三菱ケミカル アクリル樹脂板、4月以降受注が急増

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2020年9月4日

コロナ禍の生活様式に対応、飛沫感染防止に効果

 アクリル樹脂は、加工の自由度やガラス以上の透明度、野外での変形や劣化などの変質を起こしにくい耐候性、軽量・強靭という極めて優れた性質から、〝プラスチックの女王〟と呼ばれる。

アクリル板を使用した対面パーティション
アクリル板を使用した対面パーティション

 三菱ケミカルは1943年より、アクリル樹脂板「アクリライト」の製造を開始。これまで看板や水族館の水槽といった幅広い用途に使用され、国内トップシェアを誇る。昨今では、新型コロナウイルスの飛沫感染防止と日常生活を両立する「新しい生活様式」の中で、人と対面する際に飛沫感染を防止するパーティション用途として注目が高まり、4月中旬以降、受注が劇的に増加している状況だ。

 同社の「アクリライト」は光との相性が良く、透過や遮断、偏光によって様々な性質を操り、光の透過ではガラスよりも高い透明度をもつ。またグレードによっては、最大幅2763mm×最長6000mmという生産サイズが可能であり、大型看板の制作にも最適。用途は非常に幅広く、看板や水槽のほかにも、液晶ディスプレイのバックライト、照明、携帯電話やデジタルカメラの表示窓、美術館の展示ケース、住宅・商業施設をはじめとした建材など多岐にわたる。

 こうした中、コロナ対策として、「アクリライト」の特徴あるグレードが、飛沫拡散防止パーティションの素材に採用が進む。中でも独自の連続キャスト製法で製造している高品質押出グレード「アクリライトEX」は、加工性、耐擦傷性、視認性、耐薬品性に優れ、パーティションなどに手軽に使える。

 オフィスやクリニックなど、来客と近距離で接する機会の多い受付での設置に適しており、同社エントランスの受付でも、「アクリライトEX」パーティションを設置。反射防止フィルム「モスマイト」を貼付することで光の反射を抑え、自然な会話ができている。

アクリル板を使用した飛沫防止用パーテーション
アクリル板を使用した飛沫防止用パーテーション

 「アクリライト」の出荷は4月中旬から加速度的に増加している。緊急事態宣言が発出されてからは、金融機関、コンビニ、スーパー、病院など、対面接客が必要な業種からの引き合いが強かったが、宣言解除後は、オフィスやレストランなどで、人同士の間を分ける用途向けが伸びている。海外では、航空機内への導入も検討されており、公共機関への採用拡大が期待されている。

 同社では現在、耐擦傷性を高め傷がつきにくい「アクリライトMR」や、すりガラス調でありながら表面が平滑なためウイルスが付着しにくい「アクリライトフロスティ」の採用活動を展開。さらに、「アクリライト」の抗ウイルスグレードを開発しており、医療機器や病院など高機能が求められる需要を取り込むことを目指している。また、将来的な製品の交換に伴う廃棄問題を見据え、リサイクル体制構築への取り組みも開始した。

 今後、アクリル樹脂板の需要は、一層の採用範囲の広がりが見込まれ、ロックダウンが解除される海外でも、第2波に対する備えとして感染防止策が展開されていくと見られる。同社は、「アクリライト」の需要は、これから1~2年増加し続け、その後新たなウイルス感染防止や置き換え需要により当面の間は、ニーズが高い状況が続くと想定している。

 

太陽石油 愛媛新聞「本とねんどアートの世界」に協賛

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2020年9月3日

 太陽石油は、愛媛新聞社(愛媛県松山市)で先月9日に開催された「太陽石油presents わくわく!本とねんどアートの世界」に協賛した。この催しは、子どもたちに本に親しんでもらうことを目的に、太陽石油が特別協賛する「愛媛新聞小学生読書感想文コンクール」に合わせて開催されるワークショップ。

 かのうさんからのレクチャー
かのうさんからのレクチャー

 今回は、四国事業所がある同県今治市出身の絵本作家かのうかりん氏を講師に迎え、小学生の親子51人が、お気に入りの本の一場面を表現する粘度工作に挑戦した。ワークショップでは、粘度工作のほかに、かのう氏による絵本の読み聞かせも行われ、参加した子どもたちは目を輝かせながら本の世界に浸っていた。

 コロナ禍となった今年は、三密回避、マスク着用、アルコールによる手指消毒、ヘルスチェックシートによる体調確認など、多くのコロナ対策を施しての開催となったが、参加者は夏休みの貴重な体験を楽しむことができた。

