三井化学 歯科材で松風など3社の業務・資本提携を強化

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2020年6月1日

 三井化学と子会社のサンメディカル、松風の3社は、歯科材料事業に関するさらなる業務・資本提携の強化に合意し、14日に資本業務提携契約を締結した。

 3社は2009年5月に、同事業の業務・資本提携を行い、事業力強化に向けた連携を図ってきた。今回の提携強化により、各社が持つ得意分野を最大限に生かすことで、歯科材料分野の研究開発、販売・マーケティング、生産機能をより強固なものとしていく。歯科材料市場での存在感を高め、企業価値の向上に取り組んでいく方針だ。

 松風は、高い研究開発力と充実した販売網を持つ歯科材料・機器の総合メーカー。世界の歯科市場で存在感を高め、〝創造的な企業活動を通じて世界の歯科医療に貢献する〟という経営理念の実現に向けて取り組んでいる。

 一方、三井化学は、素材メーカーとして材料分野の研究開発力を強みに、子会社のサンメディカルや独クルツァーなどを通じて歯科材料事業をグローバルに展開する。

 現時点で3社が想定している業務提携は、①得意分野の技術を生かした新製品開発の促進②製品の補完による製品ラインアップの拡充③国内外販売ネットワークの活用によるシナジーの追求④生産機能の補完・共有などの検討の実施。また、松風とサンメディカル2社間の国内での提携強化、松風と三井化学両社間のグローバルでの歯科材料事業のさらなる提携強化への協議進めていく考えだ。

 資本提携については、松風は新株178万株を第3者割当により三井化学に割り当て、三井化学はこれを引き受ける。これにより、三井化学の松風株の保有株式数は180万株から358万株となり、保有割合は20.01%となる。

 三井化学は3社間での連携を進展させることで、歯科医療従事者が求める革新的な製品・サービスの提供と、歯科医療を通じた人びとの健康とQOL向上への貢献をいっそう拡充させていく。

 

出光興産 再エネ100%の電気を上智学院に供給

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2020年6月1日

 出光興産はこのほど、100%子会社である出光グリーンパワーが、上智学院・四谷キャンパス(ソフィアタワーを含む)に、再生可能エネルギー100%の電力プラン「プレミアムゼロプラン」の供給を6月1日から開始すると発表した。

 今回、同学院が導入する「プレミアムゼロプラン」は、再生可能エネルギー(FIT電気含む)100%の電源構成に、トラッキング付非化石証書を組み合わせることで、供給する電力のCO2排出量が実質ゼロとなるプラン。これにより、同学院四谷キャンパスで使用する年間約2000万kWhの電気が再生可能エネルギー由来となり、約9300tのCO2削減に貢献する。

 なお、同プランは再生可能エネルギー100%の電力使用を目標とする「RE100」加盟企業も利用できる。

 出光グリーンパワーは、出光グループで風力・地熱・バイオマス・太陽光・水力といった多種多様な再生可能エネルギー電源を保有する強みを生かし、再生可能エネルギー由来の電力を、環境に積極的に取り組む企業や団体へ供給している。また、東京都がCO2排出量削減を目標に実施している「東京都キャップ&トレード制度」の低炭素電力の供給事業者に6年連続で認定されている。

 同社グループは、今後も、再生可能エネルギーのさらなる普及・拡大に取り組む考えだ。

電力供給のイメージ図
電力供給のイメージ図

ダウ ミシガン州の水害復興に向けて100万ドルを提供

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2020年6月1日

 ダウはこのほど、本社所在地である米国ミシガン州ミッドランド地域で発生した豪雨やダム決壊による大規模水害からの復興を支援するため、ダウ・カンパニー基金と共に、100万ドルの支援金を提供すると発表した。支援金は、水害関連の緊急支援や長期的復興のために役立てられる。

