北海道三井化学 植物細胞の単回使用培養バッグを開発

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2021年3月11日

 北海道三井化学と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、植物細胞向けの培養装置として撹拌翼を使わずに800ℓスケールでの培養を可能にしたシングルユース(単回使用)バッグを開発したと発表した。

開発した植物細胞培養に適したシングルユースバッグ
開発した植物細胞培養に適したシングルユースバッグ

 撹拌コントロールを含む制御ユニットが不要なことから、バイオ生産プロセスのコストの大幅低減が可能になる。また、使い捨て培養バッグのため、洗浄・滅菌工程が不要で製造期間を短縮するほか、外界からの微生物混入などのリスクを低減できるなど多くのメリットがある。今後は開発したシングルユースバッグを活用し、多様な植物由来機能性物質を高効率に生産することで「スマートセルインダストリー」の実現に貢献していく考えだ。

 北海道三井化学は京都大学と共同で、NEDOが行う「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発(スマートセルプロジェクト)」事業に採択され、2016年度より、「イチイ細胞培養技術を用いたタキサン系医薬中間体10‐デアセチルバッカチンⅢ(10-DAB)の効率生産法開発」を進めている。

 10-DABは、イチイ属植物に含まれるタキサン系抗ガン剤パクリタキセルの生合成中間体化合物で、他のタキサン系抗ガン剤ドセタキセル、カバジタキセルは10-DABから半合成され製造されている。タキサン系抗がん剤は細胞分裂に重要な役割を果たす微小管に結合・安定化することで脱重合を阻害し、細胞分裂を妨げ抗がん作用を示すことが知られている。このため子宮頸がんや卵巣がん、胃がん、非小細胞肺がんなど、多くのがん種に対して高い有効性が確認されており、がん治療に広く使用されている。

 一方、タキサン系抗がん剤は複雑な構造をもつことから、化学合成による供給は実質不可能と考えられており、海外ではイチイの樹木を10年にわたり栽培し抗がん成分を取り出す手法が主流となっている。しかし、長期間の栽培は自然災害や病虫害の発生リスクが高く、抗がん成分を安定供給する上で大きな課題となっている。

 北海道三井化学は、今回開発したシングルユースバッグの実用化を図るとともに、引き続き10-DABの高効率生産技術の開発を推進していく考えだ。

NEDO CO2から合成燃料、プロセス技術の開発着手

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2021年3月3日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、CO2を液体合成燃料に変換し、カーボンニュートラル(CN)な燃料を高効率で製造する一環プロセスを構築する研究開発として、1グループによる2テーマを採用した。

 製油所や工場などから排出されたCO2を原料に、再生可能エネルギー由来の水素や電力と合成技術を組み合わせることで、内燃機関向け液体合成燃料を一貫製造する技術の確立に取り組む。このプロセスで製造した液体合成燃料は将来的に自動車や航空機に供給する計画で、これにより温室効果ガスの大幅削減を目指す。

 菅首相が昨年10月に「2050年カーボンニュートラル宣言」を打ち出したことを踏まえ、経済産業省は関係省庁と連携して「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定。CNの実現にはCO2を回収・貯留して利用する仕組みの確立が不可欠とされており、中でも液体燃料の製造技術は、CO2を有効利用する手法の1つとして注目されている。

 ただ、液体燃料は既存の石油サプライチェーンで供給できるため新たなインフラ整備が容易である半面、製造面では生産効率の低さやコストの高さといった課題があり、普及に向けては官民が一体となって技術開発に取り組む必要がある。

 こうした中、NEDOはCO2を原料に再エネ由来の水素や電力と合成技術を組み合わせることで、液体化石燃料を代替する内燃機関向けの液体合成燃料を高効率に一貫製造するという、世界でも類を見ない研究開発に着手。そして今回、直接合成や選択性制御などの「次世代フィッシャー・トロプシュ(FT)反応の研究開発」と「再エネ由来電力を利用した液体合成燃料製造プロセスの研究開発」の2テーマを採択した。これによりCO2を有効利用するカーボンリサイクルを促進するとともに、CO2の排出量削減を目指す。

 採択した2テーマでは、CO2を原料とした化学品製造の実現や炭化水素製造に最も親和性が高いと考えられるフィッシャー・トロプシュ反応の次世代技術開発と液体合成燃料一貫製造プロセスの構築と最適化、さらに将来のスケールアップに向けた研究開発を行う。事業期間は2020~2024年度で、全体予算は45億円程度を見込む。

