DSM 新たな飼料添加物、乳牛のGHG排出を大幅削減

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2021年3月2日

 DSMはこのほど、同社が開発した新しい飼料添加物「Bovaer」を与えることで、乳牛のメタンの排出量を大幅に削減できることが実証されたと発表した。

 反すう動物から排出されるメタンは、現在排出されている温室効果ガス(GHG)に占める割合が非常に大きく、気候変動の要因ともなっている。同添加物を使うことで、飼料の種類と同添加物の添加量によって変わるが、牛一頭あたり27~40%のメタンガス削減量が期待される。

 オランダの酪農試験場で3カ月にわたり行われた試験では、牧草サイレージとコーンサイレージを3種類の配合率で粗飼料に混ぜたものに対して同添加物を2種類の分量で添加しメタンの削減量を調査。泌乳中期のホルスタイン・フリーシアン種64頭を調査対象とし、配合の異なる飼料にそれぞれメタン抑制剤を補給し、その効果を測定した。

 コーンサイレージを含まない粗飼料に低用量の同添加物(乾燥飼料1kg当たり60mg)を加えた場合のメタン削減率は27%。一方で、コーンサイレージ80%の乾物粗飼料に低用量の同添加物を加えた場合のメタン削減率は35%に増加した。同添加物の添加量を少し増やした場合(同80mg)は、メタン削減率が29~40%となった。

 これらの結果から、同添加物を使用した場合のGHG排出削減効果は明白となった。また、政府やGHGインベントリ作成機関にとっても、同添加物を使用することで、腸内メタンの削減量に関して十分な説明ができ、農家は、サステナビリティへの貢献に対する認証などに役立てることができる。

 「Bovaer」は、DSMが10年以上の年月を費やして研究・開発した、乳牛などの養牛、羊、ヤギなどの反すう動物向けの飼料添加物。牛一頭1日当たり、わずか小さじ4分の1杯の同添加物を与えるだけで、腸内メタンの排出量を約30%削減できる。その結果、同添加物は、食肉・牛乳・その他酪農製品の環境フットプリントの迅速かつ、大幅な削減に貢献する。

 同社は、この新しい飼料向け原料を様々な地域で「Bovaer」として商標登録。現在、各国の酪農・牛肉バリューチェーン各社との協業により、上市に向けた準備を進めている。具体的には、現地のビジネスシステムでの有効性を確認するための共同試験、低炭素酪農製品の共同開発、ビジネスモデルの確立などに取り組んでいる。

ENEOS 山形県で風力発電事業の共同開発に参画

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2021年3月2日

 ENEOSはこのほど、三菱UFJリースの100%子会社であるMULエナジーインベストメントが開発を進める、山形尾花沢風力発電事業(仮称)の環境影響評価法の事業承継手続が完了したことを受け、同事業開発に参画し、今後は両社共同で開発を進めていくと発表した。山形県尾花沢市に最大出力17.2MWの陸上風力発電所を建設する計画。3~4MW級の風力発電機を最大3~4基設置し、2026年以降の運転開始を目指す。

 同県は陸上風力発電事業では国内有数の適地であり、良好な風況が見込まれている。両社は、国や同県の再生可能エネルギーに係る取り組みに即する形で、地球温暖化対策や地元自治体の活性化に寄与するものとして、同事業開発に取り組んでいく。

 ENEOSは、グループ長期ビジョンの中で、2040年時点でのカーボンニュートラルを掲げており、2022年度までに、国内外で行う再エネ事業の総発電容量を約100万kW以上に拡大することを目指し、事業展開を加速している。

 一方、三菱UFJリースは、再エネを注力分野の1つに位置づけており、MULエナジーインベストメントは、風力発電所や太陽光発電所などの開発、発電事業の運営管理などのアセットマネジメント事業を通して、再エネ分野のトータルソリューションを提供している。

 両社がこれまでに培った再エネ事業の知見を生かし、同事業の開発を加速するとともに、再エネ事業の拡大を通じて、低炭素化社会の実現に貢献していく考えだ。

帝人フロンティア センシング技術活用、睡眠サービスを共同開発

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2021年3月2日

 帝人フロンティアは1日、FiNCテクノロジーズと共同で、睡眠時の体動情報を解析し、睡眠の質について評価・アドバイスする睡眠サービス「スリープ コンシェルジュ」を開発したと発表した。

:「MATOUS SS」の使用例
「MATOUS SS」の使用例

 同サービスには、新開発した睡眠センサー「MATOUS SS」を専用デバイスとして使用。就寝時に、寝具の下に置くだけで体動情報を計測し、独自のアルゴリズムにより睡眠時間や寝返りの回数、呼吸数、心拍数、室温などの情報を評価できる。同日からFiNCが運営する「FiNC MALL」(https://store.finc.com)で専用デバイスの販売、およびスマートフォン(アンドロイド、iOS)向け専用アプリケーションの配信を開始した。