 ダウのジム・フィッタリング会長兼CEOは、「ミシガン州のグレートレイクスベイ地域は、120年以上にわたるダウの故郷であり、記録的水害からの地域復興や、従業員の支援に向けて、当社は断固とした決意を持って取り組んでいる。従業員やその家族、地域社会の安全は、私たちの一番の優先事項であり、より力強い未来そして復興のために、ダウの同僚や官民パートナーと共に協力していく」と述べている。

 同社は地域パートナーと共に被災者に向けた緊急支援として、①ミッドランド地域コミュニティー基金内のダウ従業員支援ファンドへ25万ドルを寄付し、水害により直接的な被害を受けた従業員を支援、②ユナイテッドウェイのミッドランド郡事務所によるライズトゥギャザーファンドへ25万ドルを寄付し、支援を必要とする数千の家族を支援、③復興段階での支援のため、50万ドルを寄付している。

 

NEDO 新型コロナ感染症例情報の検索エンジンを公開

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2020年5月29日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とプレシジョンはこのたび、共同研究先である自治医科大学とともに新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)に特化した症例検索エンジンを開発し、日本医師会COVID‐19有識者会議のウェブサイトで公開した。これによりCOVID‐19症例の可視化・分析が可能となり、COVID‐19に取り組む医療関係者の情報共有や診断・治療法の開発への貢献が期待される。

 NEDOは、業界横断型人工知能(AI)システムの開発と業界共用データ基盤の開発を通じて、幅広いデータ連携による価値創出の促進を目的に「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」を推進している。

 今回、開発中のアルゴリズムを用いてCOVID‐19症例の検索エンジンを開発した。COVID‐19は人類がはじめて経験する疾患であり、多くの症例報告を収集し、わかりやすく整理した上で患者の傾向を分析することが急がれる。

 すでに日本感染症学会のウェブサイト内の「COVID‐19症例提示」で貴重な情報が提供されているが、その中で著者の許諾を得た約70症例の報告を構造化しデジタルデータベース化した。それらCOVID‐19の症例を、検索エンジンを用いて可視化、分析することで、個々の報告の文脈と臨床所見の関係性がわかりやすく表示され、非専門家でも活用しやすくなった。

 今後、医療の専門家と非専門家が協力して行う診断・治療法の開発の推進が期待される。

出光興産 生物防除剤を新発売、野菜類の害虫防除に貢献

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2020年5月26日

 出光興産はこのほど、害虫の天敵であるカブリダニを利用した生物防除剤「スワマイト」を発売した。

 「スワマイト」は、ピーマンやキュウリなどの様々な野菜類の果実や花、葉を食害する害虫(アザミウマ類、コナジラミ類)の天敵である「スワルスキーカブリダニ」を利用した、環境に安全で、人にも安心な生物防除剤。また害虫の薬剤抵抗性発達の有無に関係なく効果がある。

 生産者は、ボトルに封入された「スワマイト」を株上や葉上に直接放飼するだけの簡単な作業で、長期間、効率的にアザミウマ類やコナジラミ類を防除できる。

 同製品は、グループ会社の出光アグリの販売網を通じて全国の代理店に販売される。出光興産は今後も、環境にやさしい製品を開発、販売していく考えだ。

DNP 5G対応製品向け透明アンテナフィルムを開発

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2020年4月9日

 大日本印刷株式会社(DNP)はこのほど、5Gに対応した「透明アンテナフィルム」を開発したと発表した。同製品は、透明なフィルム上に、目に見えないほどの金属配線を超微細なメッシュ(網目)状に形成し、優れた透明性に特長がある。

5G対応製品向け透明アンテナフィルム
5G対応製品向け透明アンテナフィルム

 5G対応製品の透明表面材にアンテナを設置でき、アンテナ設置場所に余裕のなかったモバイル機器や窓ガラスでも視認性を損なわない。同社は、今回開発した透明アンテナフィルムをさまざまな企業へ提供し、2022年度に量産を始めることで、2025年度に年間100億円の売上を目指す方針だ。

