プラ工連 2月の実績は原材料生産増も製品生産は減少継続

2020年4月20日

 日本プラスチック工業連盟がこのほど発表したプラスチック原材料・製品の生産・輸出入状況によると、確報となる1月のプラスチック原材料生産は、前年同月比8%減の91万3000tと7カ月連続で減少した。しかし、2月は速報値ながら同4%増で推移しており、8カ月ぶりにプラスに転じる見込みだ。2月の主要品目では、ポリエチレンと塩化ビニル樹脂が2カ月ぶり、ポリプロピレンが4カ月ぶりにプラスに転じ、ポリスチレンは3カ月連続で前年を下回った。

 1月のプラスチック製品生産は、

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

東洋紡 60分以内で検出、新型コロナ検出キット発売

, , , , , ,

2020年4月20日

 東洋紡はこのほど、最短60分以内で新型コロナウイルス(SARS‐CoV‐2)の抽出と検出・測定が可能な新型コロナウイルス検出キット「SARS‐CoV‐2 Detection Kit」を開発した。全国の研究機関や大学の研究室、製薬メーカーの研究部門向けに同日から販売を開始し、新型コロナウイルスの治療薬などの早期開発に貢献していく。

新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」
新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」

 同社が開発した検出キットは、遺伝子の抽出工程と増幅(PCR)・検出工程に掛かる手間・時間を大幅に短縮する。遺伝子の抽出工程では、サンプル中に夾雑物(きょうざつぶつ)が混じっていても反応が阻害されにくい、同社独自の遺伝子増幅酵素(特許出願中)を採用。夾雑物を取り除く必要がなくなり、煩雑な遺伝子の精製過程を省略できることから、検出キットに含まれる前処理液とサンプルを混合させるだけで遺伝子の抽出工程が最短2分で完了する。

 また、増幅・検出工程では、試薬の配合を調整して酵素の働きを最適化し、増幅に掛かる時間を従来の半分以下の最短56分に短縮。これにより、新型コロナウイルスの抽出から検出・測定まで最短60分以内で実現した。

 PCR法には、ウイルスから遺伝子を抽出する工程(約30分~2時間)と、遺伝子を増幅・検出する工程(約2時間)があり、これまで約2時間半以上掛かるのが一般的だった。このため、治療薬などの研究・開発で大量のサンプルを扱う場合に、多くの手間や時間を要する一因となっていた。なお、同検出キットの使用に際しては、汎用的な遺伝子増幅装置(リアルタイムPCR装置)だけで行え、抽出装置などを新たに準備する必要はない。

 今後は、同検出キットの開発で得られた知見や技術を応用し、全自動遺伝子解析装置「GENECUBE」用の診断薬の開発に取り組んでいく考えだ。

 今回の開発は、日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受け、北里大学・大村智記念研究所と国立感染症研究所・インフルエンザウイルス研究センター第2室との共同研究で実現した。

カネカ 低温保持時間が2倍の低温輸送パッケージを発売

, , ,

2020年4月20日

 カネカはこのほど、グループ会社の玉井化成(北海道小樽市)が、真空断熱材(VIP)を採用し定温保持時間を約2倍に延ばした新製品、定温輸送パッケージ「TACPack Premiumシリーズ」を4月から販売開始すると発表した。

シリカ粉体系VIP
シリカ粉体系VIP

 医薬品の輸送時の温度管理は、2018年に国内版GDPガイドライン(流通上の品質確保と偽造薬の流入防止を目的に、適切な管理方法を定めたもの)が制定され、厳格化されている。

 発泡ポリスチレン系断熱容器を使用する製品では、夏期の冷蔵温度帯の保持時間に限度があり、長時間輸送に対応できなかった。新製品は、主流のグラスウール系と比べ、内部圧力上昇による熱伝導率性能の劣化が少ない、シリカ粉体系VIPとカネカ潜熱蓄熱材「PATTHERMO」を組み合わせることで、パッケージ内部の温度を長時間保持し、定温保持時間を従来品の約2倍に延長させた。

 なお、カネカと玉井化成が共同開発した「PATTHERMO」は、物質が固体~液体に状態変化する際に、融解・凝固点付近に温度が維持される特徴を利用。マイナス50℃~プラス37℃の範囲で15種類の製品をラインアップしている。

 カネカは現在、新たな潜熱蓄熱材の開発も進めており、引き続き「TACPack Premium」シリーズを拡充し、市場開拓を加速させる。そして、温度管理ソリューションの提供を通じて医療や生活の質の向上に貢献する考えだ。

