東洋紡 新型コロナ遺伝子検査試薬を今月下旬から販売へ

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2020年7月10日

 東洋紡はこのほど、新型コロナウイルス遺伝子(SARS‐CoV‐2)検査試薬「ジーンキューブ SARS‐CoV‐2」が、厚生労働省より製造販売承認を取得し、今月下旬から、医療機関と検査施設向けに販売開始すると発表した。同社は先月10日に厚労省への申請を行っていた。

 同製品は、生体試料(唾液を含む)から抽出されたRNAを用い、最短約30分で新型コロナウイルスの検出を行う、同社が販売する全自動遺伝子解析装置「GENECUBE(ジーンキューブ)」専用の検査試薬。同装置は、試料と試薬の混合から増幅・検出までを全自動で処理できることから、検査者の作業負担の軽減や、感染リスクの低減に寄与する。

 東洋紡は今後も、解析装置の増産と体外診断用医薬品の普及・安定供給を通じて、医療現場での遺伝子検査体制の充実を支援し、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と医療従事者の負担軽減に貢献していく。

デンカ 豪雨で停止した大牟田工場が順次生産を開始

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2020年7月10日

 デンカは、九州地方で発生した豪雨によって停止していた大牟田工場(福岡県大牟田市)の設備点検を今月8日から開始し、安全が確認できた生産設備から順次生産を再開していくと発表した。なお、球状シリカはすでに生産を再開している。

 また、グループ会社の九州プラスチック工業(熊本県玉名市)は、設備への被害がなく、8日から雨どい・ポリエチレン暗渠排水管など、すべての製品の生産を再開した。

 デンカ・大牟田工場と九州プラスチック工業では、6日の豪雨により全プラントを停止していた。

長瀬産業 シンガポールに食品素材ラボ、海外2拠点目

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2020年7月10日

 長瀬産業は9日、販売子会社のNagase Singaporeが、同社グループが取り扱う食品素材によるソリューションの提供や、食品飲料メーカー向けの実演・講習会などのコミュニケーションを行う拠点として、シンガポールに「リージョナル・イノベーション・センター」をオープンすると発表した。同施設は、製造子会社である林原(岡山市)が日本国内(岡山・東京)で展開するアプリケーション開発ラボ「L‘プラザ(エルプラザ)」を海外に展開するもので、昨年に開所した中国・厦門に続き2例目となる。

エントランス
エントランス

 同施設は、各国の食文化や味付けによって異なるニーズをふまえたレシピ提案、アプリケーション開発、顧客へのプレゼンテーションやセミナーの実施を目的に開設するもので、主なターゲットは東南アジア、オセアニア、中東地域のパン、菓子、飲料、乳製品、加工食品、麺などを含む食品飲料業界メーカー。

 林原の主力製品である多機能糖質「トレハ」、ビタミン・アミノ酸などの多様な食品素材のプレミックス(配合品)に強みを持つ米国の食品素材加工・販売会社プリノバ・グループの取り扱い製品、ナガセケムテックス(大阪市)が製造する酵素製剤などグループの商材を中心にソリューションを提供していく。

 長瀬産業では、今年度までの中期経営計画「ACE‐2020」の注力領域の1つにライフ&ヘルスケア分野を掲げており、今年4月には食品素材を事業領域とするフードイングリディエンツ事業部を立ち上げた。特に海外を舞台にグループ全体で食品素材事業を展開するため、「Nagase Food Ingredients」(中文:长濑食品素材)のブランド名で事業をグローバルに推進しており、今後もグループのシナジーを最大限に生かし食品素材業界でのプレゼンスを向上していく考えだ。

実演イメージ
実演イメージ

産総研 6Gの低電力化に向け、100G㎐超での導電率を計測

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2020年7月9日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、高周波平面回路などに用いる金属材料の導電率を100G㎐超までの超広帯域にわたって簡便に測定する技術を開発した。

 通信インフラとし第5世代移動通信システム(5G)の事業化が進む一方で、次世代のポスト5G/6Gの研究開発も注目されている。6Gではさらなる高速大容量通信のためにミリ波(周波数100G㎐超)の利用が見込まれるが、周波数が上がるほど伝送損失は増大し消費電力も上がるため、低消費電力材料が求められている。

 高周波回路では、伝送損失は誘電体基板の誘電損失と金属線路の導電率で決まるが、金属・誘電体接着面での導電率低下が問題である。産総研は、誘電体基板で金属円板を挟んだ平衡型円板共振器を用いて、170G㎐までの超広帯周波数帯の誘電率測定技術を開発してきた。

