三菱ガス化学 CN達成に向けた取り組み状況を発表

, , ,

2021年9月6日

 三菱ガス化学はこのほど、2050年カーボンニュートラル(CN)の目標達成に向けた7つの取り組みの状況を発表した。

 ①次世代エネルギーとしてのアンモニアでは、基礎化学品事業部門基礎化学品第一事業部内に燃料アンモニア事業推進チームを設置し、国内外他社との協業を含めた燃料アンモニア事業化の検討を加速させ、国内への燃料アンモニア供給の早期実現を目指す。また海外ソースの安定確保に向け、パンチャ・アマラ・ウタマ社(インドネシア)のCO2地下貯留への間接出資に次ぐ調査・検討を進めている。

 ②環境循環型メタノール構想では、CO2を原料とするメタノール製造について、新潟工場のメタノールパイロット設備で実証試験を開始した。

 ③新潟エリアを中心とする取り組みでは、石油資源開発と共同でCO2の有効活用検討を始めた。またCCUS(CO2回収・貯留・活用)による「ブルー水素」をメタノール原料とする、水素利活用促進も視野に入れている。

 ④水素キャリアや燃料としてのメタノールは、独自技術で開発したメタノールから水素を製造するプロセスを販売し、分散型、オンサイトでの水素製造・供給方法として一定の地位を築いた。「環境循環型メタノール構想」と組み合わせ、CN実現と温室効果ガス(GHG)削減に向けた水素製造・供給方法として有効だとしている。

 ⑤地熱・LNG・バイオマス発電によるCO2排出抑制では、同社出資のLNG発電を行う福島天然ガス発電所の電力を低GHG排出の移行エネルギーとして活用しつつ、再生可能エネルギー事業の拡大を目指し、建設中の安比地熱発電所に加え、新規地熱発電やバイオマス発電などの検討も進めている。

 ⑥エネルギーとしての水素の実用的利用では、燃料電池(FC)フォークリフトを新潟工場内に順次試験導入。小型の水電解装置で燃料水素を供給するが、再エネ電力の使用も見据えている。

 また、⑦社内での取り組みでは、GHG削減ロードマップに従い使用電力の再エネ化検討を進め、4月からは、投資計画に社内炭素価格制度を導入した。

三菱ガス化学 ガスバリア性接着剤でモノマテリアル包材

, , , ,

2021年7月15日

 三菱ガス化学はこのほど、ガスバリア性接着剤「マクシーブ」によりモノマテリアル包材の酸素バリア性と耐屈曲性が向上したと発表した。パッケージにおいても、プラスチック使用量削減、賞味期限延長、リサイクルの容易さといった持続可能なソリューションが求められ、従来の異種材料構成に代わりポリプロピレン(PP)系のアルミ蒸着フィルムから成るモノマテリアル包材が着目されている。

 しかし、これらPPモノマテリアル構成ではバリア性は不十分で、屈曲による酸素バリア性の低下も課題である。「マクシーブ」はエポキシ樹脂とアミン系硬化剤からなる二液系エポキシ硬化型のガスバリア性接着剤で、基材フィルムとシーラントフィルムとの接着に使用すると、ラミネートフィルムにガスバリア性を付与できるため、食品向け包材や工業用途などで広く使用されている。

 今回、アルミ蒸着PPフィルムのドライラミネート工程に「マクシーブ」を適用することで、酸素バリア性は従来型接着剤の使用時と比べ100倍以上、かつ屈曲による酸素バリア性低下が著しく抑えられたモノマテリアル包材の実現が可能となった。

 プラスチック使用量削減による環境負荷低減、賞味期限延長による食品ロス削減、リサイクルが容易なモノマテリアル包材への適用といった、持続可能なパッケージ向けソリューションとしての「マクシーブ」の積極的な拡販を通じて市場開発を加速するとともに、経済的価値と社会的価値の両立を目指していく。なお詳細は、日本包装学会第30回年次大会で紹介した。

 

三菱ガス化学 植物由来原料で樹脂を製造、米社と連携

, , ,

2021年6月17日

 三菱ガス化学はこのほど、非可食の植物由来原料から化学品を製造する技術をもつ米国・オリジン・マテリアルズとの間で、植物由来原料からの化学品の開発と工業化に向けたパートナーシップを構築しPIPE(上場企業の私募増資)よる出資をすると発表した。

 三菱ガス化学は、事業活動を通じて持続可能な社会を実現・発展させていく目的の下、発電時のCO2発生が少ない地熱発電や、環境循環型メタノールの実証計画を推進。2050年カーボンニュートラル達成に向け、温室効果ガスの排出削減長期目標を設定した。また、ポリカーボネートやポリアミド、ポリエステルなど多くの有用なプラスチックおよびその原料などを製造・販売しており、今回のオリジン社とのパートナーシップにより、植物由来原料を使った化学品の製造など、ライフサイクルを通してCO2排出量を削減できる製品の開発を推進していく。

 同社は、こうした活動によりカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを推進し、「地球規模での気候変動課題の解決」という社会と分かち合える価値を創造することで、持続可能な社会の実現に向けて貢献していく。

