JSR AIで化学プラントを自律制御、35日連続

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2022年3月23日

 JSRと横河電機は22日、共同実証実験を行い、世界で初めてAIが化学プラントを35日間、自律制御することに成功したと発表した。実際のプラントにおいて「強化学習AIが安全に適用できる」こと、および既存の制御手法(PID制御・APC)が適応できない「手動制御のみでしか対応できなかった箇所」をAIが制御できることを確認した。なお、今回の取り組みは経済産業省の令和2年度「産業保安高度化推進事業」に採択されている。

AIにより自律制御したJSR化学プラント

 実証実験では、蒸留塔の留出物の品質や液面レベルを適切な状態に保ち、かつ排熱を熱源として最大限に活用するという複雑な条件をAIが満たし、品質の安定化、高収量、省エネ制御を実現した。この制御箇所では、

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日本ゼオン AIを活用し物性を予測、機能性材料の開発加速

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2021年9月1日

 日本ゼオンはこのほど、2017年から参画している新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」を通じて、AIにより材料の構造画像を生成し、高速・高精度で物性の予測を可能とする技術を共同開発したと発表した。なお、同プロジェクトには同社のほか、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、産業技術総合研究所(産総研)が参画している。

 昨今、材料開発のさらなる高度化・高速化の要求が高まり、ディープラーニング(深層学習)などの情報処理技術を利活用する動きが活発化している。これは、様々な材料データをコンピュータに学習させることで、高性能な新しい材料の提案を可能とするAI技術で、人の勘や経験に頼る従来の材料開発を高度化することができる。しかし、コンピュータ上で扱える材料は構造が定義できる低分子化合物や周期構造をもつ金属、無機化合物に限定されることが大きな課題だった。

 こうした背景の下、同プロジェクトではカーボンナノチューブ(CNT)をはじめとする機能性材料開発の高速化を目指し、データ駆動を活用した研究を推進。3者は共同で、より汎用性の高い材料へディープラーニングを適用する手法を開発した。

 今回の技術では、まず複雑な構造をもつCNT膜の構造画像と物性をAIに学習させる。その上で、種類の異なるCNTを任意の配合で混合した様々なCNT膜の構造画像をコンピュータ上で生成することで、その物性の高精度な予測を可能にした。この技術は、従来のAIでは適応できなかった複雑な構造をもつ材料の組成選定・加工・評価といった一連の実験作業をコンピュータ上で高速・高精度に再現(仮想実験)することを可能にするもので、材料開発のさらなる加速化が期待できる。

 日本ゼオンは、今後も同プロジェクトを通じ、CNTをはじめとするナノ材料と高分子材料との複合材料を対象としたAI開発技術に取り組むとともに、幅広い材料へ適用可能な技術開発につなげ、新技術と新材料開発の可能性拡大に貢献していく。

NEC 異常予兆検知システムをJXTG水島製油所へ納入

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2019年9月17日

 NECは13日、AIを活用したプラント向けの異常予兆検知を行うシステムを、国内最大の原油処理能力を持つJXTGエネルギー水島製油所(岡山県倉敷市)=写真=のボイラー設備へ納入すると発表した。来月、稼働を開始する予定。JXTGエネルギー水島製油所

 同システムはNECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の1つである「インバリアント分析技術」を用いて、ボイラー設備に設置した大量のセンサ情報の相関関係から「いつもと違う」状態を分析。これにより、ボイラー設備がトラブルに至る前にその予兆を検知できる。

 両社は、同システムを用いて、同製油所のボイラー設備について過去の運転データを利用し実証を行った結果、これまでの閾値設定や傾向分析による監視システムに比べ約1週間早く異常の予兆を検知できた。

 現在、製油所、化学工場などのプラントは、より安全性の高いプラント運営が求められている。そのため、保安四法などにより指定された法定点検に加えて、異常の早期発見、予兆管理に資する高度な点検技術の開発、導入が進められている。

 同システムは、ボイラーの運転を監視/制御している温度・圧力・流量・バルブ開度、水位など、約500カ所のセンーサデータを収集し、異なるセンサー同士の関係性を自動的に発見。関係性をいつもの状態として解析・定義し、関係性に変化が起きた際に「いつもと違う」状態としてアラームを出すことができる。

 これにより、人手で行うことのできなかった設備異常の予兆を早期に自動検知できるようになる。また、「いつもと違う」状態により異常の予兆を検知した場合、その影響範囲の絞り込みや原因の切り分けができるため、これまで多大な時間を要していた原因分析の時間短縮や作業負担の軽減、保全計画の最適化が期待されている。