 しかし、金属導電率に関しては、周波数100G㎐超帯での簡便・高精度な計測技術はない。今回、誘電体基板で金属箔を挟んだ誘電体共振器に対して、高次モード励振の共振特性から導電率を決定する電磁界解析アルゴリズムを開発し、10~100G㎐超の超広帯域にわたる簡便かつ従来と同等精度での計測を実現した。この技術により、5Gや6Gの低消費電力化に向けた材料開発が加速すると期待される。

 技術の詳細は、オンライン開催の国際会議IMSで先月発表された。今回、独立した金属円板の導電率計測を実証したが、今後、銅箔を誘電体基板上に実装した銅張基板の導電率計測を実証するとともに、銅張基板のミリ波帯での損失低減に向けたプロセス技術開発に貢献していく。さらに、ポスト5G/6G時代を見据えて、500G㎐までの計測技術の開発を進める考えだ。

 

 

三菱ガス化学 次世代低損失BTレジン積層板材料が受賞

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2020年7月9日

 三菱ガス化学の次世代低損失BT(ビスマレイミド・トリアジン)レジン積層板材料「CCL‐HL972LFG/GHPL‐970LFG」と「CRS‐791」はこのほど、「第16回JPCA賞」を受賞した。

 同賞は、日本電子回路工業会(JPCA)が主催・運営する2020年JPCAショー/マイクロエレクトロニクスショー/有機デバイス総合展などでの新製品・新技術促進による活力向上と総合的技術の進歩発展を目的とし、全出展企業がエントリーした製品・技術から選出される。学術界、電子回路業界、専門誌編集者など有識者から成る選考委員会で、「独創性」「産業界での発展性・将来性」「信頼性」「時世の適合性」を基準に選考される。

 同社独自のBT樹脂技術による高耐熱性積層材料は、半導体パッケージ用途などで使われている。この高周波用途向け「HL972LF(LD)」の次世代材料として、低損失性を進化させた「HL972LFG/LFG(LD)」と電子部品の低背化を実現する低誘電率ビルドアップ材「CRS‐791/792FX」「GHPL‐970FT」を開発。5Gの高周波数領域での高速・低損失信号伝送に対応する、低誘電率・低誘電正接特性の高精細配線が可能な材料を、樹脂改良技術で達成したことが評価された。

 同社は今後も新しい技術を追求し、BT積層材料で市場の要求に速やかに応えることで、高度情報通信社会の発展に貢献していく考えだ。

 

三井化学 ゲル新素材の拍手ロボット、ヒトの拍手を再現

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2020年7月9日

 三井化学は、ヒトの肌に近い感触を備えるゲル新素材を使い、ヒトの拍手に近い音を再現する拍手ハンドを開発し、このほど、バイバイワールド(東京都品川区)のエンターテイメントロボット「ビッグクラッピー」の2020年モデルに採用された。

三井化学のゲル新素材を採用した拍手ロボット『ビッグクラッピー』
三井化学のゲル新素材を採用した拍手ロボット「ビッグクラッピー」

 「ビッグクラッピー」は、拍手と音声で楽しませてくれる拍手ロボット。店頭での販促をはじめ、飲み会やスポーツ観戦など各種イベントでその場を盛り上げてくれる。

 よしもとロボット研究所チーフクリエーターも務めたバイバイワールドの髙橋征資代表は、よりヒトに近い拍手音の再現を追求していた。こうした中、東京都中小企業振興公社の紹介が契機となり、両社間で拍手ハンドの開発を開始。三井化学は拍手音を最適化するため、「ビッグクラッピー」の音響テストを実施し、ゲル素材の分子構造を変えることで、様々な硬度や反発性の異なる拍手ハンドを製作した。さらに、音響テストによる時間周波数特性解析を比較することで、ヒトの拍手音に合った広い周波数帯の再現が可能になった。

 近年、ロボットをヒトへ近づけていくために、柔らかい素材でできたロボット部品のニーズが高まっている。ゲル新素材は、三井化学の分子設計技術をベースに、10年以上を費やし蓄積したヒトの肌に近い物理特性を自由に制御する技術により開発した。同社のロボット材料事業開発室では、革新的なロボット向けにプラスチック部品の製造販売を行う。

拍手ロボット『ビッグクラッピー』の全体像
拍手ロボット「ビッグクラッピー」の全体像

 今回の拍手ハンドは、ゲル新素材と金属を一体成型して製造。また、ゲル新素材は、眼科手術練習シミュレーターの眼球モデルへの採用実績もあり、サービスロボットや医療分野など、ヒトの肌に近い柔らかな触感が求められる様々な製品へ応用を図っていく考えだ。

