三井化学 尿素と微生物培養でアマモ場の再生を支援

, , ,

2020年3月11日

 三井化学は、和歌山工業高等専門学校(和歌山県御坊市)の楠部真崇准教授が進めるアマモ場再生のフィールド試験を、同社が持つ微生物培養技術で支援した。

アマモ場の様子
アマモ場の様子

 アマモは、海中の有機物の無機化や海中へ酸素を供給する役割を担う海草で、その群生地のアマモ場は、水生生物の産卵場所や幼稚仔魚の成育の場になっている。

 環境変化により減少を続けるアマモ場の再生には、従来、生分解性プラスチック容器を用いた植え付けや、アマモ種子を織り込んだ麻シートの沈設などが行われてきた。しかし、いずれも海洋ゴミを増加させる可能性があり、さらなる技術開発が必要とされていた。

 そこで楠部准教授らは、微生物の尿素の代謝を利用して砂を固化させたバイオセメントを開発。海水中で徐々に崩壊する性質があるため、バイオセメントでアマモ種子を埋包して海底に沈設すれば、アマモの成長に合わせてセメントが崩壊し、最終的には元の砂に戻る。用いる砂や微生物をアマモ場から採取し、外部環境から異物を持ち込まないことから、環境負荷をかけない海洋環境保全が期待されている。

バイオエンジベンチで微生物を培養する様子
バイオエンジベンチで微生物を培養する様子

 三井化学は今回のフィールド試験に向け、バイオセメントの原料の1つとして使用する尿素を提供するとともに、微生物の大量培養を同社茂原研究・開発センター(千葉県茂原市)にあるバイオエンジベンチで行った。同装置は、パイロットレベルの培養設備で、通常はバイオ関連製品開発のスケールアップの検討に使用されている。

 昨年12月、楠部准教授と和歌山高専の学生たちにより、同校に隣接する日高町の方杭(かたくい)海岸でフィールド試験を開始。アマモの種子を埋め込んだバイオセメントの海底への散布を行った。2月末時点ではアマモの出芽は確認されていないが、天然のアマモの出芽も見られていないとのこと。海水温15℃。出芽には海水の温度変化なども影響するという。アマモの出芽が待たれる。

アマモの種子を埋め込んだバイオセメントを散布する学生たち
アマモの種子を埋め込んだバイオセメントを散布する学生たち

 楠部准教授らは、数年をかけて定点観測と海水採取を実施し、アマモ場の拡大と水生生物の回復・維持を評価していく。なお、三井化学が今回大量培養した微生物は、今後のフィールド試験への利用を視野に入れ、和歌山高専で保管されている。

 同社は引き続き、さまざまな社会課題解決に向け、事業活動を通じて広く貢献していく。

SEMI CEOがシリコンバレー工学功労者に選出

, ,

2020年3月11日

 SEMIはこのほど、プレジデント兼CEOのアジット・マノチャ氏が、シリコンバレー工学功労者の一員に選ばれたと発表した。

 シリコンバレー工学評議会(SVEC)は、マノチャ氏が業界でのコラボレーションを推進し、指導的役割として製造効率を向上させたことを評価した。また、現代のマイクロエレクトロニクス製造の基盤となる、ロジックとメモリーチップの反応性イオンエッチング、および製造プロセスフローを確立させたパイオニアとして、その業績を称えた。マノチャ氏は世界中のSEMI会員の新たな課題と機会に対処するために、組織を再編。

 SEMIは、エレクトロニクス製造サプライチェーン全体で公正な取引を促し、グローバルなアドボカシープログラムを拡充することで、公的機関への働きかけを強化している。また、人材育成やダイバーシティプログラム、その他のイニシアチブを展開することで、業界全体でイノベーションを推進している。

 一方、マノチャ氏は、VLSIリサーチの「2019年半導体産業のオールスター」にも選出。SEMIの事業領域をより広範なエレクトロニクスサプライチェーンへと拡大したことが評価された。

 どちらの栄誉も、SEMIとこれまでのキャリアを通じて、業界の成長とイノベーションを実現するというマノチャ氏の情熱に根ざしている。

 

