東ソー 新研究棟など新設へ、スペシャリティ事業を強化

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2021年5月26日

 東ソーは25日、東京研究センター(神奈川県綾瀬市)にバイオサイエンス関連の新研究棟と、製品展示ルームや技術セミナー会場などを備えるカスタマーサポート棟を新設すると発表した。併せて既存研究施設の大規模リニューアルを実施することで、研究開発機能を強化し、スペシャリティ事業の拡大や社会課題解決に貢献できる製品・技術の創出を加速していく狙いだ。

東京研究センターの将来イメージ図

 新研究棟は来年12月の着工と2024年4月の完成を目指し、カスタマーサポート棟は2025年6月の着工と2026年5月の完工を予定する。また既存研究施設の8号棟と9号棟についても、2024年にリニューアル(着工:5月、完成:10月)を行う。設備投資額は、新棟建設とリニューアルなどを含め約100億円。

 今回の研究拠点整備では、①バイオサイエンス製品開発体制の拡充による事業領域の拡大②マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を基幹技術とした材料開発の加速による先進的な新製品や技術の創出③製品展示ルームや技術セミナー施設を充実させてカスタマーサポート機能を拡充④研究者間の交流を促進する施設レイアウトや研究施設拡張による研究環境の充実―の4つのポイントを掲げ、研究開発機能を強化する。

 東京研究センターは、南陽事業所(山口県周南市)や四日市事業所(三重県四日市市)と並ぶ主要研究開発拠点であり、ライフサイエンス研究所、アドバンストマテリアル研究所、バイオサイエンス事業部開発部門を中核組織に置く。同社の研究開発重点3分野である「ライフサイエンス」「環境・エネルギー」「電子材料」に代表されるスペシャリティ事業に関する先端技術創出の拠点となっている。

 東ソーは、積極的な投資を進めて研究開発体制を強化することで、SDGsを組み込んだ研究開発テーマの推進を通じ、高付加価値製品を生み出し続けていく考えだ。企業の長期的成長を牽引するのみならず、持続可能で豊かな社会の実現に向けて貢献していく。

 

人とくるまのテクノロジー展 今年はオンラインで開催

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2021年5月26日

 自動車技術会が主催する「人とくるまのテクノロジー展2021」は、コロナ禍の影響で横浜展示会の開催が中止となり、オンラインで開催(今月26日~7月30日)される。同イベントは、自動車産業の第一線で活躍するエンジニアのための自動車技術専門展として1992年にスタート。今回は初のオンライン開催となるが、477社が出展する。

 帝人グループは、「部品の軽量化」をテーマに、自動車メーカーの部品供給パートナーとして、次世代の車づくりに貢献する技術や製品を紹介。主な内容として、マルチマテリアルによるコンポジット製バッテリーボックス、次世代樹脂グレージング、植物由来PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維などを出展する。また、複合成形材料事業エンジニアリング統括の北野一朗氏が、自動車向け複合成形材料の採用事例と今後の役割について、7月2日に特別講演を予定している。

 DICは、現在、そして未来の自動車の省エネルギー化や高機能化に貢献する最先端の自動車の材料を紹介。速硬化炭素繊維強化プリプレグ、特殊形状アルミナフィラー、PPSコンパウンド、環境対応型反応性ホットメルト接着剤などを出展する予定だ。

 なお、来場者登録については、公式ホームページ(https://aee.expo-info.jsae.or.jp/ja/online/)で受け付けている。

 

三井化学 高ガス透過素材にシール性付与し市場開発へ

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2021年5月26日

 三井化学は25日、新素材フィルム「ヒートシーラブル高ガス透過フィルム」(開発品)の市場開発を開始したと発表した。同フィルムは、特定のガスを選択的に高く透過する性能に加え、他の樹脂製フィルムと比較して低温でヒートシール性を発現する特長も併せもつ。

