下期の需給は緩和方向に、中国景気の減速が影響
旭化成のアクリロニトリル(AN)事業は、顧客への持続的な貢献、トップレベルの技術のさらなる進化、事業収益の安定化を基本方針に掲げている。先日開催された同社マテリアル領域の事業説明会において、小野善広常務執行役員が戦略を示した。
同社の生産能力は日本、韓国、タイの3拠点で98万1000tを有しており、世界№2、アジア№1のシェアを誇る。今後の増強計画について小野常務は「需要に対応するため、
2019年12月5日
2019年11月28日
旭化成は、幕張メッセで開催される「第10回高機能フィルム展」(12月4~6日)に出展する。
同社の繊維事業では「ベンベルグ」「ベンリーゼ」「ラムース」といったユニークな独自素材を幅広く提供しているが、今回は不織布素材を活用した高性能フィルターシステム「ユーテック」を展示する。
「ユーテック」は独自の極細繊径MB不織布、柱状流不織布などを組み合わせた高性能フィルターシステム。用途は、セラミックコンデンサー、カラーレジストなどの電子材料製造プロセスや、石油化学・燃料・ファインケミカルの製造プロセスのほか、船舶ビルジ、自動車そのほか各種洗浄などと多岐にわたっている。
今回の展示では、微小ゲル除去、分級、高粘度対応特性をもつマイクロフィルター「ユーテック ナノ」に加えて、ロングセラー商品である油水分離フィルター「ユーテック」FSをデモ機と共に紹介する。なお、ブース№は34‐35。
2019年11月27日
旭化成はこのほど、米国の製薬企業である米Veloxis Pharmaceuticals Inc.(ベロキシス社)を買収すると発表した。
ベロキシス社を100%保有しているデンマーク・Veloxis DK社に対し、旭化成のデンマーク子会社による株式公開買い付けを12月中に開始する予定。買収総額は約1432億円で、手元現金及び外部借入などを充当する。
旭化成のヘルスケア領域は、既存事業のオーガニックな成長に加え、ZOLL買収によるクリティカルケア事業の獲得という非連続的な成長を実現。その結果、売上高全体の15%、営業利益19%(2018年度実績)を占める中核事業の1つとなっている。
こうした中、旭化成はヘルスケア領域の長期的な成長のため、医薬事業と医療機器事業の両輪で「グローバル・ヘルスケア・カンパニー」としての進化をさらに加速させることを目指している。特に、世界最大市場であり、かつイノベーションの発信地である米国では、長年にわたり事業展開の強化に注力し、また医薬事業の獲得機会を模索してきた。
ベロキシス社は、旭化成が知見をもつ腎移植手術患者向けの免疫抑制剤を販売している。独自のドラックデリバリー技術を活用することで、アンメットニーズ(治療法が見つかっていない医療ニーズ)を満たすとともに、他社製品との差別化も図られている。
旭化成は今回の買収により、米国医薬品市場における事業基盤を獲得し、また両社の医薬事業の価値を最大化することで、医薬品と医療機器の双方でグローバル化を進化させる。そして、ヘルスケア領域の更なる成長、そして持続的な企業価値向上につなげていく考えだ。
2019年11月18日
2019年11月7日
2019年11月6日
旭化成は5日、名古屋大学未来材料・システム研究所の研究グループ(天野浩教授ら)と、室温パルス電流注入による271・8㎚という世界で最も短波長のレーザー発振に成功したと発表した。
両者は窒化アルミニウム(AlN)基板を用いた深紫外(UV‐C)半導体レーザーの共同研究を進めている。同研究のUV‐C半導体レーザーは、旭化成のグループ会社であるCrystal IS社が製造するAlN基板を使用した。
Crystal IS社のAlN基板は、二インチでかつ1000個/㎠レベルの低い欠陥密度が特長で、今回のUV‐Cレーザー発振に大きく寄与している。これまでの半導体レーザーは、発振波長336㎚にとどまっており、今回の結果は、世界に先駆けてUV‐C帯への短波長化の道を切り開いた。
UV‐C波長帯の半導体レーザーが実現できれば、ガス分析などセンシングへの応用、局所殺菌、DNAや微粒子などの計測・解析といった、ヘルスケア・医療分野への応用が期待される。今回の成功のキーポイントとして①レーザーの光を閉じ込める層に特別なp型層を用いて抵抗を下げたこと②欠陥の少ないAlN基板を用い光散乱による損失を抑えたこと③旭化成での最先端の薄膜結晶成長技術と名大での卓越したプロセス技術・評価技術を融合させたことが挙げられる。
今後も旭化成と名大は、共同研究をさらに発展させることにより、UV‐C半導体レーザーの室温連続発振と実用化を目指して開発を進めていく。なお、今回の研究成果は、10月30日付の「Applied Physics Express」オンライン版に掲載された。
2019年11月1日
旭化成メディカルは31日、製薬企業へのバイオセーフティ試験受託サービスの提供を行うヴァイラシュア フォーシュング ウント エントヴィックルング(オーストリア・ウィーン)を買収したと発表した。
