三菱ケミカル 低反射フェイスシールド、2種類を発売

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2020年12月1日

 三菱ケミカルは30日、グループ会社であるジェイフィルムが、従来の防曇機能に加え反射防止機能を兼ね備えたフェイスシールドを開発したと発表した。医療機関や介護施設向けに、来年1月より販売する予定。

低反射フェイスシールド2種類発売
低反射フェイスシールド2種類発売

 ジェイフィルムは、食品包装トレーに採用しているポリエステルシート製造技術や化粧品向けクリアケースの折り曲げ罫線付与技術を応用して独自形状(特許申請中)のフェイスシールドを開発し、5月より厚生労働省や医療機関などに提供している。組み立て式のため保管スペースが少ないことや防曇機能などが評価され、多くのユーザーが利用している。

 今回、ジェイフィルムは、三菱ケミカルがもつ多様な素材や技術と組み合わせることで、低コストで反射防止機能に優れた新製品を開発。脱着しやすいメガネタイプとカチューシャタイプの2種類を発売する。植物由来原料のバイオポリエステルシートを使用することで、環境負荷軽減にも配慮した。

 三菱ケミカルグループは今後も、グループの総合力を生かした製品開発を続け、「新しい生活様式」に対応した製品の提供を通じて、社会に貢献していく。

産総研 酸化チタン接合で結晶Si太陽電池の効率向上

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2020年11月30日

 産業技術総合研究所はこのほど、ドイツ・フラウンホーファー研究機構と共同で酸化チタン(TiO2)薄膜が結晶シリコン(Si)の表面欠陥を不活性化し結晶Siから正孔を選択的に取り出すことを発見。TiO2薄膜を正極側に配した結晶Si太陽電池で20%超の変換効率を実証した。

 太陽電池の9割以上を占める結晶Si型の変換効率は約20%。結晶Si内で光励起した電子と正孔を負極と正極から取り出すが、結晶表面の欠陥で電子と正孔が再結合して消滅する。表面欠陥の不活性化に使うアモルファスSi薄膜の成膜には設備投資や維持費が大きく、高効率化と低コスト化は背反する。

 今回、光関連で汎用されるTiO2に注目し、有機金属錯体と水蒸気による原子層堆積法でn型結晶Si表面に厚さ約5㎚の非晶質TiO2を製膜。さらにスズドープ酸化インジウム(ITO)透明電極と銀のグリッド電極を形成して正極とし、太陽電池を作製した。疑似太陽光を正極側から照射した際の開放電圧は、ITOのみの場合の200㎷に対し500に、TiO2成膜後に水素プラズマ処理すると670まで増加した。

 TiO2は様々な材料に対して電子選択性が高く負極に使われるが、正極としても機能した。これは欠陥不活性化能と正孔選択性が、TiO2/結晶Si界面に形成する相互混合層の組成や分布に依存するためである。このTiO2を使った太陽電池は、従来のアモルファスSi使用のヘテロ接合型結晶Si太陽電池に比べて、波長400~600㎚での高い外部量子効率と短絡電流密度の改善で、変換効率21.1%を示した。波長約400㎚以下の紫外線照射で劣化するが、非受光面に成膜した場合は劣化しなかった。p型結晶Siの非受光面に製膜した場合も劣化はなく、変換効率は20%程度。n型だけでなく汎用のp型太陽電池など様々なタイプにも応用でき、高効率・低コストの太陽電池の実現が期待される。

 今後さらなる高効率化と紫外線耐性の検討を進め、さらにTiO2/Si界面での正孔輸送メカニズムを明らかにし、無機・有機系太陽電池やSiを組み合わせたタンデム型太陽電池、光電気化学デバイス、半導体デバイスなどへの応用も検討する。

東ソー CO2とケイ素からDEC合成、触媒技術を開発

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2020年11月30日

 東ソーと産業技術総合研究所(産総研)は27日、CO2とケイ素化合物(テトラエトキシシラン:TEOS)を原料として、ポリカーボネート(PC)やポリウレタン(PU)の原料となる「ジエチルカーボネート(DEC)」を効率的に合成する触媒技術を共同で開発したと発表した。この触媒反応は水を副生しないため、触媒の長寿命化と、高い反応効率を実現しており、実用化されれば、CO2を炭素資源として再利用するカーボンリサイクル社会への貢献が期待できる。

