ENEOSなど3社 バイオ誘導品SC構築で調査開始

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2021年8月23日

 ENEOS、日本触媒、三菱商事の3社はこのほど、2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けて、国内初となるバイオ原料を使用したエチレン誘導品(バイオ誘導品)の製造・販売を2024年度に開始することを目標に共同調査を行うことで合意したと発表した。

 今回の取り組みでは、ENEOSのエチレン製造・販売力、日本触媒がもつエチレン誘導品の酸化エチレン(日用品や化粧品などの原料)や酸化エチレン誘導品、エチレングリコール(ペットボトルやポリエステル繊維などの原料)の製造・販売力、三菱商事の化学原料・製品の安定供給とバイオ原料・環境負荷低減素材の事業開発・マーケティング力を連携させるのが狙い。 各社の知見を生かすことで、国内初のバイオ誘導品のサプライチェーン(SC)構築による事業化を通じ、社会が求める低・脱炭素、循環型社会実現へ貢献していく考えだ。

 具体的には共同調査により、3社はグローバルな原料調達力や、既存のエチレン・エチレン誘導品の製造能力と販売チャネル、川崎コンビナートの供給物流インフラを活用し、バイオ誘導品の製造・販売の実現性について市場ニーズを把握することで、より具体的な評価を行っていく。

 ENEOSはグループ長期ビジョンの中で、低炭素・循環型社会への貢献を掲げ、環境対応型事業の強化に取り組んでいる。日本触媒はグループ長期ビジョンにCO2排出量の削減やリサイクル技術開発、脱炭素への取り組みなど、果たすべきサステナビリティの実現を掲げている。また、三菱商事はエネルギーと素材分野で、社会価値・環境価値・経済価値の3価値を同時に実現する事業の構想・実行を通じ、最重要テーマに掲げる低・脱炭素社会実現への貢献を目指している。

 各社はそれぞれのビジョンに基づき共同調査を進め、持続可能性に配慮した原料を使用するバイオ誘導品普及の早期実現を目指す。

 

ENEOS CO2フリー水素SC構築へ、調査事業開始

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2021年8月20日

 ENEOSはこのほど、CO2フリー水素サプライチェーン(SC)構築を目指し、「東京湾岸エリアにおける水素利活用調査事業」と「むつ小川原地区における水素地産地消モデル調査事業」を実施すると発表した。

 ENEOSは脱炭素に向けた本格的な水素の大量消費社会を見据え、国内外でCO2フリー水素SC構築に取り組んでいるが、今回その一環として、同社製油所を起点とした水素利活用調査事業と、水素キャリアである有機ハイドライド(MCH:メチルシクロヘキサン)を利用した水素地産地消モデル調査事業を実施する。

東京湾岸エリアでのCO2フリー水素サプライチェーンの全体像

 東京湾岸エリアでは、川崎臨海部を中心とする東京湾岸エリアでCO2フリー水素供給モデル構築を目指した調査を行い、製油所をCO2フリー水素受け入れ・供給拠点と想定し、既存パイプラインを活用した大規模水素需要家への効率的な水素供給モデルの構築を検証する。具体的には、川崎市と連携し、既存パイプラインの調査や当該エリア立地企業へのヒアリングを行い、既存設備の有効活用と水素パイプラインの拡充に対する課題を整理していく。

むつ小川原地区と東北エリアでのCO2フリー水素サプライチェーンの全体像

 一方、むつ小川原地区では、再生可能エネルギーを利用したCO2フリー水素の地産地消モデル構築に向け、MCHを利用して再エネが豊富な同地区と同地区外での水素需要の拡大を目指す。具体的には、同社独自の水素エネルギーマネジメントシステム(EMS)を活用し、同地区の再エネから効率的にCO2フリー水素を製造しMCHに変換するプロセスについて検証する。 また、東北地方の製油所や発電所などの大規模水素需要家へのMCH供給と石油備蓄タンクへのMCH貯蔵についても検証する。

