NEDOと日本政策投資銀行(DBJ) CN実現に向け相互協力協定を締結

, , ,

2021年7月12日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日本政策投資銀行(DBJ)はこのほど、「2050年カーボンニュートラル」実現を目指し相互協力協定を締結した。

 持続可能な社会の構築に貢献するイノベーションを加速させる目的で、NEDOの多様な技術分野に関する技術戦略やマネジメントの知見・ノウハウと、DBJの幅広い産業ネットワークやファイナンスの知見を有機的に連携させ、革新的な技術開発成果の社会実装を促すとともに、イノベーションの創出を目指す。

 同協定を通じて、NEDOは技術戦略やプロジェクトに対する投資家目線の強化や高い事業性が期待できる革新的な技術シーズの発掘など、社会課題の解決に向けた「イノベーション・アクセラレーター」としての役割を強化。DBJは経営基盤の整備や研究開発の促進、民間企業との協業機会の模索などを通じてNEDOプロジェクトの事業化を支援し、持続可能な社会の実現に貢献していく。

 なおDBJは、第5次中期経営計画(2021~2025年度)で「GRIT戦略」を掲げ、グリーン社会(G)、しなやかで強い安心安全な地域・社会や産業基盤(R)、事業化可能と評価できるイノベーション(I)、現在の事業基盤を前提とした移行(T)の四分野に、5年間で5.5兆円を投入する計画だ。

NEDO CNTをほぐす技術、車載用スピーカーに採用

, , , , ,

2021年7月8日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、GSIクレオスが開発したカーボンナノチューブ(CNT)の性能を最大限に発現させる技術が、三菱電機の振動板に採用され、新製品として車載用スピーカーに搭載されたと発表した。

 CNTに代表されるナノ炭素材料は、「軽量」「高強度」「高電導度」「高熱伝導度」という特長をもつ日本が世界をリードする材料。一般的にCNTはそのナノサイズのため凝集塊の状態で存在するが、CNTが本来もつ性能を発現させるためには、この強く固まった塊を解砕(ほぐす)して、CNTを母材内に高分散させる必要がある。そのためには高いエネルギーを塊に加え、文字通り粉砕しながらほぐしていく方法が一般的だが、CNTの破壊や短化現象が生じ、CNT自体に欠陥が生じてしまうなど、CNTを良好な状態で高分散させることは技術的に極めて困難で、CNT機能発現の大きな妨げになっていた。

 こうした中、NEDOが取り組む「低炭素社会を実現するナノ炭素材料実用化プロジェクト」の技術開発テーマの1つとして、GSIクレオスはCNTの構造を壊さずに凝集塊を良好に「ほぐす」ことにより、次工程でCNTを分散しやすくし、複合材料など工業製品への応用の可能性を大きく広げる技術を開発した。

 GSIクレオスはプロジェクト終了後も、自社独自開発品であるカップ積層型カーボンナノチューブ(CSCNT)によりCNTをほぐす技術の改良を続け、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、塗液への分散、さらにほぐしたCSCNTが分散した複合材料の設計・最適化を進め、様々な工業製品への適用を試みてきた。この結果、三菱電機が同技術を活用したCSCNTを使った振動板を新製品の車載用スピーカーに採用したことから、NEDOプロジェクトの成果として製品の実用化と市場展開につながった。このスピーカーは従来製品と比べ高音がクリアで、低音の分解能、ゆがみ感、臨場感などの面でも大きく進歩している。

 

NEDO 光ICとLSIを一体集積、光配線技術を開発

, , ,

2021年7月7日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)が、通信波長帯の光信号を低損失で伝送できる光IC・光ファイバー間の3次元光配線技術を世界で初めて開発したと発表した。

3次元光配線技術の概念図
3次元光配線技術の概念図

 AIやIoTなどの急速な普及によって、データセンターや高性能コンピューティングの消費電力が増大する中、省電力化などを可能にする光配線化に向けた開発が加速し、近年は光伝送の高速大容量化のニーズが高まっている。

