日本製紙 木質バイオマス高配合の樹脂複合材料を開発

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2021年3月19日

 日本製紙はこのほど、日本製鋼所と共同で木材由来の木質バイオマスを高配合した樹脂複合材料「トレファイドバイオコンポジット」を開発した。プラスチック使用量を5割以上削減でき、温室効果ガス排出量の削減にも寄与する。

トレファイドバイオコンポジット開発品
トレファイドバイオコンポジット:開発品

 木粉やパルプなどの木質バイオマスと樹脂との複合材料には耐熱性や成形性に課題があったが、同社の新規バイオマス固形燃料のトレファクション技術で木質バイオマスに耐熱性、粉砕性、疎水性を付与することで解決した。これは樹脂の融点以上の高温(250~300℃)で木質バイオマスを低温炭化させる技術で、木質バイオマスの耐熱性が上がり、樹脂との混練・成形時に発生する熱分解ガスを抑制する。粉砕性に優れ容易に微粉化するため、複合材の流動性が高く複雑な加工が可能だ。さらに疎水性が上がるため樹脂中での分散性が向上し、複合材の強度が上がる。

 この木質バイオマス材料を、日本製鋼所製の二軸押出機「TEXシリーズ」の混練技術で樹脂に高配合し、耐熱性や成形性に優れた「トレファイドバイオコンポジット」を生み出した。今後は、建材、食品容器・器具、家電製品、園芸など、様々な分野での用途開発により、「トレファイドバイオコンポジット」の商品化を進める。

 

積水化学工業 セキスイハイム50周年、記念プロジェクト始動

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2021年3月19日

 積水化学工業は18日、住宅カンパニーの住宅事業(セキスイハイム)誕生から今年で50年を迎え、住社会の課題を解決する4つの記念プロジェクトを始動すると発表した。

セキスイハイム50年 記念プロジェクト
セキスイハイム50年 記念プロジェクト

 新築では、①全国一斉まちづくりプロジェクトとして、「あさかリードタウン」の際立ちを全国の戸建まちづくりへ展開、②スマートハウス№1プロジェクトとして、先進・スマートの際立ち深化でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)比率90%を目指す。ストックでは、③買取再販「Beハイム」展開プロジェクトとして、工業化住宅の際立ちで価値を向上・継承する。また生産では、④工業化住宅イノベーション再発進プロジェクトとして、工業化を追求し続ける工場の際立ちを再発信していく。

セキスイハイム50周年ロゴ
セキスイハイム50周年ロゴ

 同社の住宅カンパニーでは、環境問題をはじめとした社会課題の解決や強固な経営基盤の構築を事業の成長力として位置づけ、「顧客価値」と「事業価値」の両立によるESG経営を推進。四つの記念プロジェクトを皮切りに、100周年に向け総力を挙げて住宅事業のESG経営を加速し、住社会への際立ちで社会課題解決への貢献を拡大していく考えだ。

 

 

帝人フロンティア ポリエステル立体成型吸音材が新型FCVに採用

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2021年3月19日

 帝人フロンティアは18日、同社が開発したポリエステル立体成型吸音材が、トヨタ自動車の燃料電池自動車(FCV)・新型「MIRAI」(昨年12月発売)の燃料電池(FC)システムに採用されたと発表した。

ポリエステル立体成型吸音材の外観
ポリエステル立体成型吸音材の外観

 FCシステムは、高圧水素タンクから供給される水素と空気中から吸い込んだ酸素を、発電部位のFCスタックで化学反応させることにより電気と水を発生させるもの。立体成型吸音材は、その反応時に発生する水をFCスタックや排水管内からダクトを通じて車外に排出する際に、水が通過するノイズを低減するために使用される。

トヨタ新型FCV『MIRAI』の内部構造イメージ図
トヨタ新型FCV「MIRAI」の内部構造イメージ図

 今回新型「MIRAI」に採用されたポリエステル立体成型吸音材は、要求性能を実現するために、原料繊維のタイプや不織布の仕様、積層構造の検討などを重ねて開発。特殊成型設備に適合した金型を製作するとともに、内部まで均等に熱浸透させることで高精度な成型を可能にする特殊工法により、複雑なFC部品の形状に隙間なく充填し吸音性能を発揮する。

 帝人フロンティアは、戦略領域であるモビリティ用途に向けてさらに展開を強化し、持続可能な社会の実現に向けたソリューション提供を通じて、「未来の社会を支える会社」を目指していく考えだ。

住友ゴム 好調な需要で米国のタイヤ生産能力を倍増

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2021年3月18日

 住友ゴム工業はこのほど、米国工場の乗用車・ライトトラック用タイヤの生産能力を現在の日産6500本から2023年末までに日産1万2000本に増強することを決定した。投資額は約101億円を計画。増産により、北米市場でのSUV、ライトトラック用タイヤの好調な販売に対応し、あわせて順調に販売を伸ばすトラック・バス用タイヤの生産能力も、約27億円を投じて現在の日産1750本を2024年末までに2300本に増強する。