生物学的製剤の製薬プロセスでは、原材料や製造工程に生物由来物質を使用するため、研究・開発・製造の各段階で、ウイルスなどの感染性物質による被害を防ぐためのバイオセーフティ試験を実施する必要がある。
生物学的製剤市場の成長に伴い、ヴァイラシュア社が行っているウイルス等安全性試験受託サービスや、細胞バンキングサービスの需要は年々拡大しており、製剤の安全性を高めるとともに、医薬品の開発促進と高品質医薬の普及に貢献している。
旭化成メディカルは今回の買収により、研究から製造まで幅広い支援を生物学的製剤メーカーに提供できるようになることから、事業活動の拡大と新事業の機会創出を図っていく考えだ。
同社は、血漿分画製剤やバイオ医薬品といった生物学的製剤の製薬プロセスで使用する、ウイルス除去フィルター「プラノバ」の製造・販売事業を中心としたバイオプロセス事業を、成長エンジンの1つと位置づけている。
今後も、旭化成グループのヘルスケア事業領域の一員として、革新的かつ信頼性に優れたバイオプロセス製品や装置、学術的サービスを提供し、生物学的製剤の安全性と製造効率向上に貢献していく。
2019年10月31日
旭化成はこのほど、中国を代表するファッションイベント、中国インターナショナルファッションウィーク(北京コレクション)の中で、同組織委員会と共に設立した「旭化成・中国未来の星デザインイノベーション大賞」の授賞式とファッションショーを行った=写真。
受賞者は于季琦、袁仁杰、陳文竹の3氏。27日、会場となった北京のファッションデザイン広場・751Dでは、受賞者による「ベンベルグ」をふんだんに使用した「2020春夏コレクション」が開催され、会場に詰め掛けた約800人の観客を魅了した。
受賞者の于氏は、「『ベンベルグ』という素材を教えてくれ、生地に触れるチャンスを与えてくれた旭化成様に感謝している」とコメント。「今後も初心を忘れず、デザインの道を追求しいく」と抱負を語った。
「ベンベルグ」は、コットンリンターから生まれたキュプラ繊維の同社ブランド。世界のトップブランドで最高級裏地として採用されているだけではなく、高機能性とエコロジー性という素材特性を生かし、ファッション衣料のみならず、インナーウエア、スポーツウエア、寝装分野など、さまざまな用途分野で製品化されている。
1931年から製造を開始。現在では世界で唯一の製造販売者となっている。同社は、受賞者に対し、「ベンベルグ」の生地を提供し、日本での研修の場を設けるなどの支援を行う。未来のファッションエリート養成に寄与するとともに、モノづくりの側面から中国ファッション業界への長期的な貢献を目指している。
2019年10月25日
2019年10月17日
旭化成とライオンは16日、両社が参加する「プラスチックの高度資源循環を実現するマテリアルリサイクルプロセスの研究開発」をテーマとしたプロジェクトが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募する事業に採択されたと発表した。
2019年度「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」(課題番号:I‐D3)に関する委託事業。
地球環境の保全が重要視される中、環境に配慮しつつ利便性の高い製品を供給するため、使用済みプラスチックを資源として再利用するマテリアルリサイクルの技術開発が求められている。両社は同研究開発プロジェクトを通じ、再生プラスチック素材の製品に適用する革新的な技術開発を開始する。
同プロジェクトは、福岡大学工学部化学システム工学科の八尾教授が主導し、計18の企業や大学・研究機関が参画するもの。再生ポリエチレンをベースとした環境製品生産と資源循環社会システムの研究を行う。
具体的には、旭化成は福岡大学・神戸大学と共同し、一般家庭などから廃棄・回収される容器・包装プラスチックなどのリサイクル原料を使用した配合技術の開発と、ペレット製品の設計・開発を行う。また、ライオンは当該ペレットなどリサイクルプラスチックを含む容器に内容物を充填し、最終製品としての品質評価を行う。
他の主な研究内容は、富山環境整備が容器・包装プラスチックなどの回収と選別を担い、メビウスパッケージングが配合ペレットから容器を製造する、リサイクルプラスチック成形加工技術を開発していく。
これらのリサイクル素材を活用した技術開発により、バージン(未使用)素材と同等の物性を示す材料に再生する革新的な技術開発を行うとともに、当該技術を社会実装して再生材料の利用拡大を図り、新産業の創出を目指す。実施期間は来年7月31日まで。
NEDOは省エネルギーや新エネルギー、CO2削減などのエネルギー・環境分野と、新産業創出に結びつく産業技術分野の中長期的な課題解決を目指している。そのために必要となる技術シーズ、特に既存技術の延長とは異なる、2030年をめどとした持続可能なエネルギー供給の実現や、新産業創出による産業競争力の向上に有望な技術の原石を発掘し、将来の国家プロジェクトなどに繋げていくことを目的に委託事業を推進している。