三井化学 共同開発の新規3Dインナーマスク販売開始

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2021年4月28日

 三井化学はこのほど、名古屋大学大学院工学研究科の堀克敏教授、同大学発ベンチャー・フレンドマイクローブ(フレンド社)の3者で新規3Dインナーマスク「タートル」を共同開発し、フレンド社が生産・販売を開始したと発表した。すでに東海地区に多数の店舗を展開する美容室グループの旗艦店では、美容師やスタッフへの採用も決定している。

インナーマスク『タートル』。中央部は交換できる不織布フィルター
インナーマスク「タートル」。中央部は交換できる不織布フィルター

 3者は昨年7月に、「タートル」の前身で、「マスク本体」と「不織布フィルター」からなる新規3Dマスク「θ(シータ)」を共同開発。「タートル」は、「シータ」を薄型にした進化形で、普段使いの布製やウレタン製のマスクと併せて使うインナータイプになる。

 使い捨てマスクのプラゴミ問題が顕在化する中、環境への配慮から、繰り返し使用する本体は生分解性のあるポリ乳酸(PLA)製とし、使い捨てフィルターの不織布についても従来品との比較で10分の1の削減が期待できる仕様とした。そのほかの主な特長として、本体が樹脂製のため洗浄など衛生管理が容易なこと、また3D設計により皮膚への接触が少ないことから、装着時の蒸れや化粧移りを抑え、口の周りの空間によりマスク会食時に使いやすいなどの利点が挙げられる。

インナーマスクとしての装着イメージ
インナーマスクとしての装着イメージ

 現在、国内のマスク需給バランスは改善し、マスクの2重使いやインナーマスクの装着も見られている。しかし、不織布製マスクに比べ、布マスクやウレタンマスク単体でのウイルス除去率は一般的には低いとされており、ウイルス感染予防の観点からその効果は限定的だ。

 今回、堀教授はマネキンを使用した独自の性能評価装置を作成、実験用ウイルスによる「タートル」の性能評価を実施した。ウレタンマスクの内側に同製品を装着することで、ウレタンマスク単体使用時のウイルス除去率が約24%だったのに対し、「タートル」との複合使用では90%近くの除去率を発揮。ウイルス除去効果が大幅に改善されることを確認した。

 3者は、今後も同製品の普及を通じ、ウイルス感染のリスクを下げ、広く人々の安全・健康に貢献していく考えだ。販売価格は30日分交換用不織布がセットで2750円(税込)。フレンド社のウェブサイト、アマゾンなどで販売を行っている。三井化学は、フィルター用の交換用不織布を提供する。

昭和電工 アルミ合金板材、車載用バスバーへの展開を本格化

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2021年4月28日

 昭和電工は27日、高熱伝導性・高強度アルミニウム合金製、板材「ST60-HSM」の車載用バスバー(大容量の電流を導電するための導体)への展開を本格化し、複数の自動車部品メーカーに今年からサンプル提供を開始したと発表した。

アルミニウム合金製板材「ST60-HSM」の試作品
アルミニウム合金製板材「ST60-HSM」の試作品

 同社が開発した「ST60-HSM」は、純アルミニウム並みの高熱伝導性とアルミニウム合金系統の6061並みの高強度をもつアルミニウム合金製板材で、PCの液晶バックライトのシャーシなどに採用されている。

 昨今のグローバル規模でのカーボンニュートラル実現に向けた取り組み強化を背景に、自動車業界でもHVやPHV、EVといった電動車へのシフトが加速し、燃費向上や走行可能距離伸長のため、車体の軽量化への取り組みが求められている。そのため、車載モーターとコンバータ、インバータとジェネレータを接続するワイヤーハーネスやバスバーなども、銅製のものから、より軽量なアルミニウム合金製への置き換えが急速に進んでいる。

 同板材は、高熱伝導性や高強度といった特性に加えて高導電率をもつ、車載用バスバーに要求される疲労強度や高温強度にも優れたアルミニウム合金製板材。同板材に切り替えることで、既存の銅製のバスバーに比べて約43%の軽量化を実現するとともに、銅製バスバーより安価なことからコスト削減にも寄与する。

 同社は長年培ってきたアルミニウム合金設計技術と加工技術をもとに、顧客の課題を解決するソリューションを提供してカスタマーエクスペリエンスを最大化し、アルミ圧延品事業の拡大を目指していく。

