大陽日酸 米政府系研究機関にMOCVD装置が採用

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2021年5月25日

 大陽日酸はこのほど、米国の政府系研究機関であるサンディア・ナショナル・ラボラトリーズに、2台目となるMOCVD装置を納入することが決定したと発表した。

 米国エネルギー省傘下にある同研究機関は、国家の安全保障やエネルギー、環境技術、経済競争力に関するR&Dを担当する機関であり、ガリウムナイトライド系の化合物半導体研究に関しては世界でも最高レベルにある。

 今回、同研究機関が2014年に続いて2台目となる同社のMOCVD「SR-4000HT」の採用を決定した。この装置はパワーエレクトロニクスおよびUVオプトエレクトロニクスのデバイス開発促進に必須となる高品質なアルミニウムガリウムナイトライド(AlGaN)やアルミニウムナイトライド(AIN)の製造に用いられる。同研究機関に再度採用されたことは、同社のMOCVD装置が高度で安定した性能をもつことが評価されたことによるもの。

 同社は、同研究機関の先進的な技術開発を今後も継続的に支援することで、MOCVDの優位性をさらに高めていく。

花王 再利用で新事業、廃PET利用の舗装改質剤を展開

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2021年5月24日

 花王は、豊かな生活文化の実現と社会のサステナビリティへの貢献を目指し、社会インフラ構築に寄与する研究開発に取り組んでいる。その一環として、再利用により新事業を創造する〝ポジティブリサイクル〟の実現に向け、廃PET(廃棄処分されるポリエチレンテレフタレート素材)を原料の一部に使用したアスファルト改質剤「ニュートラック5000」を開発し、昨年12月から展開を始めた。

「ニュートラック 5000」が採用された市道
「ニュートラック 5000」が採用された市道

 同製品は、舗装に対してわずか1%配合することで舗装の耐久性を約5倍に向上させるもので、同社の実験では、配合したアスファルト舗装の強度が増すために、舗装からの粉塵の発生を80%抑える効果も確認している。

 今年1月、ウエルシア薬局が運営する新店舗ウエルシア藤沢用田店(神奈川県藤沢市)の駐車場舗装に初採用され、3月には、自治体として初めて静岡県磐田市への採用が決まり、市道舗装に使われた。同市道は大型トラックの通行量が多く舗装の劣化が顕著だったが、今回「ニュートラック5000」のアスファルト改質効果により舗装の耐久性、耐油性、耐水性が向上することで、修繕回数の低減と舗装ライフサイクルコストの削減が期待されている。

 花王と磐田市は、改修した道路の経年変化を確認しつつ、市内の道路への採用を継続的に進めていく予定だ。近い将来予測されている全自動運転時代では車輪が同じところを通るため、アスファルト舗装の劣化速度が早まると考えられており、今以上に道路の高耐久性が求められてくる。

 同社は今後、この技術をグローバルに展開していくとともに、ヒトへの安心・安全の提供と豊かな持続的社会の実現に向けた取り組みを推進していく考えだ。

 

三井化学 丹青社と協業開始、感性価値高めフィルム開発

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2021年5月24日

 三井化学はこのほど、丹青社との協業により、フィルム越しに見える景色を自然な見え方ながら色鮮やかに見せるポリエステルベースのウインドウフィルム「ポジカフィルム」を開発したと発表した。両社は、より豊かな空間体験の提供を目的に協業を開始。三井化学の最先端テクノロジーと丹青社の空間づくりのノウハウを組み合わせることで、感性に着目した共同開発を推進している。

『ポジカフィルム』による視覚効果(イメージ写真)
「ポジカフィルム」による視覚効果(イメージ写真)

 第1弾は、三井化学がメガネレンズ材料分野で培った、より良い視界を追求する「くっきり色素」技術により同製品を開発した。同技術は、可視光の黄色領域を特定の割合で選択的にカットするため、彩度が向上し、黄ばみのない白さを引き立たせる。「ポジカフィルム」を窓に貼ると、青空や海、緑の木々や赤い花などの色を濃く鮮やかに感じたり、青空に浮かんだ雲の白さをより白く感じたりするほか、肌色を血色よく見せる効果などが現れる。

 今後は、リゾートホテルやブライダル施設の窓ガラス、博物館のショーケース、店舗・商業施設のショーウインドウ、オフィスの窓ガラスや照明などへの展開を見込む。三井化学・研究開発本部長の柴田真吾常務執行役員は、「当社グループには多くの素材や技術があるが、これからは機能的価値の追求だけではなく、それらがいかに人々にとっての良い生活やライフスタイルの提供につながるかを提案していくことが重要だ」と話す。

