三菱商事はこのほど、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)事業を展開するフィンランドのMaaS Global社(MG社)の第三者割当増資を引き受け資本参画したと発表した。
MG社は、様々な交通手段(鉄道・バス・タクシー・レンタカー・レンタルバイクなど)を組み合わせたルート検索・予約・発券・決済までを可能とするMaaS事業を、スマートフォン用アプリケーション「Whim」を通じて世界で初めて実用化し展開している。
MG社の強みは、「Whim」アプリを開発した技術力と、月額定額制で提供するなどの企画力にある。2017年のヘルシンキでの「Whim」サービス開始を皮切りに、現在はベルギー、イギリスでも同サービスを展開し、フィンランドでは同アプリのダウンロード数が10万を超えている。今後の計画として、日本を含む世界各国へのサービス地域拡大も予定している。
MaaSは、人々の移動における利便性向上だけでなく、公共交通機関の利用促進を通じて、都市人口増加による自動車渋滞や環境問題などの課題の解決手段としても、市場の拡大が期待されている。こうした中、各国政府・自治体や様々な交通事業者などがMaaSの導入検討や実証実験を進めており、日本では、MaaSによる地方での交通手段の確保や観光地での移動の利便性向上なども期待されている。
三菱商事は、今年4月の組織再編に伴い、新たに自動車・モビリティグループを組成。従来の自動車販売・金融などの事業拡大に加え、デジタル化やCASEの進展による業界構造の変化を捉え、ヒトやモノの移動に関する課題を解決するモビリティ・サービス事業への取り組みを進めている。
今回のMG社への資本参画を契機として、海外ネットワークやさまざまな産業との接点を生かし、アジアを始めとする各国・地域へMG社事業の横展開を図る。さらには、不動産・小売・旅行など、移動の発着地点となるさまざまな関連事業者と連携し、単なる移動サービスを超えた事業(Beyond MaaS事業)にも取り組むことを目指していく。