 CO2を様々な有用製品として活用する「カーボンリサイクル」に向けた技術開発が重要視されている。資源エネルギー庁がまとめた「カーボンリサイクル技術ロードマップ」では、CO2の化学品への利用例として、PUやPCといった「含酸素化合物(酸素原子を含む化合物)」を想定。CO2から含酸素化合物を合成する技術としては、CO2とアルコールを原料とする反応の検討が報告されているが、目的物の生成効率や反応に用いる触媒の寿命に課題があり、実用化に向けて製造プロセスの低コスト化が実現できる技術が求められている。

 こうした中、両者は、産総研がケイ素資源から直接合成する方法を開発したテトラアルコキシシランをCO2と組み合わせ、DECを高効率に合成する技術の開発に取り組んだ。DECは幅広く活用されている有用化学品だが、その製造法はホスゲンを原料としている。これまで、CO2とエタノールを原料にDECを合成する研究開発は広く行われてきたが、この反応では水が副生するため、生成したDECと水が反応して原料に戻ってしまう逆反応が進行。また、反応系中の触媒が加水分解されて活性が失われてしまうなどの要因で、高効率合成が難しいという課題があった。

 今回開発した技術では、水を副生しないテトラアルコキシシランの一種であるTEOSを原料とする方法を考案。さらにこの反応に有効な触媒を見出だして、製造プロセスの低コスト化を実現できる合成方法を開発した。今回の成果は、産総研が取り組む「砂からTEOSを合成する技術」と組み合わせることで、CO2と砂という実質的に無尽蔵ともいえる資源から有用化学品を製造する可能性を拓くもの。

 両者は今後、より低コストで省エネルギーな製造方法の確立を目指し、反応条件や触媒のさらなる改良を行う。またスケールアップの検討など、実用化に向けて必要な技術課題の解決に取り組み、2030年ごろまでの実用化を目指す。

AGC 遺伝子・細胞治療CDMOサービス拡大を本格化

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2020年11月27日

 AGCはこのほど、株式公開買い付けで100%子会社化したMolecular Medicine(イタリア)の社名をAGC Biologics(イタリア)に変更した。AGC Biologics社のグローバルネットワークに遺伝子・細胞治療CDMOを組み入れ、サービス拡大を本格化する。

 遺伝子・細胞治療は、遺伝子または遺伝子を導入したヒト細胞などを人体に投与する最先端医療の1つ。世界中で進行中の治験数はすでに約1000件を超え、CDMO市場も高い成長が見込まれている。AGC Biologics(イタリア)は、遺伝子・細胞治療の開発・製造を行い、細胞加工・ベクター製造などのプラットフォーム技術をもち、バイオベンチャーから大手バイオ医薬品製薬会社まで様々な顧客にGMP対応の遺伝子・細胞治療CDMOサービスを提供している。

 すでにミラノを起点に、欧州のほか日米グローバルに遺伝子・細胞治療CDMOサービスを提供できる体制にあり、今後の日米拠点での製造拠点の設置も視野に、遺伝子・細胞治療CDMOサービス分野でのグローバル一体運営を推し進める。

 AGCグループはライフサイエンス事業を戦略事業の1つと位置づけ、合成医農薬CDMOと動物細胞と微生物を使うバイオ医薬品CDMOで積極的な買収・設備投資で事業を拡大。2025年に売上高1000億円以上の目標を、2~3年前倒しで達成する見込み。成長著しい遺伝子・細胞治療領域までCDMO事業の幅を広げグローバル展開し、製薬会社、患者、社会に貢献していく。

ゼオンメディカル 光センサ付きIABPバルーンを発売

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2020年11月27日

 ゼオンメディカルは26日、IABPシステムに使用されるバルーンカテーテルの新製品「IABP バルーンカテーテル MEISHU sensor」を発売したと発表した。

光センサを搭載した「IABP バルーンカテーテル MEISHU sensor」
光センサを搭載した「IABP バルーンカテーテル MEISHU sensor」

 IABP(Intra‐Aortic Balloon Pumping)とは、心筋梗塞や心臓外科手術の際、心臓のポンプ機能を補助する方法の1つ。バルーンカテーテルを大腿動脈から挿入し、胸部下行大動脈に留置し、動脈圧または心電図の周期に合わせてバルーンをヘリウムガスで収縮・膨張を繰り返すことにより、ダイアストリックオーグメンテーション効果とシストリックアンローディング効果を促して心機能の回復を行うシステムで、現在国内では年間2万症例前後で使用されている。

ポンプ駆動装置「IABP コンソール ZUIRYU」
ポンプ駆動装置「IABP コンソール ZUIRYU」

 ポンプ駆動装置「IABP コンソール ZUIRYU」に接続して使用される「IABP バルーンカテーテル MEISHU sensor」は、日本人の血管径、血管長から設計された従来品「IABP バルーン MEISHU」に、新たに光センサを搭載。国産メーカーによる初めての光センサIABPシステムの導入となる。

