三井化学 長岡技大と再生プラ安定化で共同研究を開始

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2020年9月17日

 三井化学はこのほど、長岡技術科学大学(新潟県長岡市)大学院工学研究科・機械創造工学専攻の髙橋勉教授と、プラスチック廃棄物の再利用を促進する革新的な技術の共同研究を開始したと発表した。

 (左から)長岡技術科学大学の髙橋教授、東学長、三井化学柴田常務、三井化学伊崎RF
(左から)長岡技術科学大学の髙橋教授、東学長、三井化学柴田常務、三井化学伊崎RF

 プラスチック廃棄物は、様々な状態のプラスチックの混合物である場合が多く、マテリアルリサイクルにより加熱加工する際、加熱溶融されたプラスチックの流動性が安定しない。そのため、得られる再生プラスチックが一定の流動性や品質を維持できないことや、用途が限定されるといった課題がある。同共同研究では、加熱溶融されたプラスチックの流動性をインラインで計測・制御を行い、再生プラスチックの品質を安定化させるための技術を3年計画で開発する。

 三井化学は、2018年4月にESG推進室を設置し、ESG要素を経営と戦略に積極的に取り込むことで、「環境と調和した共生社会」と「健康安心な長寿社会」の実現に向けてビジネスモデルの変革を進めている。また、昨年3月に同県内にデザイン&ソリューションセンターを開設。関係会社の金型メーカー・共和工業との連携によるものづくりの開発機能を活用したソリューション提案を通じ、持続的に社会価値を創造していくことを目指している。

長岡技術科学大学。三井化学と再生プラ安定化に向け共同開発を始めた
長岡技術科学大学。三井化学と再生プラ安定化に向け共同開発を始めた

 一方、長岡技大は、持続可能な世界の実現に向け早くから積極的な取り組みを行っている。2018年には国連から国連アカデミック・インパクトでのSDGs目標9(産業と技術革新の基盤をつくろう)のハブ大学に任命されるなど、革新的な取り組みの模範大学として評価が高い。

 両者は産学連携により、サーキュラーエコノミーの実現に向けた実効性のあるプラスチックリサイクル技術の開発を推進していく。

 

旭化成と東北電力ネットワーク 浪江町のNEDO水素実証事業に参加

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2020年9月17日

 旭化成など5社はこのほど、東芝エネルギーシステムズ、東北電力、岩谷産業の3社が、2016年から福島県浪江町で進めてきた、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の水素実証事業について、同事業のさらなる拡充・強化を目的に、旭化成と東北電力ネットワークが新たに参加し、さらに期間を2023年2月末まで延長した委託契約を締結したと発表した。

 NEDOの実証事業は「水素社会構築技術開発事業/水素エネルギーシステム技術開発/再エネ利用水素システムの事業モデル構築と大規模実証に係る技術開発」(2016~2022年度)で、2016~17年度は基礎検討(FSフェーズ)を実施。2017~2020年度まではシステム技術開発(実証フェーズ)を実施している。

 今年3月には「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」が開所。世界最大規模の10MW級水素製造装置を活用し、電力系統への需給バランスの調整に貢献することで、蓄電池を使わずに出力変動の大きい再生可能エネルギーの電力を最大限利用するとともに、クリーンで低コストの水素製造技術の確立を目指してきた。

 今後は5社体制で、実証フェーズを2022年度まで延長し、「Power‐to‐Gas」の実用化に向けた技術の確立を目的として、各種制御システム(水素エネルギー運用システム、電力系統側制御システム、水素需要予測システム)や水電解技術のさらなる高度化を目指していく。

 旭化成は、同事業向けに世界最大規模の10MW級大型アルカリ水電解装置を自社技術で新規設計し納入。今後は、サプライヤーの立場から委託事業者として事業に参画し、主に水電解装置関係の技術開発を担当。同事業で得た成果により、大型水電解装置の早期実用化を目指す。

 5社は、同事業を通じ、再生可能エネルギー由来の水素の利用拡大に向けた技術開発を推進。水素エネルギー運用システムの最適運用を行うことで、2030年以降の持続可能な「Power‐to‐Gas」事業モデルの商用化を見据え、再生可能エネルギーの利用拡大へ向けた取り組みを推進していく考えだ。

水素実証事業の全体像
水素実証事業の全体像

 

 

 

帝人 広島大学発ベンチャーに出資、ヘルスケア事業を強化

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2020年9月17日

 帝人は16日、広島大学発のベンチャー企業で未病・疾患早期発見検査を提供するミルテル(広島県広島市)に出資し、業務提携契約を締結したと発表した。

 今後、帝人グループでニュートラシューティカル製品(健康維持に科学的根拠をもつ食品)の販売を手掛けるNOMON(東京都千代田区)が、ミルテルが展開する血液検査による未病検査や、がんなどの疾患の早期発見を促す検査の販売支援を行い、ミルテルがNOMONのサプリメントを販売する。こうした相互の販路活用によって販売協力し、両社の認知拡大に取り組んでいく考えだ。

