チッソ 新たに中期計画を策定、JNCの業績改善に注力

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2021年3月16日

 チッソはこのほど、「中期計画~業績改善のための計画」(2020~2024年度)を策定した。これは2019年度のJNC業績が目標利益を大きく下回ったことによる政府要請を重く受け止めたことが背景にある。水俣地域の経済・雇用などに最大限の配慮をしながら、これまで以上の徹底した自助努力により早期の収益回復と持続的な経営を両立させる考えだ。

 前中期計画(2017~2021年度)では、「主力の液晶事業の急激な環境変化への対応の遅れ」、「ボラティリティの大きい液晶事業への過度な依存と第二の収益の柱が不在」、「赤字事業への抜本的な対応の遅れ」により計画未達かつ赤字事業が多く存在し、早急な対応が求められていた。これらを踏まえ、新中計では、構造改革の遂行による止血を最優先し、経常黒字を実現させることを主眼に置く。

 計画の骨子として、①構造改革による業績改善:すでに決定している電子部品などの撤退に加え、赤字事業の縮小・撤退・役員報酬など削減継続、本社賃借面積の縮小といった全社のコスト削減による固定費負担の抑制

 ②Fit化推進による電力事業の収益拡大:五ヵ所の水力発電所(白川・内大臣川・津留・頭地・内谷)のFit化を推進し電力事業を将来の安定収益の基礎に

 ③ガバナンス強化:黒字化に向けた戦略・時期を明確化し、プロセス管理を徹底するとともに、戦略見直しのトリガーや未達時対応策を設定して赤字事業を見極め/モニタリング強化:成長土台となる毎期の安定経常利益・資金を確保するために、損益・資金モニタリングなどの内部管理体制強化、などを挙げた。

 これらの施策により、2024年度のJNC連結経常利益55億円(2019年度は営業損失7億円)の回復を目指していく。なお、研究開発では、未来を変える新しい価値を発見し、社内外の技術を活用した価値創造のビジネスモデルを目指す。また設備投資は5年間で430億円を計画。資金状況に鑑み、維持更新投資のほかはFit化工事に注力する方針だ。

チッソ 人事(31日)

2021年3月4日

[チッソ・人事](31日)▽退任(取締役水俣本部長委嘱)庄司慎哉▽解兼監理室・総務部・法務部担当、取締役人事部担当溝部仰起(4月1日)▽監理室・法務部担当、取締役総務部長委嘱田村秀人▽水俣本部長堀尾俊也▽総務部大阪事務所長石崎和久▽人事部長菱沼伸二▽財務部長中村孝志▽退任(人事部長)野本宜伸▽同(総務部主席)三瓶昭彦。

チッソの4-12月期 減収も利益項目は改善傾向に

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2021年2月10日

 チッソは9日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比12%減の959億円、営業利益23億円(同30億円増)、経常利益20億円(同31億円増)、純損失21億円(同65億円改善)となった。

 セグメント別に見ると、機能材料事業は減収。液晶材料は巣籠り需要が継続しており、足元では大型テレビやIT関連ディスプレイ用途を中心に販売は堅調となったが、4-6月期における需要減少の影響からの復調には至らなかった。シリコン製品は、コンタクトレンズ用途を中心に需要が好調に推移し販売が増加した。

 加工品事業は減収。繊維製品は、国内における除菌シート、マスクなどのコロナ対策関連の需要が引き続き堅調に推移したことに加え、衛生材料向けの出荷が安定的に推移したことから、原綿および不織布の販売が増加した。肥料は、施肥作業の省力化が評価されている被覆肥料の国内出荷が堅調となったが、顧客の在庫調整により化成肥料の出荷が低調となったほか、コロナ影響を受けて海外需要が落ち込んだ。

 化学品事業は減収。オキソアルコールは、原料ナフサ価格の下落により販売価格が低下したことに加え、大型定修の実施により出荷が減少した。一方、コロナ対策関連の需要が堅調となり、治療薬やワクチン製造向けに一部製品の販売が増加した。ポリプロピレンは、足元では主力の自動車関連の需要が回復基調となった。ポリエチレンは、主にレジ袋有料化の影響によりフィルム用途の需要が減少した。

