ユーグレナ 東北大学病院に免疫機能の研究拠点を開設

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2020年10月16日

 ユーグレナはこのほど、東北大学と新たに共同研究契約を締結し東北大学病院内に「東北大学病院ユーグレナ免疫機能研究拠点」を開設すると発表した。東北大学と共同で行ってきた微細藻類ユーグレナの機能性研究を、メディカル分野へと拡張し、大学病院との協働でより積極的なメディカル分野の研究開発を目指す。

 これまでの免疫関連研究で、ユーグレナに含まれるβ-1,3-グルカンの一種パラミロンが免疫機能に関与してインフルエンザ症状を緩和する効果を確認。昨年からは、同大学の未来型医療創造卓越大学院プログラムを通じてメディカル分野の技術開発と社会実装などヘルスケア領域の技術開発に取り組んでいる。

 これをさらに拡張する目的で、同大学病院内の課題解決型研究開発実証フィールド「オープン・ベッド・ラボ」に「東北大学病院ユーグレナ免疫機能研究拠点」を開設。大学病院の研究開発インフラを活用し、メディカル分野の研究開発活動を加速させる。

 共同研究の内容は、免疫機能分野では、免疫関連バイオマーカーの探索、免疫応答の機能評価、免疫訴求製品の処方検討の3テーマを予定する。メディカル領域では、マイクロニードル活用の医療機器開発と新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発。そして研究シーズのインキュベーションとしては、東北大学のもつ技術シーズのメディカル分野への応用可能性を調査し、対象技術の事業価値評価やハンズオン投資の可能性を検討していく。

 同社はヘルスケア分野の研究開発や事業を推進し、持続可能な健康を実現する商品やサービスの開発を通じて社会貢献を目指す考えだ。

『東北大学病院ユーグレナ免疫機能研究拠点』(オープン・ベッド・ラボ)イメージ写真(提供:東北大学病院)
「東北大学病院ユーグレナ免疫機能研究拠点」(オープン・ベッド・ラボ)イメージ写真(提供:東北大学病院)

東大ら 高再現性・生体適合性高感度ラマン分光法を開発

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2020年10月15日

 東京大学、産業技術総合研究所、神奈川県立産業技術総合研究所はこのほど、東大合田圭介教授の研究グループが極めて高い再現性、感度、均一性、生体適合性、耐久性をもつ表面増強ラマン分光法(SERS)の基板を開発し、実用的な微量分析法を実現したと発表した。

 1970年代に発見されたSERSは、金属基板上の局在表面プラズモン共鳴(LSPR)により通常のラマン分光法よりも数桁以上高い感度で無標識の微量分析に有効であったが、感度は金属ナノ構造による強電磁場の位置(ホットスポット)に依存するため低再現性、不均一性で、金属基板の光熱と酸化による低生体適合性、低耐久性が課題であった。金属基板代替のシリコンやゲルマニウムナノ構造体、グラフェンなどの2次元材料、半導電性金属酸化物などは構造共鳴や電荷移動共鳴による最大5桁程度の感度増強が実証されたが、固有の光触媒活性や生体分子への有害性により、再現性は低かった。

 今回LSPRに依存しない、金属不含有の多孔質炭素ナノワイヤをアレイ状に配列したナノ構造体(PCNA)基板を開発。広帯域電荷移動共鳴による化学的増強により約6桁の感度増強を実現した。基板全面が活性化するため高い再現性と均一性、耐久性を示し、光熱によって損なわれていた生体適合性も大幅に改善した。これらの特性は、ローダミン6G、β‐ラクトグロブリン、グルコースなどの分子で実験的に実証した。またPCNA基板は1枚約1000円で大量生産が可能だ。

 同手法の高い実用性および信頼性により、分析化学、食品科学、薬学、病理学など多岐にわたる学術分野に加え、感染症検査、糖尿病検査、がん検診、環境安全、科学捜査などでの微量分析への展開が期待される。

 

 

旭化成ファーマ 創薬研究公募を実施、協業開発促進で

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2020年10月15日

 旭化成ファーマは、オープンイノベーションの取り組みの一環として、国内の大学や研究機関、企業との協業による医薬品の研究開発を促進するため、今年度も創薬に関する研究の公募を実施する。公募期間は来年1月7日~2月9日。