 革新的な新商品を生み出すチャレンジには、新しい素材が欠かせない。三井化学は今後も、世の中のイノベーションを促進するため、長年の素材の知見を生かし、新規事業やベンチャー企業をサポートしていく。

 なお、「ビッグクラッピー」は、赤い扇風機の羽根の部分をタコの頭にしたような外観で、頭上に掲げた両手でパチパチと拍手するロボット。コミカルな大きい目と、音声に合わせて動く分厚いピンクの唇も特徴の1つ。サイズは高さ900㎜×幅300㎜×奥行340㎜。2個の人感センサーを内蔵し、ヒトの動きを感知して拍手と音声が作動する。電源はACアダプタ仕様。現在、レンタル・販売中。

 

DNP ICタグ効果検証用のトライアルキットを開発

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2020年7月9日

 大日本印刷(DNP)は8日、ICタグ(RFID)の導入に向けた効果検証を効率的に実施できるトライアルキット(リーダライタとアプリで構成)を開発し、ICタグを活用した業務効率化の効果をPoC(概念実証)で検証できる「DNP RFID導入検証支援サービス」を開始すると発表した。

据置型リーダライタでの利用イメージ
据置型リーダライタでの利用イメージ

 新型コロナウイルスの感染防止対策の一環で、非接触での業務が増加しており、数メートル離れていても複数のIDを読み取ることのできるRFIDの導入を検討している企業に対し、計画から評価まで一連の概念実証をスムーズに実施できるよう支援していく。

 製造や流通・小売りの企業では、サプライチェーンの中で製品の流れや在庫を可視化し、業務を効率化するRFIDの活用が注目されている。またRFIDで取得したデータの分析から、生活者が求める商品を生産し、店頭に配置して効率よく販売することで、サプライチェーンの各工程で価値を生み出す有用性が期待されている。

 RFIDの活用は、事前の導入効果検証や運用を想定した課題の抽出が重要な成功要因だが、これまでは機器の購入や簡易システムの開発など検証準備にかかる負荷が大きく、検証作業の障害となっていた。こうした中、DNPは、効果検証を短期間かつ安価で実施できる導入支援サービスを開始。現場でRFIDを導入するためのPoCを簡易に実施できるようにするために、システム・機器の貸し出しと、現場でのRFID読み取り環境構築のノウハウを提供し、2つのアプリを用いて検証・評価レポートの作成を支援する。

 RFIDの読み取りを検証評価する「RFID読取評価アプリ」では、ハンディリーダライタ、据え置き型リーダライタの2タイプの機器を使用して、①RFIDとバーコードとの読み取り速度を比較し、導入効果試算に役立つデータを作成、②RFIDの貼付位置やリーダライタのアンテナの位置の違いによる読み取り速度の差を比較し、最適なRFIDタグの貼付位置や、アンテナ設置位置などを導出、③RFIDを貼付した複数の商品の同時読み取り状況を可視化し、最適な商品の積み付け方を導出、の3つの機能を提供。一方、クラウドサービスである「サプライチェーン業務系アプリ」では、製品の入荷・出荷・棚卸の結果を可視化し、ステータス管理が行える。

 今後、DNPは同サービスにより、企業のRFID導入のサポートを通じて、様々な業種・業態でサプライチェーン全体の最適化・スマート化を推進し、生活者を豊かにする社会の構築に貢献していく。

NEDO 革新的センシングデバイスの研究開発に着手

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2020年7月8日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、過酷な環境下や非破壊での計測、超低濃度成分の検出などを可能とする革新的センシングデバイスの実現に向け、新たに6件の研究開発に着手した。

 人口減少や少子高齢化などにより、インフラの維持管理や産業保安の負担増、医療・介護費の増大、地域の人手不足や移動弱者の増加などの様々な社会課題が顕在化している。その解決には、豊富なリアルデータによる現状の見える化が重要であり、サイバー空間とフィジカル空間を融合させるセンシングデバイスが必要とされる。

 こうした中、「IoT社会実現のための革新的センシング技術開発」事業として、新たに「建機オイルの劣化状態モニタリング」「製造装置内流体濃度分布のリアルタイム計測」「次世代の火山活動モニタリングシステム」「安価で高性能なVR搭載システム」「ペットや人間の健康管理に関する呼気分析システム」のための高精度センシング技術の開発と、設置環境や経年劣化に対するセンシングデバイスの信頼性確保のための「ワイヤレス通信を用いた遠隔機器校正ネットワーク技術」の研究開発を行う。実施期間は2020から24年度の予定。

