日本触媒 データサイエンスを駆使、高性能SAPを開発

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2020年9月25日

 日本触媒は24日、データサイエンス(DS)を駆使して、吸収量や吸収速度などの機能を従来比で10%以上高めた新しい高吸水性樹脂(SAP)の開発に成功したと発表した。

SAP開発にデータサイエンスを導入
SAP開発にデータサイエンスを導入

 SAPの主用途である紙おむつは、新興国では子供向け、先進国では大人向けを中心に需要が世界で拡大。紙おむつに求められる、ドライ感、もれない、かぶれない、コンパクトである、といった性能の実現にはSAPが重要な役割を果たしている。

 同社は1985年にSAPを製品化して以来、継続的に新製品を開発してきたが、近年の多様化、高度化するニーズに対応できる研究開発、商業化のスピードアップが課題となっていた。そのため、経験と勘に依存することの多かったSAPの研究開発にDSを導入し、顧客ニーズを的確に反映した製品設計から商業化までを迅速に行い、顧客へ提案する体制を整備した。現在では全てこの手法で新製品の開発を行っている。

 SAPには、体重が加わった想定での加圧下および無加圧下の吸収量、吸収速度、液の拡散状態などの性能向上が求められる。これに対し同社は、これまで蓄積してきた紙おむつ性能とSAP性能の相関性や合成時の挙動解析、SAPの表面制御技術をデジタル情報化し、これにディープラーニング(機械学習)やインフォマティクスなどDSを駆使することで、性能を10~20%アップすることに成功。開発期間も従来の約半分程度に短縮された。

 姫路製造所をはじめ世界各地の生産拠点でこの新規SAPを生産し、2025年には全体の4割に高めていく計画。同社は、新規SAPを世界で展開することで、おむつ使用者の様々なニーズに応えていく考えだ。なお、今年6月にデータサイエンス&インフォマティクス推進室を発足。SAPをはじめとして、洗剤原料、アクリル酸触媒など、様々な製品分野でDSの活用を推進している。

 

 

 

東レ 車載コンデンサ用OPP新世代グレードを開発

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2020年9月25日

PCU小型化に貢献、xEVの設計自由度が向上

 東レは、電動車(xEV)向け車載コンデンサ用高耐熱・高耐電圧二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム「トレファン 新世代グレード」を開発し、本格生産を開始した。

オンライン記者会見 フィルム研究所 長田 俊一所長 大倉 正寿研究主幹
フィルム研究所長田俊一所長(左)、 大倉正寿研究主幹

 新グレードを使用したコンデンサをxEVのパワーコントロールユニット(PCU)に適用することで、PCUの小型化、耐熱性向上、高効率化が可能となり、xEVの設計自由度や燃費向上に大きく貢献することができる。新世代グレードは、従来品に対しアドバンテージがあることから、ハイエンドのゾーンを中心に拡販を行い、主力製品に育てていく方針だ。

 同社の「トレファン」は、強靱性・電気特性・機械的特性といった優れた特徴をもち、一般工業用・包装用・コンデンサ用などに広く利用されている。その主力用途の1つであるフィルムコンデンサは、

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ヘンケル 低温塗工ホットメルト接着剤、国内で本格展開

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2020年9月24日

 ドイツの化学・消費財メーカー、ヘンケルの日本法人ヘンケルジャパンはこのほど、低温塗工タイプの包装用ホットメルト接着剤「TECHNOMELT SUPRA COOL(テクノメルト・スープラ・クール)」シリーズの日本での本格展開を今月から開始すると発表した。

低温塗工タイプの包装用ホットメルト接着剤『TECHNOMELT SUPRA COOL』シリーズ
低温塗工タイプの包装用ホットメルト接着剤「TECHNOMELT SUPRA COOL」シリーズ

 同社コンシューマーグッズ事業部は、一部顧客を対象に昨年より「スープラ」シリーズの低温塗工グレードである同製品の販売を開始。「スープラ」シリーズの高い接着性や糸引きの低減などを維持しながらもノズル詰まりの原因となる熱安定性をさらに向上させ顧客評価も高いことから、段ボールケースやカートンの組み立て接着剤用途を中心に、本格的な販促活動を行っていく考えだ。

 同製品の特長は、一般的な製品の塗工温度が180℃であるのに対し、130~150℃の温度領域での使用が可能なこと。ホットメルト接着剤の高温加熱での時間経過による変色は、ノズル詰まりの原因である炭化物の発生に起因するが、「スープラ・クール」シリーズは低温塗工ができるため炭化物の発生が抑制される。また、塗工温度が低いため、火傷リスクが低減され、安全性、作業環境の改善に寄与。電力消費量を削減することから、エネルギー削減・CO2排出量削減につながり、サステナビリティにも貢献する。