 「神経変性疾患領域」「自己免疫疾患領域」「救急領域」「骨・軟骨領域」「筋疾患領域」での創薬シーズを広く募集し、共同研究や研究育成の可能性を検討していく。選考にあたっては、募集テーマとのマッチング、同社の創薬研究プロジェクトとのコンフリクト、研究内容の新規性や独創性、有用性、研究計画の実現性などを総合的に判断し採択案件が決定される。研究期間は原則1年間、研究費は1案件につき年間1000万円を上限に個別に決定される。

 同社は国内外からの導入や提携のより一層の推進・強化を図るため、2016年にオープンイノベーション部を新設し、前臨床段階までの新薬候補化合物や創薬に関する最先端技術の導入、提携、および共同研究などのオープンイノベーション活動を推進している。今後も創薬や技術研究のフィールドで、世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〟に貢献していく考えだ。

 募集内容や応募方法などの詳細は、同社専用ウェブサイト(https://www.asahikasei-pharma.co.jp/a-compass/jp/)まで。

ENEOS 水素社会を実現する新団体の設立準備に参画

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2020年10月15日

 ENEOSは14日、水素社会の構築に取り組む民間企業とともに、水素分野でグローバルな連携や水素サプライチェーンの形成を推進する新たな団体「水素バリューチェーン推進協議会」の設立準備委員会に参画したと発表した。なお、準備委員会に参画する企業は、岩谷産業(事務局)、ENEOS、川崎重工業、関西電力、神戸製鋼所、東芝、トヨタ自動車(事務局)、三井住友フィナンシャルグループ(事務局)、三井物産の9社。

 水素社会の実現に向けた取り組みは、地球温暖化対策として世界全体で加速しており、今後も、日本が世界をリードし続けるためには、水素の社会実装に直結する具体的なプロジェクトを企画・実行する組織が必要となる。このような状況を踏まえ、業種横断的かつオープンな枠組みの下、水素サプライチェーン全体を俯瞰し、水素の社会実装を推進するための組織を立ち上げる運びとなった。

 ENEOSは、水素の社会実装と関連産業の育成を目的とする同協議会の意義は極めて大きいと考えおり、準備委員会の一員として、協議会の設立と活動開始に向けた取り組みに努めていく考えだ。

 同社は、2014年から水素ステーションを通じた水素供給事業を先駆的に開始し、現在までに国内最多となる44カ所の水素ステーションを展開している。また、直近ではCO2フリー水素の国際サプライチェーン構築に向けた取り組みにも注力しており、昨年には海外からの大規模輸送を可能とする水素キャリアの1つ「有機ハイドライド」を低コストで製造する世界初の技術検証に成功した。さらに、将来の発電や産業プロセスなど幅広い分野での水素利用拡大を目指し、製油所や発電設備などの大規模な自社アセットの活用によるCO2フリー水素の受け入れ・需要創出に向けた検討も進めている。

 同社は、協議会を通じて、本格的な水素大量消費社会の到来に向けた国全体の取り組みを積極的に推進し、水素エネルギーを活用した低炭素社会の形成に貢献していく。

BASF 廃タイヤ由来熱分解油の購入と実行可能性検討

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2020年10月14日

 BASFはこのほど、廃タイヤの熱分解を専門とするテクノロジー企業ニューエナジー社(ハンガリー)と、年間最大4000tの廃タイヤ由来熱分解油の購入契約を締結した。これはBASFが使用済みプラスチック廃棄物の産業規模のケミカルリサイクルを目的に、2018年に開始した「ChemCycling」プロジェクトの一環で、今年から初の商用製品が市場に出ている。

 ニューエナジー社は廃タイヤを2次原料に戻す独自の技術を開発・商品化し、十数年の熱分解プラントの運転実績をもつ。パイロットフェーズ初回分の熱分解油は、すでにBASFのドイツ・ルートヴィッヒスハーフェンの統合生産拠点で化石資源代替として使用され、再生原料の割合はマスバランス方式で割り当て、製品名の末尾に「Ccycled」を付けてある。従来製品と同じ特性、同様の加工性で、自動車部品など品質・性能要求の高い用途へ適用可能だ。

