インフォコム 米社と業務提携、医師検索サービスを展開

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2020年11月18日

 帝人グループのインフォコムは17日、医療領域の専門家検索サービス「エイチワンプラットフォーム」を提供する、米国のH1 Insights(H1社)と業務提携し、同サービスの日本での販売活動とマーケティング活動を開始すると発表した。 

 製薬企業は、対象領域で知見と影響力をもつ「キーオピニオン・リーダー(KOL)」と呼ばれる医師などの専門家に協力を依頼するが、情報が様々なデータベースやSNS上に散らばっており情報収集に多大な費用と時間を費やしている。この課題を解決するため、H1社はインターネット上のオープンデータから、医師や研究者約900万人分の実績や論文などの情報を独自の技術で収集したデータベース「エイチワンプラットフォーム」を開発。製薬企業に販売し、最適な専門家の選定を通じて研究開発を支援している。

 日本でも、製薬企業が新たな疾患領域や希少疾患に関する新薬開発に乗り出す中、従来の人脈や経験だけでは発見できなかったKOL探索の手段が求められている。インフォコムは、国内の製薬企業の研究開発部門、営業部門を中心にソフトウェアやクラウドサービス「DigiPro(デジプロ)」を提供。そのノウハウを生かし、同社の顧客を中心に、H1社が提供する医療専門家検索サービスの製薬企業への紹介、販売活動を行う。また、日本の製薬企業のニーズに合わせた機能の追加や、日本人の専門家の登録拡大も支援する。デジタル化が急速に進む製薬業界では、今後、様々なデータの分析を通して、より効率的な研究開発・マーケティング活動が求められる。

 インフォコムは、今回のH1社との業務提携により、製薬企業向けに、「DigiPro」などのクラウドサービスの仕組みとともに、それらをより効果的に活用するためのデータ提供を含め、総合的なサービス展開を進めていく。

SEMI 3Qのシリコンウェーハ出荷は2Q比で微減

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2020年11月17日

 SEMIはこのほど、SMG(SEMI・シリコン・マニュファクチャラーズ・グループ)によるシリコンウェーハ業界の分析結果をもとに、2020年3Q(7-9月期)の世界シリコンウェーハ出荷面積が31億3500万平方インチだったと発表した。2Q(4-6月期)からは0.5%減少したが、前年同期比では6.9%増と大幅に伸長している。

 SEMI SMGのニール・ウィーバー会長(Shin‐Etsu Handotai America技術TS副会長)は、「シリコンウェーハの世界出荷面積は、今年前半は旺盛な需要により回復したが、3Qは横バイとなった」とコメントしている。

 

ENEOS 再エネ利用CO2フリー水素事業で協業検討

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2020年11月17日

 ENEOSはこのほど、マレーシアのSEDCエネルギー、住友商事との間で、再生可能エネルギーを活用したCO2フリー水素サプライチェーン構築に向けた協業検討に関する覚書を締結し、来年1月からその実現可能性を調査するフィージビリティスタディを開始すると発表した。

フィージビリティスタディを行うサラワク州ビンツル地区
フィージビリティスタディを行うサラワク州ビンツル地区

同国サラワク州での水力発電所による再エネ由来の電力を使い、数万t規模のCO2フリー水素を製造し、その後、水素を効率的に輸送するため、常温常圧で水素の500分の1の容積の液体MCH(メチルシクロヘキサン)に変換後、ケミカル船によりマレーシア国外の需要地に海上輸送する事業を検討していく。

 ENEOSは、MCHの製造から海上輸送までを担当し、日本の需要規模に応じた設備仕様に関するエンジニアリング検討を行う。一方、住友商事は水力発電から水素製造の事業性評価を、SEDCエネルギーは立地の選定や現地調査など検討の全体サポートを担当する。

 水力資源が豊富なサラワク州では、現在合計350万kWの水力発電所が稼働中であり、2025年までにさらに130万kW級の水力発電所の増設が計画されている。水力発電は出力の変動が少なく、その余剰電力を水電解に利用することで、安定的かつ安価にCO2フリー水素の製造が可能。また、事業予定地である「ビンツル地区」は、大規模な石油化学工業団地を抱えており、MCH輸出の際に、タンクや出荷設備などの既存設備や港湾・桟橋などのインフラを活用できるという利点もある。