三菱ガス化 四日市のPOM生産を停止、タイ拠点に集約

, , ,

2021年6月3日

 三菱ガス化学はこのほど、四日市工場(三重県四日市市)におけるポリアセタール(POM)の生産について、2023年9月末を目途に停止すると発表した。POMは、耐摩擦性・耐クリープ性・耐疲労性・耐薬品性に優れたエンジニアリングプラスチックスで、自動車、電気・電子、精密機器などの部品の材料として広く使用されている。

 同社グループは、四日市工場のほか、タイ・韓国・中国に生産拠点をもち、「ユピタール」などのブランドで高品質なPOMを世界中に供給している。四日市工場では、1981年以来、40年にわたってPOMを生産してきたが、プラント規模が年産2万tと小さいことに加え設備の老朽化が進んできたこともあり、厳しい採算を余儀なくされていた。こうした背景から、タイ拠点に生産を集約し、より競争力のある供給体制でPOM事業を展開することを決定した。

 現在、四日市工場品を使用している顧客には、タイ品への切替えを依頼。また、タイ拠点においては、旺盛なPOM需要に対応するため、今後の増産を検討する予定だ。今回の生産停止は、昨年12月に発表した韓国POM事業再編に続く事業強化のための施策の一環となる。同社は、引き続きPOM事業の発展に努めていく。

 

三菱ガス化学 人事(6月1日)

2021年5月11日

[三菱ガス化学・人事](6月1日)▽原料物流部長兼同部物流グループマネージャー田頭伸一▽出向日本ファインケム岡芳昭▽出向三菱瓦斯化学商貿(上海)有限公司兼総務人事部上海事務所長、出向三菱瓦斯化学工程塑料(上海)有限公司青木超雅。

 

三菱ガス化学 温室効果ガス排出削減長期目標を設定

, ,

2021年5月7日

 三菱ガス化学はこのほど、2050年カーボンニュートラル達成に向け、温室効果ガス(GHG)の排出削減長期目標を設定したと発表した。2023年目標は2013年度比28%削減、2030年目標は同36%削減、2050年目標はカーボンニュートラル達成だ。

 同社グループはグループビジョン「社会と分かち合える価値の創造」の下、CSR重要課題(マテリアリティ)を昨年特定した。そのうち気候変動問題は「エネルギー・気候変動問題解決(価値の創造」「環境問題の能動的、積極的対応(価値創造と環境保全との調和)」など複数の要素として挙げ、重要な経営課題としている。

 基準年の2013年度には年間111万t(CO2換算)のGHGを排出していたが、事業ポートフォリオの再構築と省エネルギー活動の推進により、2019年度には23%削減を達成した。これらの検討継続と、同社の特徴・強みであるエネルギー事業、メタノール・アンモニア事業と研究開発力を生かし、他事業との協働も進め、移行エネルギー・再生可能エネルギーの導入、カーボンフリーエネルギーシステム・CCUS(CO2の回収・利用・貯留)の実装などを、具体的な削減アイテムとして進めていく。

 また、同社が構想するクリーンエネルギーシステムやカーボンニュートラル工場で製造したカーボンニュートラル製品、環境貢献製品群を社会に提供することで、「地球規模での気候変動課題の解決」という社会と分かち合える価値を創造していく考えだ。

三菱ガス化学 環境循環型メタノール構想で脱炭素社会へ

, , , , ,

2021年4月16日

 三菱ガス化学はこのほど、CO2と水素からメタノールを製造する実証実験を7月より開始すると発表した。併せて、大気へ排出されるCO2や廃プラスチックなどをメタノールに変換し、化学品や燃料・発電用途にリサイクルする「環境循環型メタノール構想」により産業横断的な提携を進め、脱炭素・循環型社会の実現に向けた取り組みを加速していく。

 メタノールは基礎化学品として用途が広く、エチレンやプロピレンへの転換のほか、水素の輸送媒体や船舶・ボイラー用燃料などのエネルギー用途への展開も期待されている。同社は自社触媒によるメタノール合成技術の蓄積をはじめ、海外の製造拠点での操業経験や製造ノウハウをもち、CO2と水素によるメタノール製造技術の開発に早くから取り組んでいる。

 今回、新潟工場のメタノールパイロット設備を改造し、各種試験や連続運転(CO2処理量:約1.5t/日)を通じて、排出CO2や多様な原料ガスからのメタノール合成プロセスの最適化を検討していく。またエンジニアリング会社・水素プラント会社などと連携し、CO2分離・回収、再生可能エネルギーからの水素製造、ガス化炉ガスなどの合成ガス製造技術などで協業を図る。来年中にCO2と水素からのメタノール製造技術のライセンス供与を開始する計画だ。

 さらにバイオマスや廃プラスチックなどを利用したCO2を含む多様なガスからのメタノール製造技術の新規開発・技術確立を行い、2023年内のライセンス供与を計画している。それに併せて、デジタル技術によるプラント運転操作の自動化、遠隔での運転支援システムによる技術支援など、より安全で効率的な生産形態を提供できるように整備する。メタノールの有効活用や販売についても、導入先の企業(発電、化学、石油精製、鉄鋼など)や自治体(焼却炉施設など)の要望に応じて柔軟に提案していく。

 これら脱炭素化や循環型社会のための総合的な取り組み(ライセンス供与、運転・メンテナンス技術支援、製品引取)により、CO2排出削減や資源再利用を基盤とした産業横断的・官民協力の取り組みを進め、新たな成長を促す産業構造や経済社会の変革に貢献していく。