日本ゼオンは29日、2022年3月期第2四半期(4-9月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比30%増の1791億円、営業利益2.5倍の250億円、経常利益2.4倍の266億円、純利益2.2倍の184億円となった。
同日開催された電話会議による決算会見において、松浦一慶取締役執行役員は、「エラストマー素材、高機能材料とも需要が堅調に推移した。上期ベースで売上高と営業利益は過去最高となっている。
2021年11月1日
2021年10月29日
日本ゼオンは28日、福井県敦賀市の光学フィルム工場において、大型TV向け位相差フィルムの製造ライン2系列目の増設を決定したと発表した。新ラインは2023年10月の量産開始を予定しており、操業人員の新規雇用を計画している。
同社は、光学フィルム「ゼオノアフィルム」を、グループ企業で製造子会社であるオプテスにおいて、高岡製造所(富山県)、氷見製造所(富山県)、敦賀製造所(福井県)の北陸工場3拠点で製造。
「ゼオノアフィルム」は、同社が独自のポリマー設計技術で開発した熱可塑性プラスチック(シクロオレフィンポリマー)を原料に使い、世界初となる溶融押出法で生産されている。シクロオレフィンポリマーの特長である高い光学特性と優れた寸法安定性をもっており、大型TVやモバイル機器のディスプレイに視野角補償や反射防止などの機能をもたせる、位相差フィルム用途を中心に需要が拡大している。
今回の投資は、液晶パネルの大型化に対応して昨年4月に稼働した世界最大幅(2500mm幅クラス)の位相差フィルム製造ラインの二系列目となる。新ラインの生産能力は一系列目と同じ年間5000万㎡の計画で、2系列合計で1万㎡、既設の能力と併せてTV向け位相差フィルムの生産能力は2億1900万㎡に拡大する。液晶用ガラス10.5世代のサイズに対応した液晶パネル設備が世界中で順次稼働する中、当該サイズにマッチしたパネルの取り効率が良い2500㎜幅の生産ライン増強は、環境負荷低減にも大きく貢献することが期待される。
同社は、今後も市場ニーズを捉え社会の期待に応えるとともに、人々の快適なくらしに貢献していく。
2021年10月14日
日本ゼオンはこのほど、新たな企業広告「扉篇」を制作し、テレビCMを10月から順次展開をスタートした。
同社は、「大地の永遠と人類の繁栄に貢献する」という企業理念のもと、大地(ゼオ)と永遠(エオン)からなるゼオンの名にふさわしく、独創的な技術・製品・サービスの提供を通じ、「持続可能な地球」と「安心で快適な人々の暮らし」の実現を目指している。
今年度より開始した中期経営計画では、企業理念を実現すべく、「社会の期待と社員の意欲に応える会社」を2030年のビジョンに定め、各種諸課題に取り組んでいる。
企業広告「扉篇」では、地球や私たちが抱える様々な課題に対し、果敢に挑戦するゼオンの企業姿勢を表現した。同社は今後も、テレビCMを含む様々なコミュニケーション活動を通じ、企業理解を深めてもらえるよう情報発信を継続していく。
2021年10月5日
日本ゼオンはこのほど、「健康経営宣言」と「Well-being(ウェルビーイング)のための行動指針」を制定した。
同社は、中期経営計画で「社会の期待と社員の意欲に応える会社」をビジョンに掲げており、ウェルビーイング(心身も社会的にも良好で満足した生活を送る)とフリーダム(より多くの選択肢)の実現が、ビジョンを創り上げると捉えている。
そのため、健康経営を重要な経営戦略として位置づけ、全ての従業員に対し、心身の健康保持と増進(ウェルビーイング)に加え、公私ともに良好な日常生活を自ら整えるための選択肢(フリーダム)を提供していく。
なお、健康経営の推進にあたっては、人事管掌役員が責任者となり、各事業所の人事担当部署、健康保険組合、労働組合、健康管理室などと連携するとともに、今後は推進体制のさらなる強化を図っていく。
2021年10月4日
2021年10月4日
2021年9月7日
日本ゼオンはこのほど、グループ企業であるゼオン・ケミカルズ・アジア(ZCA)が、タイのラヨーン県の拠点でアクリルゴム(ACM)の商業生産を8月から開始したと発表した。
ACMは、耐熱性・耐油性に優れた特殊ゴムの1つ。その特性を生かし、内燃機関搭載車にシールやガスケット、ホースなどの素材として使用されており、アジア地域を中心に今後も需要の増加が見込まれている。
