出光興産 超小型EVとモビリティサービスのサイトを開設

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2021年7月5日

 出光興産は2日、出光タジマEVを通じて2022年中の発売を目標に開発を進める超小型EV「IDETA(イデタ)」と、出光興産が展開するモビリティサービスの情報を段階的に公開するティザーサイト(https://www.idemitsu.com/jp/business/idemitsutajimaev/index.html)を公開したと発表した。

超小型EVとモビリティサービスのティザーサイト
超小型EVとモビリティサービスのティザーサイト

 現在開発中の超小型EVは、低速で小回りが利く近距離移動に特化した次世代モビリティ。子どもの送迎や通院、買い物など、子育て層や免許返納に悩む高齢者が安心して利用することができる。インターネットとつながる車載器の装備でコネクテッド化を図り、新たなテクノロジーを掛け合わせた様々な新サービスの開発・提供を目指す。

 出光タジマEVは、次世代モビリティとモビリティサービスの開発を目的に、出光興産とタジマモーターコーポレーションが共同で今年4月に設立。超小型EVを核とする新しいカテゴリーとなるモビリティの提供を通じて、移動に関わる地域課題の解決を目指す。今回オープンするティザーサイトには、順次最新情報をアップデートしていく。なお、提供するモビリティサービスの詳細については、年内に正式発表する計画。

 

 

ダウ テキサス州にMDI蒸留・プレポリマー設備を建設

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2021年7月2日

 ダウはこのほど、米国テキサス州フリーポートにある世界規模の製造拠点に、MDI蒸留・プレポリマー統合生産設備を建設すると発表した。

 今回の投資により、川下のポリウレタンシステム製品の需要拡大をサポートするとともに、GDPを上回る成長を遂げている建設、コンシューマー、各産業の市場をターゲットに、魅力的な用途でのダウの主導的ポジションを推進する。フリーポートの新しいMDI設備は、テキサス州ラ・ポルテにある現在の北米での生産能力を代替するものであり、供給能力は30%強化される。なお、2023年に見込まれる新MDI施設の操業に合わせて、ラ・ポルテ拠点のポリウレタン設備は閉鎖される予定だ。

 一方、フリーポートの新設備は、環境面でも優れている。原材料の輸送がいらず、また既存の熱エネルギーの利用により火力発電が不要となり、CO2排出量を削減。水の利用量についても、生産効率の向上により取水量と廃水排出量を削減する。

 ダウの広範なポリウレタンシステムの製品群は、硬質、半硬質、軟質フォームや塗料、接着剤、シーラント、エラストマー、コンポジット製品を生産するために、主要なポリウレタン・コンポーネントの供給を強化する。その用途は、工業およびインフラ向けのソリューションから床材、家具、寝具、フットウェア分野で消費者に快適さを届けるソリューション、自動車の内装やエネルギー効率の高い絶縁材料などのソリューションにまで及んでいる。

 ダウの工業中間体とインフラストラクチャー事業部門プレジデントであるジェーン・パルミエリ氏は、「今回のMDIへの投資は、既存のインフラを最適化し、ポリウレタン分野での当社の世界的リーダーとしての地位を強固なものとし、川下のシステムのお客様に対し成長をさらにサポートすることが可能になる。また、フリーポート拠点での統合によって、川上の主要なポリウレタン原料をコスト競争力のある形で供給し、川下における高価値ポリウレタン市場での当社の成長をサポートする信頼性の高い供給ポジションを確保するとともに、よりサステナブルな生産工程を実現する」と述べている。

NEDOなど 持続可能な代替航空燃料を定期便に供給

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2021年7月1日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などはこのほど、木くずや微細藻類から製造したバイオジェット燃料を、持続可能な代替航空燃料(SAF)として定期便に供給したと発表した。

SAF実証事業 バイオ燃料一貫製造プロセス
SAF実証事業 バイオ燃料一貫製造プロセス

 国際民間航空機関(ICAO)や国際航空運送協会(IATA)は、温室効果ガスの排出量削減による地球温暖化抑止対策を共通のテーマとして掲げており、持続可能なSAFの導入は有効な手段の1つとして位置づけられている。

 こうした中、NEDOはSAFの商用化を視野に、原料となる木くずの調達および微細藻類の培養から純バイオジェット燃料まで一貫製造する体制の実証と、航空機への給油までを含めたサプライチェーンを具体化させることを目指し、2017年度から「バイオジェット燃料生産技術開発事業」を推進。