 LSI(大規模集積回路)とシリコンフォトニクスによる光ICを統合したコパッケージが注目されているが、複数のモジュール型の光ICをLSIから離れた基板端面に電気配線で接続する方式では、LSIと光IC間の電気配線が長いことで消費電力が増大し発熱が増える。そのため、限界だといわれる毎秒51.2テラビット処理において低消費電力化とさらなる高速処理のための新技術が求められていた。

 こうした中、NEDOが進める「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」において、PETRAは、光ICと光ファイバーを光接続する高精度光実装技術の開発に注力。今回、通信波長帯の光信号を低損失で伝送できる光IC・光ファイバー間の3次元光配線技術の開発に世界で初めて成功した。

 試作サンプルでは、次世代標準である毎秒112ギガビットの光信号を80℃超の高温環境下で伝送し、有用性を実証している。3次元光配線技術を活用することでLSIから光ICまでの電気配線の距離を極限まで縮めた一体集積ができるため、先行技術と比較して30~40%の大幅な電力量削減が期待される。

 

NEDO AI技術開発アクションプランで12のテーマを抽出

, ,

2021年7月6日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、日本が人工知能(AI)分野で世界をリードしていくための技術戦略の策定とプロジェクトの早期開始に向けた「人工知能技術分野における大局的な研究開発のアクションプラン」(AIアクションプラン)を公表した。

 学術・産業界の有識者から成るAIアクションプラン策定委員会が、2016年公開の「次世代人工知能技術社会実装ビジョン」を参考にしたほか、「人工知能技術戦略」「科学技術・イノベーション基本計画」「国・機関が実施している科学技術による将来予測に関する調査」など各省庁の将来予測調査から20分野を選び、海外のAI開発動向、期待される社会像とそれに向けた取り組み、AI技術との関わりを整理。AIを積極的に活用すべき分野として第一次産業も含めた「ものづくり(生産)」「生活・都市」「モビリティ」「教育」「健康(ウェルビーイング)」を選定し、「期待される社会像」を描いた上で、「社会像に向けた取り組み」として12の「取り組むべきAI技術開発」を抽出した。

 ものづくり分野では材料探索から製品製造まで「製造プロセス全体を最適化するAI」、教育分野では学習過程をモデル化することで「人の学習工程の解明とAIによる学習支援」、生活・都市・モビリティ分野では多様なセンサー情報を統合する「無人搬送車(AGV)などのための環境認識技術の精度向上」、健康分野では脈拍や体温、血糖値などの各種センサー情報も含めた「多様な情報から医師に選択肢を提示できるAI」である。

 また、今後10年は「意味理解」や「部分最適化から全体最適化/人とAIの関係性の多様化」「画像・音声など、個別の認識精度の向上からモダリティを統合した環境認識」といった方向に進むとし、「記号推論と深層学習の結合による意味理解のためのAI」や「深層強化学習の新たなアーキテクチャの創出」を複数分野に共通する取り組むべきAI技術開発として抽出した。

 今後、これら12の「取り組むべきAI技術開発」から取り組む事業を選定し、事業化に向けた検討を進めていく。

 

NEDO 船舶によるCO2大量輸送技術の実証事業開始

, , , , , , , ,

2021年7月5日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、工場や火力発電所から排出されたCO2を活用地・貯留地まで低コストで大量・安全に輸送するための研究開発と実証事業に着手すると発表した。2030年頃のCO2回収・有効利用・貯留(CCUS)技術の社会実装を視野に入れ、年間100万t規模のCO2排出地から貯留・活用地への長距離・大量輸送と低コスト化技術の確立を目指す。

 CCUSやカーボンリサイクルは、脱炭素社会を実現する技術とし注目を集めているが、CO2排出地と貯留・活用地が離れていることが多く、CO2の安全で低コストの輸送技術の確立が普及に向けた課題となっている。