積水化学 ごみをエタノールにする技術を事業化へ

, , , ,

2020年4月20日

INCJと合弁、持続可能な社会の創生に貢献

 積水化学工業は、ESG経営を最重要課題に掲げ、社会・環境問題の解決に注力している。中でも、廃プラスチックを含む可燃性ごみを都市油田に変える「ごみの資源化」を重要なテーマの1つとして取り組んでおり、次世代に豊かな社会を引き継ぐため、化石資源に頼らない究極の資源循環社会システムの創生を目指している。

 2017年には、米ベンチャー企業ランザテック社と共同開発した、世界初の革新的生産技術「BR(バイオリファイナリー)エタノール技術」を確立。生ごみ、衣類、プラ、紙・木材などの可燃性ごみを、分別することなくガス化し、熱・圧力を用いることなく微生物によりエタノールに変換することができる。

 同社は、同技術の実用化と事業化に向け、環境省委託事業(二酸化炭素の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業)などを活用し、各自治体や関連企業などのパートナー募集やビジネスモデルの検討を進めてきた。

 こうした中、今月16日に、BRエタノール技術の実証事業の実施や事業展開を行うことを目的に、経済産業省が所管とする官民ファンド「INCJ」と合弁会社「積水バイオリファイナリー」の設立を発表。岩手県久慈市に実証プラントを新設し、2021年度末に稼働させ実証事業(エタノール供給)をスタートする。

 まず標準的規模のごみ処理施設の処理量の10分の1程度のごみ(1日約20t)の提供を受け、エタノールを生産。そして自治体、ごみ処理関連企業、プラントメーカーなどのパートナーを広く募り、生産したエタノールを様々な製品・事業へ活用する検証を行い、2025年度には本格事業化を目指していく計画だ。

 日本で排出される可燃性ごみは年間約6000万tと見られている。国内でのプラスチック生産に用いられる化石資源のほぼ2倍に及ぶが、ほとんどが再利用されず焼却・埋め立て処分されている状況。また、プラスチックは、私たちの生活には欠かせないものの、海洋プラスチック問題などがクローズアップされており、使用済みプラスチックの再活用が求められている。

 同技術の事業化や事業拡大、社会への普及のためには、原料となる廃棄物関連の行政を所管する自治体や、民間企業などのパートナーとの強固な連携が欠かせない。積水化学は、INCJの協力を得て、自治体やごみ処理関連企業、プラントメーカー、エタノールを利用する企業などと強い協力関係を構築するとともに、関連省庁との協議や連携なども円滑に進めることを期待している。

 両社は、合弁会社「積水バイオリファイナリー」を通じて、日本各地の地方貢献や、カーボンリサイクルを通じたサーキュラーエコノミーの実現により社会課題解決に寄与するとともに、持続可能な社会の創生に貢献していく考えだ。

積水化学

 

◇この人にきく◇ プライムポリマー社長 藤本健介氏

2020年4月17日

確固たる事業基盤を持つ差別化POの主導的企業を追求

 2005年に三井化学と出光興産のポリオレフィン(PO)事業を統合し誕生したプライムポリマーは、創立15周年を迎える。同社が創業以来掲げる〝プライムソリューションパートナー〟には、卓越した=プライム=製品・技術・サービスを安定的・持続的に顧客に提供し、信頼されるパートナーとなる、目指すべき姿に思いを込めた。

藤本健介社長 
藤本健介社長

 節目となる今年、新たな企業理念と長期ビジョンを定め、2030年の目標へと一歩を踏み出した。貿易問題にプラスチックごみ問題、コロナショックと事業環境が激変する中でどう舵取りをするのか、創業期から同社に携わり、就任2年目の藤本社長に、人材・開発を焦点に経営戦略を聞いた。

━ このたび、2030年に向けた長期ビジョンを策定されました。

 藤本 当社は4月に創立15周年を迎えることもあり、昨年から約1年を掛け、経営層を中心に議論を交わしてきた。2015年の10周年の際は、若手・中堅社員に10年後のありたい姿を考えてもらったが、それに経営サイドが呼応する形で今回、15周年を機に、企業理念と長期ビジョンを改めて見直した。

━ 長期ビジョンでは何を目指されますか。

 藤本 長期ビジョンでは、10年後のありたい姿として会社軸と社員軸を設け、それぞれの目標を掲げた。会社軸では「確固たる事業基盤を持つ差別化POのリーディングカンパニー」を追求し、社員軸では「働きがいのある魅力的な会社」を目指していく。