 今回の協業では、三井化学の特定波長カット技術を感性価値に高めた。これを皮切りに「研究開発からスピード感をもって事業開発に繋げていく事例を数多く輩出していきたい」(柴田常務)と協業に期待感を寄せた。

 また、丹青社・企画開発センター企画部の菅波紀宏部長は、三井化学の最先端の化学・素材の力と、丹青社の「こころを動かす空間」づくりの共創を強調する。両社の協業を通じ、利用者の五感に訴えかける新たな体験価値の創出を目指していく考えだ。

 なお、「ポジカフィルム」は、三井化学の100%子会社、三井化学ファインが今年9月からの販売を予定する。

 

DICプラスチック 折りたたみ型防災用ヘルメットを新発売

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2021年5月24日

 DICの子会社であるDICプラスチックは21日、防災の様々なシーンで活用できるヘルメット「IZANO(イザノ)2」を6月3日から販売開始すると発表した。発売後1年間で7億円の売上を目指す。

折りたたみ型防災用ヘルメット「IZANO2」
折りたたみ型防災用ヘルメット「IZANO2」

 初代「イザノ」は、東日本大震災を契機として企画をスタート。長年、産業用ヘルメットを手掛けてきた同社は、「ヘルメットらしい外観」、「現場でも使える保護性能」、「誰でも簡単に使える」をコンセプトに据え、性能と美しさを両立し2013年に上市。翌年にはグッドデザイン賞も受賞し、累計100万個以上を販売した。

:「IZANO2」折りたたみ
「IZANO2」折りたたみ

 その間、類似コンセプトの競合製品が登場しているが、新開発の「イザノ2」ではそれらを凌駕するスペックを具現化。収納性をより高めることで現場での使い勝手が向上するとともに、子供サイズにも対応し、より多くの人の安心・安全に寄与する製品へと進化した。特長として、折りたたみ時の厚み63㎜(従来品比23%減)、ヘルメットの内装部品交換が可能、子供から大人まで幅広いサイズ調整が可能、などが挙げられる。

ランクセス PA6が新型の自動車用オイルパンに採用

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2021年5月21日

 ランクセスはこのほど、高性能プラスチック「デュレタンBKV35H2.0」(ポリアミド6)が、独IBSフィルトラン社開発の自動車用プラスチック製トランスミッションオイルパンに採用されたと発表した。この最新式オートマチックトランスミッションは、様々な自動車メーカーの車両への導入が進められている。

 ポリアミド(PA)は、トランスミッションオイルパンの軽量化、コスト削減につながる機能統合、デザインの自由度など、従来の鋼板やダイカストアルミニウムと比べて多くの利点をもつ。特にPA66は大型射出成形部品の量産に広く使用される。しかしPA66はここ3年間あまり、主原料のアジポニトリル不足のために時折価格が高騰し、十分な量を確保できない場合もある。

 PA6は性能プロファイルが近く、有望な代替候補。今回PA6が採用された理由は、性能(耐熱性、耐油性、堅牢性、表面品質)と価格だ。ガラス短繊維強化(35重量%)PA6の耐油・耐熱性を、様々なトランスミッションオイルで150℃耐久性テストで評価した。経年変化は同等のPA66と同じで、耐衝撃性と破断伸度は若干優れるため飛び石にも対応できる。表面特性も優れておりガスケットの効果性は高い。収縮も少ないため反りが少なく、溶着性も良好で確実な耐圧性能が得られる。トラック用オイルパンやシリンダーヘッドカバーの量産や開発も増加している。

 ランクセスはオイル循環経路用の製品も拡充し、廃ガラスから製造した再生ガラス繊維を各々30、35、60重量%含有した製品が加わった。これらはリサイクル材料の含有率によるISO準拠の「ecoloop」認証を取った。また、XTSシリーズは長期熱抵抗性(230℃まで可)に優れ、触媒コンバーターの近くに設置されたトランスミッションのオイルパンにも、デフレクタープレート無しで使用できる。

 なお、今回のオイルパン開発には、HiAntエンジニアリングサービスを通じた包括的サポートを行い、飛び石などのトランスミッションオイルパンへの重大な負荷事例のシミュレーションや完成品を使った試験検査などを提供した。

 

ブリヂストン 匠の技を伝えるDXシステムを開発

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2021年5月21日

 ブリヂストンはこのほど、ノビテック(東京都渋谷区)と共同で航空機用タイヤや建設・鉱山車両用タイヤの「モノづくり領域」で、匠の技を伝えるシステムを開発したと発表した。タイヤの成型作業に必要な暗黙知をデジタルで形式知化・定量化し、熟練技能員の匠の技を確実かつ効率的に伝承する。既に久留米工場(航空機用タイヤ生産)と北九州工場(建設・鉱山車両用タイヤ生産)に本格導入し、タイ工場(航空機用タイヤ生産)にも今年上期中に展開する予定だ。