NEDOと住友電気工業 RF電池で電力安定供給の実証実験

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2021年2月16日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と住友電気工業はこのほど、大型定置用蓄電池「レドックスフロー(RF)電池」(容量8㎿h)で平常時・災害時の併用運転(デュアルユース)を実現する世界初の実証事業を行うと発表した。米国カリフォルニア州で取り組んできた、送配電網での電力品質向上を目的とする実証事業を延長し、実配電網の一部でマイクログリッドを構築し、平常時は電力取引で収益を得ながら災害時には自立電源として電力を供給する手法などを検証する。

カリフォルニア州に設置したRF電池設備
カリフォルニア州に設置したRF電池設備

 NEDOは同州との協定の下、2015年に住友電工と現地の大手電力会社SDG&Eとともに同州サンディエゴに設置したRF電池設備による送配電網の電力品質向上の実証事業を進め、2018年より系統運用者CAISOとの電力取引運用を始めた。

 RF電池はバナジウムなどのイオン(活物質)の酸化還元反応により充放電を行い、充放電のパターンやサイクル数によらず長寿命で大型化に適している。充電残量をリアルタイムで計測できるため、自由度の高い入札パターンで、エネルギー市場(電力量の取引市場)とアンシラリーサービス市場(需給バランスの監視、系統運用、電圧・周波数の調整など)の両市場で収益を上げる入札戦略の開発、実証を行ってきた。

 今回、既設のRF電池を自立電源としたマイクログリッドを形成し約70軒の実需要家に電力供給し、技術的課題を検証する。平常時はCAISOとの電力取引で収益を得て、災害時にはマイクログリッドに電力供給を行い、蓄電池の価値を高める狙いだ。この技術は無電化地域の太陽光や風力発電施設を併設したマイクログリッド、離島での再生可能エネルギーによる電力供給にも適用できる。

 森林火災の多発が予測される秋までにシステムを構築し、12月まで実証を行う。その後実証成果を生かし、RF電池の普及を通じた電力システムのレジリエンス向上、再生可能エネルギー導入拡大、温室効果ガス排出削減に貢献するとしている。

NEDO バイオものづくりの課題と可能性を公表

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2021年2月5日

循環型社会に向け、化学と各産業間の連携に期待

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は3日、社会的に注目度が高く、菅政権が目標に掲げる2050年の脱炭素社会の実現に向け、バイオ技術やバイオ資源を活用したものづくり(バイオものづくり)による貢献の可能性について調査・分析したレポートを公表した。

NEDO・技術戦略研究センターの水無渉ユニット長。3日の会見で
NEDO・技術戦略研究センターの水無渉ユニット長。3日の会見で

 同日の会見で、NEDO・技術戦略研究センター(TSC)バイオエコノミーユニットの水無渉ユニット長は「バイオものづくりの環境への貢献度に対する理解の状況や、社会実装、普及のための現状と課題についてファクト分析を行い、

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NEDO 「太陽光発電開発戦略2020」を策定

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2021年1月22日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、太陽光発電の大量導入社会を円滑に実現するための戦略として、新たな技術開発指針「太陽光発電開発戦略2020(NEDO PV Challenges 2020)」を策定した。 「高付加価値化事業の創出や立地制約と系統制約の顕在化」「安全性の向上と循環型社会の構築」「発電コストの低減」を課題とし、2050年に太陽光発電の大量導入を実現する新分野を特定し、技術開発を進めるとともに、脱炭素社会の実現を目指す。

 太陽光発電は2012年に始まった固定価格買取制度(FIT)で導入が加速し、その後、太陽電池モジュールの価格低下や価格競争力をもつ海外企業のシェア拡大など、状況は大きく変化している。日本政府が2018年に「第五次エネルギー基本計画」で再生可能エネルギーの主力電源化に言及し、太陽光発電の大量導入社会の実現に近づいたが、同時に解決すべき課題も顕在化してきた。

 今回は、2014年の「太陽光発電開発戦略」以来の戦略策定となる。要点は3つで、まず「高付加価値化事業の創出および立地制約と系統制約の顕在化」だ。建物壁面や屋根、移動体など導入形態の多様化や新分野の開発で導入領域を拡大するとともに、変動電源であることを踏まえた能動的な系統への影響緩和(需給の調整)を構築する。

 次に「安全性の向上と循環型社会の構築」で、風水害による破損や設置不良による火災への対応と、信頼性向上やリサイクルなどの循環型社会システムを構築する。

 そして「発電コストの低減」で、異なる市場特性に応じた太陽電池モジュール・システムを開発する。今まで導入の少ない建物壁面、重量制約のある屋根、移動体(車載)、戸建て住宅(ZEHなど)、水上、農地などを新たな用途と捉え、そこに適合させるための技術開発を進める必要があるとしている。

