三井化学 北海道大学とイノベーションラボ、来春設置で合意

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2022年11月25日

 三井化学は24日、北海道大学との間で、同大創成研究機構化学反応創成研究拠点(ICReDD:アイクレッド)内に来春、「三井化学‐ICReDD 化学反応設計イノベーション部門」(三井化学‐ICReDDラボ)を設置することで基本合意したと発表した。

高機能材料の開発や、循環型社会の実現に向けた新規反応の設計を目指し、北海道大学と共同研究を開始する

 複雑系化学反応を対象とした

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東ソー 北海道大学が創設した「鈴木章賞」に単独協賛

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2021年12月9日

 東ソーは8日、北海道大学が鈴木章名誉教授の功績を称えるとともに、化学分野の学術進歩を支援する目的で、「鈴木章賞」を創設したことを受け、単独協賛企業として同賞の支援を決定したと発表した。

 2010年にノーベル化学賞を受賞した同大学の鈴木章名誉教授は、2008~2019年にかけて、同社グループの技術アドバイザーを務めた。その間、2017年には「東ソー研究・技術報告」第61巻の巻頭言を執筆するなど、研究開発指導に加えて、同社の情報発信活動(リクルート資料、CSRレポート、共著専門書作成など)に大いに貢献している。

 「鈴木章賞」には2つの賞が設けられ、実験化学分野「Akira Suzuki Award」、および計算(理論)化学・情報科学分野「ICReDD Award」において、化学反応開発に顕著な功績を収めた研究者に授与される。今回、初代「鈴木章賞」の受賞者が決定し、授賞式および受賞講演会が2022年3月12~13日に開催される予定。

 東ソーは、今後も化学分野の技術発展への貢献を続けていく。

産総研と北海道大学 CO2からのブタノール連続生産を達成

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2021年9月29日

 産業技術総合研究所(産総研)と北海道大学はこのほど、CO2を原料に、アルコールの一種であるブタノールを連続生産する技術を共同開発した。CO2を直接原料として使う、新たな化学品合成プロセスとして期待される。

 年間1000万t以上のアルコールやアルデヒドが、プロピレンなどの不飽和炭化水素、CO、水素を原料にしたヒドロホルミル化反応(オキソ反応)により、コバルトやロジウム錯体触媒を使ったバッチ式反応で製造されている。金属錯体触媒は生成物との分離や再利用に課題がある。固体担体に固定化する手法が提案されてきたが、反応性が変化し、耐熱性が低下してしまう。

 産総研は、ルテニウム錯体がCO2をCOに変換する触媒機能をもつことに着目し、毒性の高いCOの代わりにCO2を使うオキソ反応を世界に先駆けて開発した。しかし錯体触媒は有機溶媒に溶解させて使うため、耐圧反応容器を使うバッチ式反応プロセスが必要であった。

 今回イオン液体を使って、ルテニウム錯体触媒をシリカゲル表面に薄膜状に固定化した触媒を開発。薄膜状のイオン液体中のルテニウム錯体触媒は、有機溶媒中と同様に反応する上、外観はシリカゲルと同じ粉体であるため、一般的な固体触媒と同様に扱える。

 またイオン液体は、オキソ反応温度域では揮発しないので、触媒を担体上に安定に保持できる。これにより、CO2と水素とプロピレンから、ブタノールを連続的に生産することが可能になった。高圧フロー式反応装置で反応圧8・6M㎩、反応温度170℃、約8時間の反応では、従来のバッチ式反応プロセスに比べ、時間当たりの収率は10倍になった。

 今後は主生成物の選択性と触媒の耐久性の向上のため、新たな金属錯体触媒やイオン液体の改良を行っていく。また、幅広く他の原料への適用可能性も検討していく。

今回開発したCO2を原料としたアルコール合成プロセス

 

ダイセル こんにゃくセラミド、認知機能低下の抑制確認

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2021年7月15日

 ダイセルはこのほど、北海道大学と北海道情報大学との共同研究により、同社が開発した健康食品素材「こんにゃく由来グルコシルセラミド」の摂取がヒト脳内アミロイドβ蓄積を予防し、アルツハイマー病などによる認知機能の低下を抑制・維持できる可能性があることを確認したと発表した。なお、今回の研究成果は、7月に開催された「第75回日本栄養・食糧学会大会」で発表している。

こんにゃく由来セラミド

 アルツハイマー病などの認知機能低下を引き起こす進行性の疾患は、アミロイドβと呼ばれるタンパク質が脳細胞外に蓄積することが原因と言われる。これまでの研究では、同グルコシルセラミドをアルツハイマー病モデルマウスに経口投与することで、アミロイドβクリアランス効果を保持する神経由来エクソソームが増加し、脳内アミロイドβの蓄積が抑制されることが判明していた。