 ミルテルは、広島大学大学院の田原栄俊教授の研究成果を実用化するため、2012年に起業した同大発のベンチャー企業。翌年には遺伝子検査業務を行う衛生検査所として登録し、未病検査「テロメアテスト」、がんなどの疾患の早期発見を促す検査「ミアテスト」などの「ミルテル検査」を医療機関に提供。疾患の予防と早期発見を通じて、国民の健康長寿や医療費の削減に貢献することを目指している。

 一方、帝人のグループ会社であるNOMONは、高純度NMNを配合したサプリメントなどの販売を行い、前向きに歳をとるプロダクティブ・エイジングの実現を目標に掲げる。こうした中、帝人グループとミルテルは、健康寿命延伸や医療費削減への貢献という理念を共有できたこと、事業の展開領域や戦略、保有技術などからシナジーが期待できることから、今回の出資および業務提携契約の締結に至った。

宇部興産 CPLの9月契約価格は前月比30ドル高

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2020年9月17日

市場に底打ち感、冬物衣料向けに引き合い強まる

 宇部興産は、ナイロン原料であるカプロラクタム(CPL)について、9月(上旬決め)の韓国・台湾大手向け契約価格を前月比30ドル高の1060ドル/tで決着した。前月は、新型コロナ感染の第2波の懸念が高まったことで120ドル/t安と急落していた。しかし、各国の経済活動が再開される中、原料ベンゼン価格が安定していることや、冬物衣料向けの需要期を迎えることもあり、市場に底打ち感が出たことが背景にある。

 スプレッドも、9月のベンゼンACPが前月並みとなったことで

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JSR 人事(10月1日)

2020年9月16日

[JSR・人事](10月1日)▽解兼四日市研究センターディスプレイソリューション研究所アドバンスソリューション開発室長、同センター同研究所長宮地弘一▽同センター同研究所アドバンスソリューション開発室長岡田敬。

NEDO 海洋生分解性プラの社会実装に向けた技術開発

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2020年9月16日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業に着手すると発表した。同分解性の評価手法や新素材の開発により社会実装・市場拡大を進め、2030年には海洋生分解性プラスチックの国内市場年20万tを目指す。

 プラスチックは汎用される一方でほとんど分解せず、海洋プラごみによる海洋汚染が問題視され、海洋生分解性の新素材開発と海洋生分解性の簡便で信頼性の高い評価法が求められている。

 今回の「海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業」は今年度からの5年計画の予定で、今年度予算は3.45億円、採択テーマは次の2件だ。

 ①「海洋生分解性に係る評価手法の確立」(産業技術総合研究所、製品評価技術基盤機構、静岡県環境衛生科学研究所、東京大学、愛媛大学、島津テクノリサーチ)では、海洋生分解性プラスチックの分解メカニズムの解明、海洋生分解性の評価手法の確立、分解途中での水中汚染物質の吸着や樹脂添加剤の溶出など生態系への安全性の評価手法を開発する。

 ②「海洋生分解性プラスチックに関する新技術・新素材の開発」(日清紡ホールディングス)では、新規化学構造をもつ新素材や新規バイオ製造プロセス、複合化技術などの新技術による海洋生分解性プラスチックの開発を行う。

 

ABS樹脂 8月の総出荷は20%減、前年比では改善傾向に

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2020年9月16日

 日本ABS樹脂工業会がこのほど発表した出荷実績によると、8月の総出荷量は前年同月比20%減の2万500tとなった。国内出荷は同24%減の1万3100t、輸出は同11%減の7400tとなり、どちらも5月を底にマイナス幅が減少し、改善傾向が続いている。前月比では、国内出荷5%減、輸出1%減と若干落ち込んだが、8月は連休などで、工場の稼働が低下したものと見られる。

 8月の国内出荷を用途別で見ると、車輌用が

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ランクセス 上海にアジア太平洋地域用途開発拠点を着工

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2020年9月16日

 ランクセスはこのほど、上海化学工業団地(SCIP)でアジア太平洋地域用途開発センター(AADC)を着工した。

 中国での持続的成長のための重要拠点となる。アジア太平洋地域のビジネスユニット間の相乗効果促進のために、2018年に新たな組織を作り、上海にある本部は中国、日本、韓国、東南アジア諸国を管轄している。昨年AADCを設立し、中国とアジア太平洋地域でのイノベーション能力のさらなる強化計画を発表。今年3月同センターをSCIP内に設置することを発表していた。

 銭明誠アジア太平洋地域社長は7月に行われた起工式で「新規ビジネス創出への地域イノベーションの割合は大きい。製品の新グレードに対する地域ごとのニーズが高まる中、AADCによって能力は一層強化される。世界がまだ新型コロナウイルスと闘っている中での着工は、中国市場そして世界最大の化学品市場の将来に対する強いコミットメントだ」と述べた。

 SCIP運営管理委員会の馬静ディレクターは「ランクセスは当イノベーションセンター初の入居企業で、当工業団地のみならず上海の化学産業の革新と発展のプロセスの重要な出発点だ。SCIPのサービスとビジネス環境が発展し、ランクセスと協働して化学産業のイノベーションセンターのベンチマークとなり、上海の化学産業の変革、レベルアップ、持続可能な開発に貢献していくことを期待する」と述べている。