 光センサにより遅延の少ない正確な血圧のモニタリングができることから、心臓の周期に合わせたより的確な駆動が可能となり、駆動応答性の高い「IABP コンソール ZUIRYU」とのセット使用により、治療効果の向上が期待できる。

ADEKA 反応性乳化剤、使用量上限拡大で認証を取得

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2020年11月27日

 ADEKAは26日、昨年に反応性乳化剤として世界で初めて米国食品医薬品局(FDA)の認証を取得していた「アデカリアソープ」シリーズについて、今年9月に使用量上限を3%に引き上げて認証取得したと発表した。これにより、粘・接着性樹脂に対する反応性乳化剤の使用量を従来認証の1%から、最大3%まで添加することが可能となり、樹脂の重合安定性と機能性を高めることが期待される。

 反応性乳化剤「アデカリアソープ」シリーズは、塗料や、食品包装用フィルムに使用される粘・接着剤の密着性や耐水性を高める「素財」。同製品を使用することで、水に濡れる環境や結露などによる接着力の低下やラベルの白濁汚染を防ぎ、意匠性の低下を抑えることができる。冷凍・冷蔵商品や菓子類をはじめとする幅広い食品包装用途や近年、欧米でニーズが高まっている透明ボトルのクリアラベル用途で高い効果を発揮する。

 一方、人や環境にやさしい「素財」でもある。粘・接着剤の剝離性が高く、食品包装などのラベルを綺麗にはがすことが容易になり、これまで以上に効率的に品質の高いリサイクルを行うことができる。また非反応性の乳化剤に比べて樹脂から食品などへの溶出もほとんどない。

 同社は、ADEKA USA CORP.と連携し、日本国内ならびに米国市場に向けた商品への提案を強化するとことで、販売拡大に努めていく考えだ。

 

 

日本ゼオン ソーラーカード式デザインデバイス、テスト発売

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2020年11月27日

 日本ゼオンは26日、オープンイノベーションプロジェクトとして展開する「project LNES」の第2弾として、来月4日よりソーラーカード式デザインデバイス「LNES SL-02」を試験発売すると発表した。

ソーラーカード式デザインデバイス「 LNES SL-02」
ソーラーカード式デザインデバイス「 LNES SL-02」

 同社は、太陽・自然、そして地球と育みあえる豊かなライフスタイルを生活者と共創して実現していくオープン型のイノベーションデザインプロジェクトを2016年より始動。同プロジェクトでは、「FRESH ENERGY」というコンセプトとクリエイティブデバイスを通じて、社会の変化、生活者の行動と心の機微、その接点を重視した素材から体験を探索してきた。

 今回発売する「LNES SL-02」は、これまで同社が長年培ってきたプラスチック技術とナノテクノロジーの融合技術を活用し、B to C向けの製品としてプロジェクトの中で開発されたソーラーカードを使用。5種の灯り機能とスポット的充電機能を搭載しており、もしもの時に「心の安心」を得られる。生活者検証で得られたニーズに基づき、〝エコな手間〟をあえて製品に組み込むことで生活者に新たな価値を提供している。

 同社は新型コロナウイルスの影響で生活者のSDGsへの関心が高まる中、「project LNES」を通じて今までにないサステナブルな暮らしを提案。今まで屋根への設置などが主流だった太陽光発電の技術を、産官学連携で培った独自技術で向上させ、手のひらサイズを実現。太陽光発電の技術がこれからの新しい生活様式に根付くことを目指している。また、在宅時間の増加を機に広がる、ベランダやリビングでのキャンプスタイルシーンでも、この製品が太陽を通じて自然との共生を感じ、「心の安心」を得られるアイテムとして活躍することを期待している。

 なお同製品は「エコプロ Online 2020」(今月28日まで開催)に出展している。

 

帝人フロンティア 着用する化粧品、男性向けウェアタイプを発売

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2020年11月26日

 帝人フロンティアは、身にまとうことで肌荒れを防ぎ、肌に潤いを与える着用する化粧品「ラフィナン」の商品展開を進めているが、このたび新商品として、日本初となる男性向けウェアタイプ化粧品「メンズ用美容ボディパック」を発売した。

着用する化粧品『メンズ用美容ボディパック』
着用する化粧品「メンズ用美容ボディパック」

 今月16日から「ラフィナン」の公式オンラインショップ「糸の美容研究所」(https://www.rakuten.ne.jp/gold/tfr-shop/)や、全国の理美容院などで販売を始めた。Vネックの半袖スタイルで、インナーウェアとしての使用を想定しており、販売価格は5500円(税別)、サイズはMとL、色はブラックとベージュの2色をラインアップした。

