AGC 遺伝子・細胞治療CDMOサービス拡大を本格化

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2020年11月27日

 AGCはこのほど、株式公開買い付けで100%子会社化したMolecular Medicine(イタリア)の社名をAGC Biologics(イタリア)に変更した。AGC Biologics社のグローバルネットワークに遺伝子・細胞治療CDMOを組み入れ、サービス拡大を本格化する。

 遺伝子・細胞治療は、遺伝子または遺伝子を導入したヒト細胞などを人体に投与する最先端医療の1つ。世界中で進行中の治験数はすでに約1000件を超え、CDMO市場も高い成長が見込まれている。AGC Biologics(イタリア)は、遺伝子・細胞治療の開発・製造を行い、細胞加工・ベクター製造などのプラットフォーム技術をもち、バイオベンチャーから大手バイオ医薬品製薬会社まで様々な顧客にGMP対応の遺伝子・細胞治療CDMOサービスを提供している。

 すでにミラノを起点に、欧州のほか日米グローバルに遺伝子・細胞治療CDMOサービスを提供できる体制にあり、今後の日米拠点での製造拠点の設置も視野に、遺伝子・細胞治療CDMOサービス分野でのグローバル一体運営を推し進める。

 AGCグループはライフサイエンス事業を戦略事業の1つと位置づけ、合成医農薬CDMOと動物細胞と微生物を使うバイオ医薬品CDMOで積極的な買収・設備投資で事業を拡大。2025年に売上高1000億円以上の目標を、2~3年前倒しで達成する見込み。成長著しい遺伝子・細胞治療領域までCDMO事業の幅を広げグローバル展開し、製薬会社、患者、社会に貢献していく。

ゼオンメディカル 光センサ付きIABPバルーンを発売

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2020年11月27日

 ゼオンメディカルは26日、IABPシステムに使用されるバルーンカテーテルの新製品「IABP バルーンカテーテル MEISHU sensor」を発売したと発表した。

光センサを搭載した「IABP バルーンカテーテル MEISHU sensor」
光センサを搭載した「IABP バルーンカテーテル MEISHU sensor」

 IABP(Intra‐Aortic Balloon Pumping)とは、心筋梗塞や心臓外科手術の際、心臓のポンプ機能を補助する方法の1つ。バルーンカテーテルを大腿動脈から挿入し、胸部下行大動脈に留置し、動脈圧または心電図の周期に合わせてバルーンをヘリウムガスで収縮・膨張を繰り返すことにより、ダイアストリックオーグメンテーション効果とシストリックアンローディング効果を促して心機能の回復を行うシステムで、現在国内では年間2万症例前後で使用されている。

ポンプ駆動装置「IABP コンソール ZUIRYU」
ポンプ駆動装置「IABP コンソール ZUIRYU」

 ポンプ駆動装置「IABP コンソール ZUIRYU」に接続して使用される「IABP バルーンカテーテル MEISHU sensor」は、日本人の血管径、血管長から設計された従来品「IABP バルーン MEISHU」に、新たに光センサを搭載。国産メーカーによる初めての光センサIABPシステムの導入となる。

 光センサにより遅延の少ない正確な血圧のモニタリングができることから、心臓の周期に合わせたより的確な駆動が可能となり、駆動応答性の高い「IABP コンソール ZUIRYU」とのセット使用により、治療効果の向上が期待できる。

ADEKA 反応性乳化剤、使用量上限拡大で認証を取得

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2020年11月27日

 ADEKAは26日、昨年に反応性乳化剤として世界で初めて米国食品医薬品局(FDA)の認証を取得していた「アデカリアソープ」シリーズについて、今年9月に使用量上限を3%に引き上げて認証取得したと発表した。これにより、粘・接着性樹脂に対する反応性乳化剤の使用量を従来認証の1%から、最大3%まで添加することが可能となり、樹脂の重合安定性と機能性を高めることが期待される。

 反応性乳化剤「アデカリアソープ」シリーズは、塗料や、食品包装用フィルムに使用される粘・接着剤の密着性や耐水性を高める「素財」。同製品を使用することで、水に濡れる環境や結露などによる接着力の低下やラベルの白濁汚染を防ぎ、意匠性の低下を抑えることができる。冷凍・冷蔵商品や菓子類をはじめとする幅広い食品包装用途や近年、欧米でニーズが高まっている透明ボトルのクリアラベル用途で高い効果を発揮する。