昭和電工 AIを用いた特許読解支援システムを構築

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2019年4月11日

 昭和電工は10日、日本IBMと共同で、特許情報の効果的かつ効率的なスクリーニングを支援する「特許読解支援システム」を構築し、7月から昭和電工全社で運用を開始すると発表した。同システムの運用により、技術者の特許読解時間の大幅な削減を目指す。

 今回構築した「特許読解支援システム」は、文書情報を統合的・横断的に収集し、高度な分類・分析が可能なコグニティブ・テクノロジー「IBM Watson Explorer」を採用。同ツールが有するテキスト解析・探索機能、文書関連付け機能、特許に特化したアイデア抽出機能を利用することで、効率的な特許情報の読解を支援する。

 さらに昭和電工の技術領域である化学分野の特許文書の特徴に合わせた文書関連付け機能を付与することで、特許文書の可読性向上に特化したインターフェースを備えたシステムを構築した。同システムでは、難解かつ長大な文章で複雑な依存関係を持つ特許の請求項情報が構造化され、視覚的に示されるため、技術者は効率よく特許の内容を理解できる。

 昨年、昭和電工社内で実施したトライアルでは、同システムを使わずに読解した時に比べ、特許1件当たりの読解時間を約45%短縮できた。知的財産を企業競争力として最大限活用するには、創出された知的財産を権利化するだけではなく、テーマ探索から事業化までのすべての段階で、知的財産の状況を正しく把握することが重要。同システムを全社に導入し、研究効率の向上と他社権利侵害リスクの低減に繋げるとともに、知的財産業務をより戦略的に推進し、企業競争力強化に取り組む。

 昭和電工は今年度より開始した中期経営計画「The TOP 2021」の中で、グループ戦略を支える事業基盤の強化施策の1つとして、「AI/IoT活用の強化」を掲げている。これまでに培ったノウハウやプロセスの可視化・形式知化により開発を加速させ、企業価値向上に生かしていく考えだ。

中外製薬 AIを活用した問い合わせチャットボット運用開始

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2019年1月17日

 中外製薬はこのほど、AI(人工知能)を活用した対話型プログラムで、製品に関する問い合わせに回答するチャットボット「MI chat」(エムアイチャット)」を導入したと発表した。抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」を対象とし、中外製薬ウェブサイトの医療従事者向け情報ページで運用を開始している。

 同社では、医療従事者および患者からの製品関連の問い合わせに、メディカルインフォメーション部(MI部)に在籍する専門スタッフが対応している。MI部に寄せられる年間の問い合わせ件数は約6万件であり、このうち、「タミフル」が約12000件と2割を占め、その問い合わせは冬期に集中している。

 今回導入した「エムアイチャット」は、フェアユース社開発のAIによるビジネスアシスタントシステムに、中外製薬が導入しているプラットフォームを融合させたチャットシステム。医療従事者からの問い合わせ内容をチャットボットのAIが理解し、事前に登録した数百のQ&Aから最も質問の意図に近いものを自動的に提示する。

 「エムアイチャット」の導入により、医療従事者が従来のウェブを通じた情報検索に費やしていた時間が短縮されるとともに、チャネルの選択肢が広がるなど、利便性が向上することが期待される。MI部においては、医療従事者および患者からの問い合わせの対応は継続しつつ、さらなるサービス向上に努めていく。今年中に複数製品へ拡張させ、2021年には全製品で対応できるよう準備を進めていく。

 中外製薬は、革新的な医薬品の提供のみならず、医療従事者へ適切な情報を速やかに提供できる環境づくりを目指し、新たな技術の導入を積極的に進めていく考えだ。

昭和電工 AIでポリマーの設計・検証試行回数を大幅低減

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2018年11月28日

 昭和電工と産業技術総合研究所(産総研)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)は27日、人工知能(AI)の活用により、要求特性を満たすポリマーを設計する際の試行回数を、約40分の1に低減できることが分かったと発表した。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト(超超PJ)」の委託事業として実施した。

 超超PJでは、従来の経験と勘を頼りにした材料開発からの脱却を目指し、マルチスケールシミュレーションやAIを積極的に活用することで、従来の材料開発に比べ、開発期間を20分の1に短縮することを目指している。

 3者はポリマー設計でのAI技術の有用性を実証するため、AIを活用して要求特性を満たすポリマーの探索を行った。モデルケースとして、耐熱性の指標であるガラス転移点に着目。構造とガラス転移点が判明しているポリマーの構造データ417種の中から、最もガラス転移点が高いポリマーをAIで探索し、発見までに要する試行サイクルを短縮できるか検証した。

