宇部興産 緑内障・高眼圧症の新薬、FDAが承認申請受理

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2021年2月4日

 宇部興産と参天製薬はこのほど、緑内障・高眼圧症の患者を対象とした「STN10117(DE-117)」(一般名:オミデネパグ イソプロピル)の新薬承認申請(NDA)が、米国食品医薬品局(FDA)により受理されたと発表した。FDAは、処方せん薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づき、今年11月19日の完了を目指してNDAの審査を進めている。

 「STN10117(DE-117)」は、緑内障・高眼圧症の治療を目的として、両社が共同開発している点眼剤。有効成分のオミデネパグ イソプロピルは、参天製薬が宇部興産から導入した、選択的にEP2受容体に作用して眼圧下降作用を示す新規作用機序の化合物。日本では2018年より「エイベリス点眼液0.002%」の名称で販売されている。アジアでは順次販売承認を申請しており、2019年以降、韓国などで承認を取得している。

 緑内障は、視神経の障害により視野の欠損が起こる疾患。基本的に進行性で非可逆的であるため、早期発見・早期治療による視神経障害と視野欠損の進行抑制が治療上の重要な課題で、眼圧を下降させることが、最も確実な治療法。緑内障は、日本での眼疾患による視覚障害(視力低下、失明)の主な原因となっており、米国では300万人以上が罹患し、世界では7600万人が罹患していると推測されている。

 両社は、より多くの治療選択肢を医療現場に提供することで、米国の患者のQOLの向上に寄与できることを期待している。

帝人ファーマ 内分泌腫瘍治療剤、効能・効果の追加承認を取得

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2021年2月3日

 帝人ファーマはこのほど、仏イプセンから導入している先端巨大症および下垂体性巨人症、膵・消化管神経内分泌腫瘍治療剤「ソマチュリン皮下注60㎎、90㎎、120㎎」について、厚生労働省より、「甲状腺刺激ホルモン(TSH)産生下垂体腫瘍」の効能または効果の追加承認を取得したと発表した。

 TSH産生下垂体腫瘍は、脳の下垂体にできる良性の腫瘍の一種で、日本国内の患者数は135人ほどの希少疾患。治療としては、腫瘍切除術が第1選択とされているが、手術が困難な場合や、手術後に腫瘍が残った場合には薬物治療や放射線治療が必要となり、また、手術前には甲状腺ホルモンの増加を抑えることも求められる。欧州では薬物治療として、ソマトスタチンアナログ製剤の使用が推奨されているが、日本国内には適応症をもつ医薬品がなかった。

 こうした中、同社は厚生労働省より要請を受け、同剤の適応症を取得するために開発を行ってきた。今回の効能または効果の追加承認取得により、同剤は、TSH産生下垂体腫瘍の適応症をもつ日本で初めての医薬品となる。なお、「ソマチュリン皮下注」と同じランレオチド酢酸塩を主薬とする製剤は、英国、仏国を含む30の国と地域で、TSH産生下垂体腫瘍に対する適応が承認されている。

 帝人ファーマは、今後も新規創薬研究のみならず、適応拡大にも注力し、希少疾病を含むアンメットニーズの高い疾患に新たな治療選択肢を提供することで、患者のQOL向上に貢献していく。

 

三菱ケミカル 車載用LIB関連特許が欧州で成立

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2021年2月3日

 三菱ケミカルは2日、グループ会社のMUアイオニックソリューションズ(MUIS)と共有する車載用リチウムイオン二次電池(LIB)に関する特許(欧州特許出願番号:06 83 2384.9号)が欧州で成立したと発表した。同特許は、車載用LIBの主流であるニッケル含有正極材と、ジフルオロリン酸リチウムを含む電解液との組み合わせによる技術で、すでに日本をはじめ、米国、中国、韓国で成立している。今回、電気自動車(EV)の需要が伸長している欧州で新たに特許が認可され、ドイツでの権利が成立した。

 近年の車載用電池では、電池の高容量化のために単位体積当たりのエネルギー貯蔵量が大きいニッケル含有正極材が使われている。同特許技術は、ジフルオロリン酸塩が有効成分として作用し、特にニッケル含有正極材を使用した電池の出力特性、および繰り返し充放電に伴う容量維持特性を同時に向上させることができることから、車載用途で期待されている高寿命・高出力・高速充電可能な電池の構築に極めて有用な技術となる。

