【新年特集】旭化成代表取締役社長 小堀秀毅氏

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2020年1月9日

サステナビリティを意識し、常に高付加価値を追求

━昨年は吉野彰名誉フェローがノーベル化学賞を受賞されました。

旭化成 小堀社長 小堀 今回の吉野さんのノーベル賞受賞は、当社の誇りであり、日本産業界の誇りだ。研究開発陣に大きな刺激となっており、若手を中心に士気が上がっていると感じている。

 業績そのものにすぐに反応があるわけではないが、旭化成グループ全体にとっても非常に元気が出る、いい励みであることは間違いない。この励みを力に変えることで、当社グループがさらに成長・拡大していくことを期待している。

━研究開発現場の環境づくりに心掛けられていることは。

 小堀 当社では、日本の科学技術に対し目覚ましい功績や発明・発見などがあった者に授与される紫綬褒章を、これまで吉野さんを含め、7人が受章している。2000年以降でも5人が受章しており、他の企業に比べても多いのではないだろうか。

 当社は売上高の4%をめどに、研究開発費に充てているが、研究者にある程度の自由裁量を与えながらやってきた成果だと自負している。今後も、豊かな発想を持ち、世の中に無かった素晴らしい技術の発見や発明ができる人財を、輩出し続けていく企業文化と風土を大事にしていきたい。

 同時に、

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《化学企業トップ年頭所感》旭化成 小堀秀毅社長

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2020年1月7日

 今年も旭化成グループは、元日のニューイヤー駅伝で陸上部が見事4連覇を達成し、たいへん素晴らしいスタートを切ることができた。

 さて、当社グループにとっての2019年を一文字で表現すると「祝」がふさわしいと思う。なんと言っても、名誉フェロー吉野彰さんのノーベル化学賞受賞だ。これは我々のみならず産業界の誇りであり、特に若手研究者に夢や希望を与えてくれるものだった。スポーツではニューイヤー駅伝3連覇に始まり、8月の世界柔道選手権では大野将平選手が見事なオール一本勝ちで金メダルを獲得した。

 また、5月発表の2018年度決算では売上高、営業利益ともに過去最高を記録。サステナビリティを中核に据えた中期経営計画〝Cs+ for Tomorrow 2021〟を発表し、サステナビリティ推進部、マーケティング力強化や事業化を支援するマーケティング&イノベーション本部、ASEAN地域のコネクトを推進するための旭化成アジアパシフィックを設置した。

 住宅事業では上期に過去最高の業績を達成し、ヘルスケア事業ではグローバル化を加速するため、米国ベロキシス社の買収を決定するなど、皆さんのおかげで本中計は良いスタートが切れたと感じている。

 一方、当社グループを取り巻く事業環境は、米中の貿易戦争や先端テクノロジーを巡る覇権争いなどから、グローバル規模で経済成長の減速が表れ始めた年だった。日本国内では、前年に引き続き各地で自然災害が多発し、甚大な被害を受けた。企業もより高いレベルでのBCP対応やインフラ強化が求められている。

 2020年も先行き不透明な状況が続くものと思うが、社内外との効果的なコネクト、基盤強化、事業高度化を図り、環境に柔軟に対応することで各施策を実行していこう。

 昨今「地球温暖化」「海洋プラスチック問題」など、地球規模 での課題の解決が求められており、企業は、その取り組み姿勢を厳しく問われている。吉野さんはノーベル化学賞受賞のレクチャーで、リチウムイオン電池の活用により、今後「環境」「経済」「利便性」という3つの要素を調和させながら課題解決を図るという素晴らしい決意を示された。

 当社グループも世の中の変化をしっかり捉え、イノベーションによる新事業創出やポートフォリオの変革により、サステナブルな社会の実現に貢献していきたい。

 2020年の抱負は、2019年の「祝」をつなげていきたいという想いを込めて、継承・継続の「継」の一文字としたいと思う。引き続き、当社の特徴ある事業や技術を生かすことで企業価値向上を目指すとともに、 各自の専門性を高め、生産性の向上を図り、新しいことにチャレンジし、社会からの期待にしっかり応えていこう。

旭化成 ポリエチレン製品を15円/kg以上値上げ

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2019年12月26日

 旭化成は25日、ポリエチレン「サンテック」全製品と「クレオレックス」を、来年1月21日出荷分から15円/kg以上値上げすると発表した。「サンテック」は、「サンテック-LD」「サンテック-HD」「サンテック-EVA」の3製品が対象。

 原油・ナフサ価格の上昇により、来年第1四半期(1-3月期)以降はさらなるコスト上昇が予想されている。厳しい経営環境の下、同社はこれまでコストダウンに懸命に取り組んできたものの、このようなコスト上昇分を吸収することは極めて困難であり、今回、価格改定を実施せざるを得ないと判断した。

旭化成 不織布を用いたアート作品を代官山ノエルに出展

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2019年12月20日

 旭化成は不織布「ECORISE」を用いたアート作品「ReBORN」を、代官山Tenohaで開催される「アート解放区 in 代官山ノエル 2019」(21~22日)に出展する。

 「ReBORN」とは素材が時間の経過により美しく生まれ変わるという概念。同作品は、時間の経過による劣化を表現する方法として錆に注目した。同社の「ECORISE」に錆を組み合わせることによって、素材が時間の重なりにより美しく生まれ変わるという、ReBORNの概念を、作品を通じて表現している。

旭化成 米国製薬企業の買収で株式公開買い付けを開始

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2019年12月16日

 旭化成は13日、米国の製薬企業ベロキシス社の買収について、デンマークの子会社がベロキシス社の全株式を保有するベロキシスDK社(デンマーク)の発行済普通株式とワラントに対し、デンマーク法に基づく公開買い付けを、現地時間12月12日に開始したと発表した。