 そして今回、ヒトが経口摂取した場合での効果を検証するため、両大学との共同研究でプラセボ対照ランダム化二重盲検試験を実施。なお、研究に用いた同グルコシルセラミドは、皮膚の保湿・バリア機能を高める機能性食品素材として販売しており、板こんにゃくの製造時に廃棄される「飛び粉」から抽出製造するサステナブルな原料だ。

こんにゃく由来セラミド 血中アミロイドβバイオマーカー値の測定
こんにゃく由来セラミド 血中アミロイドβバイオマーカー値の測定

 グルコシルセラミドは、多くの植物に含まれているが、小麦胚芽や米ぬかなどに比べ、こんにゃく芋の飛び粉抽出物はセラミド含有量が高いことがわかっている。研究では、60~80歳未満の被験者20名(平均70.1歳)をプラセボ食品群10名と被験食品群10名に構成し、プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を24週間にわたり実施。それぞれの群がプラセボ食品また同グルコシルセラミド5.4mgを含む被験食品を摂取し、0週、12週、24週に血中アミロイドβバイオマーカー値の測定を実施したところ、被験食品群において、0週目との比較で12週目に有意な低値を示した。さらに層別解析を行ったところ、アミロイドβバイオマーカー値が相対的に低めの集団では、摂取12週後、24週後に被験食品群の変化量がプラセボ食品群より有意に低値を示した。

 同社は今後、さらなるヒト介入試験を進め、認知機能分野における機能性素材の開発に取り組み、人々の健康長寿に役立つ製品を提供していく。

ダイセル こんにゃくセラミド構造、高い体内吸収性確認

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2021年5月6日

 ダイセルはこのほど、同社の機能性食品素材である「こんにゃくセラミド」の植物性スフィンゴイド塩基が体内への高い吸収性を示す研究成果を得たと発表した。同社と北海道大学は、2016年4月に同学内の「次世代物質生命科学研究センター」内に共同で設置した産業創出講座を中心に、「こんにゃくセラミド」がもつアルツハイマー病予防効果に関する研究に取り組んできた。

 そして、今回、北海道大学、国立感染症研究所、岩手大学と共同で実施した機能性食品として利用可能な非哺乳類型スフィンゴイド塩基の種類による代謝吸収率の違いに関する研究において、ラットに経胃投与した際、小腸からリンパ液への吸収性は「こんにゃくセラミド」の主要構造である植物性スフィンゴイド塩基が最も高いことを確認した。この成果から「こんにゃくセラミド」を摂取した場合も同様に高い吸収率が期待できる。なお、この研究成果は、3月公開の「Lipids in Health and Disease」誌に掲載された。

 ダイセルは2002年から「こんにゃくセラミド(こんにゃく芋粉抽出物)」を、食品素材として健康食品メーカーや化粧品メーカーなどに販売している。今後も、人々の「美と健康」に貢献する健康食品素材の開発を進めていく考えだ。

 

 

デンカ エボラウイルス診断キットの国内製販承認を取得

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2021年3月25日

 デンカはこのほど、北海道大学と共同開発したエボラウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-Ebola」について、医薬品医療機器総合機構(PMDA)から国内製造販売承認を取得したと発表した。同社は国内防疫の観点で、関係官庁や公的機関、研究機関などの協力を仰ぎながら、同キットの活用の可能性を検討していく考えだ。

 同キットは診断結果を約10分で判定し、特別な器具や装置を必要としないことから、医療施設が十分に整っていない地域でも有効に使用が可能。同社は、現在でもエボラウイルス病の発生が確認されているアフリカでの感染拡大予防対策にさらに貢献するために、アフリカ諸国の医療機関への同キットの情報提供を通じて、正式供給の可能性を探るとともに、世界保健機関(WHO)による緊急使用承認を2022年に取得することを目指していく。

 同社は経営計画の中で、ヘルスケア事業を重点分野の1つに位置づける。今後も感染症の予防と早期診断を通じて世界の医療の課題解決に取り組み、人々のQOL向上に貢献していく。

日本触媒 高速で高密度な蓄熱デバイス、共同開発を推進

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2021年1月13日

 日本触媒は12日、北海道大学、産業技術総合研究所と共に、NEDOエネルギー・環境新技術先導研究プログラムについて「合金系潜熱蓄熱マイクロカプセルを基盤とした高速かつ高密度な蓄熱技術の研究開発」事業を受託したと発表した。