 5Gの高速大容量のデータ通信にはミリ波帯の電波が用いられるが、従来のマイクロ波と比較しミリ波は近傍製品の影響を受けやすくアンテナ設置場所の自由度が低いという問題があった。また、ミリ波は電波の直進性が強く、従来以上の通信環境を確保するにはアンテナの設置数を増やす必要性もあった。

 こうした課題に対して同社は、視認されない超微細金属メッシュ配線を開発し、透明アンテナフィルムを実現。これにより、5G対応のさまざまな製品に意匠性を損なうことなくアンテナ機能を追加できるため、モバイル機器のみならず基地局やIoT機器などへの自由なアンテナ設置が可能になる。

 同社は今後、印刷技術と情報処理の強みを生かし、「透明アンテナフィルム」や放熱部品「ベーパーチャンバー」などの5G向け電子部品と、IoTの情報セキュリティを高めるプラットフォームなどを掛け合わせ、5Gが実現する快適な情報社会を支えるソリューションを提供する。

 さらに、5Gを活用し、場所や時間を問わず臨場感のある体験を提供するVR・ARコンテンツや4K・8K映像配信、安全な自動運転や遠隔医療などにも取り組んでいく考えだ。

住友ゴム 天然ゴムの臭いを大幅抑制、新製品を開発

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2020年4月8日

 住友ゴム工業はこのほど、天然ゴムの臭気発生原因を特定し、臭いを大幅に抑えた「臭気低減天然ゴム」を新たに開発した。

 今回の開発品は、同社の天然ゴム加工工場(タイ)の原材料加工工程に独自手法を取り入れ、臭気発生原因となる原材料中の非ゴム成分(タンパク質・脂質など)の分解を抑制することで、大幅な臭気低減を実現した。この手法の確立により、天然ゴム加工工場のみならずタイヤ製造工場などの臭気問題解決への貢献が期待される。

 同社は、世界的な環境意識の高まりに対応するため、天然ゴムの改質や高機能バイオマス材料を活用したタイヤ性能向上に取り組むなど研究開発を推進。特に天然ゴムは、タイヤ原材料の重量構成比で約30%と大きな比率を占めており、天然ゴムを取り巻く課題解決に率先して取り組んでいる。

ダイセル こんにゃく由来セラミドが機能性表示食品に

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2020年3月19日

 ダイセルはこのほど、肌の乾燥が気になる人向けの機能性表示食品「ピュアセラミド+(プラス)」と「ピュアセラミド Light(ライト)」の2品が、消費者庁に届出・受理された。今年度内に同社通販サイトなどで発売予定となっている。

「ピュアセラミド+(プラス)」
「ピュアセラミド+(プラス)」

 両製品は、いずれも「こんにゃく由来グルコシルセラミド」を機能性関与成分とするカプセル状の食品で、1日あたりの摂取目安量はそれぞれ1.8㎎、0.6㎎。同成分は、肌のバリア機能(保湿力)を高める機能があることが報告されており、濃度依存的に機能が発揮される部位が増えることが分かっている。

「ピュアセラミドLight(ライト)」
「ピュアセラミドLight(ライト)」

 一方、同成分をはじめとする植物由来のセラミドを機能性関与成分とした、肌の乾燥が気になる人向けの機能性表示食品は、すでに複数受理されている。ただ機能性表示食品制度で、1日あたりの摂取目安量が0.6㎎と低用量の植物由来セラミドを機能性関与成分として届出・受理された商品は、現在、「ピュアセラミド Light」のみ。

 低用量の配合でも機能性を訴求できるようになったことで、今後は、サプリメント以外の一般加工食品の分野でも、「こんにゃくセラミド(こんにゃく芋粉抽出物)」を活用した機能性表示食品の開発の広がりが期待できる。

 