 今回、最適な温度・圧力条件で液化したCO2の出荷・輸送・受け入れまでの一貫輸送システムの確立に向けた研究開発と実証を行う。研究開発項目は「液化CO2の船舶輸送技術を確立するための研究開発」「年間1万t規模のCO2船舶輸送実証試験」「CCUSを目的とした船舶輸送の事業化調査」で、委託予定先は日本CCS調査、エンジニアリング協会、伊藤忠商事と日本製鉄。事業期間は今年度からの6年間、予算は160億円の予定だ。

 同事業では、まず長距離・大量輸送に適したCO2の液化・貯蔵システムと、輸送船舶の研究開発や設備機器の設計に必要な検討を行った上、2023年度末頃からは、京都府舞鶴市の石炭火力発電所で排出されたCO2を出荷基地で液化し、船舶での輸送を経て、北海道苫小牧市の基地で受け入れる一貫輸送システムの運用と操業に必要な技術を検証する。

 また、安全規格や設計基準の検討に必要な基礎要件を実証試験データから収集・分析し、液化CO2の長距離・大量輸送に求められる国際的なルール形成にも取り組む。さらに、CO2輸送に関する実効性あるビジネスモデルの検討も進める。

 NEDOは安全で低コストの船舶によるCO2大量輸送技術を確立し、CCUSの社会実装と2050年カーボンニュートラルの実現に貢献していく考えだ。

NEDOなど 持続可能な代替航空燃料を定期便に供給

, , , ,

2021年7月1日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などはこのほど、木くずや微細藻類から製造したバイオジェット燃料を、持続可能な代替航空燃料(SAF)として定期便に供給したと発表した。

SAF実証事業 バイオ燃料一貫製造プロセス
SAF実証事業 バイオ燃料一貫製造プロセス

 国際民間航空機関(ICAO)や国際航空運送協会(IATA)は、温室効果ガスの排出量削減による地球温暖化抑止対策を共通のテーマとして掲げており、持続可能なSAFの導入は有効な手段の1つとして位置づけられている。

 こうした中、NEDOはSAFの商用化を視野に、原料となる木くずの調達および微細藻類の培養から純バイオジェット燃料まで一貫製造する体制の実証と、航空機への給油までを含めたサプライチェーンを具体化させることを目指し、2017年度から「バイオジェット燃料生産技術開発事業」を推進。

 固体の木質セルロースをガス化した後に液体燃料を合成するガス化FT合成技術では、JERAの施設内に建設したパイロットプラントで原料に木くずを使用し、SAFを一貫製造する実証試験を実施。JERAが原料調達とオペレーション、三菱パワーが原料のガス化、東洋エンジニアリングが生成ガスの液体炭化水素燃料化(FT合成)・蒸留と混合以後のサプライチェーン構築を担当し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)がSAFの性能特性試験を実施した。

 一方、微細藻類由来の油を精製する水素化精製技術では、IHIが鹿児島の既存施設とタイに新設したパイロット屋外培養施設を使い、大規模培養からSAF製造までの一貫製造技術の確立と以後のサプライチェーン構築に取り組んだ。いずれも、SAFの国際規格「ASTM D7566」への適合を確認している。これらの成果を踏まえ、両技術で完成したSAFを羽田空港出発の定期便に供給した。

 NEDOは引き続きSAFの大規模安定技術や製造コスト低減に向けた効率的な製造プロセスの確立を目指して、SAF生産研究開発事業を実施していく。これにより2050年カーボンニュートラルへの道筋を示し、航空分野の温室効果ガスの排出量削減に貢献する。

NEDOなど バッチ連続生産の医薬品製造設備を検証

, ,

2021年6月30日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などはこのほど、バッチ連続生産方式を採用した再構成可能なモジュール型の医薬品製造設備「iFactory」(アイファクトリー)について、従来の主要な方式に比べエネルギー削減では約8割、廃棄物では従来比3~4割の削減が見込めることを確認したと発表した。

実用化に向けて開発が進められている「iFactory」のモジュール(左)と自動分析装置(右)
実用化に向けて開発が進められている「iFactory」のモジュール(左)と自動分析装置(右)

