東洋紡 リスクマネジメント委員会を設置、管理体制強化

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2021年4月9日

 東洋紡は、グループ全体のリスクの一元的管理を目的に、竹内郁夫社長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を4月1日付で設置した。「サステナビリティ委員会」傘下にある、安全・防災委員会、PL(製造物責任)/QA(品質保証)委員会といった常設委員会が所管するリスクを統括する。

 同社は、昨年発生した犬山工場(愛知県犬山市)の火災事故や、医薬品とエンジニアリングプラスチック製品の品質に関する不適切な事案を重く受け止め、同委員会の設置を決めた。同委員会では、リスクマネジメント活動(特定・分析・評価・対応)を統括するほか、グループ全体のリスク管理に関する方針を策定することでリスクの未然防止・早期発見・再発防止を図るとともに、個別リスク発現時の適切な対応を可能とする実効的かつ持続的な組織・仕組みの構築と運用により、リスク管理体制の強化していく考えだ。

4月1日以降のカーボンニュートラル戦略推進体制
4月1日以降のカーボンニュートラル戦略推進体制

東洋紡 新型コロナ迅速プール検査法を共同開発・実用化

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2021年4月8日

 東洋紡は7日、プレシジョン・システム・サイエンス(PSS社)と共同で、新型コロナウイルスに対する迅速プール検査法の開発と実用化に成功したと発表した。

 検体プール検査法は、唾液などの検体を複数混合して検査するもので、検査数を大幅に増やすことができる。その一方で、検体の前処理に人手と時間が必要なことや、プール検体で陽性を検出した場合の再検作業などにより、検体採取から結果報告までに約2日を要していた。

 両社は今回、筑波大学医学医療系の鈴木広道教授による発案・指導の下で迅速プール検査法を開発。東洋紡が販売する遺伝子解析装置「GENECUBE(ジーンキューブ)」(モデルC)と、PSS社が販売する全自動核酸抽出装置「magLEAD(マグリード)12gC」を連携する最適化プログラムを開発することで、人手をほとんど介さずに、唾液検体到着から結果報告まで最短約1時間の迅速プール検査を実現した。

 同検査法は、チップ操作が不要であることに加え、設置幅が約1mと省スペースであり、1時間に120件程度の処理が行える。なお、両装置の連携を最適化する専用カードとラックアダプターは、今月中旬にPSS社から発売される。既存の「magLEAD 12gC」に搭載するのみで速やかな運用開始が可能になる。

迅速プール検査法の流れ。検体採取から結果まで約2日を要していた検体プール検査を、最短約1時間に短縮する
迅速プール検査法の流れ。検体採取から結果まで約2日を要していた検体プール検査を、最短約1時間に短縮する

東洋紡 岩国に高機能不織布の開発・製造拠点を新設

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2021年3月26日

 東洋紡はこのほど、岩国事業所(山口県岩国市)に、マスクや医療用防護服の部材として使用される高機能ポリプロピレン不織布の開発・製造拠点を新設すると発表した。ポリプロピレン製メルトブローン不織布とスパンボンド不織布を生産する。生産能力は最大で年間1200t、2022年7月の生産開始を目指す。3月23日、岩国市役所にて建設協定に関する調印式を開催。同拠点は、経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」を活用して建設する。

岩国事業所の全景
岩国事業所の全景

 新型コロナウイルスの感染拡大当初、マスクや医療用防護服の需給がひっ迫したことにより、部材として使用されるポリプロピレン製メルトブローン不織布やスパンボンド不織布の、国内での安定供給の重要性が指摘されている。同社はこれを受け、経産省からの補助金を活用してポリプロピレン不織布の製造拠点を岩国事業所内に新設し、高機能不織布の安定供給の実現に貢献していく考えだ。

 また同拠点では、アフターコロナの時代を見据え、耐久性や集じん効率などを向上させたより高機能な不織布や、地球環境にやさしい原料を使用した不織布の開発にも注力。同事業所がマザー工場としての役割を担い、提携工場の協力を得ながら、高機能不織布市場や環境対応不織布市場の拡大をグローバル規模で推進していく。

調印式の様子。(右から)岩国市の福田市長、山口県の福田商工労働部長、東洋紡の西山専務執行役員
調印式の様子。(右から)岩国市の福田市長、山口県の福田商工労働部長、東洋紡の西山専務執行役員

 なお、調印式では、岩国市の福田良彦市長、山口県の福田浩治商工労働部長をはじめ多数の関係者が出席し、同社から出席の西山重雄専務執行役員は「マスク用不織布部材の国内サプライチェーン強化に貢献したい」と抱負を語った。

