エボニック バイオ由来原料を拡充し需要拡大に対応

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2020年12月1日

 エボニック インダストリーズ(ドイツ、エッセン)はこのほど、サステナビリティで差別化を図る製品に対する需要拡大に応え、化粧品とパーソナルケア市場向けにバイオ由来アクティブ原料のポートフォリオを大幅に拡充したと発表した。

 コレステロールスペシャリティ、マイルドで保湿力の高いα‐ヒドロキシ酸、各種ペプチド、植物エキス、天然ヒアルロン酸などのプラットフォームが新たに加わった。これら高品質アクティブ原料は、プレミアムスキンケアや高機能クレンジング、ヘアケアなど幅広い用途に使用できるように設計されている。成長部門であるニュートリション&ケアの進化をサステナビリティを原動力に後押しする。

 同社は2016年以来エアー・プロダクツ、ドクター・シュトレートマンスなど、ケアソリューション事業に関連する四つの戦略的買収を行っており、今年のウィルシャー・テクノロジー社の買収に続く大規模なポートフォリオ拡大だ。今後1年にわたり、化粧品やパーソナルケア製品向けのポートフォリオにユニークなアクティブ原料や中間体、防腐剤、誘導体を追加する予定。

 サステナビリティに加え、機能性や消費者への訴求力を高めるバイオ由来原料市場の需要拡大に対応することで、新技術プラットフォームの統合で製品群を拡大し、アクティブ原料と処方設計、バイオアナリシスサービスを提供する世界有数のサプライヤーとして確固たる地位を築く考えだ。

協和キリン 高崎工場内に新バイオ医薬品分析施設を着工

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2020年12月1日

 協和キリンはこのほど、高崎工場(群馬県高崎市)に新たな品質棟(バイオ医薬品分析施設)を着工したと発表した。

新たなバイオ医薬品分析施設(高崎工場)
新たなバイオ医薬品分析施設(高崎工場)

 高崎工場は主にバイオ医薬品を生産している工場であり、今回建設する新品質棟では、バイオ医薬品の製品、原料の品質分析などの品質管理および品質保証に関連する業務を行う。高崎工場内に分散している品質管理、品質保証の機能をこの新品質棟に集約し、業務の効率化とコミュニケーションの促進を図り、正確でスピード感のある業務を実現する。

 新品質棟には、自動コロニーカウンター、微生物迅速試験装置、ロボットテクノロジーといった国内最先端のバイオ医薬品分析設備を設置し、リキッドハンドリングシステム、サンプル自動ピッキングシステムなどの自動化・省力化設備を配備することも計画している。

 また、微生物試験の偽陽性結果を極力低減する対策として無菌試験用アイソレータを導入。最新のレギュレーションに対応した試験施設設計を実現するとともに、柔軟にレイアウトを設定・変更できるPCaPC(プレキャスト・プレストレストコンクリート)工法の採用により、新たな機器導入などにも対応可能な将来を見据えた設計とする。

 加えて、一定の距離を保つことができる大型の居室や、空間に連続性をもたせた執務空間をデザインすることで、誰もが「健康的に」「創造的に」「相互理解の下で」働ける「環境」を整備し、品質棟で業務する従業員の「カルチャー」の醸成に最適なワークプレイスを作り上げていく。新品質棟建設への投資額は約140億円で、2022年7月の完成と同年10月の稼働開始を予定している。

 協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献する。

昭和電工など プラごみをEVバイク燃料にする実証事業開始

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2020年12月1日

 昭和電工、日本マクドナルド、川崎市は30日、川崎市内のマクドナルド8店舗にて排出された使用済みプラスチックを、川崎臨海部に立地する昭和電工のリサイクル施設で低炭素水素へ再生し、マクドナルド川崎南加瀬店のマックデリバリー用のEVバイクのエネルギーとするリサイクル実証事業を開始すると発表した。実証期間は12月1日から約1カ月間。

 3者は、環境と経済を両立させた持続可能な循環型・脱炭素社会の実現に取り組む。

昭和電工:KPRプラント外観
KPRプラント外観

 

 

