【1万号突破記念・国際化特集】三菱ケミカルホールディングス 代表執行役社長 越智仁氏

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2020年4月3日

技術プラットフォームの厚みが重要、成長分野にフォーカス

━ 米中貿易摩擦やコロナショックをどう見ますか。

 三菱ケミカル 越智会長越智 米中貿易摩擦は昨年4月頃に改善の兆しを見せていたが、交渉が難航し10月以降に再び落ち込んでいた。そうした中、新型コロナウイルス問題が発生してしまったため、状況はより悪化している。この先をどう見るかだが、コロナショックがどういった形で終息するかによるだろう。

 震源地である中国はやや収まりつつあるが、それでも発生から4カ月程度の期間を要している。その点から見ても、感染が拡大している欧州や米国が落ち着いてくるのは、早くても9~10月頃になるのではないか。各国から景気対策が打ち出されても消費行動が取れないので、年内の回復は難しいと言わざるを得ない。

 一方、米中問題などによる各国の保護主義政策については、コロナ問題でかき消されているが、長期化の様相を呈している。世界経済が低成長を続ける中、どういった解が見つけられるか。ただ、コロナ問題で人やものの動きが制限され、保護主義の問題をより深刻化させる可能性がある。

━ 原油・ナフサ価格も大きく変動しています。

 越智 原油価格に連動し、足元ではナフサ価格が急落している。石油化学はあらゆる製品のベース原料となっており、重要な産業であることは間違いなく、バランスが崩れてしまうと産業全体にとっても影響が大きい。

 ただ、石化市況の

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【1万号突破記念・国際化特集】旭化成 代表取締役社長 小堀秀毅氏

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2020年4月3日

働き甲斐が企業の成長エンジン、育成と確保が人財形成の要

━ 昨年の景況感と、今後の世界経済の見通しについて。

 旭化成 小堀社長 小堀 2018年までのグローバル化の流れに対し、2019年は大きな節目の年であったと感じている。特に先端技術を巡る米中のデカップリングが単なる貿易の不均衡に留まらず、安全保障を含めた先端技術の覇権争いの様相を呈してきた。その長期化に伴い、世界経済は世界的な金融緩和による緩やかな拡大基調から、かなり減速するだろうとの予測はあった。

 しかし、今回の新型コロナウイルスに関連する一連の影響により、これが単なる減速で終わるのか、それとも景気後退の引き金となるのかは不透明なところだ。欧州や米国の状況が深刻化してくれば、大きなインパクトになり得る懸念はある。

━ 中国での新型コロナウイルス感染拡大によるサプライチェーンへの影響は

 小堀 1月後半から2月中旬にかけて工場の多くが操業を停止したが、中国政府も2月の中旬以降は、人の移動なども少しずつ認め始めたこともあり、

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【1万号突破記念・国際化特集】昭和電工 代表取締役社長 森川宏平氏

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2020年4月3日

他社にない価値を創出、グローバルで存在感を高める  

━ 米国を起点とする地政学的リスクが経営戦略に与える影響についてどう見ていますか。

 昭和電工 森川社長森川 今年11月の大統領選挙までは、特に米中摩擦に関して休戦の様相で、地政学での動きや影響は少ないだろう。この間に需要が回復し、2019年に多くの産業で起こった在庫調整が一巡することを期待している。仮にトランプ大統領が再選された場合でも、2期目は米国内経済に悪影響を及ぼすような通商政策は控えるのではないかと思う。

 足元(インタビューは3月上旬)は、新型コロナウイルス感染が拡大し、世界経済に及ぼす影響が当初より深刻化しつつある。ただ、これはあくまで一過性だ。1日も早く混乱が収束し、通常の社会活動・経済活動が行えるようになることを願う。

━ 米中問題など世界的にデカップリングが進む中、サプライチェーンをどう構築・維持していきますか。

 森川 デカップリングが起きても、需要の成長がある限り、供給が迂回するだけで

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【1万号突破記念・国際化特集】JSR 代表取締役社長兼COO 川橋信夫氏

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2020年4月3日

三本柱が成長、オープンイノベーションで新規事業創出

━ 現在の国際情勢をどう見ていますか。

 JSR 川橋社長川橋 世界経済は、2018年頃からすでに下降局面に入っていたとみている。その状況下で、昨年には米中貿易摩擦が深刻化してきたことに加え、さらに今年に入り新型コロナウイルスの感染が拡大し、それらの問題が3倍になって景気の下押し要因として効いている状況だ。現在、業績に与える影響について分析を行っているところだが、なかなか要因を切り分けることが難しく、各国や各地域で対応を図っていかなければならないと考えている。

━ 新型コロナウイルスの混乱はいつ終息するとみていますか。

 川橋 世界各地に感染が拡大しており、先行きを見通すことは非常に難しい。特に欧米では感染率が高く、しばらく混乱は続くだろう。一方、震源地である中国は、国がリスク管理を強化した効果で感染率が急速に低下しており、生産活動がいち早く戻ってくる可能性がある。

 当社としてもその動きに対応できるように準備しており、すでに

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【ポリアセタール特集1】 新型肺炎が需要回復に影響、長期は堅調な伸び見込む

2020年2月7日

 ポリアセタール(POM)はエンジニアリングプラスチックの中で最も汎用性があり、価格も他のエンプラに比べれば安価なことから、自動車や家電、OA機器など幅広い分野で使われている。その特徴は高い強度と摺動性、耐摩耗性、寸法安定性、低吸水性、電気絶縁性、耐薬品性など。一方で難燃性や耐候性に劣ることから、難燃剤や安定剤が必要となる。