 現在、日本人の5人に1人が睡眠に関する悩みを抱える。睡眠不足による疾患リスク上昇や生産性・創造性の低下などが注目され、さらにコロナ禍にあって、睡眠を改善することの重要性が高まっている。こうした状況に応えるため、「予防ヘルスケア×AIテクノロジー(人工知能)」に特化したFiNCのテクノロジーと、帝人フロンティアのセンシングおよびデータ解析の技術を融合させ、新たな睡眠サービスの開発に至った。

「スリープ コンシェルジュ」の表示画面
「スリープ コンシェルジュ」の表示画面

 「スリープ コンシェルジュ」は、睡眠サービスのプラットフォームとして、睡眠ログの管理や評価、改善のためのアドバイス、情報提供などのサービスを行う。

 主な特長として、①睡眠状態を可視化:「MATOUS SS」は、身体に装着することなく、寝具の下に設置して就寝するだけで体動情報やバイタルサインの計測が可能。入眠から起床までの睡眠時間管理や、睡眠の深さ、中途覚醒、寝返りなどの睡眠の質の判定を行い、心拍数や呼吸数といったバイタルサインとともにアプリ上でグラフ化・スコア化し、データを解析した上で専門家が監修したアドバイスを受けられる。

 ②日報・月報で確認が可能:データ解析により毎日の睡眠状態を評価するとともに、それらを月単位で時系列表示。睡眠習慣をグラフ化し、データに基づくアドバイスから、利用者が気づかない課題を見える化し、改善のポイントを確認できる。

 両社は今後、ビッグデータの解析により、利用者の睡眠課題の解決をサポートするための製品開発を進めるとともに、FiNCが提供する健康経営向けのサービス「FiNC for BUSINESS」と連動した新たな健康ソリューションの開発を進めていく。

積水化学工業 抗ウイルススプレー、コロナ不活化効果が持続

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2021年3月2日

 積水化学工業は1日、100%子会社である積水マテリアルソリューションズが、「抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレー」について、新型コロナウイルスへのウイルス不活化効果の持続性を確認したと発表した。

 同社は、試験を外部研究機関である奈良県立医科大学医学部微生物感染症学講座およびMBTコンソーシアムで実施。①一定の条件下で同スプレーを新型コロナウイルスに一分間接触させると、ウイルス感染価が99%以上減少、②一定の条件下で同スプレーを噴霧したフィルムは、1カ月後に新型コロナウイルスを5分間接触させると、ウイルス感染価が99%減少、といった試験結果を得た。

 これらの成果により、同スプレーおよびその噴霧フィルムは、新型コロナウイルスを短時間で不活化することが判明した。また、1カ月静置させた噴霧フィルムで効果があったことから、不活化効果の長期継続も期待される。

三菱ケミカル 「ソアロン」を使用したアパレルブランド展開

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2021年3月2日

 三菱ケミカルは1日、同社初となるアパレルブランド「age3026」(エイジ・サン・マル・ニー・ロク)を立ち上げ、同日から公式サイトにて販売を開始したと発表した。

ソアロン使用したアパレルブランド
ソアロン使用したアパレルブランド

「age3026」は、クリエイティブ オフィス イオのプロデュースの下、身近な5年先の未来である2026年を考えることから始めて、「千年先の未来まで美しい世界を紡いでいきたい」という想いを込めて立ち上げたアパレルブランド。

 木材パルプを原料として、三菱ケミカルのみが生産するトリアセテート繊維「ソアロン」を使用することで、環境へも配慮した高品質な服を完全受注生産する。また、「ボーダーレス」「ジェンダーレス」「トレンドレス」の3つの「レス」をコンセプトに掲げ、新しい時代、新しい暮らしに寄り添うようにデザインしている。

 三菱ケミカルはこれまで、天然原料と化学の力を組み合わせることで、サステナブルかつ機能的な新素材を多数開発してきた。今後も、「ソアロン」や「age3026」の提供を通じて、新たな時代に生きる一人ひとりに寄り添った事業を展開するとともに、環境課題の解決に貢献していく。

アパレルブランド「age3026」ロゴ
アパレルブランド「age3026」ロゴ

 

DSM 畜産分野の温室効果ガス排出削減の活動を開始

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2021年3月1日

 DSMはこのほど、戦略的イニシアチブ「We Make It Possible」の一環として、畜産分野の温室効果ガス(GHG)排出削減に関わる活動を開始した。この活動は国連が掲げるSDGsの実現に寄与する同社のコミットメントを表している。