 販路開拓に当たっては、コロナ禍で新規顧客との対面での対応が難しい側面もある。こうした中、同社では「スープラ・クール」シリーズのメリットを分かりやすく紹介した動画を作成。同社の話では、新規顧客や販売店のへの直接営業だけでなく「オンラインでの打ち合せや動画投稿サイトYouTubeの自社チャンネルを活用し、積極的にアピールしていく」とのこと。

 ヘンケルジャパンの中でも、特に同製品を扱うコンシューマーグッズ事業部は「よりサステナブルな製品・テクノロジーを顧客に案内していく」ことに注力する。「スープラ・クール」シリーズの環境貢献性やトータルコスト削減などの新機能を訴求し、国内で本格展開していく。

『TECHNOMELT SUPRA COOL』シリーズは、低温塗工によりノズル詰まりの原因である変色を伴う炭化物の発生を低減
「TECHNOMELT SUPRA COOL」シリーズは、低温塗工によりノズル詰まりの原因である変色を伴う炭化物の発生を低減

 

ENEOS 生分解性グリースを発売、エコマーク認定を取得

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2020年9月24日

 ENEOSはこのほど、大林組と共同開発した、生分解性をもつシールドマシン用のテールシールグリース「シールノックBD」を発売すると発表した。一般商品として10月から発売を開始する。

 都市部の地下鉄やリニア新幹線、また海底などのトンネル工事では、地上の建築物や地中の埋設物に影響を与えることなく大深度を掘削でき、同時にトンネル本体を施工するシールド工法が採用されている。同工法では、施工中にトンネル内に地下水や土砂が入らないよう、シールドマシンとトンネル本体外壁の隙間にグリース(テールシールグリース)を充填するが、トンネル本体外壁と地山間に留まり、地下水に触れることで地中に拡散されるといった課題があった。

 今回開発した「シールノックBD」は、微生物により成分が分解される生分解性をもつため、土壌汚染や地下水汚染などの環境負荷低減への貢献が可能。地球環境に優しいことが評価され、テールシールグリースとして初めてエコマーク商品として登録されている。また、トンネル工事の安全性を確保するために、これまで商品化してきたテールシールグリースの高い止水性能を維持したまま、生分解性付与に加え、圧送性能を向上させることにも成功した。

 ENEOSは、グループ行動基準の1つに「価値ある商品・サービスの提供」を掲げる。今後も、環境に配慮した商品の開発・提供を通じて、顧客の満足と信頼獲得に努めていく考えだ。

シールノックBDの外観と荷姿
シールノックBDの外観と荷姿

帝人 蘭関連会社が本社を移転、職場環境もSDGs視点で

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2020年9月24日

 帝人は23日、同社グループの欧州でのアラミド事業会社であるテイジン・アラミド(オランダ・アーネム市)が、環境と従業員によりやさしい職場の構築を目指し、このほど本社を同敷地内に新設したオフィス(床面積約5000㎡)に移転したと発表した。

 「T ONE」と名付けられた新オフィスは、研究所だった建物の躯体を活用したもので、新設に際しては様々なサステナブルな設計を施した。一例を挙げれば、新しい駐車場や専用道路の舗装に、旧研究所の内装を解体した際に発生した破砕くずを使用した。

 新施設には、ソーラーパネルやヒートポンプ、節水設備、日よけ、熱回収装備など、建物のエネルギー消費量低減に寄与する機能を完備。電気自動車や充電スタンド、地元産の食品を提供する食堂、壁面に敷き詰めた植物など、環境配慮型の設備を取り入れている。また、従業員のワークスペースには、会議室やキッチンを備えた活気のある共同スペースと、適度な採光と防音設計を施した個室を整備した。

 帝人グループは、こうした職場環境づくりに対しても、時代の変化を踏まえた新しい価値を創造し、豊かで持続可能な社会を実現するソリューションを提供することで「未来の社会を支える会社」となることを目指すとともに、SDGsの目標達成に貢献していく考えだ。

アジア石化市況 エチレン需給タイトで大幅上昇

2020年9月24日

ブタジエンも上昇基調、芳香族3品目も強含みに

 アジア地域の9月第1週の石化市況では、エチレンは下値、上値とも60ドル高の750~790ドル/tでの取引となった。下値は2週連続で上昇し、3週ぶりに700ドル/t台を回復している。アジア地域で大型定修が行われている中、ハリケーンの影響で米国の石化プラントが出荷を停止。需給バランスが一気にタイト化したことで、市況が大きく押し上げられた。

 スプレッドも、

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日化協 森川会長「経済回復には2、3年は必要」

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2020年9月23日

コロナ禍で世界が変化、オールジャパンで対応も

 日本化学工業協会は18日、定例となる森川宏平会長(昭和電工社長)の会見を開催した。

石化協:森川宏平会長
森川宏平会長

 コロナ禍による影響について森川会長は「化学産業だけではないが、4-6月期の業績は大きく落ち込んでいる。5月が底だったと感じているものの、V字回復は望めないだろう。地域や業界によって回復具合はまだら模様になると見られ、また元には戻らない業界もあるのではないか」とし、