旭化成ら 福島FH2Rの水素をロックコンサートに提供

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2020年12月25日

 旭化成など6者は24日、水素製造の実証試験を行う「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」で製造された水素を、ロックバンド「LUNA SEA」のコンサートに提供すると発表した。提供する水素は燃料電池自動車(FCV)に充填。FCVが発電を行い、コンサートで使用される全ての楽器に電気を供給する予定となっている。

福島水素エネルギー研究フィールド( FH2R)
福島水素エネルギー研究フィールド( FH2R)

 再生可能エネルギーを利用した世界最大級の水素製造施設「FH2R」には、旭化成のほか、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、東芝エネルギーシステムズ、東北電力、東北電力ネットワーク、岩谷産業が参画、低コストでクリーンな水素製造技術の確立を目指している。

 FH2Rは今年2月、福島県浪江町にて開所し、水素製造の実証試験を開始。現在、同施設で製造した低炭素水素は、主に圧縮水素トレーラーやカードル(ガス貯蔵容器)を用いて、定置式燃料電池向けの発電用途として、福島県内の需要先へ供給試験を開始している。

 こうした中、ロックバンド「LUNA SEA」が、さいたまスーパーアリーナで開催(12月26、27日)するコンサートに、FH2Rの低炭素水素が活用されることとなった。FH2Rから搬送された低炭素水素は、岩谷産業が運営する「イワタニ水素ステーション群馬高崎」で、FCVへ充填し、コンサート会場へ運搬された。

 今後も6者は、FH2Rでの取り組みを通じ、水素エネルギーの普及拡大に向けた情報発信を進めていく考えだ。

NEDO カーボンニュートラルへの先導研究の公募開始

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2020年12月22日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、「革新的環境イノベーション戦略(今年1月)」を受け、新たに「エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」の技術開発の公募を開始した。

 省エネルギー・新エネルギー・CO2削減に向けた「デジタル技術を用いた強靱な電力ネットワークの構築」「最先端のGHG削減技術の活用」「最先端のバイオ技術などを活用した資源利用及び農地・森林・海洋へのCO2吸収・固定」「農林水産業での再生可能エネルギーの活用&スマート農林水産業」の4分野が対象。2030年以降の実用化を見据えた、飛躍的なエネルギー効率の向上と脱炭素社会の実現につながる革新的な技術・システム開発を目指す。期間は最大2年、1件あたり年間1億円以内。

 さらに今月下旬以降も、エネルギー・環境新技術先導研究プログラムでは「再生可能エネルギーを主力電源に」「多様なアプローチによるグリーンモビリティの確立」「化石資源依存からの脱却(再生可能エネルギー由来の電力や水素の活用)」「最先端のGHG削減技術の活用」の分野、新産業創出新技術先導研究プログラムでは「持続可能な産業発展や新需要創出につながる革新的研究開発」などについても、順次公募を行う予定だ。具体的な課題は、公募開始時点に掲載される。

 これらプログラムの実施を通じて、革新的な技術の原石を発掘し、将来の国家プロジェクト化への道筋をつけ、2050年カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現やウィズコロナ/アフターコロナなど社会システムの変革につながる技術の開発を強力に推進する考えだ。

NEDOなど 微生物発酵技術で香料原料の高生産性を達成

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2020年12月21日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と地球環境産業技術研究機構(RITE)はこのほど、香料などの原料となるカテコールを微生物によって発酵生産する技術を開発したと発表した。新たに開発した複数のスマートセル基盤技術を活用して、初期生産株の約500倍となる世界最高レベルの生産濃度を達成した。

カテコール生産技術の比較
カテコール生産技術の比較

 香料の原料や半導体の加工材料として需要が高いカテコールなどの芳香族化合物は、主に石油を原料とする。バイオマスなどの再生可能資源を原料とするには糖の微生物発酵法があるが、カテコールなどの芳香族化合物は微生物毒性があり、生産代謝経路が長く複雑なため、実用生産は困難である。

 両者は2016年度から「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発(スマートセルプロジェクト)」に取り組み、「スマートセルインダストリー」の創生を視野に入れ、スマートセルの基盤技術の確立を目指している。