 公開買い付けの買付期間は、来年1月14日午後5時までを予定。なお、ベロキシスDK社との合意内容に基づき、買付条件が充足されない場合は、買付期間を延長する可能性がある。

旭化成 結晶セルロースの2製品がハラール認証取得

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2019年12月6日

 旭化成は5日、医薬品の賦形剤や食品の安定剤に使用される結晶セルロース「セオラス」と「セルフィア」が、インドネシアのハラール認証機関であるインドネシア・ウラマー評議会の食料・薬品・化粧品研究所(MUI)からハラール認証を取得したと発表した。

 ハラール認証は、一般的にはイスラム教徒に対する製品の宗教的な安全性を保証する認証で、主に製品への豚や豚由来物質の混入がないことを保証するもの。同社がハラール認証を取得したMUIは、ムスリム人口が多いインドネシアの認証機関であり、主要各国のハラール認証機関と相互認証・協力を行っているため、グローバルに通用する認証となっている。

 同社によれば、近年のイスラム圏での人口増加や市場拡大、ハラール認証規制の厳重化の動きなどを受け、ハラール認証への顧客ニーズが高まっているという。こうした中、同社では認証取得にあたり、製品のハラール性を確保するための品質管理システムを新たに構築し、工場全体の取り組みとして推進した。さらに、イスラム教とハラールについての理解を深めるための教育を、社内外関係者に実施した。

【合成ゴム特集4】旭化成 シンガポールを増強、S-SBRが27万t体制に

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2019年12月6日

 溶液重合スチレン・ブタジエンゴム(S-SBR)で、世界トップレベルの生産能力を持つ旭化成は「その体制を盤石なものとすることが経営課題の1つ」(同社)であり、その一環として、シンガポールの製造プラントの能力増強を実施した。2013年に製造を開始した同プラントでは、2017年に約3万tの増強工事を開始し、今年2月に完工した。現在は顧客認証の手続き中で、本格稼働を待っている段階である。

 能力増強によって同プラントの生産能力は13万tとなり、川崎(10万5000t)、大分(3万5000t)と合わせ、同社のS-SBRの生産能力は合計27万tとなる。同社によると、S-SBRは「グローバルで見ると、

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旭化成 アクリロニトリル事業で信頼度ナンバーワンを目指す

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2019年12月5日

下期の需給は緩和方向に、中国景気の減速が影響

 旭化成のアクリロニトリル(AN)事業は、顧客への持続的な貢献、トップレベルの技術のさらなる進化、事業収益の安定化を基本方針に掲げている。先日開催された同社マテリアル領域の事業説明会において、小野善広常務執行役員が戦略を示した。

 同社の生産能力は日本、韓国、タイの3拠点で98万1000tを有しており、世界№2、アジア№1のシェアを誇る。今後の増強計画について小野常務は「需要に対応するため、

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旭化成 高機能フィルム展に高性能フィルターを出展

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2019年11月28日

 旭化成は、幕張メッセで開催される「第10回高機能フィルム展」(12月4~6日)に出展する。

 同社の繊維事業では「ベンベルグ」「ベンリーゼ」「ラムース」といったユニークな独自素材を幅広く提供しているが、今回は不織布素材を活用した高性能フィルターシステム「ユーテック」を展示する。

 「ユーテック」は独自の極細繊径MB不織布、柱状流不織布などを組み合わせた高性能フィルターシステム。用途は、セラミックコンデンサー、カラーレジストなどの電子材料製造プロセスや、石油化学・燃料・ファインケミカルの製造プロセスのほか、船舶ビルジ、自動車そのほか各種洗浄などと多岐にわたっている。

 今回の展示では、微小ゲル除去、分級、高粘度対応特性をもつマイクロフィルター「ユーテック ナノ」に加えて、ロングセラー商品である油水分離フィルター「ユーテック」FSをデモ機と共に紹介する。なお、ブース№は34‐35。

 

旭化成 米製薬会社を買収、ヘルスケア領域拡大

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2019年11月27日

 旭化成はこのほど、米国の製薬企業である米Veloxis Pharmaceuticals Inc.(ベロキシス社)を買収すると発表した。

 ベロキシス社を100%保有しているデンマーク・Veloxis DK社に対し、旭化成のデンマーク子会社による株式公開買い付けを12月中に開始する予定。買収総額は約1432億円で、手元現金及び外部借入などを充当する。

 旭化成のヘルスケア領域は、既存事業のオーガニックな成長に加え、ZOLL買収によるクリティカルケア事業の獲得という非連続的な成長を実現。その結果、売上高全体の15%、営業利益19%(2018年度実績)を占める中核事業の1つとなっている。

 こうした中、旭化成はヘルスケア領域の長期的な成長のため、医薬事業と医療機器事業の両輪で「グローバル・ヘルスケア・カンパニー」としての進化をさらに加速させることを目指している。特に、世界最大市場であり、かつイノベーションの発信地である米国では、長年にわたり事業展開の強化に注力し、また医薬事業の獲得機会を模索してきた。

 ベロキシス社は、旭化成が知見をもつ腎移植手術患者向けの免疫抑制剤を販売している。独自のドラックデリバリー技術を活用することで、アンメットニーズ(治療法が見つかっていない医療ニーズ)を満たすとともに、他社製品との差別化も図られている。

 旭化成は今回の買収により、米国医薬品市場における事業基盤を獲得し、また両社の医薬事業の価値を最大化することで、医薬品と医療機器の双方でグローバル化を進化させる。そして、ヘルスケア領域の更なる成長、そして持続的な企業価値向上につなげていく考えだ。