NEDO・昭和化学工業 木質バイオマス熱供給プラントが完成

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2019年9月11日

 NEDOはこのほど、バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業で、昭和化学工業が熱風炉設備を備えた木質バイオマス熱供給プラントを岡山工場の敷地内に完成させ、試運転を経て、今月中旬に実証運転を開始すると発表した。

バイオマス熱風炉
バイオマス熱風炉

 同プラントでは、以前からバイオマス利用が盛んな地元地域で産出される木の皮などの余剰木質バイオマスを燃料とし、生成した熱を同社の珪藻土製品の製造・乾燥工程に利用する。

 また、同プラントを既存の液化天然ガス(LNG)を燃料とする熱供給プラントに併設し、燃料の価格や調達状況などの変動に応じて、LNG燃料とバイオマス燃料を最適な比率で併用することで、安定的かつ経済性の高いハイブリッド運転を目指すとともに、同事業を通じて同社は、同地域の貴重なバイオマス資源を巡る既存のエコシステムとの共生・協力体制を構築し、地域に根ざしたバイオマスエネルギーシステムの拡大を目指す。

 今後、NEDO事業として同プラントの実証運転を2020年度末まで実施する予定。その後、昭和化学工業による自主研究運転を2023年秋まで実施する。

バイオマス燃料槽
バイオマス燃料槽

 これまでの輸入LNGに100%依存する状態から、地元産出のバイオマス燃料を導入し、既存プラントにバイオマス熱供給プラントを併設することで、燃料のハイブリッド化を図る。

 これにより、岡山工場でのCO2排出量削減と燃料費削減に資するとともに、地域経済の振興の観点からは、同地域の貴重なバイオマス資源を巡る既存のエコシステムと共生した持続可能な社会構築に寄与していく。

 一方、NEDOは、バイオマスエネルギーの利用拡大を推進するために「バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針」を策定しており、同実証事業の成果も踏まえて同指針の改訂を行い、広く一般に公開する。これにより、同実証事業をモデルの1つとして熱需要のある全国の他の地域への展開を目指す考えだ。

《取材こぼれ話》熱電発電の効率化に求められる素材とは

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2019年9月5日

 NEDOはこのほど、熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換する熱電材料を、汎用元素だけを用いて開発し、モジュール化にも成功した。実証試験では、5℃の温度差で発電するモジュールを用い、IoT機器の自立電源としての有用性を示した。

画期的な鉄-アルミニウム-ケイ素系熱電発電モジュール
画期的な鉄-アルミニウム-ケイ素系熱電発電モジュール

 同事業で材料開発や材料合成、性能評価を行った、物質・材料研究機構(NIMS)の高際良樹主任研究員は、今後想定される研究課題として、人体に装着するセンサーの自立電源への応用などを挙げた。

 体温と外気の温度差はせいぜい1℃。この温度差で装置を動かすには、熱電材料の高性能化もさることながら、熱をどう効率的に吸収するか、どう逃がすかが問題になってくるという。

 熱電素子の両面の温度差で発電する熱電発電モジュール。たとえば、熱を受ける上部には熱伝導率の高い受熱シートが必要になってくるし、下部には放熱に有効なシートが求められる。高際主任研究員は、素材の提供・開発といった側面から、化学メーカーの参加を呼び掛けていた。

 NEODは省エネルギーの観点から、未利用熱の革新的な活用技術研究開発を推進している。未利用熱とは、製造プロセスの中で利用されずに排出される工場の排熱や、自動車のエンジン回りから出る熱をはじめ、エアコンの排熱、住宅の窓や壁から放熱とさまざまなものがある。

 石油や天然ガスといった1次エネルギーをベースにすると、その60%は未利用熱として排出されているという。この未利用熱の活用法の1つとして、熱を電気に変換する熱電材料の開発が進められている。いわば熱のリサイクルだ。

 今回の開発が画期的なのは、汎用元素の鉄、アルミニウム、ケイ素のみからなる熱電材料を開発したことだ。200℃以下の低温熱源を利用する熱電材料の場合、ビスマス‐テルル系の化合物が知られているが、どちらも希少元素(レアメタル)である上に、テルルは毒性が非常に強いことなどの課題があった。

 高際主任研究員は、開発した革新的な鉄(Fe)‐アルミニウム(Al)‐ケイ素(Si)系の熱電材料(Thermoelectric Material)を、その頭文字から「FAST(ファスト)材料」と命名した。

 FAST材料のさらなる高性能・高機能化には、化学メーカーが提供する素材がカギとなりそうだ。

 

NEDO・東北大 円形断面型クローラー開発、全方向に連続移動

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2019年9月3日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と東北大学は27日、全方向(360度方向)への連続移動を実現した円形断面型履帯(クローラー)の開発に世界で初めて成功したと発表した。