 同社は、社会貢献活動の一環として、次世代を担う子どもたちの健全な育成のため、こうした取り組みへの支援を続けていく考えだ。

プラ工連6月の実績 日用品・雑貨は17カ月ぶりに伸長

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2020年9月3日

 日本プラスチック工業連盟がこのほど発表したプラスチック原材料・製品の生産・輸出入状況によると、確報となる5月のプラスチック原材料生産は、前年同月比12%減の72万3000tと3カ月連続で減少した。6月の速報では同20%減で推移しており、マイナス幅が拡大している。6月は、主要品目のポリエチレンやポリプロピレン、塩化ビニル樹脂が4カ月連続、ポリスチレン(AS樹脂、ABS樹脂含む)は7カ月連続でそれぞれ減少した。

 5月のプラスチック製品生産は、同13%減の40万5000tと10カ月連続で減少し、6月の速報でも同8%減と減少傾向が継続する。6月は主要品目のフィルム・シートが2カ月連続でマイナスとなったのをはじめ、自動車や電気製品向けの機械器具部品は5カ月連続、建設関連のパイプと建材はそれぞれ3カ月連続、9カ月連続で減少した。各品目が軒並みマイナスとなる中、日用品・雑貨は17カ月ぶりにプラスに転じた。コロナ禍の巣ごもり需要の拡大によるものと見られる。

 一方、6月のプラスチック原材料輸出は

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DIC 統合報告書「DICレポート2020」を発行

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2020年9月3日

 DICは、同社グループの事業や財務、サステナビリティ活動についてまとめた「DICレポート2020」(ハイライト版・詳細版)を発行した。

 今年度は、社会課題を解決する「社会的価値」を表すものさしとして独自のサステナビリティ指標や、事業ポートフォリオ転換を目指した資本政策の基本方針(CFOメッセージ)、そして新たな社会価値創出に貢献する製品の特集などを主なハイライトとして紹介している。

 同レポートはより多くのニーズに応えるため、要点を簡潔にまとめたハイライト版(冊子およびPDF)と、より詳しい情報やデータを盛り込んだ詳細版(PDF)を発行。見やすさと分かりやすさの観点から、見る人の色覚タイプに左右されない「カラーユニバーサルデザイン」を採用し、CUD認証を取得するとともに、SDGsの目標と同社グループの取り組みとの関連を、SDGsのアイコンを用いて紹介している。

 また、同レポートの冊子は、DICグラフィックス社の製品である100%植物油を使用した「環境調和型インキ」で印刷し、環境へも配慮している。

 なお、レポートの作成にあたっては、ガイドラインとして「ISO26000:2010」や「レスポンシブル・ケア・コード」、レポーティングの国際基準となっている「GRIスタンダード」を採用。ステークホルダーが必要とする情報を提供している。

統合報告書「DIC レポート2020」
統合報告書「DIC レポート2020」

 

中越パルプ工業 CNF複合樹脂MBの複数グレードを販売

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2020年9月3日

 中越パルプ工業はこのほど、セルロースナノファイバー(CNF)を活用する複合樹脂ペレット・マスターバッチ品「nanoforest‐MB」の販売を開始した。衝撃強度を強化したグレードをはじめ、複数の製品ラインアップを揃えている。

「nanoforest-MB」
「nanoforest-MB」

 CNFはプラスチック分野での低比重・高剛性化による軽量化が期待できる補強剤として、自動車産業をはじめ様々な産業分野で応用が試みられている。これまで同社は、CNF「nanoforest」を利用し、ポリプロピレン(PP)との複合を可能とした粉末グレード「nanoforest‐PDP」を提供。しかし、検討先でPPとの混練時にPDP分散性の課題があったことから、今回、PDPを事前にPPへ良分散させたMB品の提供を開始した。

 一方、CNF複合樹脂の実用化では、剛性が向上する一方で、固く脆い性質に起因する衝撃強度の低下が課題。特に自動車産業分野では衝撃強度の強化が望まれており、同社では標準グレードMB品に加えて、衝撃強度を強化した3種類のグレード「衝撃タイプ」「高剛性タイプ」「高衝撃タイプ」もラインアップした。

 同社では、さらなるMB開発として、剛性、軽量化以外の機能性付与の開発も進めている。今後、様々な分野での応用・実用化を目指し、丸紅と共に開発や営業展開の強化を図っていく考えだ。

東洋紡 犬山の新設備稼働、LCD用フィルムの量産を強化

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2020年9月3日

 東洋紡は、同社犬山工場(愛知県犬山市)に液晶ディスプレー(LCD)用の超複屈折ポリエステルフィルム「コスモシャインSRF」専用の製造設備を新たに建設し、7月より量産を開始した。