開発品と各フィルムとのガス透過係数比較
開発品と各フィルムとのガス透過係数比較

 同社のデータによれば、ポリエチレン製のフィルムと比較して、ガス透過係数は二酸化炭素で約4倍、酸素で約5倍、ヒートシール性能は120℃で約2倍の強度を示している。これまでにも選択的に特定のガスを高く透過するフィルムはあったものの、ヒートシールが困難なことから用途が限られるという課題があった。「ヒートシーラブル高ガス透過フィルム」は、それらの課題を解決し、パッケージ加工が容易になったことで、用途拡大が期待されている。

ヒートシール性能の温度依存性比較

 三井化学では、液体や菌などは通さずに気体のみを透過する特性から、細胞培養キットの保護用途、医療用器具のパッケージ、特定ガスの分離膜といった産業分野などの用途を想定している。

旭化成 プラ資源循環プロジェクトを日本IBMと開始

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2021年5月25日

 旭化成は24日、資源循環社会の実現に向けたデジタルプラットフォームの構築を目指し、日本IBMの技術支援を受けた「BLUE Plastics(ブルー・プラスチックス)」プロジェクトを発足させ、来年3月末までにプロトタイプを用いた実証実験を開始すると発表した。

「BLUE Plastics」プロジェクト プラスチック資源循環のイメージ

 昨今、地球環境の保全が重要視される中、使用済みプラを資源として再利用する資源循環の推進や再生プラの利活用が進んでいる。しかし、これまで再生プラ製品のリサイクルチェーンや、原料のリサイクル比率を証明することは困難だった。

 こうした中、旭化成は、資源循環と利便性の両立という社会課題に対し、リサイクルチェーンの関連企業から消費者に至るまで、幅広く使用できる横断的デジタルプラットフォームの開発を目指してきた。

 今回の「ブルー・プラスチックス」プロジェクトでは、「IBM Cloud」上で稼働する日本IBMのブロックチェーン技術を活用し、デジタルプラットフォームの構築を目指す。

「BLUE Plastics」プロジェクト プロトタイプのアプリケーション

 実証実験のために開発されたプロトタイプは、再生プラ製品におけるリサイクル素材の使用率の表示や、リサイクルチェーンの関与企業を可視化。消費者はスマートフォンのカメラを使い、再生プラ製品に印字されたQRコードなどを読み取ることで、ブロックチェーン技術のトレーサビリティ(追跡可能性)によって来歴を確認することができる。また、リサイクル行動にポイントを付すなど消費者のリサイクル行動の変容を促す仕組みづくりを行い、新たなリサイクル文化を創造する。

 一方、同プロジェクトには、ブランドオーナーのライオン、成型および最終製品化の各工程を専門とするメビウスパッケージング、リサイクルメーカーの富山環境整備が参加しており、リサイクルチェーンメンバーがすべて揃って開発に協力していることも大きな特徴。今後さらに幅広く参画メンバーを募り、樹脂の種類や用途も拡大していく予定だ。

 旭化成と日本IBMは同プロジェクトを通じ、リサイクル率・リサイクルチェーンの可視化と、消費者行動の変容を促すデジタルプラットフォームを確立し、プラスチック資源循環を推進していく。

三菱ケミカル PMMAケミカルリサイクル、実証試験を実施

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2021年5月25日

 三菱ケミカルと連結子会社三菱ケミカルメタクリレーツは24日、PMMA(アクリル樹脂)のケミカルリサイクル(CR)の事業化に向け、今年6月に日本国内で実証設備を建設し、事業化に向けた実証試験を進めると発表した。

通常のアクリル樹脂板(左)とリサイクルされたアクリル樹脂板(右)
通常のアクリル樹脂板(左)とリサイクルされたアクリル樹脂板(右)

 アクリル樹脂は優れた透明性・耐光性をもつプラスチック製品で、自動車のランプカバー、看板、水族館の水槽、塗料、建材などに幅広く用いられており、その世界需要は300万tを越える。また昨今では、飛沫感染防止用のアクリル樹脂板の需要が世界各地で増加している。