 三菱ケミカルとMUISは、同特許以外にも車載用LIB向け材料に関する特許を数多くもっている。EVは、化石燃料消費の抑制やCO2の排出低減といった環境問題への解決策だけでなく、次世代モビリティ社会を実現する観点から、欧州を含む全世界でさらなる普及が見込まれている。

 両社は、今後も旺盛な需要に対応するため、車載用LIB向け電解液のリーディングカンパニーとして事業を展開していくとともに、知的財産権の適切な活用による健全な市場の拡大を促し、持続可能な次世代社会の実現に貢献していく考えだ。

 

帝人 次世代モビリティ向けパーツ、豪社と共同で開発

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2021年2月3日

 帝人は2日、豪州Applied EV(AEV社)と共同で、自動運転への対応が可能な多目的プラットフォーム「Blanc Robot(ブランク・ロボット)」を開発したと発表した。

 近未来のモビリティ像として「CASE」や「MaaS」が示される中、エネルギー効率を総合的に評価するための世界共通の概念として「Well to Wheel」(油田からタイヤまで)が掲げられるなど、過去に類を見ない大きな変革期が自動車社会に訪れようとしている。

 こうした中、両社は、近未来の社会が求めるゼロ・エミッション・ビークルを実現し、多岐にわたる用途で活用に資する技術基盤を構築するため、2019年より共同開発をスタート。今回開発した「ブランク・ロボット」は、AEV社が培ってきたセンシング、コネクテッド(通信)などに関する最先端技術を、最適なレベルで組み込み、コンパクトに集約した多目的LS-EV(低速EV)向けのプラットフォームになる。

 トップカバーには、帝人グループで軽量複合材料製品の生産・販売・技術開発を手掛けるCSP社のGF-SMCを使用しており、これまでのアルミ製トップカバーに比べ、約20%程度の軽量かつ約4㎡の広面積を実現した。CSP社独自のGF-SMC成形技術を活用したトップカバーは、金属では成形が困難な薄肉かつ複雑な形状を約3分で一体成形しており、これにより容易にシール性を確保できるため、限られたスペースに内蔵した自動走行に必要な機能を水や熱から保護できるほか、耐火性、寸法安定性、耐腐食性にも優れている。「ブランク・ロボット」は、バッテリー、モーター、ブレーキや、走行を管理する電子制御ユニットなどの機能が内蔵されており、用途に合わせた車体を搭載した自動走行を可能にした。

 両社は、2022年後半にも「ブランク・ロボット」を使用したEVの実用化を目指す。運送・工業・医療・一般交通など幅広い用途での活用を想定し、「ブランク・ロボット」や車体設計、走行技術の向上を図っていく。

 

東洋インキSCホールディングス 複層フィルム包材のMR技術で伊藤忠と協業

2021年2月2日

 東洋インキSCホールディングスはこのほど、伊藤忠商事と複層フィルム包材のマテリアルリサイクル(MR)技術の協業展開について合意したと発表した。両社の技術とネットワークを生かして、2022年までに世界初の高品質MRの実用化を目指す。

 国内外で使い捨てプラスチック問題への対策が急がれるが、日本では廃棄プラスチックの約16%が単純焼却や埋め立てられ、約56%がサーマルリサイクルや熱回収などの焼却型処理で、製品原料として再利用するMRは約27%に過ぎない。特に食品パッケージや洗剤などのサニタリー商品の詰め替え用パウチなどのフィルム包材は、用途ごとの要求性能に応じてポリオレフィンやポリエステルなどのフィルムと印刷インキや接着剤などの多素材で構成され、脱離が難しくリサイクルが困難だ。

 東洋インキグループは一昨年、総合環境サービス企業と提携し、複層フィルムと包材を構成するインキや粘接着剤などを脱離する技術を開発。伊藤忠商事は、同技術に関連する一部製品材料の国内での独占マーケティング権とアジア・欧州での優先交渉権を取得し、MRの仕組みの構築、リサイクル可能な環境配慮パッケージ設計の訴求を通じて、食品・日用品メーカー、小売り、ブランドオーナーなどに向けた幅広い環境ソリューションの提供を行う。

