住友商事はこのほど、100%子会社で、電子機器の製造受託サービス(EMS)を行うスミトロニクスを通じ、大日光・エンジニアリングと共同で、中国・江蘇省無錫市にEMS事業を担う新工場を設立すると発表した。
無錫市は、1000社以上の日系企業が進出している、中国を代表する電子情報産業の集積地。中国では、自動車や家電製品の国内需要が増加しており、EMSの需要も拡大基調にある。特に車載分野では、より高品質でコスト競争力の高い電子機器の基板実装が求められる。
新工場は、スミトロニクスの子会社であるスミトロニクス上海と大日光・エンジニアリングの子会社であるトロア無錫が共同で設立し、今月の稼働開始を予定。トロア無錫は、車載機器や家電製品などの基板実装・製品組み立てに強みがある。新工場は、スミトロニクスが初めて中国国内に保有する自社工場であり、スミトロニクス上海の強みである家電製品や産業機器のEMSに加え、車載分野にも注力する。
なお、スミトロニクスグループが独自開発した工程管理システムCIMSを新工場にも導入することで、工程管理とトレーサビリティを徹底し、高品質かつ信頼性が高い製品をグローバルに提供できる体制を構築し、車載EMSへのニーズに対応する。
住友商事は、1990年代にEMS事業に参画し、スミトロニクスを通じて、海外8カ国10拠点でEMS事業を展開。新工場の設立・運営を通じ、中国の華東地区の車載・家電分野でのEMS需要を取り込みや、収益基盤の拡大を図るとともに、車載EMS体制の確立と、民生分野の生産の自動化、省人化などの生産革新を目指す。また、車載分野に加え、今後需要が高まる産業分野、医療分野、環境インフラ分野などのビジネスの取引拡大にも取り組んでいく考えだ。