 固体の木質セルロースをガス化した後に液体燃料を合成するガス化FT合成技術では、JERAの施設内に建設したパイロットプラントで原料に木くずを使用し、SAFを一貫製造する実証試験を実施。JERAが原料調達とオペレーション、三菱パワーが原料のガス化、東洋エンジニアリングが生成ガスの液体炭化水素燃料化(FT合成)・蒸留と混合以後のサプライチェーン構築を担当し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)がSAFの性能特性試験を実施した。

 一方、微細藻類由来の油を精製する水素化精製技術では、IHIが鹿児島の既存施設とタイに新設したパイロット屋外培養施設を使い、大規模培養からSAF製造までの一貫製造技術の確立と以後のサプライチェーン構築に取り組んだ。いずれも、SAFの国際規格「ASTM D7566」への適合を確認している。これらの成果を踏まえ、両技術で完成したSAFを羽田空港出発の定期便に供給した。

 NEDOは引き続きSAFの大規模安定技術や製造コスト低減に向けた効率的な製造プロセスの確立を目指して、SAF生産研究開発事業を実施していく。これにより2050年カーボンニュートラルへの道筋を示し、航空分野の温室効果ガスの排出量削減に貢献する。

三井化学SKCポリウレタン 徳山で再エネ電力購入開始、CN強化

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2021年7月1日

 三井化学SKCポリウレタンは30日、徳山工場(山口県周南市)で使用する電力として、再生可能エネルギー電源(水力・太陽光・バイオマス発電)によるCO2排出量ゼロ電力の購入を6月から開始したと発表した。中国電力から購入する電力の一部を再エネ電力に切り替えることで、GHG(温室効果ガス)排出削減の実現に貢献していく考えだ。

 同社はカーボンニュートラル(CN)を目指し、①自社でのGHG排出削減とカーボンネガティブなどによるCNの実現、②製品提供による社会や顧客への貢献、の2本の柱を推進している。今後も、高機能ポリウレタンカンパニーを目指すと同時に、CNへの取り組みをより強化していく。

NEDOなど バッチ連続生産の医薬品製造設備を検証

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2021年6月30日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などはこのほど、バッチ連続生産方式を採用した再構成可能なモジュール型の医薬品製造設備「iFactory」(アイファクトリー)について、従来の主要な方式に比べエネルギー削減では約8割、廃棄物では従来比3~4割の削減が見込めることを確認したと発表した。

実用化に向けて開発が進められている「iFactory」のモジュール(左)と自動分析装置(右)
実用化に向けて開発が進められている「iFactory」のモジュール(左)と自動分析装置(右)

 医薬品の国内市場規模は2030年までに25.7兆円の市場に成長すると予測される。国内外を問わず、医薬品に使用される高機能化学品の多くは、バッチ式製造法により製造されるが、発生する廃棄物量やCO2量の削減と「オンデマンド生産」への適応が課題となっている。

 こうした中、NEDOが取り組む技術開発テーマの1つとして、「再構成可能なモジュール型単位操作の相互接続に基づいた医薬品製造用『iFactory』の開発」を、2018年度から開始。高砂ケミカル、田辺三菱製薬、コニカミノルタケミカル、横河ソリューションサービス、テックプロジェクトサービス、大成建設、島津製作所、三菱化工機および産業技術総合研究所(産総研)が、連続合成法とバッチ式製造法を組み合わせたバッチ連続生産方式を採用したモジュール型の医薬品製造設備「iFactory」の開発を行っている。

 これまでの検証から、バッチ連続型プロセスで実際に製造した医薬・ファインケミカルズ関連の3品目で洗浄・濃縮・晶析・ろ過が、1時間当たり10kgの生産速度で、8時間連続稼働できることを確認。また、生産工程の1つである「ろ過」を連続方式にすることで、一般的なバッチ方式の装置に比べ8時間稼働で78%、連続反応器による反応工程に導入した連続方式の設備で84%に相当するエネルギー削減効果を実現した。さらに、連続化による洗浄溶剤の使用量や切り替え洗浄の回数の大幅軽減で、従来のバッチ方式で製造した医薬・ファインケミカルズ関連の3品目で30~40%の廃棄物削減効果が見込める結果となった。

 今後はプロトタイプの製作と実証を進め、日本の医薬品製造での省エネルギー化・生産と資源の効率化に貢献する生産設備の構築と実用化を目指す。

 

ダイセル ポスト5Gシステムを開発、NEDO事業に採択

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2021年6月30日

 ダイセルはこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」について、2つの研究開発が採択されたと発表した。同社はこれを機に、エレクトロニクス実装材料の研究開発や事業化を加速し、経済産業省とNEDOが進める日本のポスト5G情報通信システムの開発・製造基盤強化に貢献する。