ゼオングループではこれまで、日本(川崎、倉敷)、米国の3拠点でACMの生産を行ってきたが、今回のZCAでの商業生産開始により、グループ全体でACMの生産量が年産2万2000tに拡大。世界4拠点からグローバルに供給する体制が強化された。
日本ゼオンは、中期経営計画の全社戦略の1つに「既存事業を磨き上げる」ことを掲げ、合成ゴムを含むエラストマー素材事業では、差別化製品の強化や生産ラインの効率化を目指している。今後、ACMの需要増を着実に取り込むことで、合成ゴム事業のさらなる発展を目指していく。
2021年9月1日
日本ゼオンはこのほど、2017年から参画している新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」を通じて、AIにより材料の構造画像を生成し、高速・高精度で物性の予測を可能とする技術を共同開発したと発表した。なお、同プロジェクトには同社のほか、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、産業技術総合研究所(産総研)が参画している。
昨今、材料開発のさらなる高度化・高速化の要求が高まり、ディープラーニング(深層学習)などの情報処理技術を利活用する動きが活発化している。これは、様々な材料データをコンピュータに学習させることで、高性能な新しい材料の提案を可能とするAI技術で、人の勘や経験に頼る従来の材料開発を高度化することができる。しかし、コンピュータ上で扱える材料は構造が定義できる低分子化合物や周期構造をもつ金属、無機化合物に限定されることが大きな課題だった。
こうした背景の下、同プロジェクトではカーボンナノチューブ(CNT)をはじめとする機能性材料開発の高速化を目指し、データ駆動を活用した研究を推進。3者は共同で、より汎用性の高い材料へディープラーニングを適用する手法を開発した。
今回の技術では、まず複雑な構造をもつCNT膜の構造画像と物性をAIに学習させる。その上で、種類の異なるCNTを任意の配合で混合した様々なCNT膜の構造画像をコンピュータ上で生成することで、その物性の高精度な予測を可能にした。この技術は、従来のAIでは適応できなかった複雑な構造をもつ材料の組成選定・加工・評価といった一連の実験作業をコンピュータ上で高速・高精度に再現(仮想実験)することを可能にするもので、材料開発のさらなる加速化が期待できる。
日本ゼオンは、今後も同プロジェクトを通じ、CNTをはじめとするナノ材料と高分子材料との複合材料を対象としたAI開発技術に取り組むとともに、幅広い材料へ適用可能な技術開発につなげ、新技術と新材料開発の可能性拡大に貢献していく。
2021年8月31日
日本ゼオンはこのほど、基盤技術研究所に所属する本田隆研究員が、高分子学会から2021年度フェローの称号を授与されたと発表した。平均場法を中心とした計算手法の開発と高分子化学への貢献が評価された。なお同社の現職の研究員が高分子学会フェローの称号を授与されたのは、今回が初となる。
高分子学会は、会員数1万を超える学術団体。高分子に関する科学および技術の基礎的研究、その実際的応用の進歩、学術文化の発展並びにそれらを担う人材の育成を図ることを目的として設立された。会員企業である同社は、高分子学会が発行する「Polymer Journal」において、優れた論文を発表した若手研究者を対象に「Polymer Journal 論文賞‐日本ゼオン賞」を創設するなど、研究奨励にも力を入れて取り組んでいる。同学会フェローは2007年に創設され、高分子科学・技術の発展に業績を挙げ、今後も貢献が期待できる高分子学会正会員に対し贈られる。
本田研究員は、同社に所属しながら国家プロジェクトに参画し、高分子系のシミュレーション手法の1つである平均場法(高分子の密度汎関数理論)におけるSCF(セルフコンシステント フィールド)法のプログラム・SUSHI(Simulation Utilities for Soft and Hard Interfaces)を開発し、多くの研究成果を挙げた。また、各成果はソフトウェア機能として容易に使える形で公開されており、SUSHIおよび平均場法は国内外の研究機関や企業の研究者によって現在も広く使われている。
また昨今では、機械学習などのデータサイエンスとシミュレーションの融合分野でも実績を残すなど、計算機を使った先駆的な研究を継続していることからその功績が認められた。
2021年8月3日