 同社が開発した「ラフィナン」は、健康な肌に近い弱酸性の美容成分が配合されている、日本で初めての衣類型の化粧品。肌に直接触れるように着用することで、肌を健やかに保ち、肌荒れを防ぎ、潤いを与える。同シリーズはこれまで女性向けアイテムのみだったが、肌のケアなど美容に関心をもつ男性が増加する中、新たな商品展開として、男性向けアイテム「メンズ用美容ボディパック」を開発した。

 男性向けアイテムの発売により、「ラフィナン」シリーズの展開の拡大を図るとともに、今後、新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要に対応し、女性向けのボディケアやナイトケア用の新アイテムも販売を開始する計画だ。

NECなど AIで化学プラントの運転変更操作を効率化

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2020年11月26日

 日本電気(NEC)、産業技術総合研究所(産総研)、三井化学、オメガシミュレーションの4者はこのほど、AIとシミュレータ上に再現したミラープラントを組み合わせた運転支援システムを構築し、運転員の手動操作と比較して40%効率的な運転ができることを三井化学のプラントで実証したと発表した。同技術により、化学プラント運転の効率化、例えば、運転安定化までの時間短縮による原料やエネルギーの削減が期待される。

化学プラント運転支援システムの効果
化学プラント運転支援システムの効果

 化学プラントでは顧客の多様なニーズに合わせた生産が行われているが、生産量や生産品を変更する運転変更操作は、安全を見ながら操作する必要があるため、運転員が手動で、あるいはベテラン運転員の操作をルールベース化し手順通りに再現するシーケンス制御で行っている。プラント状態はゆるやかに変化するため、最適な状態となるまでの運転変更操作に数時間から半日程度を要することがある。運転変更の試行を繰り返すと原料やエネルギーが無駄になることから、効率化が望まれていた。このような課題に対し、強化学習を代表としたAI技術の研究が進んでいるものの、プラント級の大規模・複雑な対象には対応できなかった。

実証システム
実証システム

 NECと産総研は、プラントなどの大規模で複雑なインフラの効率的な操作とその根拠を合わせて提示できるAI技術「論理思考AI」を開発。これまで人が行ってこなかった操作もシミュレータ上で試行することにより、運転員が試行錯誤をしながら複数回行っていた運転変更操作を最適化できるようになった。この最適化した操作を運転員が確認し操作することで、運転変更の時間短縮が可能になる。

 今回、同技術とオメガシミュレーションのミラープラント(オンラインダイナミックシミュレータ)を連携させ、三井化学の訓練用実プラントに適用。その結果、生産量を変更する運転変更操作で、運転員の手動操作と比較して操作時間を40%短縮できることを確認した。

 

三井化学ファイン 超微細スクリーン印刷技術を共同開発

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2020年11月26日

 三井化学ファインは25日、高硬度2層ウレタンスキージーのメーカーである大阪ケミカルらとの共同により、スクリーン印刷法でライン&スペース(L/S)=20/20㎛を可能にする超微細印刷技術を世界で初めて開発したと発表した。同技術は、既存のスクリーン印刷ラインに導入可能であり、競争力のある超微細印刷が期待される。三井化学ファインらは今後、同技術の普及を図るために今年度末より顧客への営業活動を開始し、来年度中の実用化を目指していく考えだ。

タッチパネル中の超微細スクリーン印刷例
タッチパネル中の超微細スクリーン印刷例

 近年、タッチパネル(静電容量方式)はスマホやタブレット、ノートPC、車載などに多く使用されている。また、ICT技術の進歩とともに高い検出感度を実現するため、センサとなる電極には狭ピッチ化・超微細化が求められている。こうした中、L/S=50㎛以下の超微細印刷は、微細配線化に優位性のあるフォトエッチング法が主流となっている。スクリーン印刷法はフォトエッチング法と比較してコスト競争力はあるものの、L/S=50/50㎛レベルが限界とされ、超微細印刷への使用が限られてきた。

スクリーン印刷に使用されるウレタンスキージー
スクリーン印刷に使用されるウレタンスキージー

 今回この課題に対し、ウレタンスキージーの販売を手掛ける三井化学ファイン、平滑性と膜厚安定性に大きな特徴をもつ高硬度2層ウレタンスキージーを製造する大阪ケミカル、製版メーカーのムラカミ、ペーストメーカーのアサヒ化学研究所、印刷機メーカーのセリアコーポレーションの5社は共同で、スクリーン印刷法でL/S=20/20㎛を可能とする超微細印刷技術を開発した。