三菱ケミカル 低反射フェイスシールド、2種類を発売

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2020年12月1日

 三菱ケミカルは30日、グループ会社であるジェイフィルムが、従来の防曇機能に加え反射防止機能を兼ね備えたフェイスシールドを開発したと発表した。医療機関や介護施設向けに、来年1月より販売する予定。

低反射フェイスシールド2種類発売
低反射フェイスシールド2種類発売

 ジェイフィルムは、食品包装トレーに採用しているポリエステルシート製造技術や化粧品向けクリアケースの折り曲げ罫線付与技術を応用して独自形状(特許申請中)のフェイスシールドを開発し、5月より厚生労働省や医療機関などに提供している。組み立て式のため保管スペースが少ないことや防曇機能などが評価され、多くのユーザーが利用している。

 今回、ジェイフィルムは、三菱ケミカルがもつ多様な素材や技術と組み合わせることで、低コストで反射防止機能に優れた新製品を開発。脱着しやすいメガネタイプとカチューシャタイプの2種類を発売する。植物由来原料のバイオポリエステルシートを使用することで、環境負荷軽減にも配慮した。

 三菱ケミカルグループは今後も、グループの総合力を生かした製品開発を続け、「新しい生活様式」に対応した製品の提供を通じて、社会に貢献していく。

産総研 酸化チタン接合で結晶Si太陽電池の効率向上

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2020年11月30日

 産業技術総合研究所はこのほど、ドイツ・フラウンホーファー研究機構と共同で酸化チタン(TiO2)薄膜が結晶シリコン(Si)の表面欠陥を不活性化し結晶Siから正孔を選択的に取り出すことを発見。TiO2薄膜を正極側に配した結晶Si太陽電池で20%超の変換効率を実証した。

 太陽電池の9割以上を占める結晶Si型の変換効率は約20%。結晶Si内で光励起した電子と正孔を負極と正極から取り出すが、結晶表面の欠陥で電子と正孔が再結合して消滅する。表面欠陥の不活性化に使うアモルファスSi薄膜の成膜には設備投資や維持費が大きく、高効率化と低コスト化は背反する。

 今回、光関連で汎用されるTiO2に注目し、有機金属錯体と水蒸気による原子層堆積法でn型結晶Si表面に厚さ約5㎚の非晶質TiO2を製膜。さらにスズドープ酸化インジウム(ITO)透明電極と銀のグリッド電極を形成して正極とし、太陽電池を作製した。疑似太陽光を正極側から照射した際の開放電圧は、ITOのみの場合の200㎷に対し500に、TiO2成膜後に水素プラズマ処理すると670まで増加した。

 TiO2は様々な材料に対して電子選択性が高く負極に使われるが、正極としても機能した。これは欠陥不活性化能と正孔選択性が、TiO2/結晶Si界面に形成する相互混合層の組成や分布に依存するためである。このTiO2を使った太陽電池は、従来のアモルファスSi使用のヘテロ接合型結晶Si太陽電池に比べて、波長400~600㎚での高い外部量子効率と短絡電流密度の改善で、変換効率21.1%を示した。波長約400㎚以下の紫外線照射で劣化するが、非受光面に成膜した場合は劣化しなかった。p型結晶Siの非受光面に製膜した場合も劣化はなく、変換効率は20%程度。n型だけでなく汎用のp型太陽電池など様々なタイプにも応用でき、高効率・低コストの太陽電池の実現が期待される。

 今後さらなる高効率化と紫外線耐性の検討を進め、さらにTiO2/Si界面での正孔輸送メカニズムを明らかにし、無機・有機系太陽電池やSiを組み合わせたタンデム型太陽電池、光電気化学デバイス、半導体デバイスなどへの応用も検討する。

DSM モンクレールがスキーウェアにダイニーマを採用

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2020年11月30日

 DSMはこのほど、「ダイニーマ」コンポジットファブリックが、フランス発祥でイタリア拠点のファッションブランド「モンクレール」の高機能スキーウェアに初めて採用されたと発表した。

 モンクレールのデザインチームは、一段上のパフォーマンスを目指し、従来のコットンとポリエステルではなく、イノベーティブなファブリックとして「ダイニーマ」を2020年秋冬の「モンクレール グルノーブル コレクション」に採用した。

