帝人 脊椎・外傷事業を買収、埋め込み型医療機器を拡大

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2021年11月1日

 帝人は29日、グループ会社の帝人ナカシマメディカルが、大塚メディカルデバイスの子会社であるKiSCOから脊椎および外傷(骨折)事業を買収することを決定し、吸収分割による事業の承継契約を締結したと発表した。

 帝人グループは、次代を担う事業として埋め込み型医療機器事業を位置づけ、同事業を手掛ける帝人ナカシマメディカルへの出資や、吸収性骨接合材料の製造・販売を展開する帝人メディカルテクノロジーの設立など、積極的に事業を推進してきた。帝人ナカシマメディカルは、2015年から帝人グループに加わり、2018年にはセンチュリーメディカル社から脊椎事業を譲受して事業領域を拡大するなど、着実に成長を続けている。

 一方、脊椎固定材料や骨接合材料などのインプラント製品の開発、販売を行う医療機器会社のKiSCOは、大塚メディカルデバイスの子会社として事業を展開している。

 帝人ナカシマメディカルは今回の契約締結により、脊椎や外傷(骨折)領域に強みをもつKiSCOの人財と製品を承継し、開発および営業基盤の強化や、製品ラインアップの拡充を図ることで、埋め込み型医療機器事業の成長をさらに加速させる。

 帝人ナカシマメディカルは今後、今回の人財と製品の獲得をさらなる成長の原動力とし、高齢化により増加する整形外科インプラントの需要を取り込むことで、2025年までに売上高100億円を目指す。

BASF 携行型近赤外分光分析を家畜飼料業界に導入

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2021年10月29日

 BASFと同子会社の独トライナミクス社はこのほど、モバイル型近赤外(NIR)分光ソリューションを飼料業界へ導入すると発表した。これにより、飼料業界のバリューチェーンのどこでも、家畜飼料の成分解析を迅速かつ高精度にオンサイト(現場)で行える。

 トライナミクス社は、赤外線センシングと3Dイメージングを専門にしており、赤外分光を大幅に小型化した高性能のポケットサイズラボラトリーを開発。BASFの飼料添加物に関する知識と、トライナミクス社のモバイルNIR分光の専門知識を結集し、飼料分析の加速化とシンプル化を実現した。

 クラウドベースで小型ポータブルデバイス、スマートフォンアプリ、カスタマーポータルサイトを統合し、飼料サンプルの品質や栄養価に関する分析結果をボタン1つで得られる。家畜飼料は家畜の成長段階や健康状態、原材料の変更に伴い調整が必要だが、栄養成分の見える化により、飼料の配合や品質管理が強化される。飼料工場や栄養士、生産者が飼料の品質を保証するための、迅速かつ柔軟なソリューションである。

 対象サンプルは飼料原料から完成飼料まで幅広く、水分、タンパク質、脂肪、エネルギーなど、質の高い飼料や家畜の健康に不可欠なパラメータの把握に役立つ。測定はその場ででき、所要時間は1分未満。結果は瞬時にスマートフォンアプリに表示され、さらにトライナミクス社のウェブベースのカスタマーポータルサイトにアクセスして評価することができる。

 今後も、両社はさらなるソリューション強化に向けて協力していく。クラウドを介した継続的なアップデートにより、ユーザーはハードウェアを交換することなく、新しいアプリケーションや機能を利用できる。

出光興産 出光スノーレの株譲渡、バランスシートをスリム化

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2021年10月29日

 出光興産は、連結子会社である出光スノーレ石油開発(出光スノーレ)の株式の一部をINPEXに譲渡することについて、INPEXと大阪ガスサミットリソーシズ(OSR)との間で株式譲渡契約を締結したと発表した。

 同契約は、出光興産が保有する出光スノーレ株式(50.5%)のうち1%をINPEXに譲渡し、同時にOSRが保有する出光スノーレ株式(49.5%)の全てをINPEXに譲渡する。譲渡完了後は、INPEXが出光スノーレ株式の50.5%、出光興産が49.5%をそれぞれ保有。

 出光興産にとっては、出光スノーレが持分法適用会社になることで、連結バランスシートの圧縮、スリム化につながる。なお、株式譲渡の完了は、ノルウェー政府による承認などを条件に来年初めを見込む。

 出光興産はこれまで、出光スノーレとノルウェー現地法人である出光ペトロリアムノルゲ(IPN)において、30年以上にわたりノルウェー北部北海地域やバレンツ海域での石油・天然ガスの探鉱・開発・生産事業を行ってきた。

 出光興産とINPEXはベトナム海上でのガス田開発、国内地熱事業を共同で実施するなど事業パートナーとして良好な関係を構築。今回の譲渡を通じ、両社が石油開発事業で培った技術的知見やプロジェクト運営のノウハウなどを用いて、IPNの事業運営を行う。これによりパートナーシップをさらに発展させるとともに、ノルウェーにおける当該事業のより一層の成長・発展を目指す。