 同プロジェクトが注力するのは埋め立て・焼却対象の混合プラ廃棄物だが、廃タイヤも使用済みプラ廃棄物に該当し、リサイクル率向上に寄与する。

 同プロジェクトリーダーのクリスチャン・ラッハ博士は「これまでタイヤ由来の熱分解油を高付加価値製品にリサイクルする技術はなかったが、これにより新たな循環価値の流れを作れ、プラスチックのサーキュラー・エコノミー(循環型経済)へつながる。さらに当プロジェクトでは、要求度の高い用途向け高性能製品の製造に使用できる第2のリサイクル原料の供給体制を確立している」とし、「近年パートナーシップを結んだクアンタフューエル社(デンマーク)の商業規模の工場から、間もなく混合プラ廃棄物由来の熱分解油が供給されるが、さらにニューエナジー社が加わったことは大変嬉しい」と述べている。

 両社は世界的なプラ廃棄物問題に取り組み、ニューエナジー社独自の熱分解技術をその他のプラ廃棄物のリサイクルに適応するFS(実行可能性調査)契約も締結した。

 

三菱製紙 撥水・耐油性向上の「撥水耐油板紙」を上市

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2020年10月14日

 三菱製紙はこのほど、耐水耐油板紙より優れた撥水・耐油効果を発揮する白板紙「撥水耐油板紙」を今月から生産販売開始すると発表した。

 海洋プラスチック問題などを背景に容器包装に対するプラスチック削減の高まりに対し、従来の耐水性・耐油性板紙の耐水性を大幅に向上させた白板紙を開発し、「撥水耐油板紙」として上市することとした。

 従来品の耐水耐油板紙との比較では、裏面の性能は撥水性が0から8に、耐油性を示すキット値が7から最大値の12にまで向上している。紙の利用を通じてSDGs(持続可能な開発目標)に貢献できるFSC森林認証紙も対応できる。

エア・ウォーター ごみ焼却炉CO2回収設備の開発着手

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2020年10月14日

 エア・ウォーターはこのほど、環境省の実証事業「清掃工場から回収した二酸化炭素の資源化による炭素循環モデルの構築実証事業」で、ごみ焼却炉排ガスからCO2を回収する商用規模の設備の開発に着手した。清掃工場から回収したCO2のメタネーションによるエネルギー資源化は世界初の取り組み。代表事業者である日立造船からCO2の分離・回収に係る事業範囲の再委託を受け、2018年度の事業開始当初から参画し、設備の設計・製作・実証を担当してきた。

 神奈川県小田原市環境事業センターでの小規模実証試験で所定のCO2純度・回収率を達成したため、今年から規模を拡大する。設備仕様はCO2純度80%以上、回収量125N㎥/hの予定。

 同社グループは長年、産業ガス事業で培ってきたガステクノロジーや多彩な事業領域に対応する技術開発を深化させ、脱炭素社会に対応し環境負荷の低減に貢献する取り組みを進めている。

 

ICEF第7回年次総会開催 女性参加とコロナに焦点

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2020年10月14日

 ICEF(アイセフ、イノベーション・フォー・クールアース・フォーラム)事務局はこのほど、第7回年次総会をオンラインで開催し、最終日の8日にステートメントを発表した。

 経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がエネルギー・環境分野のイノベーションによる気候変動問題解決のために、世界の学界・産業界・政府関係者間の議論と協力を促す国際的プラットフォームとして2014年から開催。今年は分科会を含め、80の国と地域から1300人以上が参加した。

 今年のテーマは「男女平等に焦点を当てた、COVID-19を踏まえた「ビヨンド・ゼロ」排出社会に向けた行動」。COVID-19により、今年の世界のCO2排出量は前年比8%減の見込みで、1.5℃の温暖化排出経路に必要な削減率とほぼ同等。経済減速と日常生活の不便さなど、この経路の困難さとイノベーションの重要性が再認識された。低炭素社会確立には変革が不可欠で、国・各組織間の強固な関係が必要になる。日本政府の「環境イノベーション戦略」は、2050年のカーボンニュートラルに向けた世界の温室効果ガス(GHG)排出量と大気中CO2の削減、「ビヨンド・ゼロ」のための革新的技術の確立を目指す。

 女性の参加がイノベーション推進に果たす役割は大きく、女性参加率の高い組織ほど気候変動に対するパフォーマンスが高いと報告された。実証的分析では気候変動はジェンダーニュートラルではなく、女性参加の気候変動対策への貢献が期待できる。IT機器利用の加速は女性参加を促す。女性のスキル向上、開発途上国の女性教育の促進にコミットすべきとした。

