日本ポリプロピレンフィルム工業会はこのほど、定時総会を開催し、高井一郎会長(東洋紡常務執行役員)が任期満了で退任し、新会長に東レフィルム加工取締役企画管理部門長の𠮷村恵介氏が選任された、と発表した。なお副会長には王子エフテックス営業本部長の山田浩司氏が選任されている。
2021年6月22日
2021年6月17日
旭硝子財団は16日、2021年ブループラネット賞(地球環境国際賞)の受賞者に、ヴィーラバドラン・ラマナサン教授(米国)とモハン・ムナシンゲ教授(スリランカ)を決定したと発表した。
同賞は地球環境の修復を願い、地球サミットが開催された1992年に設立され、今年で30回目を迎える。地球環境問題の解決に関して、社会科学、自然科学・技術、応用の面で著しい貢献をした、個人または組織の業績を称える国際的な賞。今回は国内472人、海外748人のノミネーターから127件の受賞候補者が推薦され、理事会を経て2人が選ばれた。
受賞者のうち、カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリプス海洋研究所のラマナサン教授は、短寿命気候汚染物質(SLCPs)と呼ばれるCO2以外の汚染物質の気候への影響を数十年にわたって研究してきた。クロロフルオロカーボン類(CFCs)の非常に大きな温室効果を発見し、自身で統括した褐色雲(ABCs)に関する国際現地プロジェクトを通して、ブラックカーボンの気候への影響を明らかにするなどの貢献があった。教授は、SLCPの削減は温暖化を速やかに抑制し、大気汚染を大幅に改善することを示し、その後SLCP削減のための国際的な活動を主導した。
一方、ムナシンゲ開発研究所の創設者・所長であるムナシンゲ教授は、統合的、学問横断的であり、開発の問題を経済、環境、社会の3つの観点から捉えるサステノミクスの考え方を創出した。革新的な概念である「公正な包括的グリーン成長(BIGG)」や「ミレニアム消費目標(MCGs)」はサステノミクスから生まれた。BIGGは、各国に発展の度合いに応じた持続可能な開発の道筋をとることを求め、また、MCGsは、世界生産のほとんどを消費する裕福な人々に地球への負荷を低減するため、消費目標の遵守を求める。同教授は、これらの考え方を世界に広めるため、環境経済学と環境政策による実践的な活動を展開している。
なお、表彰式は10月6日に東京會舘(東京都千代田区)で行われ、賞状とトロフィー、賞金5000万円が贈られる。その後、翌7日に国際連合大学(東京都渋谷区)、9日に京都大学で受賞者の記念講演会が開催される予定。
2021年5月28日
2021年5月25日
2021年5月24日
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は4月1日付で、「グリーンイノベーション基金事業統括室」「スマートコミュニティ・エネルギーシステム部」「燃料電池・水素室」「新領域・ムーンショット部」「人材開発室」を新設するとともに、卓越したスキルで特定技術領域を統括する職位「ストラテジーアーキテクト(SA)」を創設した。
日本では「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」政策実現のために、「グリーンイノベーション基金事業」が新設され、また欧州を中心に低炭素なエネルギーシステム実現のために、様々なエネルギー技術を統合して一体的に進める動きも出てきている。
こうした情勢の変化を捉え、新たな事業や世界の動きに対応するため、研究開発プロジェクトの強力な推進、新領域におけるイノベーションの加速、そのための人材開発などを目的として組織体制を変更した。
「グリーンイノベーション基金事業統括室」は「グリーンイノベーション基金事業」で実施する各分野のプロジェクトを統括・推進する。
「スマートコミュニティ・エネルギーシステム部」はスマートコミュニティ、蓄電池、燃料電池、水素分野の技術開発を相互連携の下で横断的に実施し、同部の「燃料電池・水素室」は当該分野の技術開発を一層強力に推進する。
「新領域・ムーンショット部」は新領域の研究やムーンショット型研究開発事業などを実施し、イノベーションの創出を推進する。