 現場の匠達による膨大なデータや経験が支える「ゴムを極める(見る・解く・操る)」技術とデジタルを融合し、より大きなデータで、より早く、より容易に、より正確に「断トツ商品」「断トツソリューション」に繋げるために、市場・顧客情報をエンジニアリングチェーンに繋ぐ市場・顧客接点と、技術イノベーションを進める「素材開発~製品開発~モノづくり」全体で、DXに取り組んでいる。

 航空機用と建設・鉱山車両用のタイヤには過酷な使用環境に耐える高品質・高性能が求められ、メーカーの総合的で高度な技術力が反映される。構成部材が多く、成型工程の作業ステップ数は乗用車用タイヤの15倍以上で、高度な熟練スキルが必要。成型作業の不具合は製品不良に直結するため、技術の伝承がグローバル供給体制の構築の課題となる。

 今回開発した技能伝承システムは、作業の動きをモーションカメラや慣性・圧力センサーで計測し、新人と熟練技能員の差を作業ステップ毎に可視化・評価する。弱点を繰り返し訓練することで、効率的に技能を習得できる。熟練スキルを標準化することで、高品質な商品を安定供給できる。

 同社は独自のソリューション事業を進め、航空機ソリューションではタイヤ摩耗予測技術による航空機整備作業の効率化や生産・使用段階のCO2排出量削減に、鉱山ソリューションではタイヤの温度・空気圧データと車両の位置・速度データの統合・分析による車両の運搬効率や資源生産性の向上、鉱山オペレーションの最適化などに貢献している。

 今後もタイヤ・ゴムの知見と様々なパートナーの知見を融合し、技術を伝承しながらイノベーションを加速させ、社会価値・顧客価値を共創していく考えだ。

帝人 PPS使用のテープ状炭素繊維プリプレグを開発

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2021年5月21日

 帝人はこのほど、欧州で炭素繊維事業を展開するドイツのテイジン・カーボン・ヨーロッパ社が、一方向性の炭素繊維プリプレグ「テナックス TPUD」の新製品として、母材にポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を使用した、テープ状の炭素繊維プリプレグを開発したと発表した。

 今回の開発品は、既に市場展開しているポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂やポリアリールエーテルケトン(PAEK)樹脂を使用した製品と同様に、耐薬品性、耐熱性、リサイクル性、低吸水性、寸法安定性、高温下での耐クリープ性および短時間成形や室温での貯蔵、出荷を可能にするなどの特性を備えながら、これまでの製品よりも低い温度での成形が可能という特長がある。

 これによりPPS樹脂を使用した炭素繊維プリプレグは、高い費用対効果を発揮しながら、要求特性の厳しい航空機用途や自動車用途をはじめ、石油・ガス産業用途、スポーツ用途、医療用途、産業機械用途などに向けたソリューション展開が可能。さらに難燃性と低発煙性能にも優れることから、航空機や鉄道車両の内装用途にも使用することができる。また、ATLやAFPといった技術で自動積層し、オーバーモールド成形により複雑な形状を付与するなど、より高度な技術に対応し、生産効率の向上により製造工程のコスト効率向上にも大きく寄与する。

 帝人は、これまでPEEK樹脂やPAEK樹脂を母材としたテープ状の炭素繊維プリプレグを展開してきたが、母材にPPS樹脂を使用した「テナックス TPUD」をラインアップに加えることで、これまで以上に幅広い分野への展開が可能となった。

 今回の開発を契機として、高い性能と生産効率の両立という顧客ニーズへの対応力を強化するため、様々な「テナックス TPUD」製品を提供するとともに、持続可能な社会の実現に向けたソリューション提供を強化し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指していく考えだ。

三井化学 バイオナフサでCNとバイオプラ加速、日本初

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2021年5月21日

 三井化学は20日、2050年のカーボンニュートラル(CN)の実現に向け、フィンランドにある世界有数のバイオマス燃料製造会社であるネステ社(Neste)および豊田通商とバイオマスナフサの調達に関する売買契約を締結したと発表した。

バイオナフサは、ネステ社のシンガポール製油所(写真、同社ウェブサイトから)やロッテルダム製油所などで生産されている
バイオナフサは、ネステ社のシンガポール製油所(写真、同社ウェブサイトから)やロッテルダム製油所などで生産されている