円形断面型クローラー
円形断面型クローラー

 オムニクローラーが備える高い耐荷重性・走破性に加え、放射状に最密配置したクローラーが駆動することにより、任意方向への連続的な移動を可能にした。柔らかい絨毯をはじめ、点字ブロックの段差や踏切内の線路の溝など、一般の車輪では走りにくい環境でも、クローラーの向きを変えることなく縦・横・斜めの方向にスムーズに移動できる。

 両者は、2015年から「全方向駆動機構を核とした革新的アクチュエーション技術の研究開発」に取り組んできた。今回開発したクローラーは、全方向移動を行うために必要な2つのモーターのほか、平歯車やねじ歯車などの最小限の動力伝達装置からなる単純構成のため、保守性に優れ、小型化が可能な全方向移動機構のベース技術になり得る応用範囲の広い機構となっている。

 3つの機能として、①履帯機構の姿勢や路面の状態によらず、モーターの回転方向を切替える必要がなく継続的に全方向に移動可能②歯車とチェーン、ベルトを用いることで、摩擦伝動によらず高い駆動力の伝達が可能③高い不整地走破性を実現(軸方向の段差乗り越え高さ10mm、その直交方向の段差乗り越え高さ30mm、溝踏破長さ140mm)を併せ持つ。

円形断面型クローラーを搭載した車両
円形断面型クローラーを搭載した車両

 新たに考案した全方向移動用のスクリュー式差動回転機構は、回転軸の動力をねじ歯車によって垂直方向に変換する構造を線対称に配置。これにより、左右2つの入力回転を、全方向駆動機構として必要な前後・左右の移動につながる公転と自転の出力に、極少の伝達部品数で変換させる仕組みを実現した。

 電動車いすをはじめ、移動型ナビゲーションロボットや屋内外の巡回警備ロボットなど、総重量の大きなモビリティー(移動体)用の駆動機構としての用途が期待される。

NEDOと山形大学 起業家支援に関する相互協力で覚書

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2019年8月29日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と山形大学は、起業家支援に関する相互協力の覚書を締結した。ビジネスプランコンテストなどを通じた大学発ベンチャーの創出に関する取り組みのほか、ベンチャー支援人材やオープンイノベーション推進人材の育成などを実施していく予定。

 具体的には、同大が実施する大学発ベンチャー創出に向けたビジネスプランコンテストなどについて、NEDOが実施する「NEDO Technology Commercialization Program(TCP)」と連携して、ベンチャー創出に向けた支援を行う。

 また、NEDOの高度専門支援人材育成プログラム「NEDO Technology Startup Supporters Academy(SSA)」や、オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)の活動で、同大のベンチャー創出現場から優先的に人材を受け入れ、研究開発型ベンチャーのための伴走支援人材や、オープンイノベーション推進人材を育成する。

 さらに、同大発ベンチャーや企業化を目指す相談案件に対し、NEDO委嘱カタライザー(ベンチャー支援経験の豊富な有識者)を無料で派遣する。

 国内の産業技術のイノベーションで、シーズとなる技術をもつ大学の存在がさらに注目される中、知的財産や研究開発成果の社会実装の手段として、大学発ベンチャーの創出・育成が重要視されている。こうした背景から、NEDOは大学発ベンチャーや起業家支援を積極的に行っている大学と、起業家支援に関する相互協力の覚書を順次締結し、大学発ベンチャーへの支援を行っている。

 NEDOが大学と覚書を締結するのは、東京工業大学や山口大学などに続き、山形大学が9例目となる。

 今後、NEDOと同大は、大学発ベンチャーの創出やオープンイノベーションの推進を通じて、研究開発型ベンチャーが次々と誕生し、成功事例を積み重ねていくベンチャーエコシステムのさらなる裾野拡大や、イノベーション創出環境の整備に貢献していく。

NEDO・エネ庁 省エネ技術戦略の重要技術を改定

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2019年7月30日

NEDOと経済産業省資源エネルギー庁は、省エネルギー技術戦略に定める重要技術を改定した。

 今回の改定では、第5次エネルギー基本計画などの政府の方針を踏まえ、廃熱利用や再生可能エネルギーの主力電源化につながる省エネルギー技術などを追加した。改定された重要技術は、省エネルギー技術開発支援事業「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」2019年度第2回公募で優先採択の基準に適用される。

 改定の主なポイントは、廃熱利用や熱システムの脱炭素化を促進するため、廃熱を高効率に電力に変換する技術や、高効率電力加熱技術などを重要技術に追加したこと。排熱の高効率電力変換、熱エネルギーの循環利用、高効率電気加熱(誘電加熱、レーザー加熱、ヒートポンプ加熱)などが該当する。