 新型コロナウイルス感染症の拡大で落ち込んだタイヤの世界需要がコロナ前の水準まで回復するのは、来年以降になると見込まれるが、FALKENブランドの『WILDPEAK(ワイルドピーク)』シリーズを中心とする高機能タイヤで、北米市場での販売を着実に伸ばしている。この好調な販売に対応するため、また米国工場の生産性改善が進んだことから増産投資を決定した。現地生産を強化し販売リードタイムを短縮することで、さらなる拡販につなげていく考えだ。

 さらにタイと宮崎の工場でも既存設備をSUV、ライトトラック用生産設備に置換する。タイ工場では2023年までに日産4150本、宮崎工場では2024年までに日産1600本の生産置換を行い、北米の販売拡大をサポートする。両拠点への総投資額は108億円の計画だ。

 同社は中期計画の柱の1つに高機能商品の開発・増販を掲げており、今回の生産能力増強により、その取り組みを一層加速するとしている。

三菱ケミカル 高耐熱・高強度の炭素繊維プリプレグ開発

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2021年3月18日

 三菱ケミカルは17日、高耐熱性と高強度を両立したシアネートエステル系の炭素繊維プリプレグを開発したと発表した。

 開発品は、同社の強みである原料・触媒の組み合わせ技術により、新たに開発したシアネートエステル系樹脂がベースレジン。250℃以上の耐熱性を示しながらも、炭素繊維のもつしなやかさや高い靭性との両立を実現した。また、一般的なエポキシ樹脂ベースの炭素繊維複合材料(CFRP)と同じ型を使って硬化できる上、従来のシアネートエステル系樹脂に比べ保存安定性に優れることから、良好な加工特性も併せもつ。すでにレーシングカーのエンジン周辺のCFRP部材に採用されており、今後は自動車用途に加え、高温環境で使用されるロボットなどの産業用途や航空機用途、宇宙用途などへの販売も進めていく考えだ。

 航空機や自動車といったモビリティ用途では、環境規制などから高まる機体や車体の軽量化要求を背景に、軽さと強度を兼ね備えるCFRPの利用が進むと見込まれている。特に、自動車のエンジン周辺などの部材には高い耐熱性と強度が求められるが、一般的なCFRPでは耐熱性と強度・加工特性がトレードオフの関係にあるため、部材メーカーが開発競争を繰り広げている。

 三菱ケミカルは、多様化・高度化する顧客の要望に応える複数の新製品開発を進めており、今後も最適なソリューションをタイムリーに提供することで、積極的に事業を展開していく。

東レ 高耐熱かつ高品位なOPPフィルムを創出

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2021年3月18日

加工温度120℃に対応、光学分野で拡販を図る

 東レは、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムとして世界最高レベルの耐熱性と品位を実現した〝新タイプ「トレファン」〟を創出した。開発品は打痕、汚染リスクを極小化する高い品位を有し、120℃の高温環境でも使用することが可能。すでにサンプル提供を開始し、顧客評価を進めており、今年度中の上市を計画している。今後、光学材料や電子部品工程向けなど幅広い用途展開を図ることで、年間売上高10億円を目指していく考えだ。

新タイプ「トレファン」
新タイプ「トレファン」

 OPPフィルムは、離型性、低アウトガス(フィルム中から放出されるガス成分)性、紫外線透過性、低吸湿性といった様々な特性に優れ、包装用途に広く使われる。

 東レは、

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ENEOSなど 横浜市と水素FC船実証の包括連携協定を締結

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2021年3月17日

 ENEOS、日本郵船、東芝エネルギーシステムズ、川崎重工業、日本海事協会の5者はこのほど、「高出力燃料電池搭載船の実用化に向けた実証事業」について、横浜市と包括連携協定書を締結したと発表した。

 同事業は、昨年9月に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に採択されたもの。5者は連携により、①高出力燃料電池搭載内航船舶(水素FC船)の開発②船舶向け水素燃料供給の開発③船舶での水素エネルギー利活用の情報発信④その他、災害時の高出力燃料電池搭載内航船舶を活用した事業継続性の検討―を行っていく。

 横浜市では、港湾での脱炭素化の実現を目指し、カーボンニュートラルポートの形成に向けた取り組みを進めている。5者は水素FC船の開発・実証運航(2024年予定)に向けて、横浜市と連携して取り組みを進め、環境に配慮した船舶への対応をいち早く進めるとともに、横浜港から脱炭素化社会の実現に貢献していく考えだ。

 なお、カーボンニュートラルポートとは、国際物流の結節点・産業拠点となる港湾で、水素、アンモニアといった次世代エネルギーの大量輸入や貯蔵、利活用などを図るとともに、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化を通じて温室効果ガスの排出を港全体としてゼロにする構想。

帝人 炭素繊維中間材の新ブランド、スポーツ用途に展開

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2021年3月17日

 帝人はこのほど、炭素繊維中間材料をスポーツ用途に向けて展開する新たなブランド「TENAX PW」(テナックス パワーシリーズ)と「TENAX BM」(テナックス ビームシリーズ)を立ち上げたと発表した。