 両社は、かねてからアクリル樹脂のリサイクルに向けた検討を推進。環境に対する意識が世界でも先行し、よりスピード感が要求される欧州においては、現行のリサイクル技術を導入したアクリル樹脂リサイクル設備建設の検討を進めており、近いうちに決定する見通し。

実証設備の完成予想図
実証設備の完成予想図

 一方、日本国内では、アクリル樹脂のリサイクル技術検討のパートナーであるマイクロ波化学と協力。同社大阪事業所内で新たに建設を進めていた実証設備が6月に完成する。欧州と日本国内でその地域特性に合わせたそれぞれのアプローチで、2024年の稼働を視野に、アクリル樹脂のリサイクルプラントの建設に向けた検討を本格化する考えだ。

 廃アクリル樹脂は、製造工場から出る廃材に限らず、将来的には広く市場から回収することを視野に入れる。廃車からのテールランプなどのアクリル樹脂の回収、そのCRや再利用について、本田技研工業とともにスキームの検討を進めており、今回の実証設備を用いたリサイクルシステムの実証試験についても共同で実施していく。

 三菱ケミカルのアクリル樹脂リサイクル技術により製造されたMMA(メチルメタクリレート)とそれを原料として製造されたアクリル樹脂は、透明性をはじめ通常品と同水準の性能を保つとともに、製造工程でのCO2の排出量が従来よりも70%以上削減できると見込んでおり、環境負荷低減に大いに貢献することが可能である。

 同社はMMAおよびアクリル樹脂における世界ナンバーワンシェアのメーカーとして、同事業のサーキュラー・エコノミー実現に向けた取り組みを積極的にリードしていく。

 

カセイソーダ 3月の内需は1%減、輸出は再び増加に

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2021年5月24日

 日本ソーダ工業会がこのほど発表したソーダ工業薬品需給実績によると、3月のカセイソーダの内需は前年同月比0.8%減の26万6700tとなり、2019年5月以降、22カ月連続でマイナスとなった。ただ前月比では8.3%増と3カ月ぶりに反転した。自家消費、販売ともプラスとなっており、回復の兆しが伺われる。

 用途別では、化学工業用が

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花王 再利用で新事業、廃PET利用の舗装改質剤を展開

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2021年5月24日

 花王は、豊かな生活文化の実現と社会のサステナビリティへの貢献を目指し、社会インフラ構築に寄与する研究開発に取り組んでいる。その一環として、再利用により新事業を創造する〝ポジティブリサイクル〟の実現に向け、廃PET(廃棄処分されるポリエチレンテレフタレート素材)を原料の一部に使用したアスファルト改質剤「ニュートラック5000」を開発し、昨年12月から展開を始めた。

「ニュートラック 5000」が採用された市道
「ニュートラック 5000」が採用された市道

 同製品は、舗装に対してわずか1%配合することで舗装の耐久性を約5倍に向上させるもので、同社の実験では、配合したアスファルト舗装の強度が増すために、舗装からの粉塵の発生を80%抑える効果も確認している。

 今年1月、ウエルシア薬局が運営する新店舗ウエルシア藤沢用田店(神奈川県藤沢市)の駐車場舗装に初採用され、3月には、自治体として初めて静岡県磐田市への採用が決まり、市道舗装に使われた。同市道は大型トラックの通行量が多く舗装の劣化が顕著だったが、今回「ニュートラック5000」のアスファルト改質効果により舗装の耐久性、耐油性、耐水性が向上することで、修繕回数の低減と舗装ライフサイクルコストの削減が期待されている。

 花王と磐田市は、改修した道路の経年変化を確認しつつ、市内の道路への採用を継続的に進めていく予定だ。近い将来予測されている全自動運転時代では車輪が同じところを通るため、アスファルト舗装の劣化速度が早まると考えられており、今以上に道路の高耐久性が求められてくる。