積水化学 「ESGファイナンス・アワード銀賞」を受賞

, ,

2020年3月10日

 積水化学工業はこのほど、ESG金融の普及・拡大に向け環境省により昨年10月に新設された「ESGファイナンス・アワード・ジャパン(環境サステナブル企業部門)」の銀賞(環境大臣賞)を受賞した。

表彰式の様子
表彰式の様子

 「環境サステナブル企業」とは、環境関連の重要な機会とリスクを、企業価値向上に向け経営戦略に取り込み、企業価値にもつなげつつ環境への正の効果を生み出している企業のこと。

 同アワードは、サステナブルファイナンスの普及のためには、金融機関と投資対象となる企業双方の活動を促進する必要があるとの考えから、「投資家部門」「融資部門」「金融サービス部門」「ボンド部門」に加え、金融環境アクションが先進的な企業を表彰する部門(環境サステナブル企業部門)も創設されている。

 同社グループは、グループビジョンに掲げる「世界のひとびとのくらしと地球環境の向上への貢献」を目指し、ESG視点で持続可能な経営基盤の構築を目指している。

 ESG視点の中でも「E(環境)」については、環境長期ビジョン「SEKISUI環境サステナブルビジョン2030」の下、気候変動や水リスク、資源循環、生態系劣化といった環境課題の解決に製品・事業を通じて貢献していくことで、〝生物多様性が保全された地球〟の実現を目指し活動を行っている。

 今回の表彰では、事業経営の中で長く環境貢献を価値創出のドライバーとしてきた歴史と環境課題解決を経営の根幹に据えている点、施策推進の明確な方針と着実な実践などが評価された。特に従業員が通常の事業活動に邁進することによって社会価値の増大につながるモデルが構築できている点も受賞理由となっている。

 同社グループは、今後も環境課題の解決に向けて取り組みを加速し、地球・社会のサステナビリテイ向上に貢献し、企業としてのサステナビリテイを向上させていく方針だ。

ランクセス 新型コロナウイルスで特別対応措置を実施

, ,

2020年3月10日

 ランクセスの日本法人はこのほど、国内で拡大傾向にある新型コロナウイルス感染症への防止対策として、東京・豊橋・姫路の国内3事業所の従業員に対し、在宅勤務の推奨(製造工場を除く)を含めた特別対応措置を実施した。

 在宅勤務の推奨以外では、電話会議などリモートでの会議実施の推奨、不要不急の海外渡航や出張の自粛、人的接触の抑制、手洗い・うがい・外出時マスク着用などの予防徹底、毎日の社員と家族の健康状態の確認。この特別対応措置は2月25日から国内にある全3事業所の従業員を対象に実施しており、今後新たな情報・状況が確認されるまで継続される。

 同社には国内3拠点に92人の従業員がおり、全拠点で事業を継続している。なお、豊橋事業所にあるゴム用添加剤「レノグラン」の製造工場は通常通り稼働している。

 ランクセスは、中国でも新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた支援を実施しており、このほど同社の消毒剤「Rely+Onビルコン」1tを、武漢市と湖北省内の2つの市にある複数の病院に寄付した。各病院には同月16日に到着している。この1tの消毒剤を水で希釈することで、10万リットルの消毒剤をつくることができる。

三洋化成 全樹脂電池開発の子会社が資金調達を実施

, , ,

2020年3月10日

 三洋化成工業はこのほど、子会社で、次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発を行うAPBが、JFEケミカル、JXTGイノベーションパートナーズ、大林組、慶應イノベーション・イニシアティブ一号投資事業有限責任組合、帝人、長瀬産業、横河電機の計7社を引受先とする第3者割当増資により、総額約80億円の資金調達を実施したと発表した。

 APBは、三洋化成とAPBの現代表取締役である堀江英明氏が共同で開発したバイポーラ積層型のリチウムイオン電池である全樹脂電池の製造と販売を行うスタートアップ企業。

 全樹脂電池は、界面活性制御技術を持つ三洋化成が新開発した樹脂を用い、活物質に樹脂被覆を行い、樹脂集電体に塗布をすることで電極を形成している。

 こうした独自の製造プロセスにより、従来よりも工程を短縮することで、製造コスト・リードタイムの削減を実現するとともに、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現した。部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型で、樹脂で構成しているため、電極の厚膜化が容易に行え、セルの大型化が可能で形状自由度が高いことも特長であり、リチウムイオン電池の理想構造ともいえる。

