BASF CO2削減へ4つのプロジェクトを推進

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2019年2月4日

 BASFはこのほど、ドイツ・ルートヴィッヒスハーフェンの本社でリサーチプレスカンファレンスを開催し、CO2を削減する未来の生産プロセスに向けた画期的な4つのプロジェクトを紹介した。

 1つ目はスチームクラッカー用の世界初の電熱コンセプトの開発。同社のスチームクラッカーはナフサをオレフィンと芳香族化合物に分解し、さらなるプロセスで使用するため、850℃に上げる必要がある。

 このエネルギーに、現在一般的に使われている天然ガスではなく、再生可能エネルギーによる電気を使うことができれば、CO2の排出を最大90%削減することが可能になる。このため、同社では今後5年でスチームクラッカー用電熱コンセプトの開発を目指す。

 2つ目は天然ガスから水素を生成する新たなプロセステクノロジーの開発。3つ目はオレフィン製造プロセスでの低排出プロセスに向けた新世代触媒の開発。最後はCO2を化学原料として使用する新たなアプローチである、エチレンとCO2からアクリル酸ナトリウムを生成する方法だ。

 同社のマーティン・ブルーダーミュラー取締役会会長兼最高技術責任者(CTO)は「1990年以降、BASFは生産量を倍増させる一方で、温室効果ガスの排出を50%削減している。CO2排出量をさらに大きく削減していくためには、全く新たな技術が必要となる。そのため、BASFは意欲的な研究開発プログラムを開始した」と話している。

 同社は研究開発費を前年までの高水準で維持していくことを目指している。2017年の研究開発に対する支出は18億8800万ユーロに上る。昨年の研究開発費は2月末の年次総会で発表される。

 同社の研究パイプラインには約3000件のプロジェクトがあり、研究開発に関わる 1万1000人以上の社員が世界各地でそれらのプロジェクトに取り組んでいる。

 

BASF プラ廃棄物問題解決へ、アライアンスを設立

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2019年2月1日

 BASFはこのほど、自然環境、特に海洋でのプラスチック廃棄物を削減・除去するソリューションを前進させるため、世界的なアライアンス「Alliance to End Plastic Waste(AEPW)」を約30社と設立したと発表した。

 プラスチック廃棄物の量を最小化し管理していくための新しいソリューションを開発し、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)を実現することで、使用済みプラスチック向けの施策を推進していく。

 AEPWは化学・プラスチックメーカーや消費財メーカー、小売業者、加工業者、廃棄物管理会社など、世界的なプラスチックと消費財バリューチェーンに携わる企業が参画する非営利組織で、政府・政府間組織・学界・非政府組織・市民社会と協力し、環境からプラスチック廃棄物を排除するための共同プロジェクトに投資する。

 今後5年間で15億米ドルを投じて自然環境中のプラスチック廃棄物をなくすことを目標としており、すでに10億米ドル以上の投資を表明している。

 AEPWの活動には、4つの主要分野に貢献するプロジェクトが含まれる。まず廃棄物の収集・管理とリサイクル推進のためのインフラ開発。次にプラスチックのリサイクル・回収を容易にし、使用済みプラスチックから価値を生み出す新技術開発のためのイノベーション。3番目が行動喚起のための政府・企業・地域社会での教育・啓蒙。4つ目が環境中のプラスチック廃棄物が集中する地域、特に陸上の廃棄物を海洋へ運ぶ河川など、廃棄物の主要なルートの清掃活動である。

 なお、AEPWの創設メンバーとして、日本から三菱ケミカルホールディンスグと三井化学、住友化学の3社が参加している。

 

BASF 果樹と畑作物向け新規殺菌剤を年内に発売

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2019年1月31日

 BASFジャパンはこのほど、独BASFが開発した新規有効成分「ゼミウム」(成分名:フルキサピロキサド)を含む「アクサーフロアブル」と 「イントレックスフロアブル」の2つの新規殺菌剤の販売を開始すると発表した。これらの殺菌剤は果樹と畑作物の主要な病害に対し、強力で長期間防除効果を発揮する。

BASFアクサーフロアブルボトル
アクサーフロアブルボトル

 果樹専用殺菌剤のアクサーフロアブルは、ゼミウムとジフェノコナゾールの混合剤。リンゴのモニリア病や黒星病、梨の黒星病や黒斑病、桃の灰星病など、果樹のさまざまな主要病害に効果がある。作用が異なる有効成分の混合剤であるため、耐性菌管理にも有効。3月の販売開始を予定している。