東洋紡 FO膜利用でRO海水淡水化システムの効率向上

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2021年3月25日

 東洋紡はこのほど、中空糸型正浸透膜(FO膜)搭載の環境配慮型水処理システムを海水淡水化分野のコンサルタント会社SWPC社(アラブ首長国連邦、アブダビ)と東洋紡連結子会社のアラビアンジャパニーズメンブレンカンパニー(AJMC)と共同で開発し米国へ特許を仮出願したと発表した。今後、実証実験を重ね早期の実用化を目指す。

中空糸型正浸透(FO)膜
中空糸型正浸透(FO)膜

 雨水や地下水に乏しい中東地域などでは、海水から淡水を作る海水淡水化プラントが多く稼働し、東洋紡グループ製の中空糸型逆浸透膜(RO膜)は1日あたり約160万t、約640万人分の使用量に相当する真水を作っている。しかしRO膜法の海水淡水化プラントからは高濃度の濃縮海水が排出されるため、濃縮海水の効率的な処理方法が求められている。

 今回、FO膜モジュールを併用して濃縮海水排水量を削減し、システム内で発生するエネルギーを利用する次世代の環境配慮型の水処理システムを開発した。

 まず、海水をRO膜で高圧処理して大部分の塩分を除去し濃縮海水と淡水に分け、さらに淡水をRO膜で低圧処理して真水と低濃度塩水に分ける。次に低濃度塩水と濃縮海水を同システム内でFO膜を隔てて接触させると、浸透圧差で低濃度塩水側から濃縮海水側に水流が発生し、濃縮海水は希釈されると同時に、この水流エネルギーをプラント内の圧力ポンプなどの動力として利用する。ここで希釈された濃縮海水は、通常の海水と濃度が変わらないため、RO膜での淡水化に循環利用できる。

 通常くみ上げた海水は、化学薬品を使って微粒子を除去するが、濃縮海水を再利用できるためこの工程を省略でき、薬品使用コストも削減できる。このシステムは、既存の海水淡水化プラントにも容易に追加設置でき、濃縮海水の排水量削減と、発生エネルギーでエネルギーの一部をまかなえるなど、大きな設備投資なしに環境に配慮した水処理システムを実現できる。

 今後両社と協働で実証実験を行い、安定運転のノウハウなどを確立して早期の実用化を目指す。同システムの普及により、環境負荷が低く、コストを抑えた海水淡水化プラントの運用を支援し、世界の水不足という課題の解決に貢献していく考えだ。

東洋紡 全社一丸で4月からCN実現を新体制で推進

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2021年3月16日

 東洋紡はこのほど、2050年カーボンニュートラル(CN)の実現に向けた同社グループの戦略策定と推進を目的に、「カーボンニュートラル戦略検討会議」と「カーボンニュートラル戦略検討クロスファンクションチーム」を今年4月1日付で設置すると発表した。

 全社一丸でCN実現に着実に取り組むために、新設する「カーボンニュートラル戦略検討会議」では、①グループの生産活動に伴う温室効果ガス(GHG)排出量の最小化を目指す②グループの提供するソリューションにより、GHG排出量削減とCNに貢献する③GHGの回収・分離などの技術開発に注力する―の3つの視点からグループ戦略とマイルストーンを策定していく。

 さらに、長期的な目線から部門の垣根を越えた活動を進めるため、全社横断的に組織される「カーボンニュートラル戦略検討クロスファンクションチーム」では、イノベーションの促進、アライアンスの推進、研究開発の加速、新たなソリューションビジネスの創出など、実質的な施策の検討・実施を進めていく考えだ。なお、新たなCN戦略推進体制下では、「カーボンニュートラル戦略検討会議」は、サステナビリティ委員会の分科会として、統括執行役員会議メンバーで構成。

 一方、「クロスファンクションチーム」は、サステナビリティ推進部担当役員をリーダーとし、サステナビリティ推進部に事務局を置く。近年、地球温暖化に伴う気候変動の影響が顕在化する中、東洋紡グループでは地球温暖化・気候変動を事業活動の継続に関わる大きなリスクの1つと認識し、2050年度までのGHG排出ネットゼロ(実質ゼロ)を目標に掲げている。今後も事業活動を通じて持続可能な社会実現への貢献を目指し、サステナビリティを根幹に据えた経営を推進していく。

4月1日以降のカーボンニュートラル戦略推進体制
4月1日以降のカーボンニュートラル戦略推進体制

 

東洋紡 モノマテリアル化したOPPバリアフィルム開発

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2021年3月10日

 東洋紡はこのほど、モノマテリアル(単一素材)の包装材を実現する、高いバリア性をもつ二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム「DP065」を開発したと発表した。今月中旬からサンプル出荷を開始し、4月下旬の販売開始を目指す。