 医薬品の国内市場規模は2030年までに25.7兆円の市場に成長すると予測される。国内外を問わず、医薬品に使用される高機能化学品の多くは、バッチ式製造法により製造されるが、発生する廃棄物量やCO2量の削減と「オンデマンド生産」への適応が課題となっている。

 こうした中、NEDOが取り組む技術開発テーマの1つとして、「再構成可能なモジュール型単位操作の相互接続に基づいた医薬品製造用『iFactory』の開発」を、2018年度から開始。高砂ケミカル、田辺三菱製薬、コニカミノルタケミカル、横河ソリューションサービス、テックプロジェクトサービス、大成建設、島津製作所、三菱化工機および産業技術総合研究所(産総研)が、連続合成法とバッチ式製造法を組み合わせたバッチ連続生産方式を採用したモジュール型の医薬品製造設備「iFactory」の開発を行っている。

 これまでの検証から、バッチ連続型プロセスで実際に製造した医薬・ファインケミカルズ関連の3品目で洗浄・濃縮・晶析・ろ過が、1時間当たり10kgの生産速度で、8時間連続稼働できることを確認。また、生産工程の1つである「ろ過」を連続方式にすることで、一般的なバッチ方式の装置に比べ8時間稼働で78%、連続反応器による反応工程に導入した連続方式の設備で84%に相当するエネルギー削減効果を実現した。さらに、連続化による洗浄溶剤の使用量や切り替え洗浄の回数の大幅軽減で、従来のバッチ方式で製造した医薬・ファインケミカルズ関連の3品目で30~40%の廃棄物削減効果が見込める結果となった。

 今後はプロトタイプの製作と実証を進め、日本の医薬品製造での省エネルギー化・生産と資源の効率化に貢献する生産設備の構築と実用化を目指す。

 

ダイセル ポスト5Gシステムを開発、NEDO事業に採択

, , ,

2021年6月30日

 ダイセルはこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」について、2つの研究開発が採択されたと発表した。同社はこれを機に、エレクトロニクス実装材料の研究開発や事業化を加速し、経済産業省とNEDOが進める日本のポスト5G情報通信システムの開発・製造基盤強化に貢献する。

NEDOに採択された、「ミリ波・テラヘルツ帯向け高機能材料・測定の研究開発」概要
NEDOに採択された、「ミリ波・テラヘルツ帯向け高機能材料・測定の研究開発」概要

 「先導研究(委託)/基地局関連技術」では「ミリ波・テラヘルツ帯向け高機能材料・測定の研究開発」が採択。ポスト5Gの後半以降、ミリ波からテラヘルツ帯の高周波を利用することで通信帯域を確保し、さらなる高速大容量、超低遅延、および多数同時接続の実現が期待される。

 しかし、ミリ波(30~300G㎐)やテラヘルツ帯(300G㎐~3T㎐)では、伝送ロスによる信号品質の劣化や材料の測定技術が確立されていない。これらの課題解決に向け、同社は①次世代超ローロス低誘電材料、②平滑導体と低誘電材料の高信頼性接合、③テラヘルツ帯通信用材料の測定技術を開発する。この先導研究により、ポスト5Gの基地局向けリジッドプリント配線板の低誘電材料や接合の事業化、測定技術の標準化を目指す。

 一方、「先導研究(助成)/先端半導体製造技術(後工程技術)」では「ポスト5G半導体のための高速通信対応高密度3D実装技術の研究開発」が採択。ポスト5Gは、通信インフラからエッジデバイスまで、膨大な情報を低遅延で高速に伝達する半導体高度化技術への要求が急速に高まる。その実現には前工程の微細化加工だけではなく、複数の半導体を3次元で集積する先端後工程の重要度が増している。

NEDOに採択された、「ポスト5G半導体のための高速通信対応高密度3D実装技術の研究開発」概要
NEDOに採択された、「ポスト5G半導体のための高速通信対応高密度3D実装技術の研究開発」概要