 一方、ノルウェーは低炭素化・脱炭素化の取り組みの先進国として油ガス田の操業においても低炭素化技術を積極的に導入しており、IPN保有権益においても浮体式洋上風力発電や陸上水力発電からの電力供給などによる低炭素化を進めていく。

東レ ハンガリーのセパレータ子会社、LG化学が出資へ

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2021年10月29日

 東レはこのほど、LG化学との間で、東レ100%子会社であるハンガリーのLIB用バッテリーセパレータフィルム製造・販売会社THUに対して、LG化学が新たに3億7500万ドル(約430億円)を出資し、THUを存続会社とした折半出資の合弁会社LTHSを設立することに合意したと発表した。

 合弁会社は現THUの現有設備でセパレータフィルムを製造し、LGグループの欧米拠点向けに販売する。また、今後の需要拡大に備え、現THU敷地内においてフィルム基材の製膜設備の増強と、コーティング加工設備の新規導入を進めていくことに加え、合弁会社設立から2年半経過後に東レ持分の20%をLG化学に譲渡し、以降はLG化学が経営・事業の主体を担うことにも合意した。

 セパレータフィルムにおいて、LG化学はコーティング技術、東レはフィルム基材の製膜技術に強みをもち、これまでグローバルに製品を供給してきた。

 合弁会社では、LG化学、東レからそれぞれが保有するLGグループのセパレータ製造に必要な技術のライセンスを供与。両社の強みを生かしてシナジーを発揮することで、大幅な成長が見込まれる車載用途に向けて高品位なセパレータフィルムを製造する。また、LGグループの電池素材から電池製造まで一貫の垂直事業モデルのもとで安定的な販売先を確保し、事業拡大を進める。

 なお、東レグループが日本・韓国にもつ各セパレータフィルム関連拠点(製膜とコーティング加工)については従来通り、東レグループが開発・生産・供給を継続し、顧客ニーズに応じた製品を提供していく。

日本ゼオン 世界最大幅の光学フィルム、敦賀製造所で増設

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2021年10月29日

 日本ゼオンは28日、福井県敦賀市の光学フィルム工場において、大型TV向け位相差フィルムの製造ライン2系列目の増設を決定したと発表した。新ラインは2023年10月の量産開始を予定しており、操業人員の新規雇用を計画している。

 同社は、光学フィルム「ゼオノアフィルム」を、グループ企業で製造子会社であるオプテスにおいて、高岡製造所(富山県)、氷見製造所(富山県)、敦賀製造所(福井県)の北陸工場3拠点で製造。

 「ゼオノアフィルム」は、同社が独自のポリマー設計技術で開発した熱可塑性プラスチック(シクロオレフィンポリマー)を原料に使い、世界初となる溶融押出法で生産されている。シクロオレフィンポリマーの特長である高い光学特性と優れた寸法安定性をもっており、大型TVやモバイル機器のディスプレイに視野角補償や反射防止などの機能をもたせる、位相差フィルム用途を中心に需要が拡大している。

 今回の投資は、液晶パネルの大型化に対応して昨年4月に稼働した世界最大幅(2500mm幅クラス)の位相差フィルム製造ラインの二系列目となる。新ラインの生産能力は一系列目と同じ年間5000万㎡の計画で、2系列合計で1万㎡、既設の能力と併せてTV向け位相差フィルムの生産能力は2億1900万㎡に拡大する。液晶用ガラス10.5世代のサイズに対応した液晶パネル設備が世界中で順次稼働する中、当該サイズにマッチしたパネルの取り効率が良い2500㎜幅の生産ライン増強は、環境負荷低減にも大きく貢献することが期待される。

 同社は、今後も市場ニーズを捉え社会の期待に応えるとともに、人々の快適なくらしに貢献していく。

三井化学 バイオPET参入、三菱ケミとライセンス契約

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2021年10月29日

 三井化学は28日、三菱ケミカルがもつバイオマス原料由来ポリエステルに関わる基本特許(日本国特許第4380654号)を含む関連特許について、両社間でライセンス契約を締結したと発表した。

 三井化学は、再生可能なバイオマス原料を使ったポリエチレンテレフタレート(PET)の特許ライセンスを取得することで、顧客からの要望も高い国内でのバイオPET製品分野に参入し、同製品を含むバイオマス戦略の推進を図っていく考えだ。生産については、開始時期は未定だが、岩国大竹工場(山口県和木町)での生産を予定している。

 バイオPETは、ペットボトルをはじめ様々な用途が見込まれており、従来の石油由来の製品と比べ、温室効果ガスの排出量削減への貢献が期待される。三井化学は、気候変動とプラスチック問題を一体として取り組むべき重要な社会課題と捉え、プラスチックを巡る課題に対し、バリューチェーン全体を視野に入れた、リサイクル戦略とバイオマス戦略に注力している。

