三菱ケミカル 炭素繊維複合材がトヨタ車のルーフに採用

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2020年11月17日

 三菱ケミカルは16日、炭素繊維複合材料である「SMC(シート・モールディング・コンパウンド)」が、トヨタ自動車から今年9月に発売された「GR ヤリス」のルーフに採用されたと発表した。

SMCが採用されたヤリスのルーフ
SMCが採用されたヤリスのルーフ

三菱ケミカルが開発したSMCは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の中間基材の一種で、長さ数cmにカットした炭素繊維を樹脂中に分散させたシート状の材料。プレス成形により2~5分程度の短時間で部材に加工でき、連続した炭素繊維に樹脂を含浸させた中間期材である「プリプレグ」に比べ、複雑な形状の部材を成形することができるといった特長がある。また、機械特性が均質に近いため、従来の部材設計ノウハウを生かしながら比較的容易に炭素繊維を利用して、軽量化と高強度化を実現することが可能。

ヤリス
ヤリス

 今回「GR ヤリス」での採用は、SMCを使用することにより大幅な軽量化と高い部材性能を実現できる点、また、SMCが複雑形状の部材を生産可能とする成形性に優れる点が評価された。トヨタにSMCが採用されるのは、2017年の「プリウス PHV」のバックドアの骨格、「レクサス」LC500、LC500hのドアインナーおよびラゲッジインナーに続き、3件目となる。

 昨今の自動車市場では、電動化やCO2排出規制の強化などを背景に車体の軽量化に対する要求が高まっている。三菱ケミカルは、今後も炭素繊維・CFRPをはじめとする最先端素材の研究・開発を加速させ、技術革新の著しいモビリティ分野に対して最適なソリューションを提供するため、積極的に事業を展開していく考えだ。

アジア石化市況 エチレンは前週比40ドル安に

2020年11月17日

ブタジエン上昇基調が継続、SMは800ドル台に

 アジア地域の10月第5週の石化市況では、エチレンは下値40ドル安、上値20ドル安の750~780ドル/tでの取引となった。3週連続の下落となり、上値は8週ぶりに800ドル/tを割り込んでいる。ナフサとのスプレッドも “アジア石化市況 エチレンは前週比40ドル安に” の続きを読む

ユニチカと名古屋大学 血液適合性ポリマーの高靭性化に成功

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2020年11月16日

 ユニチカと名古屋大学はこのほど、共同で血液適合性ポリマーPMEA=ポリ(2‐メトキシエチルアクリレート)=に直径約100㎚の球状シリカ微粒子を高濃度で配合して力学的に高靭性化し、3Dプリンターで様々な形状に加工できることに成功したと発表した。

本研究のイメージ図
本研究のイメージ図

 低水溶性の次世代血液適合性ポリマーのPMEAは、ECMO(体外式膜型人工肺)をはじめ血液と接触する医療器具に広く利用されているが、柔らかく粘着質のため(ガラス転移温度はマイナス30℃以下)、成形加工が難しく、コーティング材料としての使用が主だ。

 今回、球状シリカ微粒子を充填して高靭性なPMEA‐シリカ複合エラストマーを得た。シリカ充填量を増すと強度は増加し、破壊エネルギーは15倍に向上。一軸伸長時の応力‐歪み関係は生体軟組織に似た非線形性を示し、繰り返し変形による突発的破壊を起こしにくい。血液適合性を示す血小板粘着試験では、PMEAと遜色なくPETより優れていた。

 現在人工血管に使用されるPETやフッ素系ポリマーは直径5~6mm未満では血栓による閉塞が起こるが、PMEA‐シリカ複合エラストマーで、小径人工血管の実現が期待できる。さらに、光造形(SLA)式3Dプリンターで任意形状に加工することにも成功。高度な加工技術、高価な製造装置を使わず安全で迅速に成形体が得られる。

 今後、より詳しい血液適合性の評価など詳細な検討が必要だが、優れた力学物性と高い加工性により、人工血管など血液適合性が必要な医療器具に有用な材料になることが期待される。

リケンテクノスの上期 下期は対上期で増収増益を見込む

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2020年11月16日

 リケンテクノスは13日、2021年3月期上期(4―9月期)連結決算について、都内で説明会を開催した。売上高は前年同期比18%減の406億円、営業利益は39%減の17億円、純利益は同43%減の8億円の減収減益だった。

常盤社長
常盤社長

 常盤和明社長はその主因に触れ、「新型コロナウイルス感染症の拡大により、販売数量が約16%減少した」と説明。地域別売上高では北米・アジアでの減収幅が大きく、海外売上高比率は2.3ポイント下がり、41.4%となった。営業利益ベースでは、

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総合化学大手 4-9月期業績、各社2桁減益に

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2020年11月16日

足元需要は回復傾向も、コロナ再拡大が懸念材料

 総合化学大手5社(三菱ケミカルホールディングス、住友化学、三井化学、旭化成、東ソー)の上期(4-9月期)業績は、新型コロナによる需要減少の影響が4-6月期を中心に強く表れたことから、前年同期比で厳しい結果となった。

 各社の利益を見ると、コア営業利益(IFRS)では、三菱ケミHDは前年同期比58%減の546億円、住友化学は同36%減の541億円、三井化学は同53%減の186億円となり、営業利益では旭化成が同25%減の768億円、東ソーが同56%減の176億円と、揃って2桁の減益率となった。中でも石化事業は、原油・ナフサ価格の下落に伴い製品市況が低迷し、コロナ影響で販売数量も大きく減少。三菱ケミカルのMMA、旭化成のアクリロニトリル(AN)、東ソーのMDIなど市況製品の交易条件が大幅に悪化した。また、4-6月期の国産ナフサ価格は2万5000円と、1―3月期に比べ2万円近く下落しており、在庫の受払い差や評価損が発生したことも収益の下押し要因となっている。