 「ダイニーマ」は、鉄の15倍の強度をもちながら、水面に浮くほど軽量。比類ない性能と保護機能を誇りクリティカルな用途に最適な素材として、30年以上にわたり採用され続けている。コンポジット生地、デニム、ニット、織布、および強化ハイブリッド・コンポジットといった、多岐にわたる用途で利用できる「ダイニーマ」ファブリックは、「ダイニーマ」繊維の使用により高強度、軽量、防水性、通気性を備えている。このためデザイナーは、強度や耐久性を損なうことなく、超軽量製品の技術的な性能と、美的なデザイン性を融合させることが可能だ。

 さらに今回採用された「ダイニーマ」は、DSMが今年5月に導入した世界初のバイオベース。従来と同じ性能を誇りながら、一般的な高分子ポリエチレン(HMPE)よりも二酸化炭素の排出量を90%削減することができる。

 DSMとモンクレールは今後、継続的なパートナーシップを通じて、アウトドア愛好家に高機能で軽量な衣料を提供するだけでなく、環境的にサステナブルな代替品を提供することで、循環型経済の進展にも貢献していく。

東ソー CO2とケイ素からDEC合成、触媒技術を開発

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2020年11月30日

 東ソーと産業技術総合研究所(産総研)は27日、CO2とケイ素化合物(テトラエトキシシラン:TEOS)を原料として、ポリカーボネート(PC)やポリウレタン(PU)の原料となる「ジエチルカーボネート(DEC)」を効率的に合成する触媒技術を共同で開発したと発表した。この触媒反応は水を副生しないため、触媒の長寿命化と、高い反応効率を実現しており、実用化されれば、CO2を炭素資源として再利用するカーボンリサイクル社会への貢献が期待できる。

 CO2を様々な有用製品として活用する「カーボンリサイクル」に向けた技術開発が重要視されている。資源エネルギー庁がまとめた「カーボンリサイクル技術ロードマップ」では、CO2の化学品への利用例として、PUやPCといった「含酸素化合物(酸素原子を含む化合物)」を想定。CO2から含酸素化合物を合成する技術としては、CO2とアルコールを原料とする反応の検討が報告されているが、目的物の生成効率や反応に用いる触媒の寿命に課題があり、実用化に向けて製造プロセスの低コスト化が実現できる技術が求められている。

 こうした中、両者は、産総研がケイ素資源から直接合成する方法を開発したテトラアルコキシシランをCO2と組み合わせ、DECを高効率に合成する技術の開発に取り組んだ。DECは幅広く活用されている有用化学品だが、その製造法はホスゲンを原料としている。これまで、CO2とエタノールを原料にDECを合成する研究開発は広く行われてきたが、この反応では水が副生するため、生成したDECと水が反応して原料に戻ってしまう逆反応が進行。また、反応系中の触媒が加水分解されて活性が失われてしまうなどの要因で、高効率合成が難しいという課題があった。

 今回開発した技術では、水を副生しないテトラアルコキシシランの一種であるTEOSを原料とする方法を考案。さらにこの反応に有効な触媒を見出だして、製造プロセスの低コスト化を実現できる合成方法を開発した。今回の成果は、産総研が取り組む「砂からTEOSを合成する技術」と組み合わせることで、CO2と砂という実質的に無尽蔵ともいえる資源から有用化学品を製造する可能性を拓くもの。

 両者は今後、より低コストで省エネルギーな製造方法の確立を目指し、反応条件や触媒のさらなる改良を行う。またスケールアップの検討など、実用化に向けて必要な技術課題の解決に取り組み、2030年ごろまでの実用化を目指す。

AGC 遺伝子・細胞治療CDMOサービス拡大を本格化

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2020年11月27日

 AGCはこのほど、株式公開買い付けで100%子会社化したMolecular Medicine(イタリア)の社名をAGC Biologics(イタリア)に変更した。AGC Biologics社のグローバルネットワークに遺伝子・細胞治療CDMOを組み入れ、サービス拡大を本格化する。

 遺伝子・細胞治療は、遺伝子または遺伝子を導入したヒト細胞などを人体に投与する最先端医療の1つ。世界中で進行中の治験数はすでに約1000件を超え、CDMO市場も高い成長が見込まれている。AGC Biologics(イタリア)は、遺伝子・細胞治療の開発・製造を行い、細胞加工・ベクター製造などのプラットフォーム技術をもち、バイオベンチャーから大手バイオ医薬品製薬会社まで様々な顧客にGMP対応の遺伝子・細胞治療CDMOサービスを提供している。