イントレックスフロアブルは小麦など畑作物の主要病害に対応
イントレックスフロアブルは小麦など畑作物の主要病害に対応

 畑作物専用殺菌剤のイントレックスフロアブルはゼミウムの単剤で、小麦・ジャガイモ・テンサイの主要病害に対応する。特に小麦の雪腐病やテンサイの葉枯病など、北海道で問題になっている病害の防除に高い効果を発揮する。今年第4四半期中に販売を開始する予定だ。

 ゼミウムは果樹と畑作物のさまざまな病害を防除する効果に加え、浸達性と移行性に優れているため、成分が葉面の裏側や葉内を含む植物のすべての部分にいきわたる。また、そのユニークな特性により植物表面に吸着することから、長期にわたり病害を防除することが期待できる。

BASF メタンスルホン酸設備を増強し年産5万tに

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2019年1月18日

 BASFはこのほど、独・ルートヴィッヒスハーフェン工場でのメタンスルホン酸(MSA)の生産能力を約65%拡大し、世界全体の生産能力を年間5万tに増強すると発表した。同社はこの投資により、MSAの世界的なリーディングサプライヤーとしての地位をさらに強化する。2021年後半に、すべての地域の顧客に増産した製品の供給を開始する予定だ。

 同社では独自プロセスを用い、高純度MSAである「Lutropur MSA」を製造している。

 MSAは強力な有機酸で、化学合成やバイオ燃料合成をはじめ、工業用洗浄や電子産業の金属表面処理など、さまざまな業界で幅広い用途がある。また、容易に生分解され、MSA金属塩の高い溶解性、非酸化性、無色・無臭といった優れた特性をもち、環境への配慮からも硫酸、リン酸、酢酸といった他の酸の、持続可能な代替品となっている。

 ケア・ケミカルズ事業本部でグローバル戦略マーケティングおよび開発部門を担当するマーティン・ヴィットマン氏は、「MSAに対する需要は、業界全体で大きく増加した。今回の生産能力拡大により、急成長するアジアを中心としたお客様を支援していく」と述べ、さらにMSAの生産能力を継続的に拡大するため、欧州以外での投資オプションも検討していることを明らかにした。

 同社は、豊富なノウハウと効率的な製造プロセスを駆使し、顧客のアプリケーションの性能、持続可能性、効率性を向上させていく考えだ。

 

BASF 未来型コンセプトカーを中国企業と共同開発

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2018年12月26日

 BASFはこのほど、中国・広州汽車工業集団の研究開発センター(GAC R&D Center)と共同開発した、2人乗り電気自動車(EV)のコンセプトカー3台を初公開した。同社が中国の自動車メーカーと協力して、コンセプトカーを開発したのは今回が初めて。

BASFとGACのコンセプトカー
BASFとGACのコンセプトカー

同コンセプトカーは、中国のドライバーの多様なニーズに応える未来的デザインを取り入れて、GAC R&D Centerが設計し、BASFが素材とデザインに関する用途開発の促進やアイデアを提供したもの。先月に行われた広州国際モーターショー2018で発表された。

 開発にあたっては、BASFのデザインプラットフォーム「デザインファブリーク」が高度な試作をサポート。総合的な空気清浄ソリューションからシートファブリック、ボディパネルやEVのバッテリーパックに使用される素材まで、同社の革新的なソリューションが、アイデアをソリューションへと転換した。

 また、両社が共同開発した車体用の外装塗料が、各コンセプトカーのユニークな個性を際立たせている。3台のコンセプトカーの特徴と、使用したBASFの素材・ソリューションは以下の通り。

 ①「2US」:シニアドライバー用に設計。乗降車が容易な回転式のシートベースが特徴。「ウルトラミッド・アドバンストN」で作られたプラスチック製のギアにより、水平方向に九十度回転するシートの操作がスムーズに行える。

 ②「2U」:個性的なスタイルを求める女性向けに設計。「ウルトラミッド・ビジョン」で作られた半透明のトリム部品を使ったユニークなシートデザインなど、様々な可能性を秘めた車。助手席シートに施した毛皮のような表面は、「Adsint TPU」3Dプリントソリューションで実現した。