 一方、4-9月期の各社の売上高営業利益率(ROS)を見ると、コア営業利益では、三菱ケミHDが3.6%(前年同期比3.6ポイント減)、住友化学が5.2%(同2.4ポイント減)、三井化学が3.5%(同2.4ポイント減)となり、営業利益では旭化成が7.8%(同1.7ポイント減)、東ソーが5.5%(同4.7ポイント減)となった。

 三菱ケミHDはケミカルズセグメント(MMA、石油化学、炭素)、住友化学は石化事業、三井化学は基盤素材、旭化成は基盤マテリアルズ(AN)とパフォーマンスプロダクツ(合成ゴムやエンジニアリングプラスチックス)、東ソーは石化とクロル・アルカリ(MDI)、での収益悪化がROS低下につながった。コロナ影響によりロックダウンが導入されたことで世界経済が停滞し、汎用品を中心に需要が減少したことが伺える。

 今後については、4―6月期を底に需要が回復傾向となっており、下期もこの傾向が続くとの見方が強まっている。特に中国では、自動車や家電などの生産活動が活発化し、石化製品の需要が拡大していることや、半導体関連製品もリモート化や5Gの進展で好調さ継続している。

 こうした状況を受け、通期業績見通しでは、住友化学と三井化学はコア営業利益の上方修正を行い、旭化成はレンジで示していた営業利益からの上積みを見込むなど、各社の収益の上振れが期待される。とはいえ、足元でコロナ感染が再拡大の様相を見せていることや、米国大統領選の結果を受け世界情勢が不安定化していることが懸念材料。この先、世界経済が変調する可能性もあり、事業環境はこの先も予断を許さない状況が続きそうだ。

 

 

 

三井化学 市原工場で炭化水素系合成油の新プラント完成

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2020年11月13日

 三井化学は12日、市原工場(千葉県市原市)内に炭化水素系合成油「ルーカント」の新プラントが完成し、同日に竣工式を行ったと発表した。生産能力は年産約2万t。現在同製品の生産を行う岩国大竹工場(山口県和木町)と合わせて、生産能力はほぼ倍増することになり、2拠点体制の下、世界の旺盛な需要への対応とBCPの強化を図っていく。営業運転は来年4月の開始を予定する。

竣工式にて。佐藤常務執行役員・モビリティ事業本部長(手前)と細見市原工場長
竣工式にて。佐藤常務執行役員・モビリティ事業本部長(手前)と細見市原工場長

 「ルーカント」は、同社が世界で初めて商品化した高性能炭化水素系合成油であり、粘度の温度依存性が小さく、剪断安定性・熱化学的安定性に優れているなどの特長をもつ。そのため、極めて高品質が求められる自動車ドライブラインのギア油をはじめ、工業用潤滑油・グリースなどの粘度調整剤として採用されており、主要な自動車メーカーや潤滑油メーカーに認証されている。「ルーカント」は、低環境負荷ニーズの高まりの中、省燃費や長寿命に貢献するものとして世界的に需要の増大が見込まれている。

 三井化学は、潤滑油添加剤パッケージ最大手のルーブリゾール社(The Lubrizol Corporation)との戦略提携を行っており、両社で潤滑油市場での「ルーカント」事業のさらなる拡大・成長を図っていく。同時に、三井化学独自の取り組みとして、エラストマー、エンプラ改質用途など、機能性液状ポリマーとしての積極的な市場・用途開発に取り組んでいく考えだ。

積水化学 長期ビジョンを始動、ESG経営に注力

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2020年11月13日

加藤社長「持続的社会を実現する好循環を創出」

 積水化学工業は11日、「サステナブルな社会の実現に向けて~積水化学グループのイノベーションによる社会課題の解決~」をテーマに、オンラインによる記者会見を開催した。

加藤敬太社長
加藤敬太社長

 同社は今年、新たな長期ビジョン「Vision2030」と中期経営計画を始動。ESG経営を中心に置いた革新と創造により、2030年に業容倍増(売上高2兆円)を目指している。加藤敬太社長は、「当社は創業以来、SDGsそしてESGを中心としたビジネスを進め、イノベーションを通じ社会課題解決に貢献してきた。この姿勢は10年先も変わらない。コロナ禍によって、むしろ

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カセイソーダ 9月の内需は9%減、輸出は大幅プラスに

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2020年11月12日

 日本ソーダ工業会がこのほど発表したソーダ工業薬品需給実績によると、9月のカセイソーダの内需は前年同月比8.7%減の23万8200tとなり、昨年5月以降、17カ月連続でマイナスとなった。

 用途別では、化学工業用が

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三井化学 減収減益も下期需要回復見込み通期を上方修正

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2020年11月12日

 三井化学が11日に発表した、2021年3月期第2四半期(4-9月期)の連結決算(IFRS)は、売上収益は前年同期比21%減の5370億円、コア営業利益は53%減の186億円、最終利益は53%減の96億円だった。

中島取締役常務執行役員CFO
中島取締役常務執行役員CFO

同日に開催した決算説明会で、中島一取締役常務執行役員CFOは、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響による需要鈍化の影響を大きく受けて、多くの製品で販売が減少した。加えて基盤素材事業でのナフサ価格の下落に伴い、在庫評価損の影響を受けた。こうした中で、利益項目はいずれも減益となった」と総括した。

 減収減益となった今期の決算だが、一方では同社が8月に公表した上期業績予想を各利益項目で大きく上回った。その要因について中島CFOは、

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