 一方、人や環境にやさしい「素財」でもある。粘・接着剤の剝離性が高く、食品包装などのラベルを綺麗にはがすことが容易になり、これまで以上に効率的に品質の高いリサイクルを行うことができる。また非反応性の乳化剤に比べて樹脂から食品などへの溶出もほとんどない。

 同社は、ADEKA USA CORP.と連携し、日本国内ならびに米国市場に向けた商品への提案を強化するとことで、販売拡大に努めていく考えだ。

 

 

日本ゼオン ソーラーカード式デザインデバイス、テスト発売

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2020年11月27日

 日本ゼオンは26日、オープンイノベーションプロジェクトとして展開する「project LNES」の第2弾として、来月4日よりソーラーカード式デザインデバイス「LNES SL-02」を試験発売すると発表した。

ソーラーカード式デザインデバイス「 LNES SL-02」
ソーラーカード式デザインデバイス「 LNES SL-02」

 同社は、太陽・自然、そして地球と育みあえる豊かなライフスタイルを生活者と共創して実現していくオープン型のイノベーションデザインプロジェクトを2016年より始動。同プロジェクトでは、「FRESH ENERGY」というコンセプトとクリエイティブデバイスを通じて、社会の変化、生活者の行動と心の機微、その接点を重視した素材から体験を探索してきた。

 今回発売する「LNES SL-02」は、これまで同社が長年培ってきたプラスチック技術とナノテクノロジーの融合技術を活用し、B to C向けの製品としてプロジェクトの中で開発されたソーラーカードを使用。5種の灯り機能とスポット的充電機能を搭載しており、もしもの時に「心の安心」を得られる。生活者検証で得られたニーズに基づき、〝エコな手間〟をあえて製品に組み込むことで生活者に新たな価値を提供している。

 同社は新型コロナウイルスの影響で生活者のSDGsへの関心が高まる中、「project LNES」を通じて今までにないサステナブルな暮らしを提案。今まで屋根への設置などが主流だった太陽光発電の技術を、産官学連携で培った独自技術で向上させ、手のひらサイズを実現。太陽光発電の技術がこれからの新しい生活様式に根付くことを目指している。また、在宅時間の増加を機に広がる、ベランダやリビングでのキャンプスタイルシーンでも、この製品が太陽を通じて自然との共生を感じ、「心の安心」を得られるアイテムとして活躍することを期待している。

 なお同製品は「エコプロ Online 2020」(今月28日まで開催)に出展している。

 

東京大学など n型有機半導体を開発、最小クラスの接触抵抗

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2020年11月26日

 東京大学、筑波大学、北里大学と産業技術総合研究所はこのほど、真空蒸着法と印刷法で良質な薄膜を再現性よく成膜でき、優れた大気安定性と電子移動度をもつn型有機半導体材料を開発したと発表した。また固いフェニル部位と柔らかいアルキル部位からなるフェニルアルキル側鎖が、分子集合体構造形成に重要であることを明らかにした。

 パイ電子系分子の有機半導体は一般に正孔が伝導しやすく、その多くが正孔輸送性(p型)で正孔移動度がアモルファスシリコンより一桁以上高い十㎠/V・s級のものもある。それに匹敵する電子移動度とプロセス適合性、大気安定性をもつ電子輸送性(n型)有機半導体の開発が求められている。

 同グループはBQQDI(ベンゾイソキノリノキノリンジイミド)骨格を開発し、フェニルエチル側鎖をもつPhC2-BQQDIが、高電子移動度・大気安定な単結晶薄膜を印刷法で成膜できることを見出だした。

 今回、側鎖アルキル部位の柔軟性に注目し、アルキル基の異なるPhCn-BQQDI(n=1~3)の集合構造と半導体特性を調べた。アルキル部位を選択することで印刷法でも真空蒸着法でも優れたデバイス性能と高い大気安定性が得られた。印刷法ではPhC2-BQQDIが最高の半導体性能を示し、電子移動度の計算予測と一致した。

 一方、真空蒸着法ではPhC3-BQQDIがより優れた電子移動度とn型有機半導体として世界最小クラスの有機半導体/金属電極の接触抵抗を示した。X線回折から集合構造はn数に依存し、良質で純粋な構造(単結晶)ほど接触抵抗が低いことが分かった。

 分子動力学計算による分子の揺らぎは、バルク単結晶中ではnが大きいほど大きく、薄膜中ではnが小さいと極端に大きい。印刷法(バルク状態)では揺らぎが小さいほど単結晶化、真空蒸着法(薄膜)では基板との相互作用を受けるため揺らぎが大きいものほど多形化すると考えられる。