 今年中に実証パイロットプラントを建設し、LCA(ライフサイクルアセスメント)評価・コストシミュレーションなどの検証を進め、2022年のポストインダストリアルリサイクル事業(製造工程での廃棄原料の利用)開始を目指す。2025年をめどに、商業プラントでのポストインダストリアルおよびポストコンシューマーリサイクル事業(使用後の回収品の利用)を開始する予定だ。両社はこうした取り組みにより、複層フィルム包材のリサイクルを追求し、国内外のMR率40%以上を目指すとしている。

 

DSM ケミカルリサイクルを追求、ダイニーマをベースに

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2021年2月2日

 DSMはこのほど、Clariterと戦略的に提携し、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維「ダイニーマ」をベースとした製品の次世代型ケミカルリサイクルソリューションを追求すると発表した。第1段階としてポーランドにあるClariterのパイロットプラントで、「ダイニーマ」製のロープ、ネット、防弾素材などのサンプル製品の再資源化に成功。これにより「ダイニーマ」のリサイクル性が実証されると同時に、サステナブルな世界を目指すDSMプロテクティブマテリアルズのコミットメントが明確に示された。

 DSMプロテクティブマテリアルズは、SDGsの達成に向けて、バイオベース「ダイニーマ」の製品化に続き、「ダイニーマ」をベースとした使用済み製品の再利用/リサイクルソリューションを積極的に推進。両社はパートナーシップを結び、Clariterのケミカルリサイクルプロセスにより「ダイニーマ」を原料として利用する実験を行った。パイロットプラントでは、Clariterが特許を取得した3段階から成るケミカルリサイクルプロセスを通して、「ダイニーマ」ベースの最終製品を高付加価値の産業用グレードのオイル、ワックス、溶剤などに変えることが技術的に可能であるという良好な結果が得られた。さらにそれらを最終製品や消費者向け製品を製造する材料として利用することもできる。

 今後、両社は、よりサステナブルな世界を目指し、ケミカルリサイクルソリューションに向けた取り組みを推進していく。具体的には、実験室規模での試験の成功をベースに、Clariterは今年、南アフリカの施設で商業規模の試験を実施する予定。近い将来、欧州に大規模プラントを建設し、「ダイニーマ」由来の原料を利用することを目指す。DSMは、「ダイニーマ」の環境負荷を、すべての製品のライフステージで低減する可能性を、引き続き模索していく。

ダイセル こんにゃくセラミドの機能性表示食品を新発売

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2021年2月2日

 ダイセルはこのほど、大人の女性のためのウェルエイジング・ブランド「WELLMETHOD(ウェルメソッド)」から、機能性表示食品「ピュアセラミド+(プラス)」を発売した。今回、機能性表示食品になったことで従来品からアップグレードしたという意味を込めて「ピュアセラミド+(プラス)」と名付けている。

 同製品は飲むセラミドサプリメント。こんにゃく芋の飛び粉から抽出した「こんにゃく由来グルコシルセラミド」を配合し、肌の乾燥が気になる人に適している。セラミドは皮膚の最外層にあたる角質層にある細胞間脂質と呼ばれる成分で、外部からの刺激から肌の内部を守る働きがある。セラミドが角質層に十分に存在すると、水分の蒸発を防ぎ保湿力のある健やかな肌を保てるが、不十分だと肌のバリア機能が乱れて刺激を受けやすく、肌内部の水分が逃げてしまう状態になる。

 日本人を対象とした複数の試験では、1日当たり0.6~1.8mgの「こんにゃく由来グルコシルセラミド」を4~12週間続けて摂取することで、全身の肌の経皮水分蒸散量が低下(皮膚バリア機能が改善)することが報告された。スキンケアアイテムを利用した外側からのケアは局所的になるが、セラミドを経口摂取することで全身に潤いを届け、肌の乾燥を防ぐことが期待できる。

 

宇部興産と参天製薬 緑内障・高眼圧症治療剤を韓国で発売

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2021年2月2日

 宇部興産と参天製薬は1日、緑内障・高眼圧症治療剤「エイベリス点眼液0.002%」の保険収載を経て、韓国内で韓国参天製薬から発売すると発表した。

 同剤は、緑内障・高眼圧症の治療を目的として両社が共同開発している点眼剤。有効成分であるオミデネパグ イソプロピルは参天製薬が宇部興産から導入した、選択的にEP2受容体に作用して眼圧下降作用を示す新規作用機序の化合物。日本では2018年より同じ名称で販売されており、海外では韓国が初めての販売国となる。また、ほかのアジア諸国についても順次販売承認を申請している。 