帝人フロンティア RF含まず環境に配慮したゴム補強繊維向け接着剤を開発

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2020年3月11日

 帝人フロンティアはこのほど、レゾルシン・ホルムアルデヒド(RF)を含まない、環境に配慮したゴム補強繊維向けの接着剤を開発したと発表した。今年から同接着剤を使用するゴム補強繊維の試験生産を開始し、2028年にはライセンス生産を含め、年産20万tを目指す。

 今回開発した接着剤は、RFの代替として高分子化合物を使用することで、ゴム補強繊維の接着加工プロセスで環境負荷を低減できる。また、繊維とゴムとの親和性が良好であることから、従来のレゾルシン・ホルムアルデヒド・ラテックス(RFL)接着剤と同等の接着性能を実現した。

 一般に使用されているRFL接着剤は、化学反応を介してRFが網目状となり、接着剤成分であるラテックスと複合することで良好な接着性能を得る。これに対し、開発品は、RFの代わりに配合した高分子化合物の分子間の相互作用が網目を形成することで、RFL接着剤と同等の接着性能を実現する。

 タイヤをはじめとするゴム製品では、その強度や形態安定性などを保つために使用する補強繊維の生産工程で、長年にわたり接着性に優れるRFL接着剤が使用されている。しかし、近年の環境や安全に対する意識の高まりから、身体に有害とされるRFを含まない接着剤のニーズが急速に高まっており、帝人フロンティアは、RFを使用せずに同等の接着性能を発現する、ゴム補強繊維向けの環境に配慮した接着剤を開発した。

 今後は、タイヤやベルト、ホースをはじめとする幅広い用途に向けて展開を図るとともに、多種多様なゴムに対応できるよう、さらに開発を進めていく考えだ。

 同社は環境活動指針に「THINK ECO」を掲げ、衣料から産業資材まで幅広い用途で地球環境に優しい活動を実践している。開発した接着剤はこの指針に沿ったものであり、開発品の導入を通じ、環境負荷低減に貢献するソリューションを提供していく。

 

NEDOなど 機能性材料の熱伝導率計算ソフトを開発

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2020年2月28日

 NEDOは未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合・東京大学と、多結晶体などの複雑なナノ構造を持つ様々な熱機能材料の熱伝導率を、手軽で高精度に予測・熱伝導現象を再現するソフトウエア「P‐TRANS」を開発した。

 東大が開発したモンテカルロ・レイトレーシング法と、構造作製ツールや可視化ツールなどのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を融合したもので、学術界や産業界などの研究現場での普及を目標に使いやすさを重視した。

 このソフトウエアの活用により、複雑な形状や内部構造を考慮したミクロな領域の熱物性を把握でき、高性能な熱機能材料の研究開発が促進されることが期待できる。

 徹底した省エネのためには、エネルギーの供給過程で有効利用されずに捨てられている未利用熱を、削減・回収、熱として蓄え再利用し、さらにほかのエネルギー形態に変換して利用するための「熱の3R」に向けた熱機能材料やデバイスを開発し、社会実装することが必要だ。

 しかし、研究開発と実用化が進められているこれらの材料やデバイスの性能を抜本的に高めるためには、材料の微視的な熱輸送解析(熱伝導率の予測・熱伝導現象の再現)による、ナノスケールの熱の設計とミクロな領域の熱物性の理解、さらにそれらに基づく材料設計と熱制御が不可欠である。

 「P‐TRANS」を使うことで、ナノ構造化した際の熱伝導率の低減効果を試算できるほか、高熱伝導材料の作製時に生じる多結晶構造の粒界が熱伝導率に及ぼす影響も把握できるため、高性能な熱機能材料開発の加速化が期待される。

 今後、「P‐TRANS」の機能拡張と活用を進め、効率的な材料・デバイスの開発と抜本的な性能向上を図り、熱の3Rによる徹底した省エネルギーの実現を目指す。なお、東大はこのソフトウエアをウェブサイトで公開しており、無償でダウンロードできる。