 ポリエステルフィルムは複屈折による色ムラのため偏光子保護に適さなかったが、「コスモシャインSRF」は複屈折を極端に上げ、光の干渉領域をはるかに超えた位相差をもつ「超複屈折」により虹ムラを解消した。耐水・耐久性に優れ、製造過程でゆがみが生じにくいことから、ディスプレーの大型化やベゼル(外枠)レス化を背景に需要が拡大してきた。

 2018年より進めてきた犬山工場の「コスモシャインSRF」専用製造設備の建設が竣工し、量産を開始。犬山工場と敦賀事業所を合わせ、生産能力を従来の1.5倍に増強し、生産体制の強化を実現した。

東洋紡 犬山工場に新設した製造設備

住友ベークライト 植物由来リグニン変性フェノール樹脂を開発

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2020年9月3日

 住友ベークライトはこのほど、植物の主要成分「リグニン」を活用した固形ノボラック型フェノール樹脂を開発し、製造技術を確立し量産機での生産を実証したと発表した。環境対応の熱硬化性プラスチックとして、主力の自動車分野をはじめ各種分野に提供していく。

固形ノボラック型 リグニン変性フェノール樹脂 
固形ノボラック型 リグニン変性フェノール樹脂

 同社主力製品のフェノール樹脂は石油由来であり、石油資源の調達リスクや温室効果ガスの削減などの課題に対し、非可食性バイオマスなどの植物資源への原料転換が必要になってくる。

 リグニンは植物の主要構成成分で、バインダーとして植物細胞に物理的強度や化学的安定性を与える天然フェノール系高分子。芳香族有機資源として地上最大の賦存量をもち、再生可能資源として期待される。

 同社は2010年以前からリグニン利用の基礎研究に着手。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発」と「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発」事業にも参画し、リグニンを使った樹脂合成の基幹技術と産業利用のための樹脂開発を進めてきた。

 固形ノボラック型のリグニン変性樹脂は製造面の難易度が高かったが、既存の石油由来フェノール樹脂と同等の加工性、樹脂材料特性、コストの並立が可能となり、量産技術も確立した。

 用途に合わせて樹脂特性を調整でき、優れた強度・耐熱性に加えリグニン由来の機能をもつ。用途によってはバイオマス比率50%以上の樹脂設計も可能。環境対応要求が高い自動車や航空機関連部材をはじめ、様々な産業分野で用いられているフェノール樹脂材料への適用・実績化を目指し、国内外の各種産業分野への利用展開を図る。

 コスト競争力のある再生可能原料を利用したフェノール樹脂製品の製造プロセスの実現により、二酸化炭素排出量を削減し持続可能な低炭素社会を実現する産業基盤の構築と、SDGsの実現に寄与していく考えだ。

 

中国汎用樹脂輸入 7月は5品目が大幅プラスに

2020年9月3日

PVCは2カ月連続2倍以上、米国のPEも急増

 中国の7月の汎用樹脂輸入は、前月からやや減速したものの引き続き高水準となり、中国経済の本格的な回復を示す結果となった。特に塩ビ樹脂(PVC)は前年同月比2.4倍と6月(同2.7倍)の勢いが続いており、中国政府による景気刺激策の効果が伺われる。また、前月ようやくプラスに転じたABSは2桁増を継続しており、自動車や家電分野の生産が本格化してきたと見られる。

 7月の輸入を品目別で見ると、PEは、

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フタル酸系可塑剤 2020年上期の国内出荷は10万t割れ

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2020年9月2日

 可塑剤工業会がこのほど発表した需給実績によると、2020年上期(1-6月期)のフタル酸系可塑剤の国内出荷は、前年同期比16.5%減の8万5100tとなり、10万tを大きく割り込んだ。

 品目別に見ると、DOPは

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東レ 2021年キャンペーンガールの継続起用を決定

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2020年9月2日

 東レはこのほど、「2021年東レキャンペーンガール」に、今年のキャンペーンガールであるアイリス・ウーさんを継続して起用すると発表した。

アイリス・ウーさん
アイリス・ウーさん

 例年、選考には書類審査、対面審査、最終審査といった各段階を経ているが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、対面による審査を自粛すべきと判断したことから、新たな選考が難しい状況となった。

アイリス・ウーさんからのメッセージ
アイリス・ウーさんからのメッセージ

 一方、今年度はイベントなどが軒並み中止となるなど、キャンペーンガールとしての活動も制限を余儀なくされている。同社は所属事務所と協議した結果、アイリス・ウーさんを来年度も継続起用することにした。