 イノベーションのための資金調達は重要で、景気刺激策などすべての機会を官民の投資、パートナー企業からの資金調達、内部炭素価格設定による自己投資の動機づけなどの資金調達手段に使用する必要がある。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)などによる透明性の向上で、市場と投資環境の改善が期待できる。持続可能なインフラに対するグリーンエクイティの使用を強く推奨した。エネルギー転換、運輸、産業、分野横断領域、農林水産業・吸収源など10の分科会と3つの本会議でこれらトピックスについて議論し、有益な発見と提言がなされた。

 ステートメントでは最後に、ジェンダーと気候変動の相乗効果の可能性の点で、GHG低排出社会に向けた企業の効果的な行動と決定の支援のために、ジェンダー投資と気候変動投資の橋渡しも検討の価値がある。産業界、政府、学術界、投資家が協力して研究・開発・投資を促進する必要がある、と結んだ。

旭化成 LEDなどでコロナ対策ソリューション事業化へ

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2020年10月14日

 旭化成は13日、同社の高出力殺菌用深紫外線LEDの技術や、センサー、画像編集技術を組み合わせた、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)対策ソリューションの事業化に向けた取り組みを本格的に開始したと発表した。高出力殺菌用深紫外線LEDのCOVID‐19に対する有効性についてすでに確認を行っており、また、環境センサーとライブカメラを使った「3密見える化ソリューション」の試験販売を開始する。

三密見える化ソリューションのコンセプト画像
3密見える化ソリューションのコンセプト画像

 同社のマーケティング&イノベーション本部では、センサーによりCO2濃度や温熱などの状態を把握し、快適な教育環境を探る実証実験や、高出力殺菌用深紫外線LEDを活用した流水殺菌の事業化などに取り組んでいる。また、世界的なCOVID‐19の拡大に伴い、それらの技術を活用した密閉・密集・密接といった3密対策や殺菌用途に注力し、COVID-19による様々な課題へのソリューションとして事業化のスピードアップを進めている。

 このほど、米国グループ会社のCIS社はボストン大学NEIDLとの共同研究を通じ、CIS社が製造・販売する深紫外線LED「Klaran」の発光する260~270㎚の波長が、これまで論文などで確認されている280㎚の波長に比べ、より少ない紫外線照射量で新型コロナウイルスを不活化させることを確認した。窒化アルミニウム単結晶基板製造技術と膜結晶成長技術により、細菌やウイルスの不活化に最も効果が高いとされる同発光波長帯域で世界最高出力を実現している。

施設に設置される環境センサーとライブカメラを用いた三密見える化ソリューションの画面イメージ
施設に設置される環境センサーとライブカメラを用いた3密見える化ソリューションの画面イメージ

 一方、「3密見える化ソリューション」は、CO2濃度計測機能を搭載した環境センサーとプライバシー問題を解決したライブカメラ「透け撮るんSKETOLN」を組み合わせることで、3密の見える化を実現した。CO2濃度が基準値を超えたときに管理者にメールで通知する機能も備える。

 旭化成は、より安全な環境づくりに取り組む店舗やイベントなどの運営者へのCOVID‐19対策ソリューションの提供を通じて、社会の安心・安全や経済の活性化への貢献と「持続可能な社会への貢献」を目指していく考えだ。

 

エレファンテック 日清紡メカトロニクスと自動車材で合意

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2020年10月14日

技術融合しADAS車向けに23年の量産目指す

 プリンテッド・エレクトロニクス分野のスタートアップ企業であるエレファンテックはこのほど、日清紡メカトロニクスとの間で、ADAS(先進運転支援システム)搭載車に向けた「配線一体型成形部品」の開発について基本合意を締結した。日清紡メカトロニクスグループがもつ樹脂の射出成形技術と、エレファンテック独自のインクジェット印刷による樹脂への立体配線技術「IMPC技術」の融合により、2023年の量産開始を目指していく。

IMPC技術の導入例。曲面状の樹脂にインクジェット印刷で配線したオーバーヘッドコンソール(車内灯)。タッチセンサーに触れるとライトが点灯する
IMPC技術の導入例。曲面状の樹脂にインクジェット印刷で配線したオーバーヘッドコンソール(車内灯)。タッチセンサーに触れるとライトが点灯する

 7日にリモートで行った記者説明会で、エレファンテックの清水信哉社長は、「今回の合意の最大のポイントは

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