NEDOに採択された、「ミリ波・テラヘルツ帯向け高機能材料・測定の研究開発」概要
NEDOに採択された、「ミリ波・テラヘルツ帯向け高機能材料・測定の研究開発」概要

 「先導研究(委託)/基地局関連技術」では「ミリ波・テラヘルツ帯向け高機能材料・測定の研究開発」が採択。ポスト5Gの後半以降、ミリ波からテラヘルツ帯の高周波を利用することで通信帯域を確保し、さらなる高速大容量、超低遅延、および多数同時接続の実現が期待される。

 しかし、ミリ波(30~300G㎐)やテラヘルツ帯(300G㎐~3T㎐)では、伝送ロスによる信号品質の劣化や材料の測定技術が確立されていない。これらの課題解決に向け、同社は①次世代超ローロス低誘電材料、②平滑導体と低誘電材料の高信頼性接合、③テラヘルツ帯通信用材料の測定技術を開発する。この先導研究により、ポスト5Gの基地局向けリジッドプリント配線板の低誘電材料や接合の事業化、測定技術の標準化を目指す。

 一方、「先導研究(助成)/先端半導体製造技術(後工程技術)」では「ポスト5G半導体のための高速通信対応高密度3D実装技術の研究開発」が採択。ポスト5Gは、通信インフラからエッジデバイスまで、膨大な情報を低遅延で高速に伝達する半導体高度化技術への要求が急速に高まる。その実現には前工程の微細化加工だけではなく、複数の半導体を3次元で集積する先端後工程の重要度が増している。

NEDOに採択された、「ポスト5G半導体のための高速通信対応高密度3D実装技術の研究開発」概要
NEDOに採択された、「ポスト5G半導体のための高速通信対応高密度3D実装技術の研究開発」概要

 ポスト5G半導体に必要な高速通信対応高密度3次元実装を実現するために、①高周波対応高密度パッケージCu焼結接合技術、②高信頼・高性能ビルトアップ半導体サブストレイト技術、③高周波パッケージ導波路コネクタ技術を開発する。この先導研究により、先端後工程向けのCu焼結接合材料やバンプ形成絶縁接着材料の事業化、装置、周辺材料、プロセスなどのノウハウ組合せによるソリューションの提供、およびサブストレイト技術や導波路コネクタ技術の標準化、デファクト化を目指す。

 同社は、今後も長年培ってきた高機能材料や加工技術の強みを生かした様々な最先端の技術開発に取り組み、便利・快適な社会の実現に貢献していく考えだ。

NEDOなど カルボン酸合成技術開発、ギ酸を有効利用

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2021年6月29日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などはこのほど、計算・プロセス・計測の三位一体による技術開発スキームを活用し、高効率な触媒を使い、ギ酸とアルケンから様々な化学品の基幹原料となるカルボン酸を合成する技術を開発したと発表した。

 NEDOは超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクトに取り組み、革新的な機能性材料の創製・開発の加速化を目指している。今回、産業技術総合研究所(産総研)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、日本触媒と共同で、安全で環境に優しいカルボン酸の合成技術を開発した。

 カルボン酸は、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、高吸水性樹脂などの高分子材料、医薬品、農薬などの有用化学品の基幹原料となるため工業的な応用も期待されている。しかし、これまでに報告されている例では、高圧条件や有毒で爆発性の高い一酸化炭素(CO)を使用することや、触媒以外にヨウ化メチル(CH3I)など環境負荷の高い複数の添加剤を大量に使用することが問題となっていた。

 今回開発した技術は、従来のような高圧条件を必要とせず、有毒で爆発性の高いCOガスや環境負荷の大きい添加剤を使用しない。さらに、ギ酸はCO2と水素から高効率に合成できるので、CO2を利用したクリーンな原料とみなすこともできる。この技術が実用化されれば、CO2を炭素資源として利用するカーボンリサイクル社会実現への貢献が期待できる。

 今後、触媒系の反応効率をさらに向上させるために、ロボティクスを活用したハイスループット実験により触媒のさらなる改良を迅速かつ効率的に実施し、最終的には化学品の連続生産技術であるフロー合成に使用できる固定化触媒の高速開発を目指す。

 なお日本触媒は、新化学技術推進協会(JACI)がオンラインで開催する「第10回JACI/GSCシンポジウム」(6月28~29日)で、研究成果の詳細を発表する予定。

 