 研究開発成果
研究開発成果

 RITEは微生物の物質生産性向上のために、情報解析による基盤技術の高精度化と有効性の検証を行ってきた。これら基盤技術を使い、カテコールの効率的生産のために設計した代謝経路をコリネ型細菌の細胞内に再現することで、カテコールの高生産株を開発した。手法の異なる複数の基盤技術を活用することで生産性は段階的に向上し、カテコール生産濃度は初期生産株の約500倍に達した。これは発酵生産による世界最高レベルの濃度だ。これにより、これまで石油原料に依存していたカテコール製造を再生可能資源由来に転換でき、環境に配慮した持続可能な生産への効果が期待できる。

 今後NEDOはこれを先行事例として、生物機能を活用して高機能化学品や医薬品などを生産する次世代産業「スマートセルインダストリー」の実現を目指す。またRITEはこの技術をベースに、さらに生産株へ改良を加えるとともに、大量生産法の開発などを進めて早期の実用化を目指す。

NEDOら 世界初の新ゲノム編集技術で植物遺伝子改変

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2020年12月18日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と徳島大学はこのほど、世界で初めて、新しいゲノム編集ツールCRISPR-CasタイプI-D(TiD)が植物細胞の遺伝子改変技術として有効であることを実証したと発表した。海外のゲノム編集知財に抵触せず、現行のゲノム編集技術CRISPR-Cas9と比べて標的以外のDNA配列の変異リスクが低く、より広範囲な様式の変異をゲノムに導入できることが確認された。

 植物や微生物の細胞がもつ物質生産能力を人工的に最大限引き出した生物合成技術「スマートセル」により、生産が難しい有用化合物の創製や生産性をより向上させた合成技術の開発など、物質生産での基盤技術と実用化技術開発を目的に「植物などの生物を使った高機能品生産技術の開発(スマートセルプロジェクト)」を2016年から推進してきた。その中でゲノム編集は遺伝子機能を改良する重要な技術だが、海外の知的財産権であるため活用しにくい。

 徳島大学は、機能が不明でゲノム編集には使われてこなかったTiDに注目。標的の認識やDNA切断のメカニズムを明らかにし、ゲノム編集ツールとして利用できることを見出だし、植物細胞の遺伝子改変に世界で初めて成功した。既存技術と比較して、導入できる変異の様式が多様で、標的以外のDNA配列に変異が起こるリスクが低いことも確認。海外のゲノム編集知財にも抵触しない。動物や微生物など様々な生物遺伝子の機能改変も可能だ。日本のバイオインダストリー推進の原動力として期待される。

 今後、徳島大学はTiDの変異導入効率の向上や、様々な機能ドメインを付与した多様なゲノム編集のツール化を進める。NEDOは後継事業「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発(バイオものづくりプロジェクト)」を今年度より立ち上げ、原料供給から最終製品のスケールアップにいたるボトルネックの解消を進めていく。

 

NEDO 発電とCO2回収を一体化、コスト低減を図る

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2020年12月11日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、発電とCO2分離・回収プロセスを一体化したシステムの研究開発として、「多様な燃料を利用するCO2回収型ポリジェネレーションシステム基盤技術開発」と、「CO2分離・回収型ポリジェネレーションシステム技術開発」の2件のテーマを採択した。

 発電システムに燃料をガス化するプロセスを統合し、CO2の分離・回収までを一体化することでエネルギー効率を向上させ、CO2の分離・回収コストの低減に取り組む。併せて、発電燃料には石炭やバイオマス、炭素系廃棄物(廃プラスチックなど)を利用し、水素や化学品といった有価物を併産するポリジェネレーションシステムの構築にも取り組む。これにより、システムの経済性を高めてCO2分離・回収コストの低減につなげるだけでなく、中小規模発電を含めた実用化・事業化も視野に入れることができる。

 一方、出力が安定しない太陽光や風力のような再生可能エネルギーの活用を増やすには、需要と供給の不均衡を防ぐ電力需給調整が重要となる。このため同事業では、電力需給調整力をポリジェネレーションシステムに包括することも検討する。同事業によりCO2分離・回収コストを現状のCO2 1t当たり4000円程度から1000円台にまで低減する発電技術の確立を目指す。そして、将来のカーボンリサイクル技術の実用化につなげていくことで脱炭素社会の実現に貢献する。

 なお、今回の事業名は「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電基盤技術開発/CO2分離・回収型ポリジェネレーションシステム技術開発」。期間は2020~2024年度で、全体予算は30億円程度となる。

本事業で研究開発するポリジェネレーションシステムのイメージ
本事業で研究開発するポリジェネレーションシステムのイメージ