また人事部の「人材開発室」はNEDO職員の能力向上に向けて人材開発・育成体制の強化を図る。さらにイノベーションの加速には、有望分野の研究開発を戦略的に推進し、社会実装に着実につなげることが重要。新たにSA職を作り、深い知見やグローバルな人的ネットワーク、卓越したプロジェクトマネジメントスキルをもつ者をプロジェクトの統括責任者として配置し、機動的にプロジェクトを運営する。
なお今回、燃料電池・水素分野にSAを配置した。今後、技術開発成果の社会実装を促進するイノベーション・アクセラレーターとしての役割を一層強化し、経済と環境の好循環をはじめとする社会課題解決へのさらなる貢献を目指す。
2021年5月24日
2021年5月20日
プラスチック循環利用協会はこのほど、機能性包装が適用された備蓄食品(アルファ米、クッキー)の環境貢献に関する調査研究を報告した。同協会では、プラスチック製食品容器包装について、ライフサイクルアセスメント(LCA)手法を用いた環境影響評価を実施している。
今回は、災害備蓄食料に注目し、機能性包装(蒸着フィルム)が適用された備蓄食品について、環境負荷削減効果に関わる定量的解析を行った。研究調査内容として、災害備蓄食品に関する報告書に示された備蓄期間終了後の有効活用と廃棄の割合に基づき、備蓄食品として販売されているアルファ米、クッキーについて備蓄から賞味期限までの消費シナリオを、機能性包装および一般包装に適用しLCAを実施。
調査結果として、賞味期限1年の一般包装品の負荷を基準とすると、アルファ米の機能性包装製品において賞味期限3年の場合、GHG排出量は57%の削減、賞味期限5年の場合、74%削減効果となった。
同様にクッキーでは、賞味期限3年の場合、GHG排出量は65%削減、5年の場合は79%の削減効果となっている。日本全体に備蓄されているアルファ米とクッキーの総量(推計)に基づき、すべての包装を賞味期限5年の機能性包装に置き換えた場合のGHG削減貢献の可能性量は、約5万7000t-CO2eと推算された。また、推奨されている最低3日分の備蓄食品について、1日当たりの備蓄量をアルファ米2食、クッキー1食の組み合わせを適用すると、日本全体でのGHG排出削減の可能性量推計は約14万t-CO2eと推算された。
同協会は、「社会的に欠かすことのできない災害対策物資に関わる備蓄食品において、プラ製容器包装が提供する環境負荷削減への貢献を示すことができた」とし、「プラ製食品包装の適用による食品ロス発生の抑制は、食品安全保障の改善や、GHG排出量削減など気候変動対策の一つとしてその寄与は大きい」としている。
2021年5月17日
日本化学会はこのほど、2022~2023年度の会長候補として東京大学教授の菅裕明氏を内定したと発表した。来年の定時社員総会で理事に選任され、その後の理事会で会長に選任される予定。
菅氏は米国マサチューセッツ工科大学化学科を卒業後、同大学の博士研究員をはじめバッファロー大学のアソシエイト・プロフェッサーなどを歴任。現在は東京大学大学院理学系研究科化学専攻・教授を務めている。またアントレプレナー(起業家)としても、ペプチドリーム社やミラバイオロジクス社の創業にも携わっている。専門分野は有機化学、生物有機化学、ケミカルバイオロジー。
会長としての抱負について菅氏は「日本化学会は、これまでの活動をさらに強化し、アカデミア研究の国際的競争力の向上に尽力することはもちろんのこと、公益社団法人として産業変革を先導できる人材輩出と産学連携・イノベーションを起こす『きっかけの場』を担う組織にして、世界に誇れる化学会にしたい」と述べている。
2021年5月11日
日本化学工業協会(日化協)はこのほど、LRI(長期自主研究)の第9期研究課題として新たに2件を決定した。2021年度は、研究内容に世の中のニーズをより反映し、その成果を社会に還元できるように、予め研究課題の範囲を明示した6つの研究テーマに対する募集を行い、30件の中から2件を採択した。これで前年度から継続となる研究課題10件と併せ、第9期のLRI委託研究課題数は12件となる。
今回、採択された研究課題は、
①研究テーマ:新規な課題を解決するための試験法の開発として「肺胞マクロファージの活性化機構を基盤とした炎症性微粒子の評価法の開発」(兵庫医科大学 免疫学講座 黒田悦史主任教授)
②研究テーマ:ヒトへのばく露に関する研究として「化学物質の皮膚暴露後のin silico皮膚吸収性予測法の確立」(城西大学 薬学部 藤堂浩明准教授)で、いずれも3月から委託研究を開始している。
2021年5月10日