 ③「2ALL」:操作の容易さやメンテナンス費用の低減など、カーシェアリング特有のニーズに対応するデザイン要素を複数備える。例えば、「エラストランHPM」で作られたフロントバンパーは耐傷性に優れ、熱可塑性ポリウレタン発泡粒子「インフィナジー」で作られたシートの背もたれや底面のクッションは、快適性と堅牢性を併せ持つ。

BASF プラットフォーム「AUROOM」を発表

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2018年12月10日

 BASFのコーティングス事業本部はこのほど、自動車メーカーのデザイナー向けに、写真のようにリアルでバーチャルな車の色のデータベースのデジタルプラットフォーム「AUROOM」を発表した。同社は、市場のほぼすべての自動車メーカーと塗色の開発を行っており、常に新しい色をデザインしながら、現在、600色以上を欧州で生産している。

 この大規模なポートフォリオはカメラでスキャンされ、スキャン中に生成された大量の外観データは、高度な数学モデルを使用して処理され、同社の測色のノウハウによりその真正性が確保される。自動車メーカーはAUROOMプラットフォーム上で包括的なカラーデータにアクセスし、そこで提供される様々な3D形状や独自のモデルCADの上でその色を描写することができる。

 同社のバーチャルカラーは、明暗変化、カラーフロップや輝きを含む自動車塗料のあらゆる側面を捉えている。自動車デザイナーはAUROOM上でこれらのバーチャルカラーを車のモデルにマッピングし、初期のデザイン段階ですべての提案カラーを仮想的に塗装し、色とエフェクトのリアルな印象を確認できる。

 AUROOM」は塗装して出荷する必要のある物理的なサンプルだけに頼る必要がなくなるため、自動車デザイナーには、全体的なカラーデザインプロセスを速め、完璧なものにするための貴重なツールとなる。AUROOMは同じカラーグループの異なるカラーを並べてリアルタイムで比較し、適切なカラーの決定を容易にするため、さらに革新的な機能を提供していく。

BASF プリントで新製品と戦略的提携を発表

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2018年12月7日

 BASFのグループ会社、BASF 3Dプリンティング・ソリューションズ社(B3DPS)はこのほど、ドイツ・フランクフルトで先月開催された展示会「formnext 2018」にUV硬化樹脂やレーザー焼結法の新製品を出展し、これに伴い、複数社との新たなパートナーシップを発表した。同パートナーシップは、3Dプリントでの画期的なソリューション・製品の開発と提供に向けたもの。

 一つは、米国・サンフランシスコのオリジン社と戦略的提携を結び、UV硬化樹脂印刷プロセスのさらなる開発を進めている。オリジン社は、BASFの新しいUV硬化樹脂「Ultracur3D」が良好に処理できる新しい印刷法を開発。この技術により、良質な表面仕上げと高い機械的安定性という最適な組み合わせが提供されると同時に、材料の高スループットも可能になる。

 B3DPSはまた、3Dプリンターおよび対応するソフトウェア・材料のメーカーであるフォトセントリック社と共同で、機能部品の大量生産に対応する新しいUV硬化樹脂と、大型UV硬化樹脂プリンターの開発に取り組んでいる。

 両社は、小型部品の射出成形といった従来の製造プロセスの1部の代替となり、大型部品の製造も可能にする、業界向け3Dプリントソリューションを提供する予定だ。

 中国のプリンターメーカー、Xunshi Technology社との提携では、「Ultracur3D」製品の新たな応用分野を開拓していく。同社は紹興市に本社を置き、米国ではスプリントレイの名称で事業展開している。

 B3DPSの子会社・Innofile3D社は、中国・天津市に拠点を置くジェットメイト・テクノロジー社と提携し、中国でのプラスチックフィラメントの販売を開始する。同時に、米国・ノースブルックのM.ホランド社とは、米国でのフィラメント販売に関する協定を締結。

 今後は、フィラメント最大市場である米国での活動を強化していくとともに、アジア市場での販売チャネルを開発し、2019年に「Ultrafuse」フィラメントのアジア市場投入を目指す。

BASF 中国の3Dプリント大手プロバイダーに投資

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2018年11月22日

 BASFベンチャー・キャピタルはこのほど、中国・上海の3Dプリントプロセス・3Dプリンター大手プロバイダーのプリズムラボに投資すると発表した。

 プリズムラボは高速印刷・高精度印刷・低コスト印刷を特徴とする企業。BASFベンチャー・キャピタルは、ドイツの大手化学メーカーBASFのコーポレートベンチャーキャピタルである。プリズムラボはBASFの投資により、製品開発とイノベーションを加速させ、世界市場への展開を強化することができる。