 パイ電子共役骨格とフェニルアルキル側鎖との協同的挙動が、基板上での集合構造形成に重要で、今後の有機半導体材料開発の重要な分子設計指針となることが期待される。なおPhC2‐BQQDI試薬は富士フイルム和光純薬から販売中で、PhC3‐BQQDI試薬も今年度内に販売予定だ。

 

DSM 紫外線吸収剤が医薬部外品の使用前例を取得

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2020年11月26日

 DSMはこのほど、皮膚外用用途の紫外線吸収剤「パルソール SLX」の医薬部外品への使用前例を新たに取得したと発表した。これにより医薬部外品への配合用途が広がる。同製品は使用感と保護効果の高いサンケア製品の開発を促進。紫外線から肌を保護するスキンケアを消費者に促すことで、人々の健康に貢献することが期待される。

 「パルソール SLX」は、シリコーンベースのUV-B吸収剤で、世界初のポリマーUVフィルターとして開発、上市された。そのユニークなポリマー構造により、皮膚表面上に皮膚への親和性の高い均一な膜を形成し、紫外線からの保護効果と官能特性の両方に優れた機能を発揮する。特に他の紫外線吸収剤との組み合わせでは、相乗効果により、より高いSPF値の達成が期待できる。肌に快適で、白浮きせず、展延性に優れる同製品は、日焼け止め製品をはじめとして、デイケア製品、リップ、カラーコスメに至るまで幅広い用途に適している。

 多くの消費者は、紫外線が及ぼす影響や危険性を十分に理解しているとは言えない。一方で、日焼け止め製品の使用時の不快感が、適切な使用の妨げになっていることが、様々な研究によって明らかになっている。同社は、このような課題に向けた解決策に積極的に取り組んでいる。

 例えば、消費者に対して皮膚がんのリスクとサンケアの重要性を啓蒙するために、「Safer under the sun(太陽の下でもより安全に過ごしましょう)」キャンペーンを展開。また、イノベーションにより、最新のサンスクリーン技術を開発し、日焼け止め製品の保護効果と使い心地の双方を高めている。

帝人フロンティア 着用する化粧品、男性向けウェアタイプを発売

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2020年11月26日

 帝人フロンティアは、身にまとうことで肌荒れを防ぎ、肌に潤いを与える着用する化粧品「ラフィナン」の商品展開を進めているが、このたび新商品として、日本初となる男性向けウェアタイプ化粧品「メンズ用美容ボディパック」を発売した。

着用する化粧品『メンズ用美容ボディパック』
着用する化粧品「メンズ用美容ボディパック」

 今月16日から「ラフィナン」の公式オンラインショップ「糸の美容研究所」(https://www.rakuten.ne.jp/gold/tfr-shop/)や、全国の理美容院などで販売を始めた。Vネックの半袖スタイルで、インナーウェアとしての使用を想定しており、販売価格は5500円(税別)、サイズはMとL、色はブラックとベージュの2色をラインアップした。

 同社が開発した「ラフィナン」は、健康な肌に近い弱酸性の美容成分が配合されている、日本で初めての衣類型の化粧品。肌に直接触れるように着用することで、肌を健やかに保ち、肌荒れを防ぎ、潤いを与える。同シリーズはこれまで女性向けアイテムのみだったが、肌のケアなど美容に関心をもつ男性が増加する中、新たな商品展開として、男性向けアイテム「メンズ用美容ボディパック」を開発した。

 男性向けアイテムの発売により、「ラフィナン」シリーズの展開の拡大を図るとともに、今後、新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要に対応し、女性向けのボディケアやナイトケア用の新アイテムも販売を開始する計画だ。

NECなど AIで化学プラントの運転変更操作を効率化

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2020年11月26日

 日本電気(NEC)、産業技術総合研究所(産総研)、三井化学、オメガシミュレーションの4者はこのほど、AIとシミュレータ上に再現したミラープラントを組み合わせた運転支援システムを構築し、運転員の手動操作と比較して40%効率的な運転ができることを三井化学のプラントで実証したと発表した。同技術により、化学プラント運転の効率化、例えば、運転安定化までの時間短縮による原料やエネルギーの削減が期待される。