 ENEOSは、今回の協業成果に基づき、水素の社会実装に直結する具体的なプロジェクト創出の可能性についても検討していく。具体的には、日本で受け入れ脱水素したCO2フリー水素の同社製油所や近隣の火力発電所などでの利用、さらには、マレーシア国内やシンガポールといったアジア諸国の需要家への供給についての事業性評価も予定している。

三社が検討する事業フローの全体図と各社の役割
3社が検討する事業フローの全体図と各社の役割

ADEKA プラスチックに自己修復性、架橋剤を開発

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2020年11月17日

 ADEKAは16日、東京工業大学物質理工学院応用化学系の 大塚英幸教授と共同で、プラスチックに自己修復性を付与できる架橋剤を開発したと発表した。なお同件は、高分子学会広報委員会パブリシティ賞を受賞、高分子学会が主催する「第29回ポリマー材料フォーラム」(今月26~27日ウェブ開催)での発表を予定している。

 プラスチックといった高分子材料は、暮らしのあらゆる場面で使用されているが、使い捨てプラスチックごみによる海洋汚染が深刻な社会問題となり、生分解性プラスチックなど、環境にやさしい処理技術が発達してきた。一方で、インフラやクルマ、住居などに使用されるプラスチックは、寿命を延ばすことで環境負荷を低減する取り組みが求められている。

 こうした中、同社が開発した架橋剤は、簡便にプラスチックに「自己修復性」を付与でき、プラスチックの傷の修復や切断の復元を可能にする。この自己修復性は、「プラスチックの長寿命化」のキーマテリアルになり得る。例えば、同架橋剤を使ったプラスチックのコーティングは、傷がついても加熱により消失。さらに同架橋剤を使ったプラスチックを切断しても、切断面を張り合わせて熱を加えるだけで、再び接着される。

 これらは、「BiTEMPS骨格」という特殊構造の中にある「動的共有結合」が熱で解離/結合することで、傷ついた分子が組み替わり修復されるメカニズムによるもの。同架橋剤をプラスチック材料の一部として使用することで、容易にプラスチックに自己修復性を付与できることが判明した。

 ADEKAは、この架橋剤のあらゆる用途探索と開発を進め、プラスチックの長寿命化、さらには、持続可能な社会に貢献していく考えだ。

プラスチックに自己修復性を付与する架橋剤
プラスチックに自己修復性を付与する架橋剤

デンカ インフルエンザワクチンの原液製造新棟を竣工

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2020年11月17日

 デンカは16日、五泉事業所(新潟県五泉市)に、インフルエンザワクチンの原液製造用新棟を竣工したと発表した。

インフルエンザワクチン原液製造新棟
インフルエンザワクチン原液製造新棟

 同社はインフルエンザワクチンを製造する国内主要メーカーとして、増加する予防接種の社会的ニーズに応えるため、2018年にインフルエンザワクチンの生産能力増強を決定。約160億円(関連設備を含む)を投資し、現在の原液製造設備(新潟工場36号棟)の2倍の能力をもつ新棟を建設した。今後、関係者の協力を得ながら安全最優先の下、各設備の検証や試運転を行い、2022年シーズンから稼働し生産量の増加を図る。

 同社は、経営計画「Denka Value‐Up」の中でヘルスケア領域を重点分野と位置づけている。インフルエンザワクチンならびに新型コロナウイルスを含む各種ウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ」シリーズを製造・販売する国内唯一のメーカーとして、感染症対策を社会的責務と捉え、予防・検査体制の拡充と人々のQOL向上に貢献していく。

NEDO 工場に超電導ケーブルを敷設、省エネ化を実証

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2020年11月16日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、昭和電線ケーブルシステム(CS)、BASFとともに、BASFジャパン戸塚工場(横浜市戸塚区)に全長約200mの三相同軸超電導ケーブルを敷設し、今月8日から工場の省エネルギー化を目指す実証試験を開始した。