 畜産業界で実現すべきこととしては、GHGであるメタンの削減、また、土地の富栄養化を招き、その結果として生物多様性を減少させるアンモニアの元となる亜酸化窒素の排出量を直積的かつ間接的に減らすことが挙げられる。

 同社は、バリューチェーンのあらゆる段階で排出量を削減できる革新的なソリューションを提供。環境への窒素化合物流出を飼料の配合に応じ7~17%減少させる「Ronozyme ProAct」、養豚から発生するアンモニア排出量を最大17%減少させる「VevoVitall」、環境へのリン排出量を減らす「Ronozyme HiPhos」、養牛のメタン排出量を30%以上減少させる「Bovaer」、アンモニアの年間排出量26%減、抑臭効果48%でカーボンフットプリントの削減につながる「Digestarom」(バイオミン社)などを展開している。

 DSMアニマルニュートリション&ヘルスのIvo Lansbergenプレジデントは、「畜水産業を営む人々が、動物性タンパク質を適正価格で販売でき、世界中の人々が手頃な値段で購入することができるモデルにシフトする必要がある。そして、このモデルで最も重要なのは、畜産による環境への負荷(温室効果ガスの排出、家畜排せつ物による水質汚染、生物多様性への影響)を大幅に削減することだ」とコメントしている。

旭化成など スマートセルで原料酵素の生産性向上を実現

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2021年3月1日

 旭化成ファーマ、NEDO、産総研は25日、植物や微生物の細胞を用いて高機能品を生産するスマートセル技術を活用し、体外診断用医薬品の原料となる酵素「コレステロールエステラーゼ」の 生産効率向上に成功したと発表した。

 今回構築したスマートセル は、従来の微生物(野生株)と比べ30倍以上の生産能力を持つ。これにより、生産工程における電力消費量も低減できるため、CO2排出量を年間約23t削減(従来比約9.6%削減)する効果も期待できる。

 病院での診察や健康診断では、多くの体外診断用医薬品が使用されている。その1つである生化学検査試薬は大半が 酵素を主な原料としており、酵素の働きを用いて体内の物質の濃度を測定する。

 血中コレステロールを測定するコレステロールエステラーゼは、微生物のバークホルデリア・スタビリスなどから菌体外に分泌・生産されることが知られている。ただ、この野生株における分泌は複雑に制御されていることから、従来法に基づいた大腸菌を宿主とした遺伝子組換え技術による高生産化は困難。

 野生株を育種する古典的な方法での高生産化が試みられてきたが、生産量は野生株の約2.8倍までしか上昇させることができず、国際競争力があり低コストで高い生産効率が見込まれる新たな技術の開発が求められていた。

 こうした中、3者は2016年度から、生物細胞が持つ物質生産能力を人工的に最大限まで引き出し、最適化した細胞(スマートセル)を使って省エネルギー・低コストで高機能品を生産するスマートセルプロジェクトに取り組んできた。

 そして今回、新規構成型プロモーターと宿主バークホルデリア・スタビリスの機能改変を組み合わせることで、コレステロールエステラーゼの生産能力を野生株の30倍以上に引き上げたバークホルデリア・スタビリススマートセルを構築することに成功。これにより年間に使用する培養量と製造回数を削減しても従来と同量のコレステロールエステラーゼ生産が可能となった。

 旭化成ファーマは今後、このスマートセルで生産したコレステロールエステラーゼを早期に事業化し、高機能な化学品や医薬品原料などを生産する「スマートセルインダストリー」の実現を目指す。

スマートセル技術でコレステロールエステラーゼ の生産効率を向上
スマートセル技術でコレステロールエステラーゼ の生産効率を向上

 

ポリプラスチックス 医療用途に適した高流動グレードPOMを開発

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2021年2月26日

 ポリプラスチックスは25日、「DURACON POM(ポリアセタール)」について投薬デバイスなどの用途に適した新たな高流動グレード「PM27S01N」を開発したと発表した。

 POM材料のトップサプライヤーである同社は、医療およびヘルスケア市場向けの「PMシリーズ」を展開。今回、投薬デバイスなどの用途に適した新しい高流動グレードをラインアップに追加。新グレードはより複雑で高機能に発展しつつある様々な医療器具のさらなる薄肉化・小型化・軽量化に貢献することが期待される。