BASF 洋上風力発電利用で380万tのCO2削減

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2021年6月29日

 BASFはこのほど、世界有数の再生可能エネルギー企業RWE(ドイツ・エッセン)とともに持続可能な工業生産のためのプロジェクト案を発表した。

 両社は再生可能電力の発電施設の増設と、気候保護に向けた革新的技術の利用について広範な協力を進める。発電容量2GWの洋上風力発電施設を追加建設し、グリーン電力をBASFの本社工場に供給し、CO2フリーの水素製造と基礎化学品生産の電化を目指す。電気加熱式スチームクラッカーなどのCO2フリー技術は、すでにパートナー企業と協力して開発を進めている。これにより年間のCO2排出削減量は約380万tとなり、そのうちの280万tは同工場で実現される見込みだ。

 BASFは、気候保護と競争力の維持を両立するための、明確なロードマップだとしている。なお、風力発電施設建造への公的補助金の利用は予定していない。この計画実現には適切な規制の枠組みが必要だとし、2030年以降の使用を想定した洋上発電プロジェクト用地の入札は、産業界のエネルギー転換のための重要な入札として特別指定し、さらにグリーン電力は再生可能エネルギー法の賦課金の対象とされるべきではないと主張している。なお現時点、CO2フリーの水素生産についての規制の枠組みは定められていない。

 将来に向けた変革には、再生可能エネルギー源からの安価で十分な量の電力が必須で、政策当局と業界の間で革新的な協力体制を敷き集中的に取り組み、バリューチェーン全体での協力が必要だとしている。電力業界と化学業界をリードする両社は、このパートナーシップにより変革に求められる各種条件をまとめ、各当事者の意思を結集する考えだ。また、気候中立的な工業生産はドイツでの付加価値と雇用を維持し、新技術の輸出機会を創出していくとしている。

東洋紡 新型コロナ検査薬が製販承認を取得、来月販売へ

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2021年6月29日

 東洋紡はこのほど、新型コロナウイルス遺伝子検査試薬「TRexGene(ティーレックスジーン)SARS-CoV-2検出キット」について、厚生労働省の製造販売承認を取得したと発表した。7月中にも医療機関と検査施設向けに販売を開始する予定。

新型コロナウイルス遺伝子検査試薬。7月から販売へ
新型コロナウイルス遺伝子検査試薬。7月から販売へ

 同検査キットは、鼻咽頭ぬぐい液や唾液などの生体試料から、リアルタイムPCR装置により新型コロナウイルスのRNAを検出する。検体に含まれる阻害物質の影響を受けにくい反応組成を採用したことで、RNA精製を行うことなく、最短約75分で検体の調製から検出までを行える。昨年8月に発売した新型コロナ検出用キットを基に、体外診断用医薬品として新たに開発した。

 同社は、今後もPCR技術を応用し、新型コロナ感染症をはじめ、様々な感染症の検査ニーズに対応する製品の開発に取り組んでいく考えだ。

昭和電工 フィルムタイプの接合技術を開発、異種材料を接合

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2021年6月29日

 昭和電工は28日、樹脂と金属など異種材料を簡便かつ強固に接合するフィルムタイプの接合技術「WelQuick」を開発したと発表した。今月からサンプル提供を開始している。

異種材料接合技術「WelQuick」
異種材料接合技術「WelQuick」

 近年、素材に対する軽量性や耐熱性、強度などのニーズは単一素材では解決できないほど高度化し、樹脂や金属などの異種材料を接合して複合化するマルチマテリアル化が進展。異種材料の接合には、液状接着剤やホットメルト接着剤による接着や、ボルトなどによる機械締結があり、接合強度とともに接着プロセスの簡便化や工程の短時間化が求められているが、その両立は困難だった。

 今回開発した接合技術は、接着成分をフィルム形状にすることで、従来の反応型接着剤の液体塗布の手間を削減し、取り扱いを簡便にした上、フィルム材料の固体と液体間の相変化を利用することで、これまで数十分必要であった接着時間を数秒にすることを可能にした。

:「WelQuick」接着例
「WelQuick」接着例

 ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロンなどの樹脂とアルミニウム、鉄、銅といった金属との接着に対応し、40通り以上の基材の組み合せで10MPa以上の高いせん断接着力を確認。また、接合スピードに優れた超音波溶着、金属に適用可能な高周波溶着、汎用性が高い加熱溶着など、顧客のニーズに合わせた溶着方法が利用できる。さらに、フィルム状態で常温での長期保管が可能なことに加え、溶着時にVOC(揮発性有機化合物)が発生せず環境への負荷を抑えられる。こうした特長から「WelQuick」は、顧客のコスト低減や製造プロセスの効率化によるCO2の排出量削減に貢献する。

 同社グループは、無機・有機・アルミニウムに関する幅広い技術・素材をもち、それらを融合することで、マルチマテリアル化が進む様々な事業分野に新たなソリューションを提供し、カスタマーエクスペリエンスの最大化を目指していく。