 今年10月以降をめどに大阪工場(大阪府高石市)のエチレンプラント(クラッカー)に、日本で初めて原料としてバイオマスナフサの投入を予定。エチレン、プロピレン、C4留分、ベンゼンといったバイオマス基礎原料を生産する。同時に、マスバランス(物質収支)方式によるバイオマスナフサを原料とした、既存品と同等品質のフェノールなどのバイオマス化学品や、ポリオレフィンをはじめとしたバイオマスプラスチックの製造とマーケティングを開始する。調達量は、来年3月までの今年度中に1万tを計画。価格は石油由来ナフサの2~3倍程度になる見込みだ。

 ネステ社は、リニューアブル・ディーゼル(発展型再生可能ディーゼル)では世界トップのシェアを誇るバイオマス燃料のサプライヤー。同社のバイオマスナフサは、植物油廃棄物や残渣油を原料に製造されており、石油由来の原料を使用しない100%バイオマス由来のナフサとなる。今回、バイオマスナフサを使用することで、原料からプラスチック製品が廃棄されるまでのライフサイクルでのCO2は、石油由来ナフサ使用時に比べて大幅に削減されることが期待される。

 一方、バイオマス認証については、三井化学と豊田通商は、バイオマス認証制度として欧州で広く採用されているISCC認証を取得する予定だ。同認証はEUのバイオマス燃料などの認証としてすでに広く認知されており、複雑な生産工程をもつサプライチェーンのバイオマス化を推進させるマスバランス方式の有効な認証制度。バイオマス原料の割合を認証済みの手法で最終製品に割り当てることで、顧客の意思により使用原料のバイオマス化を選択できる。

 三井化学は昨年、総合化学メーカーとしていち早く「2050年のCN」を宣言し、循環経済の実現に向け、化学品・プラスチックのリサイクルとバイオマス化の両輪を進めている。地球温暖化対策に貢献するバイオマス化は、CN実現に向けて重要な戦略課題と捉えており、素材・プロセスの開発とともに、ステークホルダーとの対話を通じてバイオマスの社会への実装を推進している。3社は今後連携を深めながら、日本での国産バイオマスプラの新市場創出を図っていく考えだ。

マスバランス方式によるバイオマス割り当てのイメージ
マスバランス方式によるバイオマス割り当てのイメージ

 

 

東レ 高熱伝導CFRP創出、金属と同等の放熱性

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2021年5月21日

ヒートマネジメント設計が可能、適用拡大を図る

 東レは19日、炭素繊維複合材料(CFRP)の放熱性を金属同等まで高める高熱伝導化技術を創出したと発表した。同技術をCFRPに用いた場合、熱源からCFRP内部の熱伝導経路を通って効果的に放熱することができ、モビリティ用途におけるバッテリーの劣化抑制、電子機器用途のパフォーマンス向上などに貢献できる。同社はすでに同技術の提案を開始。顧客ニーズに合わせてカスタマイズを行っており、数年内に製品化を目指していく考えだ。

高熱伝導化技術を適用したCFRP構造
高熱伝導化技術を適用したCFRP構造

 CFRPは軽量で高強度、高剛性の特長をもち、航空機、自動車、インフラ部材、スポーツ用品、電子機器などに広く使用されている。自動運転や電動化など、CASEに代表される次世代モビリティ用途では、充電時の発熱によるバッテリーの劣化を防ぐため、構造材料であるCFRPの放熱性向上が求められている。CFRPの熱伝導性はアルミ合金などの金属に比べ劣っているため、金属よりも熱伝導性に優れたグラファイトシート(GS)を表面や内部に配置することで放熱性を改善するアプローチが取られている。しかし、

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JNC 津留発電所が営業運転を開始、改修工事が完成

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2021年5月20日

 JNCはこのほど、熊本県上益城郡山都町に所有する水力発電所(津留発電所)の改修工事を完成させ、営業運転を開始したと発表した。

水力発電設備
水力発電設備

 同社グループは、環境・エネルギー分野を重要な事業ドメインと位置づけている。国内に13カ所の水力発電所(最大出力合計9万8000kW、3カ所の太陽光発電所(同5100kW)を保有し、再生可能エネルギーによる発電事業に取り組んでいる。今回、2013年より進めている水力発電所の大規模改修工事において、津留発電所が営業運転を開始した。一連の大規模改修工事では、10カ所目の営業運転開始となる。水車・発電機を高効率の機器へ更新し、認可取水量を変えずに出力を400kW(約4%)増強した。

 同社の水力発電所は全て「流れ込み式」を採用。河川水からごみを取り除いた後に、水路を通して水槽へ導き、水圧鉄管を落下させることで水車を回して発電する仕組み。大規模なダムを必要としないため環境負荷が低く、CO2排出量が少ない、貴重な純国産のエネルギーと言える。

 同社は、これまで培ってきた発電技術を生かし、周辺環境に配慮しながら、将来にわたり安定したエネルギーの供給で持続可能な社会に貢献していく。