合金系潜熱蓄熱マイクロプセル「h-MEPCM」
合金系潜熱蓄熱マイクロプセル「h-MEPCM」

 地球温暖化防止に向けて再生可能エネルギーの活用が進みつつあるが、条件によって変動するため、蓄エネルギー技術を併用する必要がある。蓄熱は蓄電池と比べ安価であるが、熱の発生する時間や場所が必ずしも需要と一致しないため、現状では大量の余剰熱が廃棄されている。蓄熱技術を用いることで、余剰熱を再利用し大幅な省エネにつなげることが可能となる。

 今回の事業では、同大・能村准教授の開発した合金系潜熱蓄熱マイクロカプセル(h-MEPCM)を同社の触媒製造技術により成型体に加工。同大ではこの成型体を使ったプロトタイプモジュールの諸物性を評価し、産総研ではデータを基にシミュレーションモデルの構築と応用モジュールの作成を行う。これにより、蓄熱成型体のデバイスとしての性能を取得し、応用展開を促進する計画だ。

 h-MEPCMは金属の核をセラミックス(アルミナ)の殻で封じた粒子径30㎛前後の粒子で、核の金属が600℃付近で溶解することにより潜熱として熱を蓄える。高い基礎的熱特性をもつが、実用に向けては粉体を適切な形に成型することが求められていた。

 同社は蓄積したノウハウを活用して、種々のサイズのペレット、リング、ハニカムなどの形状をもつh-MEPCM成型体を作成。これにより実用モデルでの諸物性の評価が可能となるため、蓄熱密度、伝熱特性などの基礎物性の取得に加え、出力特性、繰り返し耐久性など使用形態での熱特性の測定を行い、具体的性能を示す。さらに、社会実装を促進するため、想定する用途でのシミュレーションを行い、炭酸ガス抑制効果やコスト削減効果など、既存技術に対する優位性も示していく。

 同事業の展開先として、高温産業炉の省エネ技術リジェネバーナーでの利用や電炉排熱の再利用、コジェネレーションの熱電需給調整、EVの暖房用蓄熱などの省エネ用途に加え、再生エネとの組み合わせでは24時間安定発電も可能な集光型太陽熱発電(CSP)、石炭火力の燃焼器を蓄熱体で置き換えた蓄熱発電などの再生エネ安定利用などを想定している。

 

ダイセル こんにゃくセラミドの脳への移行性を確認

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2020年12月2日

 ダイセルはこのほど、北海道大学との共同研究により、同社の機能性食品素材である「こんにゃくセラミド」がマウスの試験を通じ、血液脳関門(BBB)を透過できるという成果を得たと発表した。

 両者は、2016年に同学内の「次世代物質生命科学研究センター」内に共同で設置した産業創出講座を中心に、「こんにゃくセラミド」がもつアルツハイマー病予防効果を研究してきた。こうした中、「こんにゃくセラミド」の主要成分である植物性セラミドをマウスに血中投与した際、BBBを透過して脳内へ蓄積することを実証した。

 アルツハイマー病の発症は、「アミロイドβペプチド」が脳内に過度に蓄積することが原因の1つとさる。「エクソソーム」という物質は、アミロイドβペプチドと結合し、これらを分解・除去することが明らかとなっている。「こんにゃくセラミド」は神経細胞のエクソソーム産生を促進し、アミロイドβペプチドの分解・除去する機能を増強。それによって脳内のアミロイドβペプチド濃度が低下することで、短期記憶の改善効果があることが示されている。

 今回は、これまで未解明だった、「こんにゃくセラミド」が体内吸収された後の植物性セラミドがBBBを透過して脳へ移行できるかどうかを明らかにするために、植物性セラミドのBBB透過性について培養細胞およびマウスを用いた研究を行った。

 今回の成果から、「こんにゃくセラミド」には、アルツハイマー病発症を防止できる可能性があり、今回の知見は新たな機能性食品や新薬開発に繋がることが考えられる。今後さらにヒト介入試験により「こんにゃくセラミド」の認知機能改善効果について検証していく予定だ。なお、この研究の成果は、今年11月公開の「PLOS ONE」誌に掲載されている。

 ダイセルは今後も、人々の「美と健康」に貢献する健康食品素材の開発を進めていく考えだ。

こんにゃくセラミド経口投与による認知症予防効果
こんにゃくセラミド経口投与による認知症予防効果

東北大学など 水と高圧氷の界面に「新しい水」を発見

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2020年9月8日

 東北大学と北海道大学、産業技術総合研究所(産総研)、東京大学はこのほど、高圧下で水が凍ってできる氷の表面に、通常の水とは混ざらない異構造・高密度の「新しい水」を発見したと発表した。水の異常物性を説明する「2種類の水」仮説の検証に新たな道を示した。