 今回の資金調達は、APBが開発する全樹脂電池の量産工場設立を主たる目的としており、全樹脂電池の量産技術の確立、製造販売の開始に向けて投資を実施する。また、APBは、全樹脂電池の量産やその後の市場展開に必要となる各分野に関し、豊富な経験を持つ新たなパートナーの支援を得ることで、成長を加速していく。

 三洋化成の安藤孝夫社長は「曲げても釘を打ちつけても発火せず安全で、形状自由度が高く、低コストにつくれるという革新的でユニークな全樹脂電池は、あらゆる生活の場面を豊かにし、持続可能な社会の創造に貢献できるものだ。三洋化成はAPBの株主としてそのような全樹脂電池の事業化を支援し、パートナー企業とともに『オールジャパン』の体制を作っていければと考えている。10月に統合を控えているが、三洋化成・日本触媒の強みを融合し、経営リソースを投入して統合後も引き続きAPBをサポートしていく。そして10年後には数千億円程度の事業へと成長させたい」とコメントしている。

出光興産 シェルブランド潤滑油事業を譲渡、シェルと協議

, ,

2020年3月10日

 出光興産は9日、完全子会社であるシェルルブリカンツジャパン(SLJ)の全株式と、シェルブランド潤滑油事業に関して、出光興産が持つ資産および権利を、シェル・インターナショナル・ペトロリウム(シェル・インターナショナル)の関係会社(シェル)に譲渡することについて具体的な協議を開始することとし、シェル・インターナショナルとの間で基本合意書を締結したと発表した。

 潤滑油事業の維持・発展を目的として、出光興産は出光ブランドの潤滑油事業を、SLJではシェルブランドの潤滑油事業をそれぞれ行ってきた。今回、シェル・インターナショナルからの要請により、SLJの全株式とシェルブランド潤滑油事業に関して出光興産が持つ資産と権利をシェルに譲渡することで、競合する両ブランド事業の独立した運営体制を確立し、両ブランド事業がより一層成長・発展することを目的として、協議を開始することを決定した。

 出光興産とシェル・インターナショナルは、SLJが営むシェルブランド潤滑油事業に関して出光興産が持つ資産・権利をSLJに承継させた上で、SLJの全株式をシェルが出光興産から取得することで譲渡を行う予定。譲渡の詳細については、両社間の協議により今後決定する。

三菱ケミカル 半導体関連事業を強化、MCSSブランドで展開

, , ,

2020年3月10日

 三菱ケミカルは9日、半導体関連事業の強化を目的に、今年4月1日付で情電・ディスプレイ部門に半導体本部を設置し、関連する事業を集約すると発表した。

 同時に、グローバルなバーチャル組織として「MC Chemical Solution for Semiconductor」を立ち上げ、「MCSS」の統一ブランドの下、海外の現地法人を含め既存の組織・会社の枠にとらわれないスピーディな事業運営を行う方針だ。

 昨今のAI、IoT導入の広がり、自動車産業のCASEの潮流などに伴い、半導体市場は大きく成長を遂げており、今後も高機能化が進みつつ一層伸長することが見込まれている。

 同社はこれまで、情電・ディスプレイ部門内の各事業部や高機能化学部門で、半導体製造に関連する製品やサービスなどの事業を行ってきたが、これらを新設する半導体本部に移管・集約し、一体的に運営することで、事業基盤の強化とともに業界内での存在感の向上を図る。

 また、同本部内の各事業部や所管する関係会社の枠にとらわれず、グローバルに「MCSS」の統一ブランドを用いて事業を展開することで、世界各国・地域の顧客に対して、半導体関連のソリューションをワンストップで提供する体制を立ち上げる。

 同社は今後も、三菱ケミカルホールディングスグループの中期経営計画「APTSIS 20」に基づき、フォーカスマーケットの1つである「IT・エレクトロニクス・ディスプレイ」について、半導体関連事業の拡大を図っていく考えだ