 まず、無作為に抽出した10件のデータをAIに学習させた。学習データにはExtended Connectivity Circular Fingerprints(ECFP)という手法を応用し、ポリマーの構造的特徴を数値化したものを使った。

 次に、残りの407件の中から、最もガラス転移点の高いポリマーを、ベイズ最適化によって予測・検証を繰り返し、求めるポリマーを発見するまでの試行回数を調べた。データの選び方で結果が変わることを防ぐため、初期データを変えた試験を500回実施し、試行回数の平均値を評価した。

 この結果、平均4.6回という極めて少ない試行で、最もガラス転移点の高いポリマーを発見することに成功した。この値は、無作為にポリマーを選出した場合と比べ約40分の1で、AIによるポリマー設計の有用性を裏付ける結果と考えられる。

 今後は、同技術をさらに高度化させ、実際の機能性材料開発に活用できるよう開発を進めていく。

旭化成ホームプロ AIスピーカーに冷凍保存スキル提供

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2018年9月27日

 旭化成ホームプロダクツは、「Amazon Echo(アマゾンエコー)」をはじめとした、スマートスピーカー用AIアシスタント「Amazon Alexa(アレクサ)」に対応する冷凍保存用スキル(=プログラム)の提供を、9月25日から開始した。

 今回発表したスキル「サランラップ・ジップロックの冷凍保存テクニック」は、このスキルを追加したスマートスピーカーに「アレクサ、キャベツの冷凍保存は?」などといった内容を話しかけることで、「サランラップ」や「ジップロック」を使ったおすすめの冷凍保存方法を応えてくれるもの。全82種類の食材の冷凍保存方法を解説できる。

 昨今問題になっている食材ロスに対して身近なところから対策を取るために、同社が蓄積してきた食品保存のノウハウを多くのユーザーに伝えたいとの思いがスキル開発につながった。

 先のキャベツの例では、「キャベツは使いやすい大きさに切ってから、ジップロック・フリーザーバッグに入れて生のまま保存する方法と、熱湯で10秒ほどゆでてからサランラップで包み、ジップロック・フリーザーバッグに入れて保存する方法があります。ただし、ゆでてから冷凍すると、水っぽくなるため炒め物には向きません」との回答が返ってくる。

 同スキルは野菜、肉、魚介類をはじめ様々な食材を「冷凍保存をしたい!」、興味はあるけど「やりかたがわからなくて、食材をついつい無駄にしてしまう」といったユーザーの利用を想定。同社は、冷凍保存を上手く活用することで、より便利で快適な食生活を過ごしてほしいとの期待を寄せている。

NEDO 「超スマート社会」で研究開発テーマを採択

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2018年9月6日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、人工知能(AI)などの先進技術を活用した「超スマート社会」の実現に向けた研究開発プロジェクトを開始し、新たに6件の研究開発テーマを採択した。

 今回は大学を中心に各種デバイスメーカーなどを委託先として、「生産性」分野から3件、「健康、医療・介護」分野2件、「空間の移動」分野1件のテーマが採択された。NEDOは各事業を通じ、スマートモビリティ、地域介護システム、食品バリューチェーンなど、社会の様々なニーズにきめ細かく対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられる「超スマート社会」の構築を推進していく。

 政府が2017年に策定した「人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップ」の中で、AI技術の社会実装が求められる重点分野として、「生産性」「健康、医療・介護」「空間の移動」の3つを設定。これを受けNEDOは、三分野を対象に研究開発プロジェクトを開始した。

 同プロジェクトでは、これまで開発や導入が進められてきたAIモジュール、データ取得のためのセンサー技術、研究インフラを活用しながら、サイバー(仮想)とフィジカル(現実)の両空間が高度に融合した「超スマート社会」を実現するための研究開発・実証を行う。

 AI技術は、欧米を中心に先行的なソフトウエアプラットフォームの研究開発が盛んだが、社会実装の実用例はまだ少ない。NEDOは同プロジェクトを通じて、日本の得意分野にAI技術を応用することで競争優位性を確保するとともに、AIの有効活用に不可欠な現場データの明確化と取得・蓄積・加工のノウハウを確立し、AIの社会実装の先行的な成功事例を創出していく考えだ。

 なお、同プロジェクトは「人工知能技術適用によるスマート社会の実現」として、実施期間は18~22年度(予定)、予算は約59億円を見込んでいる。