JSR 「東京大学稷門賞」を受賞、支援活動を評価

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2021年10月28日

 JSRはこのほど、東京大学より令和3年度の「東京大学稷門(しょくもん)賞」を受賞したと発表した。同賞は、東大の活動の発展に大きく貢献した個人、法人または団体に対し贈呈されている。同社がこれまで行ってきた研究教育支援・学生の経済的支援などの活動が評価され、受賞に至った。

 なお「稷門」とは中国戦国時代の斉の首都の城門のこと。斉の宣王が学者を厚遇したことにより、斉の都に天下の賢者が集まり、学問が栄えたという故事が同賞の由来になっている。

 JSRは、昨年4月より、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻との包括連携を開始。その取り組みを通じ、様々な分野で連携するとともに、最先端フィジックスとケミストリーの融合によるサイエンスの深耕で、同社の企業理念にもあるマテリアルズ・イノベーションを起こし、新たな学理の探求と社会実装に向けた成果を目指している。

 また、包括連携の開始に合わせて、優れた人材の育成を支援するために博士課程学生を対象とした給付型フェローシップも設立。JSRフェローシップが、博士課程の学生に、安心して研究できる環境を提供し、また、将来に対する意欲向上につながることを期待している。

 同社は、今後もこのような取り組みを通して産学協創を推進し、オープンイノベーションや社会貢献に注力していく。

帝人 欧州で自動車向け複合成形材、一貫供給体制を確立

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2021年10月28日

 帝人は27日、同社グループのTAT(米国)が、仏拠点において、生産性、外観性、寸法・品質安定性に優れるシートモールディングコンパウンド(SMC)製造設備による商業生産を開始したと発表した。

 なお、設備投資額は約7億円。自動車向け複合成形材料事業を展開するTATは、コンポジット部品の北米最大のサプライヤーとしての地位を確立し、主にガラス繊維を用いた自社開発のSMCを製造している。

 今回、フランスで商業生産を開始したことで、ポルトガルやチェコの成形拠点と共に欧州におけるバリューチェーンを確立。これにより自動車産業の主要市場の1つである欧州域内において、北米と同様に材料から成形までの一貫生産体制を実現した。今後、TATは、開発中の低VOC(低揮発性有機化合物)などを使用した製法も加え、優位性の高いコンポジット製品を拡大展開することにより、欧州の自動車メーカーのニーズに対応していく。

 帝人グループは、自動車業界が求める軽量、安全で、エネルギー効率や耐久性に優れる部品をグローバルに提供することができる世界有数のリーディングカンパニーとして、さらに確固たる地位を確立していく。また、バリューチェーン全体のライフサイクルにおける、CO2排出量削減に向けた技術開発や様々な取り組みにも注力し、2030年近傍には、自動車向け複合成形材料事業の売上を20億ドル規模へと拡大していく。

東ソー 米センバ社を完全子会社化、バイオ事業を強化

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2021年10月28日

 東ソーは27日、バイオサイエンス事業の強化・拡大の一環として、米国センバ・バイオサイエンシズ(センバ社)の株式を追加で取得し完全子会社としたと発表した。これに伴い、社名をトーソー・バイオサイエンス・ウィスコンシンに変更している。

 なお、今回の完全子会社化は米国子会社トーソー・バイオサイエンス社(ペンシルベニア州)を通じて行われた。バイオ医薬品の市場は、抗体医薬品、遺伝子治療薬、コロナワクチンなどの需要増大を背景に、今後も高い成長が見込まれている。

 バイオ医薬品の製造では液体クロマトグラフィー技術が一般的に利用されているが、従来のバッチ方式と比べて需要変動に対する柔軟性に優れ、かつ医薬品製造コストの低減に有効な新手法として連続クロマトグラフィー方式が注目されている。

 センバ社は、2009年に世界初の卓上タイプの連続クロマトグラフィー装置「Octave」を上市した、クロマトグラフィー装置の製造・販売会社。東ソーは2018年にセンバ社へ出資し、医薬品の製造管理及び品質管理の基準(GMP)に準拠した連続クロマトグラフィー装置「ProGMP」の開発など、ラインアップ拡充を協同で進めてきた。

 センバ社を完全子会社化にすることでより緊密な一体運営を行い、連続クロマトグラフィー事業のさらなる拡大を狙うと共に、液体クロマトグラフィー用分離剤「トヨパール」およびカラム「SkillPak」事業とのシナジー創出を推進していく。急拡大が進むバイオ医薬品市場に先進的な製品を提供するため、今後も分離精製事業のグローバルな基盤強化を積極的に進めて行く計画だ。

 東ソーは、今後も既存事業の強化や周辺・新規領域への展開を通して、バイオ医薬品精製のトータル・ソリューション・プロバイダーを目指していく。