JXTGホールディングス 「ENEOS童話賞」の作品募集を開始

,

2020年3月9日

 JXTGホールディングスは、「心のふれあい」をテーマとした「第51回ENEOS童話賞」の作品募集を3月2日から開始した。なお、6月に予定している商号変更に伴い、今回の募集より「ENEOS童話賞」に改称している。

 童話賞は、1970年に設立し、児童福祉施設などで暮らす子どもたちの大学や専門学校進学を支援してきた。毎年応募された中から優秀作品を選考し、1冊にまとめた童話集「童話の花束」をチャリティー販売。その売上金の全ては全国社会福祉協議会へ寄付し、同協会が設立した「JXTG奨学助成制度」を通して子どもたちへ贈られている。

 「童話の花束」の作成には同社グループが取り組んでいる森林活動「ENEOSの森」での間伐採材を製紙原料の一部に使用。同社は、今後も次世代育成や環境保全の取り組み、社会の発展と活力ある未来づくりに貢献していく考えだ。

NEDO ムーンショット型研究開発事業の公募を開始

,

2020年3月9日

 NEDOは、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環の実現を目指す、ムーンショット型研究開発事業の研究開発プロジェクトの公募を開始した。

 ムーンショットとは日本発の破壊的イノベーションの創出を目指す、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発のこと。

 同事業では地球温暖化問題の解決(クールアース)と環境汚染問題の解決(クリーンアース)に向け、2050年までに資源循環技術を用いた商業規模のプラントや製品を、世界的に普及させることを目指す。

 具体的には、大気中のCO2や海洋プラスチックごみなど、環境に広く拡散された物質や低濃度な状態で環境に排出される物質について、それらを回収し有益な資源に変換する技術や、分解・無害化する技術に関する挑戦的な研究開発を推進する。

 この公募では、国内外から研究開発をマネジメントするプロジェクトマネージャー(PM)と、PMが率いる研究開発プロジェクト(複数の企業や大学などから構成される体制で実施する研究開発)を原則複数選定する。

 NEDOは選定した複数のプロジェクトを統一的に指揮・監督するプログラムディレクターとして、地球環境産業技術研究機構(RITE)の山地憲治副理事長・研究所長を任命した。プログラムディレクターは、ムーンショット目標を戦略的に達成するためのポートフォリオを構築し、研究開発を挑戦的かつ体系的に推進する。

 昨年、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)は、ムーンショットを推進するものとして、「ムーンショット型研究開発制度」を創設した。同制度に基づき、CSTIが決定したムーンショット目標と、経済産業省が策定した研究開発構想を踏まえ、NEDOはムーンショット目標「2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現」を達成するため、挑戦的な研究開発(ムーンショット型研究開発事業)を進めていく。

 

太陽石油 愛媛マラソンに協賛、ランナーの力走を支援

,

2020年3月9日

 太陽石油はこのほど、愛媛県松山市の城山公園をスタート・ゴール地点とする「第58回愛媛マラソン」に協賛した。

スタートしたランナーを応援する様子
スタートしたランナーを応援する様子

 先月9日に開催された大会では、北海道から沖縄までの全都道府県と、米国やタイ、香港など7カ国から総勢1万408人のランナーが力走を見せた。大会にはゲストランナーとして、シドニーオリンピック金メダルの高橋尚子さん、プロランナーの下門美春さん、ものまねアスリート芸人のM高史さんのほか、チャレンジランナーとして、愛媛県出身のガールズバンド「たけやま3.5」のメンバーである武田雛歩さんも参加した。

 同社はゴール付近の広場で、ランナーと来場者向けにオリジナルチョコマシュマロと風船を配布。さらに今回初の試みとして「完走記念缶バッジ」を用意し、先着1000人のランナーにプレゼントをして好評を得ていた。

セルフ北条SS付近での応援の様子
セルフ北条SS付近での応援の様子

 また、スタートから約10㎞の吸水ポイントにある「セルフ北条SS」(太陽石油販売運営)で、温かい飲み物を提供。太陽石油も沿道の応援者向けにオリジナルスティックバルーンを配り、ランナーに熱い声援を送る人たちとともに沿道を盛り上げた。

 同社はスポーツ支援を通じて、市民の健康増進や地域活性化につながるよう、今後もこのような活動を積極的にサポートしていく。