 近年、スポーツ分野において、高いパフォーマンスを発揮するために関連用品に最先端素材を採用するケースが増加。中でも軽量で剛性に優れる炭素繊維は、各種スポーツ用品に向けた開発が進み幅広く使用されている。帝人も、70年代からスポーツ用途に向けて積極的に展開し、釣り具やゴルフシャフト、テニスラケットなどに炭素繊維および炭素繊維中間材料が広く採用されてきた。

 同社が製造・販売する炭素繊維「テナックス」は、ラテン語で「強靭」という意味をもち、鉄の10倍の高強度と鉄の4分の1の軽量性を両立。その航空・宇宙用途に用いられる「テナックス」使用の中間材料を、スポーツ用途に向け2つの新たなブランドとして展開する。

スポーツ向けブランド「Tenax PW」
スポーツ向けブランド「Tenax PW」

 「TENAX PW」は、パワーやスピードを求めるユーザーに向けたブランドで、航空機に求められる靭性向上技術を用いた炭素繊維中間材料。高強度・高弾性率の樹脂を使用しているのが特徴で、衝撃を吸収することにより損傷面積を抑えることができ、標準品に比べて圧縮強度が高い。スポーツ用品の強度やスピードの向上によりユーザーに貢献できる。

スポーツ向けブランド「Tenax BW」
スポーツ向けブランド「Tenax BW」

 一方、「TENAX BM」は、コントロール性を求めるユーザーに向けたブランドで、人工衛星に搭載される製品の技術を活用した炭素繊維中間材料。剛性、直進性、操作性、安定性、振動吸収性、振動減衰性に優れているのが特徴で、標準品と比較して振動を約4分の1に抑えることができる。衝撃が加わった際のスポーツ用品の変形を極小化するとともに、ブレの抑制も可能にする。

 帝人は今後、両ブランドの展開を進めるとともに、炭素繊維製品の開発をさらに強化し、革新的な高性能材料とソリューションを提供することで、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」となることを目指していく。

 

産総研 大気中の希薄CO2のメタン直接合成触媒を開発

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2021年3月16日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、100㏙から数十%の濃度範囲のCO2から分離回収処理無しで直接高濃度メタンを合成する技術をデルフト工科大学と開発したと発表した。

 カーボンニュートラルの実現に向け、発電所や産業分野から排出されるCO2の大幅削減と、排出されたCO2を回収し炭化水素系燃料や炭素含有有用化合物へ転換して有効利用する研究開発が精力的に進められている。さらにネガティブエミッション技術の導入に向け、大気中のCO2を回収する直接空気回収も注目される。

 CO2濃度は産業排出ガス中で数~数十%、大気中で約400㏙と希薄なため、100%近くまで濃縮するための分離回収過程では多くのエネルギーとコストがかかり、高効率化や分離回収不要の革新的プロセスが求められる。今回、CO2吸収とそれをメタンに転換する二元機能触媒を開発したことで、100㏙のCO2からでも最大1000倍以上高濃度のメタンを直接合成することが可能となった。この触媒はCO2回収機能をもつアルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)やアルカリ土類金属(カルシウムなど)と、CO2と水素をメタンに転換する機能をもつニッケルを組み合わせたものだ。

 産業分野からの排出濃度を想定した5~13%と、大気を想定した400㏙、さらに希薄な100㏙のCO2濃度条件で、450℃の固定層反応器で試験を行った。CO2濃度100㏙のガスを反応器に流すとCO2だけが選択的に吸収され、40分後に吸収が飽和し始めるまで反応器出口からのCO2排出はなかった。その後反応器に水素を導入するとメタンが迅速に生成し、最大で体積分率1000倍以上高濃度のメタンに転換した。転化率は90%以上であった。さらに、大気中の酸素による触媒劣化を確認するために酸素を含むCO2ガスでの試験も行ったが、若干の性能低下はあるものの、CO2の回収とメタンへの高効率転換が確認できた。

 今後は、触媒重量当たりのCO2回収量とメタン生成量がさらに高い二元機能触媒の開発を目指すとともに、実用化を目指した高効率な反応プロセスの開発を行う。

旭化成 LIB用セパレータ増設、日向で3.5億㎡

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2021年3月16日

 旭化成は15日、リチウムイオン二次電池(LIB)用セパレータ「ハイポア」の生産能力を増強すると発表した。日向拠点(宮崎県日向市)の工場敷地内に、約300億円を投資し年産約3.5億㎡の設備を増設。2023年度上期の稼働を予定している。

 LIB市場は、電気自動車(EV)などの車載用途を中心に急速に成長している。同社グループは、LIB用セパレータとして「ハイポア」と「セルガード」をもち、湿式膜と乾式膜の両方を手掛けるメーカーとしてグローバルリーディングポジションを確立。現在、湿式膜は滋賀県守山市と宮崎県日向市に、乾式膜は米国ノースカロライナ州に生産拠点を置き、環境に配慮した積極的な事業拡大を図っている。今回の増強により、同社グループのLIB用セパレータの生産能力は、湿式膜が約13.5億㎡、乾式膜が約5.5億㎡の合計19億㎡となる。

 同社は今後も、セパレータ需要の伸びに合わせて積極的な能力増強を行い、顧客のニーズに応えていく考えだ。