 民間工場の実系統に三相同軸超電導ケーブルを導入して行う実証試験は世界初。また、屋外にあるケーブルと高低差がある環境での施設形態も世界初となる。

 実証試験は来年9月末まで行い、液体窒素でのケーブル冷却の検証のほか運用コストの算出や安全性の確認を実施する。実証試験にはCSが2017年にNEDO助成事業で開発した三相同軸型の超電導ケーブルシステムを使用。この超電導ケーブルを30MW以上の大規模電力を使うプラントのケーブルに採用すると、従来のケーブルに比べ送電時の電力損失を95%以上抑制できる。これにより、年間2000万円以上の電気料金の削減効果が見込める。

 3者は今回の実証試験を通じて、民間のプラントでの敷設工法、運用管理方法、省エネルギー効果などを検証する。そして、プラントインフラの更新時や再生可能エネルギー活用時の電力損失削減に向けた超電導ケーブルの早期の実用化を行い、超電導技術の社会普及につなげていく考えだ。

BASFジャパン(株) 戸塚工場における超電導ケーブル敷設ルート
BASFジャパン 戸塚工場における超電導ケーブル敷設ルート

ユニチカと名古屋大学 血液適合性ポリマーの高靭性化に成功

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2020年11月16日

 ユニチカと名古屋大学はこのほど、共同で血液適合性ポリマーPMEA=ポリ(2‐メトキシエチルアクリレート)=に直径約100㎚の球状シリカ微粒子を高濃度で配合して力学的に高靭性化し、3Dプリンターで様々な形状に加工できることに成功したと発表した。

本研究のイメージ図
本研究のイメージ図

 低水溶性の次世代血液適合性ポリマーのPMEAは、ECMO(体外式膜型人工肺)をはじめ血液と接触する医療器具に広く利用されているが、柔らかく粘着質のため(ガラス転移温度はマイナス30℃以下)、成形加工が難しく、コーティング材料としての使用が主だ。

 今回、球状シリカ微粒子を充填して高靭性なPMEA‐シリカ複合エラストマーを得た。シリカ充填量を増すと強度は増加し、破壊エネルギーは15倍に向上。一軸伸長時の応力‐歪み関係は生体軟組織に似た非線形性を示し、繰り返し変形による突発的破壊を起こしにくい。血液適合性を示す血小板粘着試験では、PMEAと遜色なくPETより優れていた。

 現在人工血管に使用されるPETやフッ素系ポリマーは直径5~6mm未満では血栓による閉塞が起こるが、PMEA‐シリカ複合エラストマーで、小径人工血管の実現が期待できる。さらに、光造形(SLA)式3Dプリンターで任意形状に加工することにも成功。高度な加工技術、高価な製造装置を使わず安全で迅速に成形体が得られる。

 今後、より詳しい血液適合性の評価など詳細な検討が必要だが、優れた力学物性と高い加工性により、人工血管など血液適合性が必要な医療器具に有用な材料になることが期待される。

帝人フロンティア 機能性と快適性を備える布製高機能マスクを発売

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2020年11月13日

 帝人フロンティアはこのほど、優れたフィルター性能や抗菌防臭性能などの機能性、メガネが曇りにくい、耳が痛くなりにくいなどの快適性を兼ね備え、洗っても性能が持続する布製高機能マスク「nunonanoni(ヌノナノニ)」を上市した。先月30日から、テイジン公式オンラインショップ「くらし@サイエンス」(https://www.kurashi-science.com)などを通じ販売を行っている。希望小売価格は1200円(税別)。

布製マスク写真
布製マスク写真

 同製品の特長は機能性に着目した2層構造にある。表層の裏面には直径700㎚の超極細ポリエステル繊維「ナノフロント」を使用しているため、微粒子捕集効率(0.1㎛サイズ粒子)80%、バクテリア捕集効率(三㎛サイズの細菌を含む粒子)90%、花粉捕集率99%と、優れたフィルター性能を発揮する。