 水はありふれた存在だが、特異な物性をもつ奇妙な液体であり、多くの自然現象を支配している。たとえば雪だるまが作れるのは、0℃以下でも存在する氷表面の液体層のおかげだ。

 マイナス20℃、248M㎩の低温高圧条件で生成する氷Ⅲの、加減圧時の成長・融解過程を光学顕微鏡で観察。加圧成長時には界面に流動性の均質な液体膜が形成し、加圧を止めると不均質化して迷路のような模様になった。これは通常の水と新しい水が混ざり合わない異なる構造をもつことを示している。

 減圧融解時には活発に動く微小液滴が形成。この水は液滴の濡れ角から高密度であり、分子動力学シミュレーションからは氷Ⅲに近い構造であると考えられる。以上から、水/氷界面にはナノメートルオーダーの氷から水へ連続的に変化する液膜があるという通説に反し、マイクロメートルスケールの高密度水の液膜が存在することが明らかとなった。

 また25℃、954M㎩の常温高圧条件で結晶化する氷Ⅵ/水界面にも高密度の新しい水の生成がレーザー干渉顕微鏡で確認され、水/高圧氷界面の高密度水形成の普遍性が示された。なお、通常の氷は氷Ⅰhで六角柱状の格子構造、今回の低温高圧環境下の氷Ⅲは立方体構造、常温高圧環境下の氷Ⅵは底面が正方形の直方体構造である。

 今回の融液/結晶成長挙動の解明は、融液から機能性材料が生成する過程の解明に、さらには太陽系天体内部の高圧状態の氷から天体の形成過程の解明にも役立つと期待される。

北大など プロピレン製造で超高耐久な新規触媒を開発

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2020年6月15日

 北海道大学と京都大学、東京都立大学の共同研究グループは、プロパン脱水素によるプロピレン製造過程で、高温条件下、世界最高の耐久性と選択性を示す新規合金触媒の開発に成功した。開発したのは、白金(Pt)とガリウム(Ga)の合金ナノ粒子の表面に鉛(Pb)を添加した触媒(PtGa‐Pb/SiO2)。

 研究グループは、この新規な触媒が、プロパン転化率30%、プロピレン選択率99.6%の高い触媒性能を600℃の高温下で、96時間以上もの長時間維持できる、極めて高い耐久性を持つことを見出だした。プロピレン製造時の触媒再生コストの大幅な削減が期待される。

 プロピレンはプラスチックや合成ゴム、香料、医薬品といった様々な化成品の原料となる石油化学工業の重要な基幹物質。近年、シェールガス由来の安価なプロパンからプロピレンを製造するプロパン脱水素の需要が高まっているが プロピレンを高い収率で得るには600℃以上の高温を要するため、現行の工業プロセスでは炭素析出による触媒の著しい劣化が問題となっている。安定的なプロピレン製造には連続的な触媒の再生工程が必要になり、コスト削減の観点から高温でも劣化しない高耐久な触媒の開発が望まれていた。

 同研究では、ユニークな性質と構造を持つPtとGaの合金(PtGa金属間化合物)に着目。PtGaは、熱安定性が高く高温でも構造が変化しない利点のほか、3つのPt原子からなる「Pt3サイト」と、1つのPt原子が複数のGa原子に囲まれ孤立した「Pt1サイト」の2種類の触媒活性点が表面に存在する特徴がある。

 研究グループは、このうちPt3サイトはプロピレン生成だけでなく炭素析出も進行させてしまう一方、Pt1サイトがプロピレンを選択的に生成し、炭素析出を抑える優れた触媒活性点として機能すると予想。「Pt3サイトを何らかの方法で塞げば、耐久性の高い触媒を開発できる」と考えた。そこでPt3サイト上だけに触媒活性を持たない別の種類の金属原子を置くことを検討し、様々な種類の金属や触媒合成手法を駆使することでPt1サイトだけが機能する新たな触媒の開発に取り組んだ。

 同研究により明らかになったPt1サイトの優れた触媒性能は、プロパンだけでなくエタンやイソブタンなど、その他の低級アルカンの脱水素やメタンの有効利用などにも応用できる可能性が高い。石化の発展に大きく寄与するとともに、触媒・材料開発の面でも幅広い波及効果が期待される。

北大など 中面用の写真