 すでに発表されている医療向け標準粘度タイプの「PM09S01N」と同様に、新グレードも医療機器メーカーの代表的な要求事項(ISO10993および米国薬局方クラスⅥの規格に準じた生体適合性/細胞毒性試験、FDAドラッグマスターファイル(DMF)およびデバイスマスターファイル(MAF)への登録、欧州委員会規則(EU)の食品接触プラスチック規制など)に対応。また、この材料はVDIガイドライン、VDI2017医療グレードプラスチックへの準拠を含む厳格な品質管理システムにも準拠している。

 医療・ヘルスケア市場では、常により信頼できる高品質の材料が求められている。そのような要求に応えて、同社は、高純度の「TOPAS COC」材料を長年にわたり市場に提供。「TOPAS」も各国の医療や食品接触の規制に適合しており、薬剤や薬液と直接接触する医療用容器や投薬デバイスなど幅広い用途に用いられている。同社は医療向けPOM材料とCOC材料を共にもつ、世界で唯一のエンプラメーカー。顧客のニーズに合わせて、さらに広い分野でソリューションを提供していくことを目指す。

ブルーイノベーション ドローンのサブスクを先行受付

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2021年2月25日

 ドローンを活用したサービスを展開するブルーイノベーションは24日、工場・プラント施設点検に特化したドローン本体と、運用サポートや保守メンテナンスなどをセットにした「工場・プラント施設点検向けドローンのサブスクリプション型サービス」の法人向け先行受付を開始したと発表した。なお、サービスの提供開始は3月中旬を予定している。

ドローン・サブスクのサービス開始
ドローン・サブスクのサービス開始

 近年、工場やプラントでは設備老朽化による点検数増加への対応が求められているが、現在は人による目視点検が主流で手書きのチェックリストが使用されている。そのため点検に多くの人員と時間を要するだけではなく、「危険な点検作業が伴う」「日単位の膨大な点検作業とコストが発生」「結果がデジタル化されず属人的に管理」といった課題がある。

 このような人手依存、効率化の限界、安全性などの課題の解決を目指し、多くの企業が点検作業へのドローン活用を検討しているが、高額な導入コストと煩雑なメンテナンス、点検作業ができるドローン操縦者が社内にいないことなどが導入の妨げだ。

 ドローン・サブスクのサービス開始こうした中、同社は、ドローンを活用した施設点検の普及に向け、石油化学や製鉄、電力、環境、製造などの設備点検に特化したドローン本体と、運用サポートや保守メンテナンスをセットにしたサブスク型サービスを3月中旬から提供。同サービスを利用することで、法人ユーザーはドローンを資産計上せずに経費処理できる財務上のメリットが得られる。また、工場・プラント設備点検にドローンを導入する選択肢が広がることで、状況に応じた柔軟なドローンの導入が可能になる。 

 今後、同社は、同サービスの導入を積極的に提案し、ドローンの導入から運用サポートまでをワンストップで提供することで、工場やプラントなどの施設・設備点検作業のデジタル化と安全で柔軟な点検体制、低コストでの点検運用の実現をサポートしていく。

 

日本ゼオン 蓄電池向けセパレータ用接着剤、採用が拡大

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2021年2月25日

 日本ゼオンは24日、リチウムイオン電池の電極とセパレータを接着させる接着剤「AFL」の本格的な展開を開始したと発表した。

 同社は、正極と負極がセパレータで絶縁されたシート形状を巻き取ってコイル状にした捲回体を一体化する技術の実用化を推進。同接着剤を用いることでパウチ型セルの課題である電極間距離の維持を解決し、蓄電池の長寿命化と低コスト化の実現に貢献していく。

 パウチ型のリチウムイオン電池は、使用を重ねることで残留応力などの影響により電極とセパレータの間に隙間が発生し、正負極間でのリチウムイオンの移動が阻害され、電池寿命に影響が生じる課題があった。同社が販売している接着剤「AFL」は、セパレータに塗布することで電極間距離を維持できることに加え、温度や圧力など任意の条件に合わせた接着が可能でプロセスへの適合性が高いという特長をもつ。

 さらに、「AFL」を適用することで、電池製造プロセスでも多くのメリットがもたらされる。捲回体を熱プレスなどで一体化することで、製造工程内の搬送を高速化させ、また、大型サイズの電池であっても電池容器への挿入が容易になるなど、電池の生産性向上に大きく貢献している。

 普及が進む積層型電池の積層体では、層間のズレや折れなどの発生による歩留まり低下の課題を抱えていたが、「AFL」を使用して層を一体化させることにより、ハンドリングが向上しプロセスの高速化にも役立っている。

 なお、これら成果の詳細については、3月に東京ビッグサイトで開催される展示会「二次電池展(バッテリ―ジャパン)」の講演で発表する予定。ゼオングループは、これからも持続可能な社会の実現に向けて蓄電池産業の発展に寄与していく。