 また、デジタル技術を活用する新たなビジネスモデルの登場や、近年の情報量の急増を踏まえ、第4次産業革命関連技術を追加した。これには次世代プロセッサー(ニューロモーフィック、量子コンピューティング)やカーシェア・ライドシェア、ブロックチェーンなどが含まれる。さらに、再生可能エネルギーの主力電源化の方針を踏まえ、柔軟性を確保した業務用・産業用高効率発電、電力の需給調整(高性能蓄電池)など、電力需給の調整力や予備力に関する技術も追加した。

 省エネルギー技術戦略は、2030年に向けた省エネルギー技術開発推進に関するロードマップとして、初版「省エネルギー技術戦略2007」策定以降、順次改定を行っている。今回は省エネルギー技術の研究開発や普及を効果的に推進するため、将来に向けて省エネルギーに大きく貢献する重要分野を特定した省エネルギー技術戦略に定める重要技術を改定した。

 重要技術の見直しは、有識者(委員長:横山明彦東京大学教授)による部門横断的な検討などを通じて実施した。

NEDO 再生可能エネルギー熱のコスト削減へ、開発に着手

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2019年7月29日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、再生可能エネルギー熱の利用に関するコスト低減技術の開発に着手する。今年度から5年間の計画で、地中熱利用システムの低コスト化や、太陽熱などの利用システム高度化に取り組む。

 地中熱利用システムの低コスト化技術開発では、地中熱交換器やヒートポンプ、掘削機などの設計、試作機の製作と地中熱利用システムの制御システムのシミュレーション、評価・定量化シミュレーションを行う。

 太陽熱などの利用システム高度化技術開発については、要素技術の開発、機器設計、試作機の製作と一部再生可能エネルギー熱利用システムの制御システムのシミュレーション、評価・定量化シミュレーションを行う。

 テーマごとにシステムの導入に関わる上流から下流までの事業者などを集めたコンソーシアム体制を組み、実用化技術の確立とコスト低減技術開発を進めるとともに、その成果の普及方策の策定まで一貫した事業として実施する。

 また、関係省庁・業界団体との情報交換を定期的に行い、研究開発課題やコスト目標を盛り込んだロードマップを作成する。

 地中熱をはじめとする再生可能エネルギー熱は、分散型エネルギーの1つとして重要な役割を果たす可能性があるとされている。しかし、設備導入コストが高いことや認知度が低いこと、熱エネルギーの供給を担う人材十分に育っていないことなどの課題があり、再生可能エネルギー熱の利用は十分に広がっていない。

 そこで、NEDOは2014年度から2018年度まで「再生可能エネルギー熱利用技術開発」事業を実施。コスト低減を目的とした地中熱利用技術と各種再生可能エネルギー熱の利用について、蓄熱利用などを含むシステムの高効率化、評価技術の高精度化などに取り組んだ。その結果、トータルコスト20%削減の目標を達成することができた。

 今回の技術開発では、2030年までに地中熱や太陽熱などの再生可能エネルギー熱利用システムのトータルコストを、30%以上低減することを目指す。

大阪府立大 NEDO事業で電力系統安定化技術に着手

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2019年7月23日

 大阪府立大学はこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「再生可能エネルギーの大量導入に向けた次世代電力ネットワーク安定化技術開発」に採択されたと発表した。期間は2019~2021年度の3年間。

 研究を行うのは、工学研究科電気情報システム工学分野の石亀篤司教授、高山聡志講師(電力システム研究グループ)らのチーム。今回の採択により、発電量が変動しやすい再生可能エネルギーの導入を促進する、次世代の電力系統安定化に必要な基盤技術の開発に着手する。

 今回のプロジェクトのポイントは、石亀教授や高山講師らが現在の電力システムに加え、太陽光発電や風力発電をはじめとする再生可能エネルギーなど、新たな電力供給システムに関する基礎・応用研究を進める研究者であること。国が目指す再生可能エネルギーの主力電源化に向け、電力系統安定化に必要な基盤技術の開発を他の4研究機関と担う。

 具体的には、再生可能エネルギーを大量に導入した際に懸念される、系統制約の諸課題を克服する研究・開発を行う。これにより、経済産業省「エネルギー基本計画」が掲げる「2030年の再生可能エネルギー比率22~24%」の達成に貢献する。

 人工知能を形成する手法の1つである強化学習を使い、他のPCS(パワーコンディショナー)と協調しながら、電圧・潮流制御を実施する制御方式を開発する。

 強化学習は数値化された報酬信号を最大にするため何をすべきかを、環境から得られた状態情報により学習することで、適切な行動選択を行う手法。試行錯誤を通じた学習を行うことで、不確実性のある場合や設計すべきパラメーターが多い場合、優れた解を得られる可能性が高いことが報告されている。