 商事事業は減収。主力のポリプロピレンの販売がコロナ影響を受けた。電力事業は増収。FIT活用に向けた既存水力発電所の大規模改修工事を引き続き推進し、安定した収益基盤の強化に注力した。また、一部の水力発電所は、「令和2年7月豪雨」による被害から完全復旧に至らず低稼働運転となったが、その他の各発電所は順調に稼働した。その他事業は減収。エンジニアリング事業は、前年の反動により売上は減少したが、新規案件の受注は好調に推移した。なお、通期業績予想については見直しを行っていない。

 

チッソの4-9月期 マスクなど衛生材料の特需で増益

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2020年11月13日

溝部仰起取締役常務執行役員
溝部仰起取締役常務執行役員

 チッソは12日、2021年3月期第2四半期(4-9月期)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比16%減の618億円、営業利益18億円(同22億円増)、経常利益12億円(同23億円増)、純損失12億円(同57億円増)となった。2017年度以来、第2四半期の営業利益が黒字となっている。

 決算会見の中で溝部仰起取締役常務執行役員は、「コロナ対策関連製品の需要が大幅に増加したことや、

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チッソの4-6月期 営業利益は3000万円の黒字に

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2020年8月25日

 チッソは24日、2021年3月期第1四半期(4-6月期)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比18%減の304億円、営業利益3000万円(同7億8000万円増)、経常損失3億円(同8億円増)、純損失16億円(同18億円増)となった。

 セグメント別に見ると、機能材料(液晶材料など)は売上高同37%減の55億円。液晶材料は、新型コロナの影響による巣ごもり需要からモニター、モバイルなどの中小型用液晶パネル用途の販売が増加したものの、大型テレビや車載用途などの需要が減少したほか、液晶パネルメーカーでの事業の戦略転換による影響を受け、出荷が低調となった。

 加工品(繊維製品、肥料など)は売上高2%減の143億円。繊維製品は、国内で除菌シートやマスクなどの新型コロナ対策関連の需要が急速に拡大したことなどから、原綿および不織布の出荷が伸長した。肥料は、施肥作業の省力化が評価されている被覆肥料の出荷は堅調だったが、顧客の在庫調整の影響により化成肥料の出荷が低調だった。

 化学品(アルコール、樹脂など)は売上高47%減の34億円。オキソアルコールは、原料ナフサ価格の下落による影響で販売価格が低下したことに加え、生産設備の大型定期修理の実施により出荷が減少した。また、ポリプロピレンは、新型コロナの影響により自動車関連の需要が低下した。

 商事事業は売上高31%減の40億円。主力のポリプロピレンの出荷が低調だった。電力事業は62%増の19億円。全13カ所の水力発電所について、FIT活用に向けた改修工事計画を進めており、第1四半期の期間中、4月に8カ所目となる白川発電所の工事が完了し、新たに営業運転を開始した。

 その他(エンジニアリングなど)は売上高88%増の14億円。エンジニアリング事業は、石油化学関連設備にかかる手持案件の工事が順調に進捗した。

 なお、通期業績予想については、新型コロナウイルス感染症による影響の長期化などにより、現段階では合理的な予想値の算定を行うことは困難であると判断し未定としている。

 

チッソの3月期 液晶材料の競争激化で利益項目は損失に

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2020年5月14日

 チッソは13日、2020年3月期の連結業績を発表した。売上高は前年度比7%減1449億円、営業損失は7億6千万円(30億円改善)、経常損失は13億円(1億円改善)、特別損失として85億円を計上し、純損失は119億円(38億円悪化)となった。なお、連結子会社JNCの、電子部品およびLiバッテリー用セパレーター事業撤退に関わる事業整理損などを特別損失に計上した。