ENEOSのCO2フリー水素サプライチェーン構築に向けた取り組み

 なお、両調査事業は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発/水素製造・利活用ポテンシャル調査」の委託先として採択された。

 

帝人 2030年CO2排出削減目標、30%に見直し

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2021年8月20日

世界的なグリーン化に対応、SCでも目標を設定

 帝人はこのほど、中期経営計画の中で環境負荷低減の長期目標として設定している2030年度までのCO2排出量削減について、2018年度比「30%削減」に目標値を引き上げるとともに、サプライチェーン(SC)排出量の3分の2以上を占める部分についても、同「15%削減」という数値目標を設定した。

 同社グループは2019年に、パリ協定の目標に適合する水準として、自社のCO2排出量を同「20%削減」する長期的な目標を設定していた。

 その後、国際社会ではカーボンニュートラル実現に向けた動きが活発化。日本政府が今年4月に2030年のGHG(温室効果ガス)排出削減目標を46%(2013年比)に引き上げたのをはじめ、世界各国が目標の見直しに動いた。

 企業には、パリ協定に整合するとみなされる、SBT(サイエンス・ベースド・ターゲット)に沿った目標設定や取り組みが求められおり、同社はSBTイニシアチブからの認定取得を目指していた。

 こうした中、ネットゼロの実現に向けた取り組みを加速すべく、同社はSBTイニシアチブの認定基準の1つである「2℃を十分に下回る目標水準」に適合させるため、CO2排出量の削減目標をより高い水準に設定することを決定。

 新たな数値目標として、自社のCO2排出量では、自社のGHG直接排出量(スコープ1)に他社から供給された電気などのエネルギー使用に伴う間接排出量(スコープ2)を加えたものと定義し、算定範囲をこれまでよりも拡大。その上で、2030年度までの数値目標を、2018年度比「20%削減」から「30%削減」へと引き上げた。

 ロードマップとして、2022年までにオランダのテイジン・アラミド社の再エネ化を推進するとともに、自家火力発電では2拠点(日本、タイ)の脱石炭に取り組む。

 また会社全体では、再エネ化の推進や、エネルギー効率化・省エネにも注力することで、目標達成を目指す。これにより、同社の2018年度比30%削減目標は、2013年度の排出量実績に単純換算すると47%減になり、政府の目標(46%削減)を上回る水準となる見込みだ。

 一方、SC全体でのCO2排出削減目標については、2030年度までに「製品などの削減貢献量が総排出量を上回る」とすることを目標に掲げていた。ただ、SBTではスコープ3(自社以外での排出)がバリューチェーン全体の40%を上回る場合、スコープ3排出量全体の3分の2をカバーする目標設定が必要になるため、SCにおける数値目標として同「15%削減」を新たに設定。原料となる化学品を購入しているサプライヤーとの連携を強化していく。

 なお、これらの数値目標は、新たに環境負荷低減の長期目標として位置づけられ、今年7月より帝人グループ全体に適用された。同社は今後、企業全体のGHG排出状況を毎年開示し、最低でも5年ごとに目標を見直していく考えだ。

 

石化協 APIC2022インド大会、11月に再度協議

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2021年8月19日

 石油化学工業協会はこのほど、来年に延期が予定されているアジア石油化学工業会議(APIC2022・インド大会)について、11月に開催の可否を再度協議すると発表した。APICインド大会はコロナ影響を受け、2020年、2021年と開催が見送られていた。

 2022年の開催については、先日開催されたウェブ会議を通じAPIC加盟7協会で改めて協議した結果、①インドをはじめAPIC加盟各国におけるコロナ禍の現状、および各国でのワクチン接種の進展状況などに鑑みると、2022年の開催日程などの検討は依然時期尚早と判断、②2022年の開催可否も含め、開催日程などについて11月に再度協議、という結論に至った。