 ポスト5G半導体に必要な高速通信対応高密度3次元実装を実現するために、①高周波対応高密度パッケージCu焼結接合技術、②高信頼・高性能ビルトアップ半導体サブストレイト技術、③高周波パッケージ導波路コネクタ技術を開発する。この先導研究により、先端後工程向けのCu焼結接合材料やバンプ形成絶縁接着材料の事業化、装置、周辺材料、プロセスなどのノウハウ組合せによるソリューションの提供、およびサブストレイト技術や導波路コネクタ技術の標準化、デファクト化を目指す。

 同社は、今後も長年培ってきた高機能材料や加工技術の強みを生かした様々な最先端の技術開発に取り組み、便利・快適な社会の実現に貢献していく考えだ。

NEDOなど カルボン酸合成技術開発、ギ酸を有効利用

, , , ,

2021年6月29日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などはこのほど、計算・プロセス・計測の三位一体による技術開発スキームを活用し、高効率な触媒を使い、ギ酸とアルケンから様々な化学品の基幹原料となるカルボン酸を合成する技術を開発したと発表した。

 NEDOは超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクトに取り組み、革新的な機能性材料の創製・開発の加速化を目指している。今回、産業技術総合研究所(産総研)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、日本触媒と共同で、安全で環境に優しいカルボン酸の合成技術を開発した。

 カルボン酸は、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、高吸水性樹脂などの高分子材料、医薬品、農薬などの有用化学品の基幹原料となるため工業的な応用も期待されている。しかし、これまでに報告されている例では、高圧条件や有毒で爆発性の高い一酸化炭素(CO)を使用することや、触媒以外にヨウ化メチル(CH3I)など環境負荷の高い複数の添加剤を大量に使用することが問題となっていた。

 今回開発した技術は、従来のような高圧条件を必要とせず、有毒で爆発性の高いCOガスや環境負荷の大きい添加剤を使用しない。さらに、ギ酸はCO2と水素から高効率に合成できるので、CO2を利用したクリーンな原料とみなすこともできる。この技術が実用化されれば、CO2を炭素資源として利用するカーボンリサイクル社会実現への貢献が期待できる。

 今後、触媒系の反応効率をさらに向上させるために、ロボティクスを活用したハイスループット実験により触媒のさらなる改良を迅速かつ効率的に実施し、最終的には化学品の連続生産技術であるフロー合成に使用できる固定化触媒の高速開発を目指す。

 なお日本触媒は、新化学技術推進協会(JACI)がオンラインで開催する「第10回JACI/GSCシンポジウム」(6月28~29日)で、研究成果の詳細を発表する予定。

 

NEDO 革新的マテリアル技術の研究開発8件に着手

, ,

2021年6月25日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、将来の国家プロジェクトなどにつながる革新的なマテリアル技術の先導研究として、8件の研究開発に着手した。15~20年以上先の新産業創出に結びつく革新的マテリアル技術のシーズを育成し、データ駆動型ものづくりや、ポスト5G技術の中核マテリアル、サプライチェーンの安定化・国内化、迅速なウイルス対策といったイノベーションの実現を目指す。

 新型コロナウイルス感染症の拡大や世界規模の異常気象、各国企業・政府間での技術覇権争いの激化、持続可能な開発目標(SDGs)への意識の高まりなど、イノベーションを巡って大きな情勢変化が起きる中、「統合イノベーション戦略」が昨年閣議決定された。強みがあるものの競争力を失いつつあるマテリアル分野を、戦略的に推進するための重要技術基盤と位置づけ、4月には「マテリアル戦略」を策定。これを受け、「マテリアル革新技術先導研究プログラム」を開始した。

 今年度は「プロセスインフォマティクス技術」「スーパーファインセラミックス技術」「革新的な資源マテリアルプロセス技術」「ウイルス感染症対策向け新規マテリアル関連技術」の4つのテーマ区分を設定し、公募した研究開発の中から8件を採択した。

 今後は、これらテーマの推進に加え、マテリアル分野のイノベーション創出に向けて、取り組むべき研究開発内容の情報提供依頼(RFI)と、マテリアル分野の重要技術のシーズ発掘を目的とした調査事業を行っていく。