 プリズムラボはステレオリソグラフィー(SLA)に基づいた、特許取得済みの3Dプリントプロセスであるピクセル解像度強化技術を開発した。SLAは光硬化性樹脂を使い、比較的大きな部品を製造することができる。

 同社の技術は、印刷速度を落とすことなく印刷解像度を向上。1つのピクセルに取り込まれるエネルギー量を増加させるため、樹脂中の各ピクセルをいくつかの小さなセクションに分割し、LCDライトを当てることで、個々に硬化させることができる。

 これにより、各ピクセルへのエネルギー入力は、各ピクセルに光を1回当てる同様のプロセスに比べ、著しく高くなる。このため、比較的大型で安定した部品や、多数の部品を同一製造工程で印刷することができる。また、LCDライトの使用により、プロセスコストも削減する。

 プリズムラボは、3Dプリンターの販売や、その他関連サービスの提供も行っている。BASFベンチャー・キャピタルのマルクス・ゾリビーダ・マネージングディレクターは「今回の投資は、中国企業への初めての直接投資。先駆的な技術により、医療用補装具や解剖学的模型のように、規模が大きく安定した部品が、初めて3Dプリントできるようになる」と話している。

BASF 熱可塑性ポリウレタン発泡粒子がダンロップのラケットに採用

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2018年11月19日

 ドイツの大手化学メーカーBASFはこのほど、ダンロップのテニスラケット「CX」シリーズのソニックコアに、「インフィナジー」が採用されたと発表した。

 インフィナジーは優れたクッション性・反発性・パフォーマンスを備えた、世界初の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子(E-TPU)。また、ソニックコア・テクノロジーは、反発性を最適化するため、高反発ウレタン素材をフェース部フレーム内に装着するダンロップの技術である。

 ダンロップの材料試験では、ダンロップの既存のソニックコア素材に対して、跳ね返りの高さが46%増加し、ボールスピードが2%速くなった。優れた反発特性に加え、減衰特性もあることから、標準的なカーボンファイバーラケットに比べ、最大37%まで振動を低減する。

 現代のテニスプレーヤーは、よりスピンをかけてプレーする傾向があり、その結果、ラケットの中心よりも先端部分でボールを打つケースが多くなる。スピンを生み出すためには、より大きな力でスイングしなければならず、プレーヤーの腕に余分な負荷がかかり、けがの原因となる可能性がある。

 ダンロップの研究チームはこの傾向に注目し、これらの課題を解決するための新たなイノベーションとして、ソニックコアにインフィナジーを採用した。CXシリーズは、ダンロップのツアーチームのプレーヤーに支持されており、その中には、2019シーズン中にラケットを使用する、複数のグランドスラムのファイナリストであるケビン・アンダーソンも含まれている。

BASF 中国での協業拡大へシノペックと覚書に署名

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2018年11月13日

 ドイツの大手化学メーカーBASFはこのほど、中国最大のエネルギー・化学製品会社の1つであるシノペックと、中国で上流・下流の化学品生産のパートナーシップをさらに強化するため、北京で覚書(MoU)に署名したと発表した。

 両社は新たにスチームクラッカーを建設し、両社の出資比率が対等の合弁企業であるBASF-YPC Company(BASF-YPC)の拡大を目指す。共同での実施可能性調査は、年末までに完了する見込み。また、両社は急速に成長している中国の電池材料市場で、新たなビジネスチャンスを共同で検討する。

 MoUによると、BASF-YPCが50%、残りの50%をシノペック揚子石化(YPC)が出資し、年産100万tのエチレン生産能力をもつ第2のスチームクラッカーを建設する。BASF-YPCとYPCの両社は、下流の製品ポートフォリオ開発に向けて、新しいスチームクラッカーの全ての製品を利用することができる。

 さらに、このスチームクラッカーから提供される基礎化学品により、BASFとシノペックは、合弁事業であるBASF-YPCの南京フェアブントサイト(統合生産拠点)の生産能力を拡大することができる。フェアブントサイトでは工場が相互に連結されており、製品・副産物・エネルギーの効率的な利用により、コスト削減と環境負荷の最小化を図っている。

 中国では、特に自動車産業での代替エネルギーの重要性の高まりにより、さまざまな用途に向けた、革新的な電池材料に対する需要が急増している。このため、両社は電池材料分野での新たなビジネスチャンスを共同で模索していく。