産を、精製作業を行うことなく実現している。

 今回、固相合成法・液相合成法による製造手法を用いて、ペプチドの合成・精製などの生産プロセス開発から製造までを受託するサービスを、富士フイルム和光純薬を通じて開始。合成が困難な高機能ペプチドや高純度ペプチドなどをスピーディーに提供できる強みを生かして、幅広い顧客ニーズに応えていく。

 今後、ペプチドを使った医薬品候補化合物の臨床応用ニーズに対応するためにGMP製造設備の整備も検討し、さらなるサービス拡大を図っていく。富士フイルムは、先進・独自の技術により画期的な高機能材料を開発・提供することで、新分野の研究開発の促進、高付加価値製品の創出などに貢献していく考えだ。