 同開発品は、フィルム1㎡あたり1日(24時間)に透過する水蒸気量(g)を示す水蒸気透過度が2g、また、1気圧下、1㎡あたり1日に透過する酸素量(CC)を表す酸素透過度は2CCと、高いバリア性をもつ。近年、消費者の環境への意識が世界的に高まる中、環境に配慮した製品の需要が増している。一方で、高い品質が要求される食品などの包装材は、PETフィルムやアルミ箔、ポリエチレンフィルムなど、異なる機能をもった複数の素材を貼り合わせて要求性能を満たすことが一般的であるため、リサイクルが困難という課題があった。

 同社が開発した「DP065」は、単一素材で構成しながらも高いバリア性を付与したほか、印刷やラミネート、製袋などに対する優れた加工適性、FDA規制やEU規則など国際的な基準に適合する安全性といった、包装材に求められる様々な機能を併せもつOPPフィルム。モノマテリアルの包材設計が可能となるため、プラスチックの再生利用が容易になるほか、非塩素系材料の使用により、リサイクルや焼却時に有害な塩素系ガスが発生しない特長も備えている。

 同社はこれまでも、シーラント素材などに使われるポリエステルフィルム「オリエステル」を上市し、モノマテリアル化を推進してきた。今後はポリオレフィン素材についても環境に配慮した高機能なフィルム製品のラインアップを拡充し、グローバル市場に展開することで、循環型経済の実現に貢献していく考えだ。

東洋紡 燃料電池セルの封止材がトヨタ新型FCVに採用

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2021年3月9日

 東洋紡の子会社、東洋紡フイルムソリューションはこのほど、燃料電池自動車(FCV)に搭載する燃料電池セル用シール材を開発し、トヨタ自動車が昨年12月に発売した新型FCV「MIRAI」に採用されたと発表した。

新型「MIRAI」(写真協力:トヨタ自動車)
新型「MIRAI」(写真協力:トヨタ自動車)

 採用されたシール材は、車載用途でも採用を伸ばすポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム「テオネックス」に、独自の接着剤を塗工し精密加工を施したもの。燃料電池セルを生産する際にセルの構成部材を接合する用途に加え、発電面の保護、絶縁、ガス導出入形状の維持など、様々な機能を提供する。

 過酷な環境下でも高い耐久性を実現し、燃料電池の長期信頼性の確保に貢献することなどが評価され、今回の採用となった。また、新規に開発した接着剤などの効果により、部材の高速接合が可能となり、1セルあたりの生産時間を大幅に短縮する機能も併せもつ。

新型「MIRAI」の燃料電池ユニット(写真協力:トヨタ自動車)
新型「MIRAI」の燃料電池ユニット(写真協力:トヨタ自動車)

 東洋紡フイルムソリューションは、水素をエネルギー源とし、走行中には水しか排出しない究極のエコカーとして普及が期待される新型「MIRAI」に同シール材を提供することを通じ、健全で持続可能な社会づくりに貢献していく考えだ。

 なお、「テオネックス」は、同社が世界シェアをほぼ独占する、優れた機械強度特性と電気絶縁特性をもつ高耐久・高耐熱フィルム。コストパフォーマンスに優れ、PETフィルム同様の使いやすさも兼ね備えており、新たな市場ニーズに応えることが期待されている。

 

東洋紡 OPP・CPPなど包装用フィルム製品を値上げ

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2021年3月8日

 東洋紡はこのほど、包装用フィルム製品の一部について、今月22日出荷分から値上げすると発表した。対象製品と改定幅(連:500㎡)は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、直鎖状低密度ポリエチレン(L―LDPE)フィルムがいずれも「連300円(20㎛換算)」、二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)が「連300円(12㎛換算)」、二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)が「連600円(15㎛換算)」、透明蒸着フィルム「エコシアール」のPETベースが「連300円(12㎛換算)」、同ONYベースが「連600円(15㎛換算)」となっている。

 昨今の原油、ナフサ価格の上昇などを背景に、包装用フィルム製品の原料価格高騰が続いている。加えて、燃料費や電力費、物流経費、設備維持費用などの諸経費が上昇し、製造コストを押し上げている。こうした状況下、同社では徹底したコスト削減を行ってきたが、現在の価格体系では顧客への安定的な製品供給が困難と判断し、今回の価格改定を決めた。

東洋紡 4-12月期決算(9日)

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2021年2月10日

[東洋紡/4―12月期決算](9日)単位100万円、カッコ内は対前年同期増減率。▽連結=売上高243,878(▲1.7%)、営業利益18,305(14.6%)、経常利益12,460(▲7.3%)、純利益25(▲99.6%)。