旭化成 臓器移植を対象に阻害薬のライセンス契約を締結

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2021年4月28日

 旭化成は27日、米子会社ベロキシス社が、仏OSE社のもつCD28阻害薬「FR104」の臓器移植領域を対象としたグローバルでの開発、製造、販売に関する独占的ライセンス契約を締結したと発表した。

 ベロキシス社は、米国で独自のドラッグデリバリー技術を活用した、腎移植手術後の免疫反応に対する治療薬「エンバーサスXR」を販売し、アンメットニーズを満たす製品として着実な成長を続けている。今回の契約により、臓器移植領域のパイプラインを強化するとともに、ベロキシス社の臓器移植領域での強みを生かすことで「FR104」の開発を加速させ、臓器移植患者の新たな治療薬として貢献できることを期待している。

 OSE社は、がん免疫・自己免疫疾患領域に関して高い研究開発力を誇るバイオテクノロジー企業。同社の「FR104」は、T細胞シグナル伝達経路で必須の役割を果たしているCD28を標的としたモノクローナル抗体であり、Fab領域にポリエチレングリコールを結合させたCD28阻害剤。CD28シグナル伝達は、エフェクターT細胞(免疫系を活性化する細胞)の増殖と制御性T細胞(自己に対する免疫応答の抑制〈免疫寛容〉をつかさどる細胞)の不活性化に必要な経路であり、「FR104」はCD28シグナル伝達を阻害することにより、エフェクターT細胞の機能を抑制し、制御性T細胞の機能は維持することで免疫調節機能を発揮する。また、非臨床試験を通じて、「FR104」の薬理学的な効果が確認されており、OSE社が実施した第Ⅰ相試験では良好な安全性プロファイルが確認されている。

 旭化成は、ベロキシス社の買収により米国医薬品市場に対する事業基盤を獲得。ヘルスケア領域でのさらなる成長を目指し、持続的な企業価値向上に取り組んでいる。今後は、臓器移植領域でのさらなるプレゼンス向上を目指すとともに、グローバル展開を加速させ、アンメットニーズが高い領域での新たな治療薬の開発や、M&Aなどによる事業拡大に取り組んでいく。

三井化学 日本IBMとBC技術でプラの追跡実用化へ

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2021年4月27日

 三井化学は26日、循環経済の実現に向けて課題となっているプラスチック素材のトレーサビリティ(追跡可能性)の実用化を目指すため、ブロックチェーン(BC)技術を活用した資源循環プラットフォーム構築に向け、日本IBMと協働を開始すると発表した。

両社は、循環経済の実現に向けて、プラスチック素材のトレーサビリティーシステム実用化を目指す
両社は、循環経済の実現に向けて、プラスチック素材のトレーサビリティーシステム実用化を目指す

 BC技術とは、全履歴を連続的に記録する「不可逆」なデータベース技術。全ての関係者がアクセス可能であり、データ改ざんが不可能であることから、その原材料、製品などが「いつ、どこで、だれの手を渡って来たのか」を追跡可能にする。

 三井化学のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進室を指揮する三瓶雅夫執行役員は、「当社は気候変動とプラ問題を重点的に取り組むべき重要な社会課題と捉えている。これらの課題解決には、資源を消費して廃棄する一方通行の経済から、資源を回収して再生・再利用する循環型経済への転換が必須だ」と強調する。三井化学が培ってきたモノマーやポリマーに関する豊富な知見やスキルをはじめ、現在開発を進めているリサイクルを含む環境対応技術やノウハウを生かし、BCに代表されるDX関連技術を積極的に取り入れることで、「素材トレーサビリティシステムである資源循環プラットフォームを構築し、循環経済の実現に寄与していく」(三瓶執行役員)考えだ。

 一方、日本IBMは、様々な企業のDXに取り組んできた豊富な知見やスキルを活用し、今回のBC技術を活用したデジタルプラットフォームの構築を検証する。BC技術により、中立性や公平性が担保され、高度なセキュリティを確保できるほか、スピーディーな構築や柔軟性を特長とするクラウドを活用し、既存システムと連携したハイブリッドクラウドの構築やAIの活用も検討していく。世界的にプラスチックの需要が拡大する一方で廃プラ問題が顕在化する中、これまで以上に資源循環型経済の実現が求められているが、リサイクル原料の使用では、含有物質の明確化などトレーサビリティの担保が課題となっている。