 一方、肌側にはpHコントロール機能をもつ高機能素材「エコピュアー」を採用。臭いや肌荒れの原因となる細菌の繁殖を抑制することで抗菌防臭性能を付与した。また、布製マスクのため、洗って繰り返し使用することが可能であり、洗濯後もフィルター性能や抗菌防臭性能などの効果は持続する。快適な着用感にもこだわり、3D立体形状とノーズワイヤーを採用した。自然なストレッチ性により隙間なく肌にフィットするため、空気漏れが少なく、メガネ着用時の曇りも軽減する。さらに、痛くなりにくい耳ひもを採用しており、快適な着用感を長時間保つことができる。色は、ホワイト、ベージュ、グレー、ネイビー、ピンクの5色。サイズはフリーサイズ(タテ約13cm×ヨコ約17cm)。

 

JX金属 カセロネス銅鉱山の全権益を取得、探鉱など強化

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2020年11月13日

 ENEOSホールディングスのグループ会社であるJX金属はこのほど、チリ・カセロネス銅鉱山の権益について、共同出資者の三井金属鉱業と三井物産の両社がもつ全ての権益(三井金属:25.87%、三井物産22.63%)を譲り受けることで基本合意したと発表した。これにより、JX金属は同銅鉱山の権益を100%取得する。

 カセロネス銅鉱山の銅精鉱は、JX金属グループ製錬所の有力な原料であり、世界的に精鉱中の銅品位が低下する中、高品位でクリーンなカセロネス鉱の価値が高まっている。同社では、このような優良な銅精鉱の確保が、上流の原料鉱石から下流の先端素材までの、リサイクルも含めた金属サプライチェーンの中核となる銅製錬事業にとって極めて重要だと捉えている。今後、優良鉱石を産出するカセロネス銅鉱山では、策定済みの計画に沿い、IoTを活用した自動化の推進などの投資を進めるとともに、相当量の埋蔵鉱量が見込める同鉱山周辺領域での探鉱活動などを一層強化し、生産量の維持・拡大、山命の延長などに取り組んでいく方針だ。

 JX金属と三井金属は、2006年に合弁会社パンパシフィック・カッパー(今年4月にニッポン・カセロネス・リソーシズに移管)による権益取得以来、カセロネス銅鉱山の開発を進め、2010年の三井物産の参画以降は、3社共同で事業運営を行ってきた。建設の遅れや建設費増大などの困難があったものの、現在までに生産を安定化、収益性が確保できる状況となった。今後はさらなる生産量増大に向けた新たな段階に移っていく。

三井化学 市原工場で炭化水素系合成油の新プラント完成

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2020年11月13日

 三井化学は12日、市原工場(千葉県市原市)内に炭化水素系合成油「ルーカント」の新プラントが完成し、同日に竣工式を行ったと発表した。生産能力は年産約2万t。現在同製品の生産を行う岩国大竹工場(山口県和木町)と合わせて、生産能力はほぼ倍増することになり、2拠点体制の下、世界の旺盛な需要への対応とBCPの強化を図っていく。営業運転は来年4月の開始を予定する。

竣工式にて。佐藤常務執行役員・モビリティ事業本部長(手前)と細見市原工場長
竣工式にて。佐藤常務執行役員・モビリティ事業本部長(手前)と細見市原工場長

 「ルーカント」は、同社が世界で初めて商品化した高性能炭化水素系合成油であり、粘度の温度依存性が小さく、剪断安定性・熱化学的安定性に優れているなどの特長をもつ。そのため、極めて高品質が求められる自動車ドライブラインのギア油をはじめ、工業用潤滑油・グリースなどの粘度調整剤として採用されており、主要な自動車メーカーや潤滑油メーカーに認証されている。「ルーカント」は、低環境負荷ニーズの高まりの中、省燃費や長寿命に貢献するものとして世界的に需要の増大が見込まれている。

 三井化学は、潤滑油添加剤パッケージ最大手のルーブリゾール社(The Lubrizol Corporation)との戦略提携を行っており、両社で潤滑油市場での「ルーカント」事業のさらなる拡大・成長を図っていく。同時に、三井化学独自の取り組みとして、エラストマー、エンプラ改質用途など、機能性液状ポリマーとしての積極的な市場・用途開発に取り組んでいく考えだ。