 セグメント別では、機能材料事業(液晶材料等)の売上高は13%減の261億円。液晶材料は、主力の液晶テレビ市場でのパネルの供給過剰が顕著となり、販売価格が低下した。生産拠点の最適化を進め、特別損失として減損損失を計上している。

 加工品事業(繊維製品、肥料等)の売上高は5%減の586億円。繊維製品は、中国・アジア地域の衛生材料市場が堅調だったが、中国メーカーの設備増強で供給過剰となり、価格競争が続き出荷が減少した。肥料は、被覆肥料のアジア地域向け輸出が堅調だったが、JA全農の集中購買や、前年度の肥料価格改定に伴う先取り需要の反動があった。

 化学品事業(アルコール、樹脂等)の売上高は7%減の281億円。オキソアルコールは、生産量・出荷量は伸長したが、アジアの市況軟化や原料ナフサ価格下落の影響で価格が低下した。ポリプロピレン(PP)とポリエチレンは、自動車向け需要の減少、中国市況の軟化、安価な輸入品の流入など、厳しい事業環境となった。

 商事事業の売上高は1%減の210億円。主力のPPは、価格は低下したが出荷は堅調に推移した。電力事業の売上高は34%増の60億円。全13ヵ所の水力発電所についてFIT活用に向けた改修工事計画を実行中。今年度2カ所で工事が完了し、計7カ所で商業運転を開始した。残る6カ所も、改修工事を進めている。

 その他の事業の売上高は32%減の50億円。エンジニアリング事業は、手持案件の工事は順調に進捗したものの、前期の石化関連設備の大型案件の反動が出た。新型案件の受注は堅調だった。

 今年度の通期連結業績予想については、主力事業(機能能材料)が再構築途上であること、新型コロナ感染や市況の大幅変動など、事業環境は不透明かつ不確定要素が多い状況であることなどから、現段階では合理的な予想が困難と判断し未定とした。

チッソの4-12月期 液晶回復せず経常損失11億円

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2020年2月12日

 チッソは10日、2019年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比5%減の1091億円、営業損失8億円(前年同期比16億円の改善)、経常損失11億円(同5億円の悪化)、純損失86億円(同38億円の悪化)となった。

 セグメント別で見ると、機能材料事業は売上高210億円。液晶材料は、中国での大型液晶パネル製造ラインの立ち上げに伴い、供給過剰の傾向が見られたほか、中国材料メーカーの台頭による影響を受け販売価格が下落した。また、生産設備の最適化を進め、設備の減損損失を計上した。

 加工品事業は売上高424億円。繊維製品は、原綿の国内販売は堅調に推移したが、中国・アジア地域の衛生材料市場で価格や品質面での競争激化により、汎用不織布の出荷が伸び悩んだ。肥料は、アジア地域向けの被覆肥料の輸出が堅調だったが、前年の値上げ前の先取り需要の反動から化成肥料を中心に出荷が低調となった。子会社JNCは、電子部品事業とLIB用セパレータ事業から撤退を決定し特別損失を計上した。

 化学品事業は、売上高207億円。オキソアルコールは、アジア市場の市況軟化の影響により輸出環境が悪化したことに加え、原料ナフサ価格の下落により販売価格が下落した。シリコン製品は、自動車関連市場の落ち込みが続き販売は低調となった。ポリプロピレンは、米中貿易摩擦による世界経済の低迷から、堅調に推移していた国内自動車向けの需要に減少傾向が見られたほか、安価な輸入品の流入による影響を受けた。

 商事事業は売上高161億円。主力のPPの販売では、販売価格が低下したものの、設備トラブルの影響が解消したことにより出荷が堅調となった。電力事業は売上高44億円。FIT活用に向けた既存水力発電所の大規模改修工事に注力した。また、一部、渇水の影響を受けたものの、総じて各発電所が順調に稼働した。

 その他は、売上高45億円。エンジニアリング事業は、石油化学業界での設備能力増強などの手持ち案件工事が順調に進捗した。なお、通期連結業績予想については、前回発表を据え置いている。