 両社が検討する資源循環プラットフォームでは、モノマー・ポリマーといった原材料から製品の製造・販売・使用、およびその後に回収から解体・破砕を経てリサイクル原料となり製品製造に再利用されるまでの、資源のライフサイクル全体を追跡していく。また、リサイクル原料の製造工程や検査工程、物性情報や品質情報なども併せて可視化することで円滑な流通支援を目指す。

旭化成 UNDP主導BCtAに2製品の承認が継続

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2021年4月27日

 旭化成は26日、今年2月に、再生セルロース繊維(キュプラ繊維)「ベンベルグ」とポリフッ化ビニリデン(PVDF)中空糸膜「マイクローザ」のインドでの事業展開が、国連開発計画(UNDP)が主導するビジネス行動要請「ビジネス・コール・トゥ・アクション(BCtA)」に承認継続されたと発表した。

  同社は2016年よりBCtAに承認されているが、今回、インドでの原料調達から最終製品に関わるステークホルダーへの支援および産学連携の取り組みが、商業活動と持続可能な開発活動を両立するビジネスモデルとして再度高く評価された。

 インドでの繊維産業に対する新たな労働機会の創出、ファッション業界の発展に向けた若者の育成活動を継続するとともに、今回より地球環境に配慮した繊維産業の持続的発展に欠かせない産業用水の排水浄化システムの整備も新たに進めていく計画だ。

 同社はインドで展開する事業を通じ、「ベンベルグ」の原料調達から最終製品までの企業活動に直接・間接に関与し、技術の向上、安定した収入の確保や新たな仕事の創出など技術開発や人財育成に貢献。原料のコットンリンター(綿実の周りの産毛)の多くをインドから購入しており、数社の原料メーカーにコットンリンター採取設備を無償貸与し、同社の技術者が生産向上のための指導や技術サポートを行っている。

 日本へ輸出されたコットンリンターは「ベンベルグ」原糸に加工されたのち、インドに輸出され機織りメーカーへ販売。また、生地生産段階での製織や染色などの技術指導を継続している。加えて将来インドの繊維業界、ファッション業界を担う若者・学生への教育にも注力しており、能力向上を目的に数校の大学に教育サポートを行い人財育成にも貢献している。

インド 「マイクローザ」を適用したプラント
インド 「マイクローザ」を適用したプラント

 一方、新たな取り組みとして、生地染色時に発生する排水処理に「マイクローザ」の適用を顧客へ提案し、染色工場のゼロ排水実現を進めている。これにより、工場周辺の環境保全と、水の再利用による貴重な天然水資源の節約に貢献している。

帝人ファーマ うつ病治療補助システム開発、VR会社と契約

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2021年4月26日

 帝人ファーマは23日、ジョリーグッドと、バーチャルリアリティ(VR)を活用したうつ病の認知行動療法(CBT)を補助するシステム(CBT-VR)の共同開発契約を締結したと発表した。今後、両社はCBT-VRの薬事承認を目指し、その有効性や安全性を確認するために共同で開発に取り組む。

:「CBT-VR」のイメージ
「CBT-VR」のイメージ

 今回、契約締結に至った経緯として、帝人ファーマが昨年12月に実施した在宅医療分野の公募型事業共創プログラムで、ジョリーグッドが受賞したことが契機となった。その際に提案された「精神疾患を対象にした認知行動療法VRの開発」というテーマについて、両社の強みや事業領域を踏まえて具体的に検討を進めた結果、帝人ファーマがもつ知見や技術に、ジョリーグッドのVR技術を組み合わせることで、医療者をサポートし、患者のQOL向上に貢献できるとの確信に至った。

 認知行動療法は、ものの考え方や受け取り方といった認知のあり方が気分や行動に影響を与えることから、患者と医療者との対話の中で認知の偏りを修正し、問題解決を手助けする精神療法で、薬物療法以外の選択肢の1つとして取り入れられている。共同開発するCBT-VRは、認知行動療法の際に医療者と患者との対話にVRを組み合わせることで、感情喚起のサポートや症状の評価などをVRが補助し、治療効果を高め、医療者と患者の負担を低減することを目指す。

 今後、帝人ファーマはCBT-VRの薬事承認を目指し、ジョリーグッドとともにCBT-VRに使うシステムやコンテンツの開発、有効性と安全性を確認するための治験などを実施していく。帝人ファーマは、今回の共開発をきっかけとして、うつ病治療に対する未充足の医療ニーズを踏まえた先進的なサービス開発に取り組み、社会への貢献を目指していく。

 