化学プラント運転支援システムの効果
化学プラント運転支援システムの効果

 化学プラントでは顧客の多様なニーズに合わせた生産が行われているが、生産量や生産品を変更する運転変更操作は、安全を見ながら操作する必要があるため、運転員が手動で、あるいはベテラン運転員の操作をルールベース化し手順通りに再現するシーケンス制御で行っている。プラント状態はゆるやかに変化するため、最適な状態となるまでの運転変更操作に数時間から半日程度を要することがある。運転変更の試行を繰り返すと原料やエネルギーが無駄になることから、効率化が望まれていた。このような課題に対し、強化学習を代表としたAI技術の研究が進んでいるものの、プラント級の大規模・複雑な対象には対応できなかった。

実証システム
実証システム

 NECと産総研は、プラントなどの大規模で複雑なインフラの効率的な操作とその根拠を合わせて提示できるAI技術「論理思考AI」を開発。これまで人が行ってこなかった操作もシミュレータ上で試行することにより、運転員が試行錯誤をしながら複数回行っていた運転変更操作を最適化できるようになった。この最適化した操作を運転員が確認し操作することで、運転変更の時間短縮が可能になる。

 今回、同技術とオメガシミュレーションのミラープラント(オンラインダイナミックシミュレータ)を連携させ、三井化学の訓練用実プラントに適用。その結果、生産量を変更する運転変更操作で、運転員の手動操作と比較して操作時間を40%短縮できることを確認した。

 

AGC バイオ医薬品のデンマーク拠点の培養能力を倍増

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2020年11月26日

 AGCはこのほど、CDMO事業子会社AGC Biologics社(米国)でのバイオ医薬品CDMOの培養能力増強を決定したと発表した。デンマーク拠点の隣接地を購入し、工場棟とオフィス棟から成る新社屋を建設し、シングルユース仕様の2000リットルの動物細胞培養槽を増設。総投資額は約200億円、稼働開始は2023年の予定だ。

 バイオ医薬品CDMO市場は年間約10%以上の成長を続け、同社の受託件数はそれを上回る。これに対応するため動物細胞を使ったバイオ医薬品CDMOの培養能力を増強し、デンマーク拠点のシングルユース仕様の培養能力は従来の倍以上に拡大。それに合わせた分析・開発設備や人員増にも対応し、延床面積約1万9000㎡の新社屋を建設する。

 AGCグループはバイオ医薬品CDMO事業を含むライフサイエンス事業を戦略事業の1つと位置づけ、合成医農薬CDMO、動物細胞と微生物を使ったバイオ医薬品CDMOで積極的な買収・設備投資を行い、事業を拡大させてきた。今年7月には成長著しい遺伝子・細胞治療領域にまでCDMO事業の幅を広げ、2025年の目標売上高1000億円以上を2~3年前倒しで達成する見込み。

 今後も各地域でグローバル統一の高水準の品質・サービスを提供できるよう、各拠点のシナジーを最大限発揮させ、製薬会社、患者そして社会に貢献していく考えだ。

 

三井化学ファイン 超微細スクリーン印刷技術を共同開発

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2020年11月26日

 三井化学ファインは25日、高硬度2層ウレタンスキージーのメーカーである大阪ケミカルらとの共同により、スクリーン印刷法でライン&スペース(L/S)=20/20㎛を可能にする超微細印刷技術を世界で初めて開発したと発表した。同技術は、既存のスクリーン印刷ラインに導入可能であり、競争力のある超微細印刷が期待される。三井化学ファインらは今後、同技術の普及を図るために今年度末より顧客への営業活動を開始し、来年度中の実用化を目指していく考えだ。

タッチパネル中の超微細スクリーン印刷例
タッチパネル中の超微細スクリーン印刷例

 近年、タッチパネル(静電容量方式)はスマホやタブレット、ノートPC、車載などに多く使用されている。また、ICT技術の進歩とともに高い検出感度を実現するため、センサとなる電極には狭ピッチ化・超微細化が求められている。こうした中、L/S=50㎛以下の超微細印刷は、微細配線化に優位性のあるフォトエッチング法が主流となっている。スクリーン印刷法はフォトエッチング法と比較してコスト競争力はあるものの、L/S=50/50㎛レベルが限界とされ、超微細印刷への使用が限られてきた。

スクリーン印刷に使用されるウレタンスキージー
スクリーン印刷に使用されるウレタンスキージー

 今回この課題に対し、ウレタンスキージーの販売を手掛ける三井化学ファイン、平滑性と膜厚安定性に大きな特徴をもつ高硬度2層ウレタンスキージーを製造する大阪ケミカル、製版メーカーのムラカミ、ペーストメーカーのアサヒ化学研究所、印刷機メーカーのセリアコーポレーションの5社は共同で、スクリーン印刷法でL/S=20/20㎛を可能とする超微細印刷技術を開発した。