 需要に関しては、中国やアセアン、インドなどで拡大してきたことで、現在、世界の需要は120万t程度、そのうち中国・台湾で

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【ポリアセタール特集2】ポリプラスチックス

2020年2月6日

欧米市場開拓に注力、医療系ニーズへの対応も

 ポリアセタール(POM)で世界トップシェアを誇るポリプラスチックスは、欧米市場の開拓と医療系ニーズの把握に注力している。同社は国産初のPOMプラントとして操業50年を超える静岡県の富士工場10万tのほか、台湾の大発工場に2万5000t、中国の南通工場(三菱ガス化学など三社との合弁)に6万t、マレーシアのクアンタン工場に12万3000tの設備があり、合計生産能力は四拠点で30万tを超える。

 これは世界で1、2を争う規模で、世界販売シェアでも約20%を占めている。製造拠点に示されるように、同社はアジアを主戦場に事業を展開してきたが、2012年以降、欧米へ販売拠点を設けグローバル展開を開始した。

 その後、米国で既存のデトロイト近郊のサービス拠点を拡充し、昨年4月に正式オープンしたテクニカルソリューションセンターを中心に開発支援と拡販を図っている。また、欧州に関しては、ドイツ・フランクフルトの

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【ポリアセタール特集3】三菱エンジニアリングプラスチックス

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2020年2月5日

高付加価値製品を拡充、ベースレジンのさらなる向上も

 三菱エンジニアリングプラスチックスは「ユピタール」の製品名で、ポリアセタール(POM)のコンパウンド製造と販売を行っている。

 日本では、モノマーの供給先でもある親会社の三菱ガス化学(MGC)の四日市工場に年産1万5000~2万t、海外ではMGCや現地企業などとの合弁会社としてタイと中国に製造拠点を持ち、合計で年産13万t程度の供給能力を持っている。また、アジアを中心に世界9カ所に販売拠点を設けて営業活動を展開している。

 生産の3拠点は、一昨年はフル稼働だったが、米中貿易摩擦の影響による需要減により、出荷量が減少。足元では

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【ポリアセタール特集4】旭化成

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2020年2月4日

中国のプラントは稼働維持、低VOCグレードが伸長

 世界で唯一、ポリアセタール(POM)のホモポリマーとコポリマーを独自技術で生産している旭化成は、国内に年産4万4000t(ホモポリマー2万t、コポリマー2万4000t)、中国に同2万t(コポリマー)、合計同6万4000tの生産能力を有する。

 機能樹脂事業部テナック営業部の髙木加寿人部長によると、同社のPOMの販売状況は「世界的に自動車生産が落ち込んでいる中で、当社は自動車比率が高いことに加え、他の用途も減少していることから全体として需要は落ちている」。ただ、中国のコポリマーのプラントの稼働は、低VOCグレードが

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【新年特集】日本の化学産業、新しい変化をビジネスチャンスに

2020年1月9日

世界経済の先行き不透明、環境問題も大きなテーマ

 日本の化学産業は米中貿易摩擦の深刻化を背景に中国経済が減速傾向となったことで、厳しい事業環境が続いている。原油・ナフサ価格も不安定な動きを見せ始めており、先行き不透明感が強まってきた。化学メーカー各社はこれまで構造改革に注力し、変動への耐性を高めてきたが、今年はその実力が試される1年となりそうだ。

 現在の世界的な潮流を見ると、「CASE」や「5G」など次世代技術の開発が本格化し、新たなビジネスチャンスが生まれている。オープンイノベーションにより研究開発力やマーケティング力を強化し、市場ニーズに対応したソリューションを提供していく必要がある。

 こうした中、長期的な視野に立った戦略も重要だ。持続的成長を図るためには、設備の新増設やM&Aといった成長投資がカギとなる。景気が減速する中、経営資源の配分に対する各社の考え方に注目が集まりそうだ。

 一方、地球環境問題への貢献も重要課題となっている。企業価値の向上を目指し、ESGやSDGsを経営に組み込む動きも活発化しており、今後さらに環境対応が加速していくと見られる。

 このほか、人手不足や設備の老朽化対策、AIなどデジタル技術の導入、人材の確保・育成など、企業体力の底上げも喫緊の課題だ。今回の新年特集号では、業界を代表する首脳の方々に、環境変化への対応や成長戦略の進捗、また今年の展望などを聞いた。

【新年特集】三菱ケミカル代表取締役社長  和賀昌之氏

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2020年1月9日

KAITEKI実現、社会課題解決は化学会社の責務

━2019年を振り返って、どんな年でしたか。

三菱ケミ 和賀社長01 和賀 世界経済を左右する問題が解決しないまま過ぎ去った1年だった。欧州でのブレグジットや米中の貿易問題による混乱が予想される中で2019年が始まったが、問題解決への大きな進展が見られず、これに加えて、中東情勢はさらに混迷し、悪化した日韓関係は改善の糸口もつかめないままであった。

 経済学的に見れば、国際分業を進展させる中で、関税を撤廃し自由貿易を進めれば、お互いに利益があるはずだが、その推進役であった米国が保護主義に走った。

 しかし日本をはじめ世界経済が停滞する中、米国はいまのところ経済的な失速はみせていない。国際分業と自由貿易により全体の富・利益が増大するという前提に立った各国の協調が、試されている状況と言えるのではないか。

━今後の見通しについて。

 和賀 市況やモノの動きから判断し、当初は昨年の2月を底に年末にかけて緩やかに景気が回復してくるだろうと考えていたが、予想以上にそのスピードが遅い感じがある。

 ただ、指標で見れば改善傾向にあることは確かだろう。MMA(メタクリル酸メチル)モノマーの市況が底を打って反転しつつあることに加え、半導体材料の過剰在庫も減少するなど市場に好転の兆しが出てきた。

━自動車はいかがでしょうか。

 和賀 中国の排ガス規制強化に伴い、非対応車の在庫が大量に発生したことで

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