 同社は今後、この技術をグローバルに展開していくとともに、ヒトへの安心・安全の提供と豊かな持続的社会の実現に向けた取り組みを推進していく考えだ。

 

三井化学 丹青社と協業開始、感性価値高めフィルム開発

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2021年5月24日

 三井化学はこのほど、丹青社との協業により、フィルム越しに見える景色を自然な見え方ながら色鮮やかに見せるポリエステルベースのウインドウフィルム「ポジカフィルム」を開発したと発表した。両社は、より豊かな空間体験の提供を目的に協業を開始。三井化学の最先端テクノロジーと丹青社の空間づくりのノウハウを組み合わせることで、感性に着目した共同開発を推進している。

『ポジカフィルム』による視覚効果(イメージ写真)
「ポジカフィルム」による視覚効果(イメージ写真)

 第1弾は、三井化学がメガネレンズ材料分野で培った、より良い視界を追求する「くっきり色素」技術により同製品を開発した。同技術は、可視光の黄色領域を特定の割合で選択的にカットするため、彩度が向上し、黄ばみのない白さを引き立たせる。「ポジカフィルム」を窓に貼ると、青空や海、緑の木々や赤い花などの色を濃く鮮やかに感じたり、青空に浮かんだ雲の白さをより白く感じたりするほか、肌色を血色よく見せる効果などが現れる。

 今後は、リゾートホテルやブライダル施設の窓ガラス、博物館のショーケース、店舗・商業施設のショーウインドウ、オフィスの窓ガラスや照明などへの展開を見込む。三井化学・研究開発本部長の柴田真吾常務執行役員は、「当社グループには多くの素材や技術があるが、これからは機能的価値の追求だけではなく、それらがいかに人々にとっての良い生活やライフスタイルの提供につながるかを提案していくことが重要だ」と話す。

 今回の協業では、三井化学の特定波長カット技術を感性価値に高めた。これを皮切りに「研究開発からスピード感をもって事業開発に繋げていく事例を数多く輩出していきたい」(柴田常務)と協業に期待感を寄せた。

 また、丹青社・企画開発センター企画部の菅波紀宏部長は、三井化学の最先端の化学・素材の力と、丹青社の「こころを動かす空間」づくりの共創を強調する。両社の協業を通じ、利用者の五感に訴えかける新たな体験価値の創出を目指していく考えだ。

 なお、「ポジカフィルム」は、三井化学の100%子会社、三井化学ファインが今年9月からの販売を予定する。

 

DICプラスチック 折りたたみ型防災用ヘルメットを新発売

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2021年5月24日

 DICの子会社であるDICプラスチックは21日、防災の様々なシーンで活用できるヘルメット「IZANO(イザノ)2」を6月3日から販売開始すると発表した。発売後1年間で7億円の売上を目指す。

折りたたみ型防災用ヘルメット「IZANO2」
折りたたみ型防災用ヘルメット「IZANO2」

 初代「イザノ」は、東日本大震災を契機として企画をスタート。長年、産業用ヘルメットを手掛けてきた同社は、「ヘルメットらしい外観」、「現場でも使える保護性能」、「誰でも簡単に使える」をコンセプトに据え、性能と美しさを両立し2013年に上市。翌年にはグッドデザイン賞も受賞し、累計100万個以上を販売した。

:「IZANO2」折りたたみ
「IZANO2」折りたたみ

 その間、類似コンセプトの競合製品が登場しているが、新開発の「イザノ2」ではそれらを凌駕するスペックを具現化。収納性をより高めることで現場での使い勝手が向上するとともに、子供サイズにも対応し、より多くの人の安心・安全に寄与する製品へと進化した。特長として、折りたたみ時の厚み63㎜(従来品比23%減)、ヘルメットの内装部品交換が可能、子供から大人まで幅広いサイズ調整が可能、などが挙げられる。