 緑内障は、視神経の障害により視野の欠損が起こる疾患。基本的に進行性で非可逆的であるため、早期発見・早期治療による視神経障害と視野欠損の進行抑制が治療上の重要な課題で、眼圧を下降させることが、最も確実な治療法とされる。緑内障は、日本での眼疾患による視覚障害(視力低下、失明)の主な原因となっており、韓国では97万人以上が罹患し、世界では7600万人が罹患していると推測されている。

 両社は、より多くの治療選択肢を医療現場に提供することで、韓国の患者のQOLの向上に寄与できることを期待している。

東亞合成 トヨタの新型FCVに高機能接着剤が採用

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2021年2月2日

 東亞合成は1日、トヨタ自動車が昨年12月から販売を開始した燃料電池自動車(FCV)の新型「MIRAI」に、高機能接着剤製品が採用されたと発表した。採用されたのは、UV硬化型接着剤「アロニックスUVX」と特殊変性オレフィン系ホットメルト「アロンメルト」の2製品。

新型『MIRAI』の燃料電池ユニット(写真協力:トヨタ自動車)
新型「MIRAI」の燃料電池ユニット(写真協力:トヨタ自動車)

 「アロニックスUVX」は、東亞合成の光硬化型樹脂「アロニックス」をベースにした接着剤で、燃料電池セル内の接着が困難な電解膜とセル内部品との接着性や接着剤使用工程上の塗布性を高め、燃料電池内部でのガスのリークを防ぐ接着シール効果を発現する。また、UV硬化により組み立て工程時間を大幅に短縮し生産性向上にも寄与する。一方、「アロンメルト」は、燃料電池セルで使われる金属セパレーター同士を強固に接着し、ガスの流路を確保する。

新型『MIRAI』(写真協力:トヨタ自動車)
新型「MIRAI」(写真協力:トヨタ自動車)

 FCVは、数百枚積層された燃料電池セル内で水素と酸素を反応させることにより発電し、モーターを駆動して走行する。今回開発した高機能接着剤2製品は、燃料電池セル内での水素と酸素の流路を保ち、生成された水の排水性を高めるシールとセル内部品の接着を行うために採用されたもの。いずれの接着剤もFCVの心臓部ともいえる燃料電池の発電システムに重要な役割を担っており、高耐久・高信頼性が要求される車載スペックも満たした。

 東亞合成は、今後とも燃料電池の性能や生産性の向上に資する研究開発を進めるとともに、徳島工場(徳島県徳島市)の電解工場から産出する水素を活用したFCV向け水素ステーションの設置を推進するなど、FCVの普及さらには2050年に向けた脱炭素社会の実現に貢献していく考えだ。

帝人 水素燃料電池を販売、英IE社と販売代理契約を締結

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2021年2月2日

 帝人は1日、英国の燃料電池メーカーであるインテリジェント・エナジー(IE社)との間で販売代理契約を締結し、日本での水素燃料電池の販売を開始すると発表した。

 パリ協定の合意以降、各国でカーボンニュートラルの実現に向けた目標が宣言されるなど、脱炭素化に向けた動きが加速しており、日本政府も「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」旨の宣言を行った。こうした動きは、エネルギー分野についても加速しており、再生可能エネルギー発電や低炭素発電の開発などが注目されている。

 一方、帝人は、国連が提唱する「国連グローバル・コンパクト」やSDGsに賛同し、中期経営計画の中では「環境価値ソリューション」の提供や環境負荷低減に関する長期目標を掲げ、事業や諸活動を展開。このほど、水素燃料電池の利用を普及させることで持続可能な社会の実現に貢献できると考え、IE社と販売契約を締結した。

 今回、販売を開始する水素燃料電池は、IE社が開発した出力が三種類(1.2kW、2.5kW、4.0kW)のもの。1台当たりの重量が10~20kgと軽量でコンパクト性に優れているため、様々な用途で発電装置に組み込むことができる。また、ディーゼルエンジンに比べて静粛性に優れ、メンテナンスがほとんど必要ないことから運用しやすく、さらに廃棄物が発生しないため土壌汚染の問題がない。

 帝人は今後、すでにこの水素燃料電池の採用に向けて実証実験を行っている日本フイルコンをはじめ、情報通信業や建設業、製造業などに向けた販売を進め、2030年度までに売上高10億円の達成を目指す。