デンカ 青海工場で工事業者車両の滑落事故が発生

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2021年8月19日

 デンカは16日午後4時ごろ、青海工場(新潟県糸魚川市)で工事業者車両の滑落事故が発生したと発表した。青海鉱山西山登山道を下山途中に3人が乗車するワゴン車がカーブの盛り土を乗り越え滑落。これにより鉱山拡張工事を請け負っている建設会社の下請作業員2人が死亡し、1人が重傷を負った。物的被害はなく、操業や製品供給への影響はないとしている。

 同社は、「亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族に対し深くお悔やみ申し上げます。また、負傷された方に心よりお見舞い申し上げます」とコメント。同社も原因調査などに取り組み、事故原因が判明次第、関係当局の指導を仰ぎつつ、建設会社とともに適切な再発防止策を実施する。

 

東レ マレーシアでのABS樹脂増強、本格生産を開始

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2021年8月19日

 東レはこのほど、マレーシアの東レプラスチックマレーシア(TPM)で生産能力の増強を行っていたABS樹脂「トヨラック」透明グレードについて、本格生産を開始したと発表した。年産7万5000tの生産設備の増強により、TPMのABS樹脂生産能力は同42万5000tとなり、既存の千葉工場(市原市)と合わせて、同社グループ全体の生産能力は同49万7000tまで拡大した。

マレーシアで透明ABS樹脂を増強
マレーシアで透明ABS樹脂を増強

 同社グループのABS樹脂は、透明グレード、制電グレード、良塗装グレード、耐薬品性向上グレードなどの「トヨラック」高機能グレードをラインアップ。主な販売先である中国、ASEAN市場に加え、欧米やインド市場へのさらなる販売拡大を進めていく計画であり、今後についても生産能力の増強を検討している。

 同社は、中期経営課題の基本戦略の1つとして「成長分野でのグローバルな拡大」を推進。拡大する透明ABS樹脂の需要を確実に取り込み、さらなる供給安定性向上のため、今後も日本国内のABS樹脂生産拠点である千葉工場とマレーシアのTPMの有機的な連携をさらに強化し、グローバルな事業拡大を強力に推進していく。

三井化学など3社 循環型社会を加速、企業間の連携強化

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2021年8月19日

 三井化学、日本IBM、野村総合研究所(NRI)の3社はこのほど、資源循環型社会の実現を目指しコンソーシアムを設立することで合意した。

 三井化学と日本IBMは今年4月、循環型社会実現への課題となる「素材のトレーサビリティ」の担保を目的に、ブロックチェーン技術を活用したプラスチック資源循環プラットフォーム構築に向け協働を開始。今回、その取り組みを加速し拡大させるため、NRIを加えた3社共同でコンソーシアムの運営を行う。3社は、資源循環プラットフォームを利用した実証実験への支援活動、複数企業による研究会開催、コンソーシアムで得た知見などの情報共有やコンソーシアム内外への提言などを計画するとともに、他団体とのオープンな関係構築を通じ、循環型社会を形成していく狙いだ。

 中核となる目的に、①トレーサビリティを基盤としたプラスチックリサイクル材の利用促進②資源循環に関するステークホルダー間の連携支援③資源循環に貢献した人や企業へのインセンティブ制度構築を掲げ、各社の強みを生かした活動を推進。具体的には、三井化学は、モノマー・ポリマーなどに関する豊富な知見やスキル、リサイクルを含む環境対応技術やノウハウの提供を行う。

 一方、日本IMBは、ブロックチェーンを基盤としたトレーサビリティプラットフォームの利用を支援。排出した製品がリサイクルされ新たな製品となるモノのプロセスや複数のサプライチェーン企業間との連携業務のプロセスをデジタル化し、トレースできる支援を担う。またNRIは、ビジネスモデル変革とデジタル化への知見・経験、業界団体や官公庁への提言の経験を生かし、企業・社会の変革を推進する。