 目標達成に向けた具体策のために、

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

東洋紡 尿沈渣検査を自動化する分析器の新製品を上市

,

2020年4月17日

 東洋紡はこのほど、尿中有形成分分析装置の新製品「USCANNER premio」の国内販売を開始した。同装置は腎臓や泌尿器の疾患を診断する際などに、尿中の赤血球や白血球といった有形成分を調べる尿沈渣(にょうちんさ)検査の工程を自動化したもの。今年2月から大学病院や医療機関向けに販売を始めた。

新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」
新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」

 新製品は、撮影画像の解像度を従来機種より向上させるとともに、オートフォーカス機能を改良し、尿中の有形成分をより鮮明に表示できるようになった。また、オプションの「操作用増設端末」を使用することで、複数の検査者により異なる検体の画像を同時に観察することも可能に。検体を効率的に分析できるため、診断結果を得るまでの時間短縮に寄与する。

 尿中有形成分分析装置「USCANNER」シリーズは、尿沈渣検査で検査者が実施する、染色、標本作成、カラー染色画像の撮像、成分の分類・計測という一連の作業を全て自動化した臨床検査装置。2001年に最初の製品を上市して以来、改良を重ねながら、全国の大学病院などへ導入を進めている。検査者の煩雑な手作業の負担を軽減するだけでなく、解析プログラムを活用した画像判定機能により、ばらつきのない安定した測定を行えるのが特徴だ。

尿中有形成分分析装置「USCANNER premio」
尿中有形成分分析装置「USCANNER premio」

 同社は、臨床検査分野では尿中有形成分分析装置に加え、核酸の抽出から増幅(PCR)・検出まで全て自動で行うことが可能な、全自動遺伝子分析装置「GENECUBE」の販売も手掛ける。

 今後も引き続き、医療現場の臨床検査作業の効率化や高精度化に貢献していく。

島津製作所 1時間で判定、新型コロナ検査キット発売

,

2020年4月17日

 島津製作所はこのほど、開発を進めていた「新型コロナウイルス検出試薬キット」を4月20日に発売すると発表した。当面は国内のみの販売だが、5月以降の海外輸出も視野に入れて準備を進めていく。

新型コロナウイルス検出試薬キット
新型コロナウイルス検出試薬キット

 同キットの最大の特長は、煩雑な手作業を省いたことによる検査時間の大幅な短縮にある。また、手作業を行わずに済むため、人為的なミスの防止にもつながる。現状の遺伝子増幅法(PCR法)による新型コロナウイルス(SARS‐CoV‐2)の検出では、鼻咽頭拭い液などの試料(検体)からRNAを抽出して精製する煩雑な作業が必要であり、これが多数の試料を迅速に検査する際の妨げになっている。

 同キットではRNAの抽出・精製工程が省けるため、検査に要する人手を大幅に削減でき、かつ2時間以上かかっていたPCR検査の全工程を従来の半分である約1時間に短縮できる。96検体用PCR装置を用いて、96検体を検査した場合でも1時間半以内で行える。

 「新型コロナウイルス検出試薬キット」は、同社独自のAmpdirect技術をベースに国立感染症研究所の「病原体検出マニュアル 2019‐nCoV」に沿って開発。同技術は、生体試料に含まれるたんぱく質や多糖類などのPCR阻害物質の作用を抑制できるため、DNAやRNAを抽出・精製することなく、生体試料をPCRの反応液に直接添加できるもの。

 島津製作所は同技術を用いて、腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌、赤痢菌、ノロウイルスなどの病原体検出試薬を開発・販売しており、これまでに培った技術を応用し新型コロナウイルス検出試薬の開発を行った。誤操作などにより、陽性にもかかわらず遺伝子増幅が起きなかった場合に誤って陰性と判断しないよう、同キットの反応液には、増幅工程が正しく進んだことを確認するための参照成分を添加。これにより、偽陰性が生じる可能性を低減し、検査結果の精度向上が期待されている。

 なお、同キットの使用には、PCR装置や分注ピペット、恒温槽、小型遠心機をはじめとする機材や、試料・遺伝子の取り扱い技術を要するため、ドラッグストアなどの小売店や個人への販売予定はない。価格は、22万5000円(100検体分/キット、税抜き)。月間生産量は10万検体分。