ENEOS 新構造の脂環式エポキシモノマーを販売開始

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2021年4月26日

 ENEOSは23日、電子機器周辺材料で代表的なエポキシ樹脂の原料となる脂環式エポキシモノマー「EPOCHALIC(エポカリック)」について、新たな分子構造の商品を世界で初めて商用化し販売を開始したと発表した。

『エポカリック DE-102』の分子構造
「エポカリック DE-102」の分子構造

 新構造の「エポカリック」は、脂環の連結と、かご型骨格(ノルボルナン骨格)の分子構造に特徴があり、その構造からエポキシ樹脂に高い耐熱性と強度(高剛性)をもたらす。

かご型骨格の立体図
かご型骨格の立体図

 開発に当たっては、同社の独自技術により世界トップクラスのシェアを誇る、自動車部材向け合成ゴム添加剤用途のENB(エチリデン・ノルボルネン)事業で培ったノウハウを活用した分子設計をエポキシ樹脂の製造に応用した。流動性に優れる「DE-102」と、耐熱性の向上効果が大きい「DE-103」の2種類をラインアップし、幅広い顧客ニーズに対応していく考えだ。

 近年、次世代通信技術の発展により半導体部品では小型化が進む一方で、通信量の増加と高速処理に伴い、電子機器周辺の発熱量が増大している。電子機器に使用される樹脂には、高温下で使用する際に機能を正常に維持することが不可欠であり、これまで以上に高い耐熱性・強度が必要とされることから、両機能性に対応する「エポカリック」の開発を進めていた。

 ENEOSグループは2040年長期ビジョンの中で、機能材事業を技術力の発展的強化を図る成長事業に位置づけている。今後も社会の発展につながる革新的な製品の提供を通じて、SDGs(持続可能な開発目標)のゴールの1つである、「強靱なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進とイノベーションの推進を図る」ことに貢献していく。

日本板硝子 ガラスへの抗菌・抗ウイルスコーティング開発

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2021年4月23日

 日本板硝子はこのほど、ガラス基板上で高い抗菌・抗ウイルス機能を発揮するコーティング技術の開発に成功したと発表した。

 独自のゾル‐ゲル製法により、ガラスと同じシリカ構造の密着性の高い成膜が行え、そのコーティング膜は強固(鉛筆硬度9H)でガラスとほぼ同等の透過率をもつ。摩擦や薬品などへの耐久性が高く頻繁な接触操作やクロスによる拭き掃除ができ、静電容量式タッチパネルなどにも使える。

 ガラス表面に塗布された銅含有膜が、空気中の水分や酸素などと反応して活性酸素類(H2O2、OHラジカルなど)を発生し、表面に付着したウイルスのエンベロープ膜の破壊や、脂質、タンパク質、遺伝子物質を分解し、細菌やウイルスを不活性化する。

 公的機関による国際規格準拠の評価試験で、99.99%以上のウイルス不活性化効果が確認され、ヒトコロナウイルスや大腸菌への効果も確認された。

 銅の作用で、紫外線(自然光)や可視光(蛍光灯)が当たらない暗所でも抗菌・抗ウイルス効果を継続的に発揮する。スマートフォンやタブレットをはじめ、レジ端末、ATM、エレベーター、医療機器、家電などの各種端末画面や操作ボタンといった人が触れる様々な部位に使え、個人用途に限らず病院や介護施設、飲食店など、衛生的環境が求められる公共の場所へ使用することで、安心・安全な環境の実現に貢献する。今後マーケティング活動を進め、来年3月期中に発売開始する考えだ。

ブリヂストン 乗用車用タイヤのサブスクサービス開始

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2021年4月23日

 ブリヂストンはこのほど、グループ会社ブリヂストンリテールジャパンが乗用車用タイヤのサブスクリプションサービス「モボックス」の提供をコクピット・タイヤ館で開始したと発表した。

 自動車業界はMaaSやCASE化の波が加速し、消費者の生活スタイルや消費スタイルも変化している。これに対応し、「タイヤに安心感と気軽さを」というコンセプトで同サービスを開始した。

 タイヤとメンテナンスを月額定額で利用できるサービスで、専門知識をもったスタッフによる使用用途に合わせたタイヤの提案、組み替え・脱着に加え、パンク補償、定期的な安全点検や各種メンテナンスなど、安心感のあるサービスを提供する。これを通じて、顧客の安心・安全な移動を支え、タイヤを適切に管理し長く利用してもらうことで資源生産性を向上させ、適正空気圧を保つことで燃費悪化を抑制してCO2排出量削減にもつなげていく考えだ。