 コンソーシアム設立後は、自社製品のリサイクルやリサイクル材を活用した製品づくりを推進したい製造業者、回収や解体する製品の素材情報の把握やリサイクル材に付加価値を付けたいリソーシング産業、物流に新たなソリューションを生み出したい物流業者、ESG投資を検討している金融機関など、コンソーシアムの趣旨に賛同する企業の参加を想定し、企業間、産業間の連携を強化・推進することで循環型社会を共に創造していく考えだ。

ダウ 主要製品の増産プロジェクトを推進、需要増に対応

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2021年8月6日

 ダウは21日、高リターンを創出する段階的な能力拡大計画を発表した。同計画では、サステナブルなソリューションに重点を置くとともに、GDPを上回る成長を続ける、主要な最終市場全域における需要増をサポートする。

 同社のコンシューマーソリューションズ事業では、①シリコーンエラストマー、放熱材料、②シリコーンポリマー、シーラント、③シリコーンエンジニアードマテリアル、感圧接着剤、④CatHEC(カチオン性ヒドロキシエチルセルロース)、ポリマー、PEG(ポリエチレングリコール)、といった生産能力の増強が予定されている。これらの生産拡大は、2019~2020年にかけて実施された20超の主要なデボトルネック、効率向上、設備投資増強プロジェクトを含む、これまでの投資の延長となる。

 一方、ポリウレタンおよびコンストラクション・ケミカルズ事業においては、タイのマプタプットに所在する既存設備におけるプロピレングリコール(PG)の生産能力を年間8万t増強し、総生産能力を年間25万tに高める計画。2024年の稼働開始を予定している。これにより同工場はPGの生産設備としてアジア太平洋地域で最大規模となり、アジア太平洋全域およびインドにおける顧客の成長を支える。

 業界をリードするダウのPGフランチャイズでは、基礎化学品の性能を高めるとともに、化粧品、食品、医薬品をはじめ、多くの日用品に使われる高品質な原料を製造している。また、同社は先日、米国テキサス州フリーポートにMDI蒸留・プレポリマーの統合生産設備を建設する計画を発表。この投資により、川下市場におけるポリウレタンシステム製品の需要増加をサポートするとともに、建設、コンシューマー、産業各市場における魅力的な用途でのダウの主導的なポジションを推進する。

 

三菱ケミカルホールディングス 安定成長に向け財務の安定化図る

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2021年8月6日

ギルソン社長「事業を見直しシンプルな企業体に」

 三菱ケミカルホールディングスは5日、ジョンマーク・ギルソン社長のオンライン会見を開催した。

ジョンマーク・ギルソン社長

 ギルソン社長は、入社して感じたことについて、「ほとんどの社員は社歴が1社であるため、他社のやり方を学ぶ機会がなく、また日本企業も島国の商売を行っており、海外の商売方法などのノウハウがないと感じている。外国企業が必ずしも良いわけではないが、

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中外製薬 GPIFが採用する4つのESG投資の構成銘柄に

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2021年8月5日

 中外製薬はこのほど、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用する、環境・社会・ガバナンスの要素に配慮した国内株式を対象とするすべてのESG指数について、構成銘柄として継続選定されたと発表した。

 GPIFが採用する4つのESG指数は、FTSEブロッサム・ジャパン・インデックス、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数、MSCI日本株女性活躍指数(WIN)、S&P/JPX カーボン・エフィシエント指数で、同社は運用開始当初より、すべての指数で継続選定されている。

 またこれらに加えて、同社は主要なESG指数である「FTSE4グッド・インデックス・シリーズ」に19年連続で選出されており、持続可能性に対する評価が高い。さらに、ESGリスク体制を評価するMSCI ESG格付けにおける7段階評価のうち、上位から2つ目の「AA」を継続して取得。将来起こり得る様々なESGリスクに対する耐性が相対的に高いと評価されている。

 同社は今後も、SDGsやESGの取り組みに関する適切な情報開示に努めるとともに、同社にしかできないイノベーションを駆使して、患者や社会に対して価値を創出し、事業活動を通じて社会課題の解決や持続可能な社会の構築に寄与していく。