三菱ケミカル・クリンスイ 独デザイン賞を3年連続で受賞

, , ,

2020年4月16日

 三菱ケミカルのグループ会社で浄水器の製造・販売を行う三菱ケミカル・クリンスイはこのほど、蛇口直結型浄水器「クリンスイ CSP901」が「Red Dot Award:Product Design 2020」を受賞したと発表した。

大型液晶と計量機能を搭載した「クリンスイ CSP901」
大型液晶と計量機能を搭載した「クリンスイ CSP901」

 同アワードは、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンターが主催する世界的なデザイン賞。

 「プロダクトデザイン」「ブランド&コミュニケーションデザイン」「デザインコンセプト」の3つの部門で構成される。2020年は60カ国から6500件を超える応募の中、2月に発売した「クリンスイ CSP901」の高いデザイン性と創造性が評価された。

 同社としては3年連続の受賞。2018年には信楽焼浄水器「クリンスイ JP100‐C」が今回と同様の「プロダクトデザイン」部門で、2019年には「Cleansui」ブランドが「ブランド&コミュニケーションデザイン」部門で受賞している。

 今回受賞した「クリンスイ CSP901」は、プロダクトデザイナーの柴田文江さんが製品デザインを手掛けた。簡単に取り外せる浄水口や水はねしにくいシャワー部分など、細やかなユーザビリティを重視しつつ、キッチンに馴染むシンプルで清潔感のあるデザインが特徴。

 視認性向上のため、大きくて見やすい大型の液晶を搭載し、液晶下の切り換えボタンを押すことで、浄水使用残量を表すL(リットル)表示と、100㏄刻みで水を計量して給水できる、調理時に便利な㏄表示の切り換え機能がある。

東洋スチレン ケミカルリサイクルの事業化に着手

, , , ,

2020年4月15日

米社とライセンス契約、実証設備建設の検討開始

東洋スチレン PSケミカルリサイクル 大手ポリスチレン(PS)メーカーである東洋スチレン(出資比率:デンカ50%、日鉄ケミカル&マテリアル35%、ダイセル15%)は、地球温暖化や廃棄プラスチックといった環境問題への対応として、バイオPSやリサイクルに取り組んでいる。

  昨年にはバイオ化ニーズの高まりから、PSとポリ乳酸(PLA)をアロイ化した「トーヨーエネライツ」を上市。顧客から高い評価を得ており、引き合いが強まっている状況だ。

 一方、リサイクルではマテリアルリサイクル(MR)に注力。再生品は品質的な課題があるが、バージン品を組み合わせるなど品質向上に取り組んでいる。

 こうした中、昨年10月には環境対策推進室を創設。使用済みPSのケミカルリサイクル(CR)の事業化を検討してきたが、今回、CR事業実証を進めるため、米国アジリックス社(オレゴン州ポートランド)と技術ライセンス契約を締結した。

 PSは熱分解によりスチレンモノマー(SM)に戻る性質を持っているが、アジリックス社の熱分解技術は、PSを高収率でSMに変換することが可能。また、同社は使用済みPSの熱分解SM化設備を商業運転している唯一の存在であり、さらにイネオス社など複数の海外PS/SMメーカーとの連携・合弁事業を進行している。

 東洋スチレンは今後、アジリックス社からの技術導入を受け、親会社であるデンカ千葉工場(千葉県市原市)内に、使用済みPSの熱分解SM化実証設備(年間処理能力:約3000t)建設の具体的検討に着手し、2021年の操業開始を目指す方針だ。

 PSリサイクルのMRでは、使用済みPS食品容器を再び同じ用途(食品接触部)に使用することは品質安全上困難とされてきた。それに対し、使用済みPSをSM(熱分解SM)に戻す今回のCR方式であれば、その課題をクリアできる。

 熱分解SMを原料に使用したリフレッシュPSは、品質安全上も全く問題がなく用途に制限がない。また、ワンウェイ(使い捨て)仕様と比較すると、地球温暖化ガスであるCO2の排出量を、少なくとも半減させる効果も期待できる。この事業化計画を実現し、熱分解SMを使用したリフレッシュPSを製造販売できれば、CRによる真のサーキュラーエコノミー(循環型経済)への第一歩を踏み出せることになる。

 東洋スチレンは、アジリックス社から技術導入するCR設備により、先ずは製造時に発生するポストインダストリアル材料を中心(一部ポストコンシューマー材料含む)とした実証試験操業を行い、PSの優れたリサイクル性を広く一般に認知させる。そのうえで、政府、コンシューマー、関係団体、需要家などの関係先と協同でスケールアップを図り、将来の目標であるポストコンシューマー材料に対象を広げていく考えだ。