 これにより、産業機器の保全や高効率制御、火山の遠隔監視、テレワークや遠隔医療などの促進、疾病の予兆検知などが期待される。様々な社会課題の早期解決と新産業の創出を両立するSociety5.0の実現を目指す。

 

BASF JA全農とデジタルプラットフォームで協業

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2020年7月8日

 BASFはこのほど、子会社であるBASFデジタルファーミング社が、AIベースの栽培管理最適化デジタルプラットフォーム「xarvio FIELD MANAGER(ザルビオフィールドマネージャー)」を来年4月に日本で上市することを目指し、JA全農と新たに協業を開始することで合意したと発表した。

 BASFデジタルファーミング社のデジタルプラットフォームは、圃場ごとのリアルタイム情報と、それらの情報をもとにAIが分析した推奨作業を提供することで農業を支援。生産者は、気象データや衛星データから得られる作物の生育段階や病害、雑草のリスクに関するシミュレーションと栽培管理に関する推奨作業により、効率的に最適な栽培管理の意思決定を行うことができる。このAIベースのデジタルプラットフォームは、PC、タブレット、スマートフォンで利用できるようになる予定だ。

 日本の農業は近年、農地の集積が加速している一方で、各圃場は従前どおり小規模なまま分散している。生産者がより大規模経営を目指す場合、分散した圃場を同時に管理することは容易ではなく、農業生産の効率化を阻む要因の1つとなっている。

 「ザルビオフィールドマネージャー」がグローバルに展開するソリューションは、様々な作物モデルが対象。日本では、水稲と大豆に関するソリューションを来年4月から提供する予定で、今年は、全国各地で実証実験を行っている。また、「ザルビオフィールドマネージャー」と、JA全農が開発・運用している営農管理システム「Z‐GIS」が連携することで、利用者のデータ管理機能が強化される。さらに、ドローン、GPSナビゲーション付きのトラクターや収量コンバインなどとの連携も予定している。

 BASFは、「ザルビオフィールドマネージャー」のさらなる開発と対象作物の拡大、および、すでに一般公開している病害虫雑草の画像診断システム「xarvio SCOUTING(ザルビオ スカウティング)」と連携した機能強化を図り、日本での生産者のスマート農業の総合的かつ信頼できるプラットフォームを提供することを目指す。

エア・ウォーターなど 家畜由来水素で土木学会環境賞を受賞

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2020年7月8日

 エア・ウォーター、鹿島建設、日鉄パイプライン&エンジニアリング、日本エアープロダクツの4社が共同で実施している「家畜ふん尿由来低炭素水素を活用した水素サプライチェーン実証事業」がこのほど、2019年度の「土木学会環境賞(Ⅱグループ)」を受賞した。同事業は、環境省の委託事業「地域連携・低炭素水素技術実証事業」として、2015年度から実施している。

 北海道河東郡鹿追町に家畜バイオマス由来の水素製造供給施設「しかおい水素ファーム」を設置し、バイオガスの新用途としての水素利用の有効性を実証した。家畜ふん尿による環境汚染や廃棄物の課題解決と、エネルギー使用によるCO2排出削減など、酪農地域での水素エネルギー適応性を明らかにした点が評価された。家畜ふん尿のメタン発酵施設「鹿追町環境保全センター中鹿追バイオガスプラント」で製造するバイオガスを用いて、同センター内の「しかおい水素ファーム」で水素ガスを製造している(設備能力は約70N㎥/h)。

 水素は、センター内の定置型水素ステーションで燃料電池(FC)自動車・フォークリフトのほか、純水素型燃料電池によるセンター内のチョウザメ飼育施設のエアレーション電源・水温保持熱源としても利用しており、昨年9月までは、畜産農家や帯広市内の観光施設にも水素を運搬し、電気と温水を供給していた。

 今後、水素サプライチェーンの他地域への展開に向け、水素運搬・貯蔵、災害時の活用など、さらなる課題解決のために実証期間を2年間延長(2021年度まで)する予定。帯広市内、鹿追町内の農業倉庫でのFCフォークリフトへの水素供給のほか、帯広市内で非常時電源にも対応した水素吸蔵合金・FC利用システムの実証を行う。製造・利用一貫の水素サプライチェーンを構築し、地産地消の水素エネルギー社会の実現に貢献していく考えだ。