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キリン 免疫機能性表示「プラズマ乳酸菌」商品を発売

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2020年9月23日

 キリンホールディングスはこのほど、独自素材「乳酸菌L.ラクティス プラズマ(プラズマ乳酸菌)」を使用したキリングループの5商品が、機能性表示食品制度の「健康な人の免疫機能維持」に関する表示で、免疫機能として初めて消費者庁に届出受理・公表されたと発表した。

 「プラズマ乳酸菌」は主にチーズやヨーグルトの発酵に使われる乳酸菌「ラクトコッカス・ラクティス」の一種で、プラズマサイトイド樹状細胞を活性化し健康な人の免疫機能の維持に役立つことが、世界で初めて報告された。 同社と小岩井乳業、協和発酵バイオが共同で研究を進め、国内外の大学・研究機関の協力の下、多数の論文や学会発表がある。

 キリングループは長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」に基づき「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV(共有価値の創造)先進企業となる」ことを目指している。既存事業の「食領域(酒類・飲料事業)」「医領域(医薬事業)」に加え、長年培った「発酵・バイオ」技術をベースに人々の健康に貢献する「ヘルスサイエンス領域(ヘルスサイエンス事業)」を立ち上げ育成を進めている。その1つが「プラズマ乳酸菌」使用商品で、グループ横断で展開し健康維持に貢献してきた。

 今回の届出表示受理は「プラズマ乳酸菌」の信頼性獲得につながり、商品選択時の安心感の提供に期待する。今後も「プラズマ乳酸菌」を活用した事業を国内外で加速・拡大し、大きな社会課題の1つ「人々の健康維持」への貢献を目指す考えだ。

大王製紙 EVレース車の車体外装全体にCNFを実装

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2020年9月23日

 大王製紙はこのほど、セルロースナノファイバー(CNF)の事業化に向けた取り組みとしてモータースポーツチーム・SAMURAI SPEED(東京都港区)にCNFを使ったシート成形体「ELLEX‐M」を提供し、車体外装全体へ実装されたと発表した。

ELLEX-M
ELLEX-M

 「ELLEX-M」はCNFとパルプ繊維を複合化したCNF高配合のシート状成形体で、軽量で強度は汎用プラスチック材料を大きく上回り、熱特性にも優れる。

 SAMURAI SPEEDは、米国開催のレース「パイクスピークインターナショナルヒルクライム」(標高差1500m、全長約20㎞のタイムトライアルレース)に2018年から電気自動車(EV)で参戦。CNF部材の実用可能性を探るため、エアロパーツからリアドアやボンネットへと実装範囲を広げてきた。

CNF複合樹脂
CNF複合樹脂

 3年目の今年は、コンペティション能力向上のために新規にプロトタイプEVを製作。車両軽量化のために「ELLEX‐M」を外装全体(ボンネット、ドア、リア、サイド)と内装(インストルメントパネル)に、さらに「減プラスチック」効果が期待できるCNF複合樹脂をドアミラーに使用した。

 今回は新型ウイルスの状況を鑑みて参戦は見送ったが、今年度中に開催される他レースへの参戦を検討している。レースでのCNF部材の軽量化効果と耐久性を検証し、一般車両への応用展開を進めていく考えだ。

 

ブルーイノベーション 出光製油所をドローンで点検

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2020年9月23日

 ブルーイノベーションはこのほど、出光興産および日本工業検査と共に、出光興産北海道製油所のダクト内と煙突内で球体ドローン「ELIOS2」による点検作業を行い、時間短縮・コスト削減を実現したと発表した。

出光プラント点検、煙突上部を撮影
出光プラント点検、煙突上部を撮影

 成果として、ダクト内点検では1日がかりの作業範囲を30分で完了し、煙突内点検でもゴンドラを使い2~3日がかりで作業する範囲を半日で完了することができた。また、撮影後すぐに、専用ソフト上で不具合箇所の大きさや赤外線での熱検知の映像などを確認し、発熱の状況を知ることができた。

 なお、「ELIOS2」で撮影した映像は、AIが不具合箇所を自動検知した上で、点検箇所の様子が分かるように3Dモデリングを作成することも可能であり、一元化して不具合箇所を把握することができる。

 ブルーイノベーションは、プラントを中心に狭小空間でのドローンによる点検ソリューションを展開する、ドローンの先駆的サービス・プロバイダー。2018年からの約2年で、プラント、発電所、大型の工事などを中心に約100現場以上の屋内施設で導入を進めている。

 同社は今後も、出光興産のプラント施設内で、特に足場や高所用作業車が組めない現場、有毒ガスや酸素欠乏の恐れがあるような箇所を中心に、点検員に変わる新たな手法として提案する。そして、より効率的で安全な、ドローンによる点検ソリューションを展開していく考えだ。