 すでにミラノを起点に、欧州のほか日米グローバルに遺伝子・細胞治療CDMOサービスを提供できる体制にあり、今後の日米拠点での製造拠点の設置も視野に、遺伝子・細胞治療CDMOサービス分野でのグローバル一体運営を推し進める。

 AGCグループはライフサイエンス事業を戦略事業の1つと位置づけ、合成医農薬CDMOと動物細胞と微生物を使うバイオ医薬品CDMOで積極的な買収・設備投資で事業を拡大。2025年に売上高1000億円以上の目標を、2~3年前倒しで達成する見込み。成長著しい遺伝子・細胞治療領域までCDMO事業の幅を広げグローバル展開し、製薬会社、患者、社会に貢献していく。

ゼオンメディカル 光センサ付きIABPバルーンを発売

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2020年11月27日

 ゼオンメディカルは26日、IABPシステムに使用されるバルーンカテーテルの新製品「IABP バルーンカテーテル MEISHU sensor」を発売したと発表した。

光センサを搭載した「IABP バルーンカテーテル MEISHU sensor」
光センサを搭載した「IABP バルーンカテーテル MEISHU sensor」

 IABP(Intra‐Aortic Balloon Pumping)とは、心筋梗塞や心臓外科手術の際、心臓のポンプ機能を補助する方法の1つ。バルーンカテーテルを大腿動脈から挿入し、胸部下行大動脈に留置し、動脈圧または心電図の周期に合わせてバルーンをヘリウムガスで収縮・膨張を繰り返すことにより、ダイアストリックオーグメンテーション効果とシストリックアンローディング効果を促して心機能の回復を行うシステムで、現在国内では年間2万症例前後で使用されている。

ポンプ駆動装置「IABP コンソール ZUIRYU」
ポンプ駆動装置「IABP コンソール ZUIRYU」

 ポンプ駆動装置「IABP コンソール ZUIRYU」に接続して使用される「IABP バルーンカテーテル MEISHU sensor」は、日本人の血管径、血管長から設計された従来品「IABP バルーン MEISHU」に、新たに光センサを搭載。国産メーカーによる初めての光センサIABPシステムの導入となる。

 光センサにより遅延の少ない正確な血圧のモニタリングができることから、心臓の周期に合わせたより的確な駆動が可能となり、駆動応答性の高い「IABP コンソール ZUIRYU」とのセット使用により、治療効果の向上が期待できる。

ADEKA 反応性乳化剤、使用量上限拡大で認証を取得

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2020年11月27日

 ADEKAは26日、昨年に反応性乳化剤として世界で初めて米国食品医薬品局(FDA)の認証を取得していた「アデカリアソープ」シリーズについて、今年9月に使用量上限を3%に引き上げて認証取得したと発表した。これにより、粘・接着性樹脂に対する反応性乳化剤の使用量を従来認証の1%から、最大3%まで添加することが可能となり、樹脂の重合安定性と機能性を高めることが期待される。

 反応性乳化剤「アデカリアソープ」シリーズは、塗料や、食品包装用フィルムに使用される粘・接着剤の密着性や耐水性を高める「素財」。同製品を使用することで、水に濡れる環境や結露などによる接着力の低下やラベルの白濁汚染を防ぎ、意匠性の低下を抑えることができる。冷凍・冷蔵商品や菓子類をはじめとする幅広い食品包装用途や近年、欧米でニーズが高まっている透明ボトルのクリアラベル用途で高い効果を発揮する。

 一方、人や環境にやさしい「素財」でもある。粘・接着剤の剝離性が高く、食品包装などのラベルを綺麗にはがすことが容易になり、これまで以上に効率的に品質の高いリサイクルを行うことができる。また非反応性の乳化剤に比べて樹脂から食品などへの溶出もほとんどない。

 同社は、ADEKA USA CORP.と連携し、日本国内ならびに米国市場に向けた商品への提案を強化するとことで、販売拡大に努めていく考えだ。