 今回の事業で対象とする配電系統の電圧・潮流制御についても、太陽光発電の普及や需要家行動の変化に伴い不確実性が高くなりつつあること、広範囲にわたって普及しているシステムであるため、一意にパラメーター設計が難しいことを考慮すると、将来の系統安定化対策としては非常に重要な技術であるという。

NEDO 機械設計で人を補助するAIソフトの開発に着手

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2019年7月16日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の技術戦略研究センター(TSC)は12日、製造業での設計開発工程の効率化につながる「AIを活用したシステムデザイン(AASD)技術」分野について、最新動向や課題、市場予測をまとめた「TSC Foresight」レポートを公表した。

NEDO・TSCの三島良直センター長
NEDO・TSCの三島良直センター長

 同日に開催された記者会見で、TSCの三島良直センター長は「AI技術では、中国や米国が非常に先行しており、日本は周回遅れの状態だが、今回のレポートの技術分野については、わが国がかなり先んじて進めていくことができる分野だ。AIの技術関連の論文や特許などで有利に立っている」との見解を述べ、今後の技術開発への期待感を示した。

 製造現場での生産性向上のためのツールとしてAI(人工知能)の応用が期待される中、近年は多品種化・短サイクル化による工数増大やベテラン作業者の退職など、製造業のさまざまな状況の変化により、設計開発工程についても開発者の作業負荷が増大している。

 NEDOは、開発者が「モノの形を作る」といった本質的な作業に集中できるようにするために、AIが

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豊田通商 タイで自動車のリサイクル実証事業を受託

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2019年7月9日

 豊田通商はこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「アジア省エネルギー型資源循環制度導入実証事業」のテーマの1つとして「タイ王国で発生する使用済自動車の効率的かつ適正な資源循環システム構築」に対し、6月12日に、NEDOより正式に受託した。同実証事業は、NEDOとタイ工業省(MOI)、工業団地公社(IEAT)の間で2月にMOUが締結されている。

 タイでは、2010年頃からの急激な自動車の販売台数増加に伴い、使用済自動車(ELV)の急増が予測されている。しかしELVを適正に処理するインフラが整備されていないため、フロンの大気放出による地球温暖化や廃油・廃液による土壌汚染・水質汚濁といった環境被害が懸念されている。

 また、タイでは日本の「自動車リサイクル法」のようなELVに特化した規制、許可に関する法制度が整備されておらず、本格的にELVが発生する前に、制度・技術の両面でELVを適正に処理するためのインフラ整備など、対策を講じることが大きな課題となっている。

 豊田通商は、実証事業として、タイにおけるELVの適正処理に関する制度設計の検討を行い、①フロン回収などの有害廃棄物に対する環境に配慮した解体工程の確立②日本より解体専用重機を導入し解体作業効率を向上③国内ではリサイクルできない有用金属を日本の技術で資源化することでELV1台当たりの付加価値を上げる、といった技術を導入する。

 田通商は、環境配慮と経済効率性を両立させた資源循環システム構築を実証し、また「トヨタ環境チャレンジ2050」への活動をサポートしていく。

NEDO 機能性化学品の生産で連結フロー合成法に着手

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2019年7月8日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、多品種の機能性化学品生産に対応する、オンデマンド型連続精密生産プロセスの構築に着手した。

 高性能な触媒と省エネルギーな分離精製法について研究開発を進め、大幅な省エネルギーと、廃棄物排出量やコストの削減が見込める革新的生産プロセスを実現するとともに、海外に依存している機能性化学品生産の国内回帰を目指す。

 具体的には、機能性化学品の分野で、従来主流の生産方式であるバッチ法から、日本が強みをもつ不均一系触媒(=固体触媒)の技術を用いた省エネルギーで効率的な連結フロー合成法への転換を図る。

 原料を投入する固体触媒を充填した反応モジュールと、生成物を取り出す分離・精製モジュールを連続的に組み合わせることで、生産プロセスを一連の工程にして自動制御する。必要に応じてモジュールを組み替えれば、多種多様な機能性化学品の製造が可能になる。

 これにより、触媒との分離操作が不要になるなど、分離・精製に要するエネルギーが減少し、オンデマンドで必要な量の製品が無駄なく生産可能となる。

 機能性化学品は、有機化学品や合成樹脂、香料や溶剤といった中間化学品。樹脂・ゴム成形品、化学肥料・農薬、電子材料など、機能性材料の原料となるため、多くの最終化学品や製品の付加価値を高める重要な生産物に位置づけられる。同プロジェクトを通じ、日本の化学産業の競争力強化を推進していく。

 委託予定先は、産業技術総合研究所、東京理化器械、東和薬品、富士フイルムと東京大学。事業期間は2019年度から2025年度。初年度の事業予算は2億円となっている。